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まひるの誕生日
…10
しおりを挟む私はミチャの胸の中から静かに顔を上げた。
男の人が好きな角度斜め45度でミチャを見上げる。
でも、ミチャの優しい瞳は、そんな私の切なる眼差しの意味を知る事もなく、今でもミチャの頭の上には?マークがたくさん浮かんでいる。
男と女の微妙な駆け引きなんて、鈍感のミチャには全く通用しなかった。
「私が描きたい絵は、全裸なの…
ね、聞かない方がよかったでしょ…」
「ぜ、全裸?」
私は恥ずかしくなって肩をすくめた。
自分の思いがけないカミングアウトが、こんな素晴らしい誕生日の夜に水を差した事を悔やみながら。
せっかくの誕生日に、ミチャとキスをした。
ミチャのとろけるような甘いキスは、私の数えるほどのキス体験のトップに踊り出た。
それだけで終わらせておきたかったのに…
でも、本当の事を言うと、またミチャとキスがしたい…
「そう…
だから、この話はなかった事にして。
ミチャの記憶から抹消してね」
自分から言っておいて、本当に都合がいい。
私は困惑するミチャの顔を見つめながら、またミチャの腕の中にもぐり込んだ。
「全裸か……」
「大丈夫だから。
ミチャにそんな事、もう絶対に望まない。
ごめんね、私が変な事口走って…」
それでもミチャはしつこく何かを考えている。
「全裸で、僕はどうすればいいの?
ポーズとか取った方がいいんだよね?
でも、ポーズとかどうすればいいのか分からないな」
私はもごもご話し続けるミチャの口を塞ぐようにキスをした。
キスをしたくてたまらない気持ちを、しょうがないなみたいな演技をしてねっとりとしたキスの陰に隠しながら…
「ミチャは全裸になんてならなくていいの…
だから、全裸のワードを頭の中から締め出して…」
私の言葉にミチャはクスっと笑った。
その息遣いが私の思考を鈍らせる。
「まひるは僕のキスが好き?」
残念ながら何もかも見透かされている。
でも、その質問はちょっとだけ違う。
「ミチャの全部が好き…」
ミチャは、私の思いがけないキスと愛の告白が嬉しかったみたいで、私の頬をそっと触りながらくちびるを軽く重ねてまたクスっと笑う。
「まひる、誕生日おめでとう…」
ほらね…
ミチャはいつもこうやって上手にはぐらかす。
でも、ミチャのキスは、私の中では思いがけない進歩。
好きだからキスをしてくれるんだよね…?
ミチャの右手は私の左頬をもう一度撫でて、そして、今度は完全にくちびるを重ね合わす。
私達のぎこちないキスは、まるで導火線のついた花火のよう。
ちりちりとゆっくりと花火の在り方まで進んでいく。
でも、私はちりちりとゆっくりとなんて本当は嫌 …
ミチャと燃え上がるような恋がしたい。
いつになるのか、そんな日が来るのかも、今は何も分からないけど…
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