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彼の未来 …10
しおりを挟む東京へ帰ると、私と幹太の日常がまた始まる。
長かったゴールデンウイークも終わり、私達はそれぞれの生活と仕事に追われる日々に身を委ねた。
でも、二人の中には、以前とは違う確固たる強くて穏やかな愛情が芽生えていた。
結婚に向かって一つ一つ問題をクリアにしていく決意が二人の中に明らかに宿っていて、その糸口を二人でいつも話し合い、そしてささやかな夢を語り合った。
「寧々、突然で悪いんだけど…」
ゴールデンウイーク明けの初日の仕事を終えた夜、夕食の後にくつろいでいると、幹太がバツの悪そうな顔で私にこう話してきた。
「寧々のご両親に挨拶に行く前に、俺の親にも寧々との事を話しておいた方がいいと思って、昨日電話したんだ。
案の定、超驚いて、めっちゃ興奮してさ、俺が寧々の両親に会いに行く前に、自分達も寧々ちゃんに会いたいって」
「え?」
私は急な展開についていけず、ポカンとした顔で幹太を見た。
「会うっていっても、うちの親に挨拶に行くのは今度の週末で、その間は平日しかないよ…」
私がそう言うと、幹太は大げさにため息をつく。
「明後日、出てくるって…
マジか?だろ。
休み明けだし、俺はド平日に早くに帰って来れる日はないから他の週末にしてくれって頼んだんだけど、俺はいなくていいんだと。
寧々ちゃんに会いたいんだってさ。
寧々、水曜日は仕事、定時に終われそうか?」
私も驚きと興奮で心臓がドキドキした。以前、幹太の家で見たご両親の写真を思い浮かべ、優しそうな夫婦だなって思った事を思い出した。
「私は大丈夫だけど…
でも、反対とかしてない…?
子供の頃の幹太を傷つけて、逃げるように東京へ行った私の事を…」
幹太は隣に座る私を抱きしめて、笑いながらキスをした。
そして、また力強く抱きしめる。
「反対?
地球がひっくり返ってもそれはない。
幹太が恋い焦がれていた寧々ちゃんと結婚できるって、大騒ぎだよ。
やめてくれっていうくらいに」
幹太は本当に嬉しそうにそう言った。
幹太は、きっと分かりやすい子供だったに違いない。だって、お父さんにもお母さんにも、そんな事がばれてるくらいだから。
私も幹太の胸の中でクスッと笑った。
「その日、俺もできるだけ早く帰ってくるようにするからさ。
でも、なんか日帰りで帰るらしくて、別に俺には会わなくてもいいみたいな事を言ってるんだ。
寧々ちゃんの顔を見て、ちょっと話せたらそれでいいって。
マジで、寧々、ごめん…
ちょっとだけ俺の親につき合ってもらっていいか?」
私は笑顔のまま頷いた。
「一応、琥珀亭に六時って言ってある。
寧々は行ける時間でいいから、六時過ぎても全然構わないよ」
「六時だったら、何とか間に合うかも。
幹太のご両親に気に入ってもらえるよう、私も頑張る。
だって、本来なら、私が幹太の実家に行かなきゃならないのに、わざわざ来てくれるなんて。
ちゃんとおもてなしするから、幹太は心配しなくて大丈夫だよ」
幹太は私の頬を優しく撫でた。今度は私の方から幹太に抱きつく。
「ありがとう、寧々…」
幹太の腕の中はもう私のもので、そして、その権利を永遠にするためになら私は何だってできる。
幹太と早く結婚したい。
みんなに祝福されて、本当の意味で幸せになりたい。
私はそんな事を思いながら、幹太に優しくキスをした。
幹太のお返しのキスがキスだけじゃ終わらない事を、ちゃんと予想してはにかみながら…
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