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新妻 四
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「第三奥様が、」
背がこわばった。
「あんな上等なクルンを持っているものですか。第二奥様ならまだしも」
「まぁ……そうだろうがな」
料理人は言葉をにごすようにして返事をした。
「奥様だなんて、笑っちゃうわよ。気位ばかりたかい貧乏人の小娘の分際で。器量だって、そういいって方でもないくせに。輿入れの道具だって、そりゃ貧乏臭いものばかり」
私は両手をにぎりしめた。私の花嫁道具をあつらえるために両親、特に母がどれほどの苦労をしたかを思いだして、胸に怒りの火花が散った。
「……家はともかく、けっこう別嬪だと思うがな」
「へん、あんたは側で見たことがないから言えるのよ。胸はちいさいし、腰はがりがりだし、肌だって若いわりにはそれほど綺麗ってわけじゃないし。旦那様が相手にもしないわけだわよ」
男が苦笑しているのがわかった。
「まぁ、たしかにまだ子どもっぽいがな。だが、あともうしばらくたてば、案外女らしくなるだろう」
「あーっ、損だわ。あんな鼠みたいな貧相な娘でも、古い家に生まれたっていうだけで、呉家の第三夫人になれて、奥様、奥様って呼ばれて優雅に暮らせるんだから。私だって同じ生まれるなら、そういう家に生まれてくりゃ良かったわ」
「まぁ、そう言うなって」
「言いたくもなるよわ。でも……」
一瞬の間に、娘は息を吸い込み、そしてさらに悪意の言葉をまきちらしはじめた。
「奥さま面していられるのも、今のうちだけね。このまま子どもが出来なけりゃ、追い出されるんだから」
「もうちょっと落ちついたら、旦那様だって第三奥様のお部屋に行かれるだろう」
「行かないわよ。旦那様は外の妾に夢中だっていう話だし」
「相変わらず、あちらへご執心なのかい? ほら、例の未亡人だろう?」
「そ。ずっとそっちへいりびたっているみたい。だから、こちらへもなかなかお帰りにならないのよね。第二奥様、ぴりぴりしてるみたい」
「向こうに子どもが、それも男の子でもできたら、そりゃ第二奥様としては悔しいだろうな」
「そもそも子どもを生ませるために旦那様はあの小娘を奥に入れたのに……、まったく役立たずなんだから……」
「どうした、黙りこんで?」
「私、気になるんだけれど、もしかしたら、サリナ、男でもできたんじゃないかしらね」
「へ? あの娘にかい?」
「そうよ。それで、その男から服とかリボンとかもらったんじゃないかしら? あの子、最近本当に身なりがいいのよ」
背がこわばった。
「あんな上等なクルンを持っているものですか。第二奥様ならまだしも」
「まぁ……そうだろうがな」
料理人は言葉をにごすようにして返事をした。
「奥様だなんて、笑っちゃうわよ。気位ばかりたかい貧乏人の小娘の分際で。器量だって、そういいって方でもないくせに。輿入れの道具だって、そりゃ貧乏臭いものばかり」
私は両手をにぎりしめた。私の花嫁道具をあつらえるために両親、特に母がどれほどの苦労をしたかを思いだして、胸に怒りの火花が散った。
「……家はともかく、けっこう別嬪だと思うがな」
「へん、あんたは側で見たことがないから言えるのよ。胸はちいさいし、腰はがりがりだし、肌だって若いわりにはそれほど綺麗ってわけじゃないし。旦那様が相手にもしないわけだわよ」
男が苦笑しているのがわかった。
「まぁ、たしかにまだ子どもっぽいがな。だが、あともうしばらくたてば、案外女らしくなるだろう」
「あーっ、損だわ。あんな鼠みたいな貧相な娘でも、古い家に生まれたっていうだけで、呉家の第三夫人になれて、奥様、奥様って呼ばれて優雅に暮らせるんだから。私だって同じ生まれるなら、そういう家に生まれてくりゃ良かったわ」
「まぁ、そう言うなって」
「言いたくもなるよわ。でも……」
一瞬の間に、娘は息を吸い込み、そしてさらに悪意の言葉をまきちらしはじめた。
「奥さま面していられるのも、今のうちだけね。このまま子どもが出来なけりゃ、追い出されるんだから」
「もうちょっと落ちついたら、旦那様だって第三奥様のお部屋に行かれるだろう」
「行かないわよ。旦那様は外の妾に夢中だっていう話だし」
「相変わらず、あちらへご執心なのかい? ほら、例の未亡人だろう?」
「そ。ずっとそっちへいりびたっているみたい。だから、こちらへもなかなかお帰りにならないのよね。第二奥様、ぴりぴりしてるみたい」
「向こうに子どもが、それも男の子でもできたら、そりゃ第二奥様としては悔しいだろうな」
「そもそも子どもを生ませるために旦那様はあの小娘を奥に入れたのに……、まったく役立たずなんだから……」
「どうした、黙りこんで?」
「私、気になるんだけれど、もしかしたら、サリナ、男でもできたんじゃないかしらね」
「へ? あの娘にかい?」
「そうよ。それで、その男から服とかリボンとかもらったんじゃないかしら? あの子、最近本当に身なりがいいのよ」
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