素材採取家の異世界旅行記

木乃子増緒

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18巻

6:おいでませ帝都。やっておきます暗躍。





景観とは。

確かに我らがバイリー商会は東の大陸、アルツェリオ王国が出身だ。
実用的でぶっちゃけ優雅さの欠片もない武骨な感じの帝国建造物が居並ぶなか、その建物は遠く離れた場所からでも異彩を放っていた。
ある意味で見慣れたというか。懐かしいというか。

「……なにゆえ拠点に似た姿をしておるのじゃ?」

それを聞かれても俺は答えられませんよブロライトさん。

「四階建てっすか? 凄いっすね……」

そうだよねスッス。俺もそう思う。他の店は二階建てが主なのに、その倍の高さを誇っている。あの屋根のてっぺんのところ、ドラゴンかな? というか、ビーに似ているマスコットキャラが腰に手を当て仁王立ちしている。金鯱ならぬ、金のドヤ顔ビー像。

「ピュー」
「どうしてこうなった?」

馬車の中から異様な佇まいのその――城を、俺たちは呆れながら見上げた。
恐らく俺たちの帝国での住まいになるだろう、バイリー商会の帝都支店。
よもやのまさか、聳え立ちたる白壁と黒屋根瓦の天守閣。

「蒼黒の団の拠点と似ておるな」
「似ておるな、じゃないよ。そっくりそのままというか……バージョンアップしているじゃないか」
「ばーじょん?」
「拠点より立派だって言っているの」
「そうじゃな! わたしはこの城も素晴らしい出来栄えだと思う!」
「ピュイ!」

喜んじゃ駄目でしょう。
帝国の大都市に、王国の商店を構えさせていただくんだからさあ、もっと周りの景観に溶け込むような建築物にしてもらいたかったわけ!

「こんなに目立ってどうする……」
「魔法の巾着袋を扱うことは帝国じゅうに知れ渡っているんすよね? それなら、今更なんじゃないすか? どうしてもおいらたちは目立つっすよ」

正論で殴って来るなスッスよ。
目立たないために変装してきた意味がないだろうが。いやもう意図的に触れたら強烈な静電気が発する馬車で移動している時点で悪目立ちはしていたが、それは王国流の防犯対策だって言い訳すれば納得してもらえたはず。
こんなさあ、宮殿より悪目立ちする『城』と呼ばれる立派な建造物、どうして建築途中で待ったをかけてくれなかったんだ。

俺が馬車の中で一人うだうだと考えていると、店の中から小人族らしき品の良い女性が出てきた。
王都でよく見るエプロンドレスの侍女姿。
馬車の前でお上品なカーテシーをし、にこりと微笑む。

「ミツクニ様、お傍の方々、遠い中ようこそおいでくださいました。わたくしはバイリー商会帝都支店の侍女頭、リリファンと申します」

俺は慌てて馬車の後方から降りると、侍女頭リリファンの前で帽子を外した。

「トク・ミツクニ・アスブラークです。宜しくお願いします」

リリファンは右手をすっと前に出し、俺が頭を下げるのを静止した。

「ミツクニ様はわたくし達王国民の代表たる御方。侍女如きに頭を下げてはなりませぬ」

えっ。
えっ。
俺、王国民代表なの?
誰が、いつ、そんなこと決めたの?

クレイやブロライトたちに助けを求めようとするが、俺以外の三人はそれぞれ荷物を降ろす作業に入っている。ビーは天守閣のてっぺんにある金ぴかビー像をまじまじと見ていた。

「帝都案内人のクダンより全て承っております。長旅でお疲れかとは思いますが、執務室へとご案内させてください」

言葉に隠されたその意味。帝都案内人のクダンから全て承っている。
クダン、別の名を王国諜報部員リルウェ・ハイズのサスケから情報は伝わっているということか。
俺はクレイに視線を向けると、互いに小さく頷く。

プニさんは馬場へと案内されていたので、馬場の中で変化でも何でもして帝都の空を飛ぶのだろう。目立たなければ好きにしてくれと言っているので、プニさんの心配はしないでおく。腹が減れば戻ってくるはずだ。

ブロライトとスッスも残りの作業を他の作業員に引き継ぎ、急ぎ足で執務室へと移動した。
執務室に行くまでにリリファンにさらっと店内を案内してもらったのだが。
バイリー商会の底力というか、金の力というか、何処かの誰かさんが帝国に負けまいとする怨念にも似た何かを感じる贅沢な造りになっていた。

一階部分は商店。柱が邪魔にならないよう、客の導線を考えられた造り。入り口は庶民がふらりと入りやすいよう広々としている。温泉観光地の土産屋を思い出した。店舗前で一口饅頭とか販売したら良いのではなかろうか。

貴族用の入り口は馬車通りに面していて、そちらは庶民用の店舗とは隔離されている。防犯面とかいろいろ配慮したのだろう。
帝国貴族の女性は王国貴族の女性と同じく、幅広のぶわっとしたドレスを好んで着ている。そんなドレスが商品に当たらないよう、棚の位置も計算されているようだ。
レインボーシープの綿を贅沢に使った純白の長椅子が異彩を放っている。ハイブランドのショップみたい。

天井や柱などの細部に見える装飾には見覚えが。あれってエルフ独特のデザインじゃなかったっけ。魔除けとか、そんな感じの意味の柄だった気がする。
天井からぶら下がる照明器具は魔道具だね。魔鉱水晶という魔石と同じシャンデリア。似たのを王国の国王陛下の執務室で見たような。見ていないことにする。
店内部の空調は魔道具の気配を感じる。暑くもなく寒くもない適温を保っているのは、王国貴族御用達の空調魔道具だろう。

床に敷かれた落ち着いた臙脂色の絨毯だが、これも清潔魔法が練られた魔道具なのだろう。絨毯を踏んだ瞬間に靴が綺麗になりました。店が清潔なのは有難いけれども、魔道具は全てユグル族の作品なのだろう。こんな贅沢に使っちゃって良いのだろうか。後で贅沢禁止だから接収なんてことにならない?
そんなリリファンはクレイの頭の上を飛ぶハムズたちを物珍しそうに眺めていた。

「兄貴兄貴、なんか凄いっす。庶民用の店も、貴族用の店も、なんか凄いっす」
「この店、帝国側に怒られないよな? こんな贅沢なエルフの木工細工……あの天然石と何かしらの鉱石で加工された謎の彫像なんか、絶対にドワーフたちの仕事だろ。あの天馬の置物はプニさんかな。だとすると隣のもっちりした置物はリベルアリナ……正面の壁に飾ってある飾り槍なんか、クレイの月の槍に似ている」
「ピュピュ」

俺たちは店舗の中を軽く見ただけだが、そこかしこに『どうだ! これが王国の技術だ!』と言わんばかりの主張が隠れていない。ああいうのってさりげなく飾るものじゃないの?
まるで店の象徴かのように、どーん! どがーん! と、これでもかと立派に飾られている。
グルサス親方、装飾用の武具は作らないって言っていたくせして何やっているの。
ビーは見るもの全てが物珍しいようで、装飾品にぶつからないよう店内をすいすいと飛んでいた。

「……あの月の槍の装飾、売るとしたらおいくらレイブ?」

俺が先導するリリファンに問うと、リリファンは槍を眺めて微笑む。

「帝国ではウヌルと呼びますが……うふふふ。最低でも八億ウヌルから、と仰せつかっております」

だーれーにー!
グランツ卿だろうどうせ!!
俺がぐぬぬと憤慨していると、リリファンは振り向いてわざとらしく言った。

「名工が腕を振るった一品ですもの。来月には商業ギルドにて競売も開催されますわ」
「何それ聞いていない」
「うふふ。今、申しました」

この人もリルウェ・ハイズの工作員とか諜報員とか、とにもかくにもサスケの関係者ということはただの小人族というわけではないのだろう。
頼りがいはありそうだが、ちょっと笑顔が怖い。

「あの、リリファンさん、店をこんな贅沢な造りにして怒られない?」

階段に敷き詰められている絨毯の柄にも見覚えがある。これはトルミ村の手芸隊が関わっているな。

「建築当初は警備隊の連中が日々袖の下を催促していたのですが、こちらも舐められたままではいけません。『青』判定の冒険者を護衛として雇いました。帝国冒険者ギルド『エウアンテ』所属の冒険者チーム、青の槍竜です。彼らが店の前を警備するようになりますと、因縁をつけられることはなくなりました」
「あおのそうりゅう」
「はい。全員が元帝国竜騎士団所属の団員五名です」
「それはお高そうなお給金で」
「二食と宿舎もこちらで用意したうえで、月に五百万ウヌルです。ランクBの冒険者も所属しておりますので、破格ではあります」

おう……
さっきのグルサス親方作の装飾品槍の値段を聞いた後だと、お安く感じてしまう。
元竜騎士が五人で月五百万は安いほうではある。モンスターがいる危険地帯に行くわけではないので、最低限の行儀作法が出来る冒険者を選んだのだろう。後で会わせて貰おう。
しかしチーム名が引っかかる。

「カク様は直接お声をかけられぬよう願います」

リリファンのお上品な笑顔が怖い。
青で槍で竜とくれば、帝国のアイドル聖竜騎士殿じゃないですか。
クレイに憧れている元竜騎士というのなら、無礼な真似はしないだろう。妙な客に対しては抑止力にもなるだろうし。

執務室があるという三階へと案内される。階段も広く、ゆったりとした上りやすい階段だ。そのうち自動昇降機(エレベーター)を設置することも考えよう。
一階と二階が店舗で、三階が執務室、商談室、応接室、倉庫となっている。四階は俺たち四人の私室と寝室、客室が四部屋。地下は倉庫とトルミ村への転移門を設置予定。

とにかく、広い。
俺の想像の五倍は広い店舗だ。
これだけの土地を確保するのは大変だっただろう。そこらへんの経緯など細かいことは聞かないでおく。暗躍大好き大公閣下の影がちらほらするもの。

「でっか……」
「こちらが執務室になります」
「部屋全体に防音魔法?」
「おわかりになりますでしょうか」
「なんとなく。誰かの服に盗聴魔道具なんか付けられたら意味はないから、部屋内部にも防音魔道具を設置しよう。あと、攻撃魔法とドラゴンの吐く息なんかにも耐えられるよう結界魔法だろ?」
「盗聴……魔道具など存在するのでしょうか」

リリファンが驚いた顔を見せるので頷いて答える。

「部屋の外から話が聞けなければ、部屋の中に入る人に魔道具をくっつければ話は聞けてしまうだろう? 俺がライバル……じゃないや、秘密裏に誰かの話を聞きたい時は盗聴魔道具を作ったほうが早い」

前世で散々見たスパイ映画の受け売りに過ぎないのだが、リリファンが驚いたまま繰り返し頷く。

「ミツクニ様の発想は底なしの泉の如く溢れてくると伺っておりましたが……なんと素晴らしい」

盗聴魔道具を作るのはともかく。
防音魔道具は手持ちのがあるから、それを常時起動するように改造すれば内緒話をしたい時は執務室でするようにしよう。個別にも防音魔道具を持たせておくべきか。リルウェ・ハイズの諜報員は全員持たせているから話が第三者に漏れ聞こえることはない。

そもそも外部から侵入させないようにすれば良いんだよな。店舗以外のプライベートスペースに入るには、特定の魔道具を持っていないと入れないようにするとか。電車を使うときの自動改札みたいなのや、飛行機の金属探知機ゲートみたいなのでも良いな。応接間や商談室はともかく、私室に入ってこようとしたら静電気で……いやここは睡眠安眠の魔法でお休みさせてしまえば拘束が楽なのではなかろうか。そうだそうしよう。

従業員は全員凄腕諜報員。護衛に元竜騎士団の冒険者。強請られたり拉致されたりしないよう、一人一人に結界魔道具を持たせることも考えようじゃないか。王国商人が舐められたら困りますからね。ふひひ。

「ん? 皆、なにその顔」

俺が執務室の扉をペタペタと触りながら呟いていると、クレイはじめ仲間たちが俺のことをじっとりと見ていた。

「タケルに悪だくみをさせれば天下一品なのじゃ」
「おいらは凄いと思うっすよ! ええと、その、兄貴の想像力!」
「ピュ」
「ここで叱り飛ばせぬのが狂おしいことだ」

なによ失礼な。
ただでさえ王国民というだけで俺たちは従業員もろとも目立っているのだ。従業員には嫌な思いをさせたくないだろう。危険な目にも合わせたくない。働いている人が快適に、意欲を持って仕事に励めるよう俺は全力を尽くそう。ブラックな職場、駄目、絶対。

クレイでも余裕で通れる巨大な黒檀の扉が開かれると、グランツ卿の執務室そっくりな贅沢で機能的な広い部屋が現れた。
大きな硝子の窓と、これでもかと艶めく濃い紫色の羅紗織(らしゃおり)のカーテン。
その大きな窓際の前に小柄な人物が一人。

「師っ……!」
「いやはや旦那様方、遠いところをお疲れさまでした!」

スッスが叫びそうになった口にビーが飛びつき、『師匠』の言葉を制止する。ビーは良い仕事をしてくれた。
この執務室の扉が閉まることで防音魔法が起動する仕組みになっているのだろう。扉が開け放たれた状態でサスケの正体を叫ぶもんじゃない。
俺たちは執務室に入ると、リリファンが背後で扉をゆっくりと閉めた。
キンッ、という高音が瞬間聞こえたが、やはり扉を閉めることで防音魔法が起動する仕組みだったらしい。

「サスケ、殿下のご容態は!」

クレイが我先にとサスケへ走ると、サスケは朗らかな笑顔をスンッと消した。

「発見時に比べたら見違えるほどに回復成された。今も一日中、交代で殿下の看病を続けている」
「そう、そうか……はあ……そうか……!」
「ご安心なされよ。御神(おんかみ)の秘薬は人知を越えた奇跡。回復術に長けたユグルやエルフも常に傍におられる」
「殿下……!」

クレイは膝をつき、祈るように両手を合わせ握りしめた。その逞しい大きな背中は震えている。
どれだけ心配だったか。
今も心配でたまらないのだろう。
俺がクレイの立場で相手がビーだったら、二十四時間付きっきりで看病するに違いない。自分の命に代えても、とまで考えるのはビーが怒るから言わないけども。

「サスケ、俺は直ぐに転移門を設置する。地下に案内してくれ」
「畏まった。クレイストン殿、ブロライト殿、スッスは先ず旅の疲れを落としてもらおう」
「いやしかし、俺は直ぐにでもショペンの元に行かねばならないのだ!」
「急く気持ちは一先ず落ち着かれよ。お相手は帝国公爵閣下であらせられる。鰐獣人の冒険者としてではなく、王国バイリー商会の護衛冒険者として招かれるのを待たねばならぬのだ」

優秀なサスケのことだから、そこらへんの段取りは俺たちが帝都に着く前に終わらせているだろうけど。
王国だろうと帝国だろうと、一介の商人が貴族に会うのは簡単なことではないのだ。
先ず貴族が信頼できる紹介人に話を通し、紹介人から商会へと話が渡り、商会でオッケーサインを出したのち再び紹介人に返答し、更に紹介人から貴族へと。
そういった面倒ごとを重ねるのは自衛防衛であり、貴人の傍に危険な連中を近寄らせないためでもある。初見の場合は特に用心しなければならない。

お天気の良い昼下がりに辺境の田舎村で、「こんちはー、今日はどうしたの?」「スルメイカの追加を陛下がご所望なのだ」「えっ、食べるの早すぎない? 塩分控えめなスルメイカにしておきなよ」「忠告はしておるのだがな」なんて気楽に話をしてくる大公閣下がおかしいのだ。転移門の存在を知らせなければ良かった相手第一位が大公閣下。次点でブロライトの兄でエルフ族の執政アーさんかな。あの人色々と忙しいはずなのに、妙なところで要領が良くて仕事を片付けてしょっちゅうトルミ村を徘徊しているのだ。
そんな尊いお血筋の方々がトルミ村にいるものだから、感覚が麻痺しそうになるのだ。

「クレイ、ショペン公爵に繋ぎが取れるまで殿下の看病に行けば良い」
「良いのか?」
「ずっとは駄目だぞ。クレイ自身も快適無敵の馬車の旅とはいえ、長旅で疲労は確実に蓄積しているんだ。ブロライトもスッスも、休める時には休もう」

俺も転移門を設置したら風呂に入りたい。店舗を作るなら風呂を作ってくれと注文しておいたが、風呂はあるのだろうか。

転移門はトルミ村への転移門を一つと、マールシェベレルダ領マイユ東の森の最深部にある殿下の診療所への転移門を設置せねば。






*******

腱鞘炎が痛いよう。
だけどキーボードは打てるんだよう。
ペットボトルの蓋が開けられないだけ。
貴族に会うためのお伺いを書いていてだね。
会社で働いていた時、稟議書を各お偉方に回すのがクッソ面倒だったなと思い出した。




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