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4 公爵そっくりの黒髪青目のちんまいのは生意気で不機嫌
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客室になる僕の部屋に案内されて、誰もいなくなってからソファーにドカッと座る。疲れた。急展開すぎて疲れた。
蘇った記憶も、実際に起こったことも。
ふうーとため息をついていると、マイヤーさん直々にお茶を入れてくれた。茶葉のいい香りがしている。
我が家で使う茶葉と香りも味も全然違う。母にも飲んでもらいたいな。
「美味しいです」とにっこり笑って伝える。マイヤーさんも満足気に頷き返してくれた。
それから僕専用のメイドを紹介される
「ロイルです」きれいな茶色の髪をボブにしているお姉さんだ。メイド服一つとっても僕の着ている服より高そうだ。
きっと身分なんかもぼくより上なんだろうな。
たかが伯爵、しかも没落しているような家の次男の世話をさせるなんてもったいない。それに僕自身が子息の友人兼侍従見習いになるはずだけど?
友人という枠の方が大きいのかな?
マイヤーさんに聞いてみたが、そこは公爵に確認してほしいと言われた。
マイヤーさんがいなくなってから、ロイルに疑問という形で相談してみる。
おそらく勉強や剣術を一緒に習ったり、お茶が必要な時にいれたりするのだろうと言われた。
前も一度そういった役割の人物が一人いたそうだ。その人は今はいずこに?
僕の疑問にロイルは話すぎたと思ったのかわざとらしい咳をした。
もう教えてくれないのかな。
まあ、いいか。すでに狂暴化が始まって、その人も犠牲になったのかも。そう思うと体が震える。
僕も相手をしないといけないんだろうか。どうしよう。なんの準備もしていない。
あの時の恐怖を思い出して怯えていたら、トントンとドアが叩かれた。公子の元に案内されるらしい。
え、もう・・・僕が青くなっていたら、「本日は挨拶のみです」とマイヤーさんが教えてくれる。
よかった。あー、一刻も早く対策を練らないといけないけど、何をすればいいんだろう。
案内された部屋にマイヤーさんと入る。執事のロバートさんがお茶を入れていた。
えーと大男はどこにいるんだ。恐々として目を開けると、主人が座るべき席に誰もいない。
キョロキョロしていたら、ロバートさんがソファーに手を伸ばして「こちらがロイド マイリ ザクソン様です」と紹介してくれた。
「うん?」
なんか公爵そっくりの黒髪に青い目のちんまいのが座っている。僕はそれでもキョロキョロした。大男はどこだ?
ロバートさんが咳払いをしてもう一度いう。「こちらがロイド マイリ ザクソン様、公爵家の嫡男であられます」
え? このちびっこが? すごくちんまいんだけど。確かに公爵とそっくりだから公爵の子供かもしれないけど。僕の印象では大男だと思っていたから、なんだかこの子? って感じで不足に感じる。10歳で僕より年下だからこんなもの? それにしても幼い。
成長遅めと言われている僕からみても、5.6歳くらいに見える。
ちんまい公爵のそっくりな子が不機嫌そうな顔をしている。
「お前生意気だな」
うん? なんだか従弟の生意気な顔を思い出した。
「お前こそ生意気では? 僕の方が年上でしょ」
「身分をしれ。おれは公爵家の嫡男だぞ」
「僕は伯爵の次男だけど、それがどうしたの? まだ君は何も成し遂げてないでしょ。父親の威光を振りかざすなんてカッコ悪いよ?」
「か、カッコ悪い?」
ロイドは目を白黒させている。言い返されると思ってなかったのだろう。
「うん」僕は頷く。
「まだこんなにちっこいのに威張るなんてカッコ悪いよ」
僕の攻撃にロイドもロバートさんも慄いている。
マイリーさんも固まっている。
あれ? 僕やらかした?
※※
あれから怒ったロイドに「出ていけ!」と追い出された。友人兼侍従にってお父さんは大金を僕に払ったんだけど?
身分社会で、確かに身分はロイドの方が上なんだけど、大男だと構えて震えていたところが、ロイドがちっこすぎてつい揶揄うように反抗してしまった。僕はクビだろか。
その日の夜、僕は思い出した。夢の中で、一回目の僕が、生意気なロイドを嫌っていたこと。ロイドは1回目も最初は小さかった。だけど可愛げがなくて生意気で威張っているから、僕はロイドが嫌いだった。
それに狂暴化したら、こいつの相手をしなければいけないと思うと、扱いも雑になっていた。
本心は嫌いというよりも得体の知れない怪物のようだと恐れていた。できるだけ関わらないようにしていた。
それがロイドにも伝わるのか、関係はよくなかった。
うーん、確かに前回の僕の態度も悪かったかな。
でもさ、あいつ不機嫌な顔しかしないし、生意気で傍にいたいと思えないんだよね。
次の日の朝、起きてすぐ執事のロバートさんが枕元に立っていて僕はビビった。昨日の僕の態度が不敬だって言ってくるのかな。
ドキドキしていたら、「ロイド様はザクソン家の中でも近年まれにみる魔力の強さをほこっています。魔力が強いとそれを押さえるために、体の成長が遅れるのです。けっして侮ってはいけません。その代わり条件がそろえば一気に体が成長し成人します。
ロイド様の今の状態は決して安定していません。大変危険なのです。ロイド様の母君も強い魔力をお持ちで、強すぎるが故にロイド様を出産されたときに、ロイド様の魔力とぶつかりあい命を落とされました」などなど色々言われた。
要約するとお坊ちゃまを大切にしろってことだよね。
僕は一応反省した。雇われているのは僕なんだからちょっとは我慢しないとね。
それに関係を良くしていたら、凶暴化した時に無意識で少しは手加減してくれないだろうか。
それにしても、いつ体が成長して凶暴化するかわからないなんて恐怖だ。
いつどんなきっかけで凶暴化したかは、全然思い出せない。関わりがほぼなかったから。
ザクソン家でも普通の魔力の量であれば普通に成長して成人になるらしいけど、ここまで魔力が強いと体の成長が遅れるらしい。
それって僕にも当てはまるのかな。僕も教会で魔力検査を受けた時は、魔力測定器がおかしくなるくらいに強いって言われたけど、なんにも発現しない。魔法を使えないんだ。
もちろん教師なんて雇うお金もないから、魔力の使い方もよくわからない。なんて僕の小さい体を魔力のせいにしてみる。
それよりロイドのお母さんが出産のときにロイドと魔力がぶつかりあって、亡くなったって話。
えっともしかして前回の僕も暴力なんかの物理的なことだけでなく、魔力がぶつかり合ったことも原因の一つなのかな。
それならどうやって防げばいいのだろうか。
蘇った記憶も、実際に起こったことも。
ふうーとため息をついていると、マイヤーさん直々にお茶を入れてくれた。茶葉のいい香りがしている。
我が家で使う茶葉と香りも味も全然違う。母にも飲んでもらいたいな。
「美味しいです」とにっこり笑って伝える。マイヤーさんも満足気に頷き返してくれた。
それから僕専用のメイドを紹介される
「ロイルです」きれいな茶色の髪をボブにしているお姉さんだ。メイド服一つとっても僕の着ている服より高そうだ。
きっと身分なんかもぼくより上なんだろうな。
たかが伯爵、しかも没落しているような家の次男の世話をさせるなんてもったいない。それに僕自身が子息の友人兼侍従見習いになるはずだけど?
友人という枠の方が大きいのかな?
マイヤーさんに聞いてみたが、そこは公爵に確認してほしいと言われた。
マイヤーさんがいなくなってから、ロイルに疑問という形で相談してみる。
おそらく勉強や剣術を一緒に習ったり、お茶が必要な時にいれたりするのだろうと言われた。
前も一度そういった役割の人物が一人いたそうだ。その人は今はいずこに?
僕の疑問にロイルは話すぎたと思ったのかわざとらしい咳をした。
もう教えてくれないのかな。
まあ、いいか。すでに狂暴化が始まって、その人も犠牲になったのかも。そう思うと体が震える。
僕も相手をしないといけないんだろうか。どうしよう。なんの準備もしていない。
あの時の恐怖を思い出して怯えていたら、トントンとドアが叩かれた。公子の元に案内されるらしい。
え、もう・・・僕が青くなっていたら、「本日は挨拶のみです」とマイヤーさんが教えてくれる。
よかった。あー、一刻も早く対策を練らないといけないけど、何をすればいいんだろう。
案内された部屋にマイヤーさんと入る。執事のロバートさんがお茶を入れていた。
えーと大男はどこにいるんだ。恐々として目を開けると、主人が座るべき席に誰もいない。
キョロキョロしていたら、ロバートさんがソファーに手を伸ばして「こちらがロイド マイリ ザクソン様です」と紹介してくれた。
「うん?」
なんか公爵そっくりの黒髪に青い目のちんまいのが座っている。僕はそれでもキョロキョロした。大男はどこだ?
ロバートさんが咳払いをしてもう一度いう。「こちらがロイド マイリ ザクソン様、公爵家の嫡男であられます」
え? このちびっこが? すごくちんまいんだけど。確かに公爵とそっくりだから公爵の子供かもしれないけど。僕の印象では大男だと思っていたから、なんだかこの子? って感じで不足に感じる。10歳で僕より年下だからこんなもの? それにしても幼い。
成長遅めと言われている僕からみても、5.6歳くらいに見える。
ちんまい公爵のそっくりな子が不機嫌そうな顔をしている。
「お前生意気だな」
うん? なんだか従弟の生意気な顔を思い出した。
「お前こそ生意気では? 僕の方が年上でしょ」
「身分をしれ。おれは公爵家の嫡男だぞ」
「僕は伯爵の次男だけど、それがどうしたの? まだ君は何も成し遂げてないでしょ。父親の威光を振りかざすなんてカッコ悪いよ?」
「か、カッコ悪い?」
ロイドは目を白黒させている。言い返されると思ってなかったのだろう。
「うん」僕は頷く。
「まだこんなにちっこいのに威張るなんてカッコ悪いよ」
僕の攻撃にロイドもロバートさんも慄いている。
マイリーさんも固まっている。
あれ? 僕やらかした?
※※
あれから怒ったロイドに「出ていけ!」と追い出された。友人兼侍従にってお父さんは大金を僕に払ったんだけど?
身分社会で、確かに身分はロイドの方が上なんだけど、大男だと構えて震えていたところが、ロイドがちっこすぎてつい揶揄うように反抗してしまった。僕はクビだろか。
その日の夜、僕は思い出した。夢の中で、一回目の僕が、生意気なロイドを嫌っていたこと。ロイドは1回目も最初は小さかった。だけど可愛げがなくて生意気で威張っているから、僕はロイドが嫌いだった。
それに狂暴化したら、こいつの相手をしなければいけないと思うと、扱いも雑になっていた。
本心は嫌いというよりも得体の知れない怪物のようだと恐れていた。できるだけ関わらないようにしていた。
それがロイドにも伝わるのか、関係はよくなかった。
うーん、確かに前回の僕の態度も悪かったかな。
でもさ、あいつ不機嫌な顔しかしないし、生意気で傍にいたいと思えないんだよね。
次の日の朝、起きてすぐ執事のロバートさんが枕元に立っていて僕はビビった。昨日の僕の態度が不敬だって言ってくるのかな。
ドキドキしていたら、「ロイド様はザクソン家の中でも近年まれにみる魔力の強さをほこっています。魔力が強いとそれを押さえるために、体の成長が遅れるのです。けっして侮ってはいけません。その代わり条件がそろえば一気に体が成長し成人します。
ロイド様の今の状態は決して安定していません。大変危険なのです。ロイド様の母君も強い魔力をお持ちで、強すぎるが故にロイド様を出産されたときに、ロイド様の魔力とぶつかりあい命を落とされました」などなど色々言われた。
要約するとお坊ちゃまを大切にしろってことだよね。
僕は一応反省した。雇われているのは僕なんだからちょっとは我慢しないとね。
それに関係を良くしていたら、凶暴化した時に無意識で少しは手加減してくれないだろうか。
それにしても、いつ体が成長して凶暴化するかわからないなんて恐怖だ。
いつどんなきっかけで凶暴化したかは、全然思い出せない。関わりがほぼなかったから。
ザクソン家でも普通の魔力の量であれば普通に成長して成人になるらしいけど、ここまで魔力が強いと体の成長が遅れるらしい。
それって僕にも当てはまるのかな。僕も教会で魔力検査を受けた時は、魔力測定器がおかしくなるくらいに強いって言われたけど、なんにも発現しない。魔法を使えないんだ。
もちろん教師なんて雇うお金もないから、魔力の使い方もよくわからない。なんて僕の小さい体を魔力のせいにしてみる。
それよりロイドのお母さんが出産のときにロイドと魔力がぶつかりあって、亡くなったって話。
えっともしかして前回の僕も暴力なんかの物理的なことだけでなく、魔力がぶつかり合ったことも原因の一つなのかな。
それならどうやって防げばいいのだろうか。
応援ありがとうございます!
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