イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる

便葉

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加恋はささやかな夢を見る

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「加恋ちゃん、明日は何限目から始まるの?」

トオルさんはお風呂上りの私の髪を梳かしながら、そう聞いてきた。
あ、別に、髪を梳かす事を強要しているわけじゃないですから…
トオルさんがそうしたいというので、じゃ、お願いしますといったそんな感じで、それは毎日の日課となってしまっています…

「明日は二限目からだから、十一時からかな」

私はドレッサーの鏡に映るトオルさんの顔を見ながら、微笑んでそう言った。

今、私は、写真の専門学校へ通っている。
モデルの仕事を辞めた私は、何もする事がなくなりちょっと鬱になりかけた。
そんな時、モデルとして写真を撮られてきた経験から、実は写真を撮る事にも興味がある事に気が付いた。

トオルさんは私を愛し過ぎるあまり、私を外へ出したくないらしい。
でも、私に嫌われたくない気持ちも強いあまり、私の願いはいつも叶った。
優し過ぎるトオルさんは、きっといつも我慢している。
それが見ていてちょっと辛かった。

「了解。
いつも通りに、車で学校まで送って行くよ」

トオルさんは必要以上に私に甘い。

「電車で行くから大丈夫。
トオルさんは、明日の朝は早い日なんだから」

すると、トオルさんはドレッサーに座る私を抱き上げ、ベッドへ連れて行く。
まずはトオルさんがベッドに座り、そして、私を自分の膝に座らせると包み込むように抱きしめる。

「いいの…
俺が送りたいんだから、送らせてよ」

トオルさんはこんな時、高校生の男の子みたいになる。
自信がなさげで、寂し気で、可愛らしくて。

「でも、会社に間に合わなくなっちゃうよ…」

私はそんなトオルさんをいつも抱きしめる。
十歳の年の差なんて、まるでないみたいに。

「朝早く会社に顔を出してから、また家まで帰ってくるよ。
そして、加恋ちゃんを無事に送り届けてから、また会社へ向かう」

トオルさんはまだ甘えたそうに私に抱かれている。

「もう、そんな無理しなくていいのに…」

私のお決まりの言葉だ。
そして、その言葉を聞いたトオルさんは、私のうなじに軽くキスをする。

「俺がそうしたいんだから、そうさせて。
俺は、加恋ちゃんの下僕になりたいってそう言ったろ?」

また始まった…
それまでは下僕っていう言葉すら知らなかったのに。

「下僕になるのは許しません!
だって、私は女王様とかにはなりたくないから」



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