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まひるの誕生日
…3
しおりを挟むデ、デラックススウィート??
私は、何の疑問も持たずにその人達に付いていくミチャの脇腹をつねった。
「イタタ…」
「ミチャ、分かってて予約したんだよね?」
私は小声でそう囁いた。
「何を?」
ミチャも私に合わせて小声で囁く。
「デラックススウィート」
「デラックススウィート?」
このオウム返しのようなやり取りにため息が出そうになる。
「スウィートルームを予約した事は知ってた?」
ミチャは肩をすくめて、私に軽くウィンクをした。
そして、右手の人差し指を横に振りながら、どこかの映画スターのように大げさに私を見る。
「知ってるよ。 スィートルームって、新婚さんが泊まる部屋の事だろ?」
ほら、ミチャの頭の辞書にはスウィートルームすら載っていない。
「違うよ。 新婚さん限定とかじゃなくて、ホテルの中で一番豪華な部屋の事だよ」
ミチャはさほど驚きもせず、ふ~んと頷いている。
私達はホテルの中心にある何台も並んでいるエレベーターホールは通り過ぎて、完全にVIP仕様の特別なエレベーターホールに連れて来られた。
「早乙女様はこのエレベーターをお使いくださいませ。
このエレベーターは2401号室専用のエレベーターになりますので」
私はギョッとした。
ギョッとしながら、エレベーターに乗り込もうとするミチャの耳元でこう囁いた。
「ミ、ミチャ、この部屋の値段、聞いてる?」
ミチャのマイペースぶりはどこでもどんな状況でも健在だ。
慌てふためく私を見ながら、いつも通りの笑みを浮かべて私の手を取った。
レディファーストはミチャにとっては当たり前の事で、エレベーターにだって私を先に乗せてくれる。
そして、ミチャは、急速で24階まで上がるエレベーターの違和感に顔をしかめながら、私の耳元でこう囁いた。
「知らない…
何だか、高そうだね」
……やっぱり。
そのスィートルームは、まさにデラックスだった。
テレビや旅行用のパンフレットでしか見たことのないセレブな世界がそこにある。
私達のスーツケースを中のクローゼットまで運んでくれた支配人は、ミチャに部屋の設備等の説明を済ませると、丁寧にお辞儀をしてそそくさと出て行った。
私は目を丸くしたまま、ミチャを見つめる。
「いいんだよ、たまには。
僕のステータスから言えば、普通の事だよ」
確かに、ミチャの会社は、ベンチャー企業としては成功例に挙げられている。
でも、当の本人は会社社長とは名ばかりで、経営は全てミチャの優秀なブレーン達が取り仕切っていた。
ミチャはロボットを作る事だけ考えていればいいらしい。
本人が勝手にそう認識しているだけかもしれないけど…
「私、スィートルームに泊まる事自体が初めての経験」
「僕もだよ」
ミチャはリビングから見えるオーシャンビューに目を奪われている。
私もミチャの横に立ち、遮るものが何ひとつない美しい風景にため息をついた。
「天気が良かったら、どれくらい綺麗なんだろう…」
ミチャは私の肩を抱き寄せる。
最近は、まるで本物の夫婦みたいに、私達はスキンシップを取っている。
で、でも、キスとかはしないけど…
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