CHU!

まつも☆きらら

文字の大きさ
6 / 7

俺だけの君

しおりを挟む
好きだから、キスしたい。

そう思うのが自然だと思う。

でも、あの田村さんはどうだったんだろう。

「・・・・好きなんだ、雅くんが」

俺の言葉に、雅くんの頬が赤く染まる。

「ほ・・・んとに・・・?」
「ほんと。たぶん、最初から好きだった。雅くんが男だから変だとか、そんなこと考えなかった」
「俺・・・・俺も・・・・園原くんが、好き」
「本当に?田村さんじゃなくて?」

昔から普通にキスする仲だった田村さん。
雅くんにとって、田村さんは本当にただの幼馴染・・・?

「・・・仁は、好きだよ。大事な人。でも・・・俺は今、園原くんと一緒にいたいって思ってる。園原くんに嫌われたくないって思ってる。園原くんと・・・・もっと、キスしたいって思ってる」

瞳をうるうるさせてそんなこと言われたら、たまんない。
俺だって、キスしたい。
でもその前に―――

「あの・・・雅、くん?」
「うん」
「名前・・・・呼び捨て、してもいい?」
「うん」
「雅・・・・俺のことも、名前で呼んで」
「え・・・と、龍斗?でも、橋本くんて確か『龍斗さん』て呼んでるよね」
「ああ、あいつはちょっと変わってて・・・・。でも、小さい頃は『龍くん』って呼んでたよ。みんな、『龍くん』って呼んでた、俺のこと」
「じゃあ・・・俺もりゅうくんでいい?」
「うん」
「―――龍くん」
「なに?雅」
「・・・ちゅーして?」

ああもう、顔が真っ赤。
たぶん、俺の顔も赤いと思う。
だって、耳まで熱い。

ゆっくり顔を近づけて、もう一度唇を重ねて。
今度はゆっくり、味わうように―――

「ん・・・・・っ」

舌先で歯列をなぞり、微かに開いた隙間から雅の熱い舌を探り当て、戸惑うそれを絡め取る。

雅の細い腰を引き寄せ、その温もりに酔いしれながらキスを繰り返す。

ああ、もう・・・・夢なら冷めないで。

俺の雅。

俺だけの雅。

「・・・・雅、好き」
「龍くん・・・俺も、好き」
「一つ、お願い聞いて」
「なあに?」
「・・・もう、田村さんとちゅーしないで」
「え・・・・」

だって、俺以外のやつとちゅーなんて、そんなの嫌に決まってる。
ただの幼馴染だって、やだよ。
雅は気付いてないみたいだけど、田村さんて絶対雅が好きだもん。
幼馴染としてとかじゃなくて。
昨日だって、あれは俺がいるのわかっててちゅーしたように思えるし。

「・・・でも、仁が悲しむかも・・・・」
「俺も悲しいよ、雅が田村さんとちゅーしたら」
「う・・・・わかった。じゃあ、もう仁とはちゅーしない・・・」
「ほんと?」
「ほんと。だから・・・・俺のこと、嫌いにならないでね」

―――うわぁ、かわいい!可愛すぎるよ、それ!!

「雅!!可愛い!!大好き!!」

思わず雅をぎゅーっと抱きしめて。

「嫌いになんか、なるわけないじゃん!ずっと好きだよ!ずっと俺の傍にいて!」

何度も啄むようなキスを繰り返して、顔中にキスの雨を降り注いで。
幸せで、幸せすぎて、他のことがなんにもできなくなりそう。



「・・・まぁくん、明日はお店、来るよね?」
「あ・・・もちろん!俺の店だもん!はっしーにまかせっきりに出来ないよ」
「よかった。俺、あの柴犬に会いに行くの楽しみなんだ」
「あー・・・でも、昨日も問い合わせあったし・・・・あの子売れちゃうかも」
「そうなの・・・?」

ちょっと寂しそうにそう言った雅だけれど。
その雅の横に、いつの間にかうちで飼ってるコーギーがちょこんと座っていた。

「・・・でも、いいか。ここに来れば、かわいい子たちがいるもんね」
「そうだよ。こないだ知り合いに2頭ゆずったから、今はこのコーギーと、あそこにいるパピヨンだけだけどね」

いつも窓際に置いたベッドで寝ている白に茶色の模様が入ったパピヨンを見た。

「んふふ、かわいい。仕事中は、この子たちお留守番?」
「うん」
「そうなんだ。じゃあ・・・俺、たまにここに来てお世話させてもらってもいい?」
「え・・・」
「あのね、これ・・・」

そう言って雅が上着のポケットから出したのは、はっしーに預けていたこの部屋の合鍵だった。

「橋本くんが、くれたの。あの、だめならいいんだ。でも、もし使っていいなら・・・この子たちのお世話したり、洗濯したり、買い物とかも・・・・」
「え、してくれるの?雅が?」
「うん。ダメ・・・?」
「いや、ダメなわけないじゃん!超嬉しいよ!俺もね、この子たちにお留守番させるの、ちょっとやだったの!帰ってきたときに超嬉しそうに飛びついてくるんだけど、それってやっぱり寂しかったってことでしょ?寂しい思いさせてたんだなって思うとやっぱり胸が痛いっていうか、心苦しいっていうか・・・だから、雅が遊びに来てくれるなら大歓迎だよ!この子たちも喜ぶよ、きっと!」
「そお・・・?俺、あんまり懐かれないけど・・・・」
「大丈夫!俺の好きな子なら、この子たちも好きになる!」

自信満々にそう言うと、雅はちょっと目を瞬かせ―――
それから、嬉しそうに笑った。

「・・・ありがと。龍くんにそう言ってもらえると、嬉しい。ちょっと自信もてた」

雅は、たぶんもっと自信持っていいと思う。
いやでも、そこが雅のいいとこなのかな。
・・・・どっちでもいいか。
どっちにしろ雅はかわいいし。

「・・・雅、もっかいちゅーしていい?」

俺の言葉に、雅がまた赤くなる。
―――ほんと、かわいい。

こくんと頷く雅の頬に手を添え、チュッとキスをする。
キスをするたびに、俺の中は雅でいっぱいになって、心が満たされていく。
幸せだなって、実感する。
さっきまで、壮絶に落ち込んでたのが、嘘みたいに。
はっしーに、感謝しなくちゃ。

何度も何度もキスをしていると、突然雅がピクリと震え、俺から離れた。

「あ―――ごめん、スマホが」

そう言って、また上着のポケットを探りスマホを出した。
ぶるぶると震えてるそれを見て、雅が耳に当てる。

「―――もしもし、旭くん?」

―――あ、お兄さんか・・・。

「ううん、今、りゅ・・・園原くんの家。―――あ、ごめん、今からすぐ行くから・・・・うん。じゃあね」

スマホを下ろし、ちらりと俺を見て溜息をつく。

「ごめん、俺もう行かなくちゃ」
「あ、お店か・・・」
「うん。今日は早めに行くって言ってたんだ。野菜の配達が早めに来るからって」
「そうなの?うわ、ごめん、俺のとこ来てくれたから、遅くなっちゃったんだよね」
「龍くんのせいじゃないよ。俺が来たかったんだから」

ああもう、幸せすぎるよ、ほんと・・・。

「旭くんが、早めに着いたから大丈夫って言ってたけど・・・仕込みもあるから。また、来るね」
「うん!あ、俺がいなくても勝手に入って大丈夫だから!」
「んふふ、ありがと」

雅が楽しそうに笑って、俺に顔を近づけ―――
微かに、触れるだけのキス。
それだけでも真っ赤になって照れてる雅が、かわいくて仕方ない。

「・・・・大好きだよ、龍くん」

この幸せが、どうか壊れませんように・・・・

瞳を潤ませる雅を見て、そう思わずにはいられなかった・・・・。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

届かない「ただいま」

AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。 「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。 これは「優しさが奪った日常」の物語。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

病弱の花

雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。

処理中です...