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俺だけの君
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好きだから、キスしたい。
そう思うのが自然だと思う。
でも、あの田村さんはどうだったんだろう。
「・・・・好きなんだ、雅くんが」
俺の言葉に、雅くんの頬が赤く染まる。
「ほ・・・んとに・・・?」
「ほんと。たぶん、最初から好きだった。雅くんが男だから変だとか、そんなこと考えなかった」
「俺・・・・俺も・・・・園原くんが、好き」
「本当に?田村さんじゃなくて?」
昔から普通にキスする仲だった田村さん。
雅くんにとって、田村さんは本当にただの幼馴染・・・?
「・・・仁は、好きだよ。大事な人。でも・・・俺は今、園原くんと一緒にいたいって思ってる。園原くんに嫌われたくないって思ってる。園原くんと・・・・もっと、キスしたいって思ってる」
瞳をうるうるさせてそんなこと言われたら、たまんない。
俺だって、キスしたい。
でもその前に―――
「あの・・・雅、くん?」
「うん」
「名前・・・・呼び捨て、してもいい?」
「うん」
「雅・・・・俺のことも、名前で呼んで」
「え・・・と、龍斗?でも、橋本くんて確か『龍斗さん』て呼んでるよね」
「ああ、あいつはちょっと変わってて・・・・。でも、小さい頃は『龍くん』って呼んでたよ。みんな、『龍くん』って呼んでた、俺のこと」
「じゃあ・・・俺もりゅうくんでいい?」
「うん」
「―――龍くん」
「なに?雅」
「・・・ちゅーして?」
ああもう、顔が真っ赤。
たぶん、俺の顔も赤いと思う。
だって、耳まで熱い。
ゆっくり顔を近づけて、もう一度唇を重ねて。
今度はゆっくり、味わうように―――
「ん・・・・・っ」
舌先で歯列をなぞり、微かに開いた隙間から雅の熱い舌を探り当て、戸惑うそれを絡め取る。
雅の細い腰を引き寄せ、その温もりに酔いしれながらキスを繰り返す。
ああ、もう・・・・夢なら冷めないで。
俺の雅。
俺だけの雅。
「・・・・雅、好き」
「龍くん・・・俺も、好き」
「一つ、お願い聞いて」
「なあに?」
「・・・もう、田村さんとちゅーしないで」
「え・・・・」
だって、俺以外のやつとちゅーなんて、そんなの嫌に決まってる。
ただの幼馴染だって、やだよ。
雅は気付いてないみたいだけど、田村さんて絶対雅が好きだもん。
幼馴染としてとかじゃなくて。
昨日だって、あれは俺がいるのわかっててちゅーしたように思えるし。
「・・・でも、仁が悲しむかも・・・・」
「俺も悲しいよ、雅が田村さんとちゅーしたら」
「う・・・・わかった。じゃあ、もう仁とはちゅーしない・・・」
「ほんと?」
「ほんと。だから・・・・俺のこと、嫌いにならないでね」
―――うわぁ、かわいい!可愛すぎるよ、それ!!
「雅!!可愛い!!大好き!!」
思わず雅をぎゅーっと抱きしめて。
「嫌いになんか、なるわけないじゃん!ずっと好きだよ!ずっと俺の傍にいて!」
何度も啄むようなキスを繰り返して、顔中にキスの雨を降り注いで。
幸せで、幸せすぎて、他のことがなんにもできなくなりそう。
「・・・まぁくん、明日はお店、来るよね?」
「あ・・・もちろん!俺の店だもん!はっしーにまかせっきりに出来ないよ」
「よかった。俺、あの柴犬に会いに行くの楽しみなんだ」
「あー・・・でも、昨日も問い合わせあったし・・・・あの子売れちゃうかも」
「そうなの・・・?」
ちょっと寂しそうにそう言った雅だけれど。
その雅の横に、いつの間にかうちで飼ってるコーギーがちょこんと座っていた。
「・・・でも、いいか。ここに来れば、かわいい子たちがいるもんね」
「そうだよ。こないだ知り合いに2頭ゆずったから、今はこのコーギーと、あそこにいるパピヨンだけだけどね」
いつも窓際に置いたベッドで寝ている白に茶色の模様が入ったパピヨンを見た。
「んふふ、かわいい。仕事中は、この子たちお留守番?」
「うん」
「そうなんだ。じゃあ・・・俺、たまにここに来てお世話させてもらってもいい?」
「え・・・」
「あのね、これ・・・」
そう言って雅が上着のポケットから出したのは、はっしーに預けていたこの部屋の合鍵だった。
「橋本くんが、くれたの。あの、だめならいいんだ。でも、もし使っていいなら・・・この子たちのお世話したり、洗濯したり、買い物とかも・・・・」
「え、してくれるの?雅が?」
「うん。ダメ・・・?」
「いや、ダメなわけないじゃん!超嬉しいよ!俺もね、この子たちにお留守番させるの、ちょっとやだったの!帰ってきたときに超嬉しそうに飛びついてくるんだけど、それってやっぱり寂しかったってことでしょ?寂しい思いさせてたんだなって思うとやっぱり胸が痛いっていうか、心苦しいっていうか・・・だから、雅が遊びに来てくれるなら大歓迎だよ!この子たちも喜ぶよ、きっと!」
「そお・・・?俺、あんまり懐かれないけど・・・・」
「大丈夫!俺の好きな子なら、この子たちも好きになる!」
自信満々にそう言うと、雅はちょっと目を瞬かせ―――
それから、嬉しそうに笑った。
「・・・ありがと。龍くんにそう言ってもらえると、嬉しい。ちょっと自信もてた」
雅は、たぶんもっと自信持っていいと思う。
いやでも、そこが雅のいいとこなのかな。
・・・・どっちでもいいか。
どっちにしろ雅はかわいいし。
「・・・雅、もっかいちゅーしていい?」
俺の言葉に、雅がまた赤くなる。
―――ほんと、かわいい。
こくんと頷く雅の頬に手を添え、チュッとキスをする。
キスをするたびに、俺の中は雅でいっぱいになって、心が満たされていく。
幸せだなって、実感する。
さっきまで、壮絶に落ち込んでたのが、嘘みたいに。
はっしーに、感謝しなくちゃ。
何度も何度もキスをしていると、突然雅がピクリと震え、俺から離れた。
「あ―――ごめん、スマホが」
そう言って、また上着のポケットを探りスマホを出した。
ぶるぶると震えてるそれを見て、雅が耳に当てる。
「―――もしもし、旭くん?」
―――あ、お兄さんか・・・。
「ううん、今、りゅ・・・園原くんの家。―――あ、ごめん、今からすぐ行くから・・・・うん。じゃあね」
スマホを下ろし、ちらりと俺を見て溜息をつく。
「ごめん、俺もう行かなくちゃ」
「あ、お店か・・・」
「うん。今日は早めに行くって言ってたんだ。野菜の配達が早めに来るからって」
「そうなの?うわ、ごめん、俺のとこ来てくれたから、遅くなっちゃったんだよね」
「龍くんのせいじゃないよ。俺が来たかったんだから」
ああもう、幸せすぎるよ、ほんと・・・。
「旭くんが、早めに着いたから大丈夫って言ってたけど・・・仕込みもあるから。また、来るね」
「うん!あ、俺がいなくても勝手に入って大丈夫だから!」
「んふふ、ありがと」
雅が楽しそうに笑って、俺に顔を近づけ―――
微かに、触れるだけのキス。
それだけでも真っ赤になって照れてる雅が、かわいくて仕方ない。
「・・・・大好きだよ、龍くん」
この幸せが、どうか壊れませんように・・・・
瞳を潤ませる雅を見て、そう思わずにはいられなかった・・・・。
そう思うのが自然だと思う。
でも、あの田村さんはどうだったんだろう。
「・・・・好きなんだ、雅くんが」
俺の言葉に、雅くんの頬が赤く染まる。
「ほ・・・んとに・・・?」
「ほんと。たぶん、最初から好きだった。雅くんが男だから変だとか、そんなこと考えなかった」
「俺・・・・俺も・・・・園原くんが、好き」
「本当に?田村さんじゃなくて?」
昔から普通にキスする仲だった田村さん。
雅くんにとって、田村さんは本当にただの幼馴染・・・?
「・・・仁は、好きだよ。大事な人。でも・・・俺は今、園原くんと一緒にいたいって思ってる。園原くんに嫌われたくないって思ってる。園原くんと・・・・もっと、キスしたいって思ってる」
瞳をうるうるさせてそんなこと言われたら、たまんない。
俺だって、キスしたい。
でもその前に―――
「あの・・・雅、くん?」
「うん」
「名前・・・・呼び捨て、してもいい?」
「うん」
「雅・・・・俺のことも、名前で呼んで」
「え・・・と、龍斗?でも、橋本くんて確か『龍斗さん』て呼んでるよね」
「ああ、あいつはちょっと変わってて・・・・。でも、小さい頃は『龍くん』って呼んでたよ。みんな、『龍くん』って呼んでた、俺のこと」
「じゃあ・・・俺もりゅうくんでいい?」
「うん」
「―――龍くん」
「なに?雅」
「・・・ちゅーして?」
ああもう、顔が真っ赤。
たぶん、俺の顔も赤いと思う。
だって、耳まで熱い。
ゆっくり顔を近づけて、もう一度唇を重ねて。
今度はゆっくり、味わうように―――
「ん・・・・・っ」
舌先で歯列をなぞり、微かに開いた隙間から雅の熱い舌を探り当て、戸惑うそれを絡め取る。
雅の細い腰を引き寄せ、その温もりに酔いしれながらキスを繰り返す。
ああ、もう・・・・夢なら冷めないで。
俺の雅。
俺だけの雅。
「・・・・雅、好き」
「龍くん・・・俺も、好き」
「一つ、お願い聞いて」
「なあに?」
「・・・もう、田村さんとちゅーしないで」
「え・・・・」
だって、俺以外のやつとちゅーなんて、そんなの嫌に決まってる。
ただの幼馴染だって、やだよ。
雅は気付いてないみたいだけど、田村さんて絶対雅が好きだもん。
幼馴染としてとかじゃなくて。
昨日だって、あれは俺がいるのわかっててちゅーしたように思えるし。
「・・・でも、仁が悲しむかも・・・・」
「俺も悲しいよ、雅が田村さんとちゅーしたら」
「う・・・・わかった。じゃあ、もう仁とはちゅーしない・・・」
「ほんと?」
「ほんと。だから・・・・俺のこと、嫌いにならないでね」
―――うわぁ、かわいい!可愛すぎるよ、それ!!
「雅!!可愛い!!大好き!!」
思わず雅をぎゅーっと抱きしめて。
「嫌いになんか、なるわけないじゃん!ずっと好きだよ!ずっと俺の傍にいて!」
何度も啄むようなキスを繰り返して、顔中にキスの雨を降り注いで。
幸せで、幸せすぎて、他のことがなんにもできなくなりそう。
「・・・まぁくん、明日はお店、来るよね?」
「あ・・・もちろん!俺の店だもん!はっしーにまかせっきりに出来ないよ」
「よかった。俺、あの柴犬に会いに行くの楽しみなんだ」
「あー・・・でも、昨日も問い合わせあったし・・・・あの子売れちゃうかも」
「そうなの・・・?」
ちょっと寂しそうにそう言った雅だけれど。
その雅の横に、いつの間にかうちで飼ってるコーギーがちょこんと座っていた。
「・・・でも、いいか。ここに来れば、かわいい子たちがいるもんね」
「そうだよ。こないだ知り合いに2頭ゆずったから、今はこのコーギーと、あそこにいるパピヨンだけだけどね」
いつも窓際に置いたベッドで寝ている白に茶色の模様が入ったパピヨンを見た。
「んふふ、かわいい。仕事中は、この子たちお留守番?」
「うん」
「そうなんだ。じゃあ・・・俺、たまにここに来てお世話させてもらってもいい?」
「え・・・」
「あのね、これ・・・」
そう言って雅が上着のポケットから出したのは、はっしーに預けていたこの部屋の合鍵だった。
「橋本くんが、くれたの。あの、だめならいいんだ。でも、もし使っていいなら・・・この子たちのお世話したり、洗濯したり、買い物とかも・・・・」
「え、してくれるの?雅が?」
「うん。ダメ・・・?」
「いや、ダメなわけないじゃん!超嬉しいよ!俺もね、この子たちにお留守番させるの、ちょっとやだったの!帰ってきたときに超嬉しそうに飛びついてくるんだけど、それってやっぱり寂しかったってことでしょ?寂しい思いさせてたんだなって思うとやっぱり胸が痛いっていうか、心苦しいっていうか・・・だから、雅が遊びに来てくれるなら大歓迎だよ!この子たちも喜ぶよ、きっと!」
「そお・・・?俺、あんまり懐かれないけど・・・・」
「大丈夫!俺の好きな子なら、この子たちも好きになる!」
自信満々にそう言うと、雅はちょっと目を瞬かせ―――
それから、嬉しそうに笑った。
「・・・ありがと。龍くんにそう言ってもらえると、嬉しい。ちょっと自信もてた」
雅は、たぶんもっと自信持っていいと思う。
いやでも、そこが雅のいいとこなのかな。
・・・・どっちでもいいか。
どっちにしろ雅はかわいいし。
「・・・雅、もっかいちゅーしていい?」
俺の言葉に、雅がまた赤くなる。
―――ほんと、かわいい。
こくんと頷く雅の頬に手を添え、チュッとキスをする。
キスをするたびに、俺の中は雅でいっぱいになって、心が満たされていく。
幸せだなって、実感する。
さっきまで、壮絶に落ち込んでたのが、嘘みたいに。
はっしーに、感謝しなくちゃ。
何度も何度もキスをしていると、突然雅がピクリと震え、俺から離れた。
「あ―――ごめん、スマホが」
そう言って、また上着のポケットを探りスマホを出した。
ぶるぶると震えてるそれを見て、雅が耳に当てる。
「―――もしもし、旭くん?」
―――あ、お兄さんか・・・。
「ううん、今、りゅ・・・園原くんの家。―――あ、ごめん、今からすぐ行くから・・・・うん。じゃあね」
スマホを下ろし、ちらりと俺を見て溜息をつく。
「ごめん、俺もう行かなくちゃ」
「あ、お店か・・・」
「うん。今日は早めに行くって言ってたんだ。野菜の配達が早めに来るからって」
「そうなの?うわ、ごめん、俺のとこ来てくれたから、遅くなっちゃったんだよね」
「龍くんのせいじゃないよ。俺が来たかったんだから」
ああもう、幸せすぎるよ、ほんと・・・。
「旭くんが、早めに着いたから大丈夫って言ってたけど・・・仕込みもあるから。また、来るね」
「うん!あ、俺がいなくても勝手に入って大丈夫だから!」
「んふふ、ありがと」
雅が楽しそうに笑って、俺に顔を近づけ―――
微かに、触れるだけのキス。
それだけでも真っ赤になって照れてる雅が、かわいくて仕方ない。
「・・・・大好きだよ、龍くん」
この幸せが、どうか壊れませんように・・・・
瞳を潤ませる雅を見て、そう思わずにはいられなかった・・・・。
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