恋人が乗り移った君に恋をした

まつも☆きらら

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第20話

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ようやく咲也の家につき、俺はインターホンを押した。

が、反応がない。

「あれ・・・・・?」

ずっと走ってきたから、追い越しちゃったのか?

いや、そんなことないよな。

もう一度押そうとして―――

中から、物音が聞こえたような気がして、俺は動きを止めた。

耳を澄ましてみると、やはり何か聞こえるような気がする。

俺は、扉のノブを回してみた。

―――開いてる・・・・?

鍵が、かかっていなかった。

俺は、そっと扉を開け、中を覗いた。

そのまま音をたてないように中に入り、扉を閉める。

靴を脱ぎ、静かに廊下を進んでいくと―――

「やーーーめろっ」

聞こえてきたのは、咲也の声だ。

「いいねえ、この白い肌、男のくせに腰がくびれて―――いい体、してやがる」

「!?」

誰だ―――!?

誰の声だかは分からない。

だけど、そんなことを考えている余裕はなかった。

俺は急いでリビングの扉を開けると、そのまま声の主に飛びかかった。

「―――うわっ!?な、なんだ!!」

「咲也に触るんじゃねえ!!」

「!!―――柊真?」

白いシャツのボタンがはじけ飛んで上半身が露わになった咲也が、俺を見て目を見開いた。

俺は、中崎の胸ぐらをつかむと、思い切りその頬を殴りつけた。

「―――ってえ!!チクショー!何しやがる!!」

「うるせえ!咲也に二度と近づくな!!今度あのカフェに来たら、警察につきだしてやるからな!!」

「ふ―――ふざけやがって―――!」

また向かってきた中崎を、俺は再度拳を固め、殴りつけた。

ガタイの良い中崎だったが、どうやら見かけ倒しだったようで、その体は簡単に吹っ飛んだ。

「くっ・・・・・覚えとけよ!!」

滑る床で何度か転びながら、中崎は逃げるように出て行ったのだった・・・・・。



「―――咲也!!」

俺は振り向くと、咲也に駆け寄った。

咲也は上半身を起こし、呆然と俺を見ていた。

「柊真・・・どうして・・・・・」

そう呟いたかと思うと、突然気を失い、そのまま仰向向けに倒れてしまった。

「咲也!!」

俺は咲也を抱き起し、その頬に手を添えた。

「咲也!咲也!しっかりしろ!!」

青白い顔、やせ細った体。

赤く艶やかだった唇も、今は紫色だった。

「咲也・・・・」

愛しくて、切なくて・・・・・

俺は、自分の気持ちを認めざるを得なかった。


―――咲也が、好きだ・・・・・


やがて、咲也の瞼が震え、ゆっくりと目を開けた。

『・・・・柊真・・・・』

「夏美・・・・・」

『ありがとう、咲也を助けてくれて・・・・・』

夏美は体を起こし、ふわりと微笑んだ。

「いや・・・・・」

俺は夏美の体を支え、ソファーへと座らせた。

夏美はシャツの前を合わせ、肌が見えないように手で押さえた。

「夏美、咲也は―――」

『大丈夫。気を失ってるだけよ。柊真・・・ちょっと話ししてもいい?』

「え?うん・・・・」

促され、俺は夏美の隣に座った。

『わたしのお葬式のとき、親戚の叔父さんのことで、叔父さんは咲也に負い目がある―――っていう話をしたでしょ?』

「うん。そういえば、言ってたね。そんなこと」

いろいろあって、忘れていたけれど・・・・。


夏美は、胸の前でぎゅっと両手を握りながら―――

ゆっくりと、話し始めた・・・・・・。
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