転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
289 / 1,191
第二十章 マロード男爵領とジンさんの結婚式

四百八十五話 楽しめた人と楽しめなかった人

しおりを挟む
 そろそろ王城に陛下達を送らないといけないので、一旦マロード男爵領の屋敷に戻ります。
 因みに、陛下の体についたオイルを流し終えたジンさんは、疲れ切ってげっそりとしていました。

「「「ただいまー」」」
「お帰りなさい」

 屋敷に戻ると、セシルさんが出迎えてくれました。
 そのまま、子ども部屋になっている応接室に向かいます。

「う、うう……」

 応接室に行くと、何故か項垂れていた商務卿の姿があった。
 何となく予想がつくけど、念の為にレイナさんに商務卿が落ち込んでいる理由を聞いてみよう。

「レイナさん、レイカちゃんはご機嫌ナナメのままですか?」
「そうなのよ。お父様がレイカに謝ろうとしつこくしていたから、レイカがお父様の顔を叩いてしまったのよ」
「うぅー」

 商務卿は朝もレイカちゃんにしつこくして泣かれたのに、またもやしつこくしていたのか。
 そりゃレイカちゃんも怒っちゃうよね。
 レイナさんの腕の中にいるレイカちゃんは、まだ不機嫌な表情をしていました。

「ほほほ、今日は良い気分転換になったぞ」
「そりゃ、おじいちゃんはずっとガイルと遊んでいたもんね」

 一方の宰相はというと、ガイルちゃんと遊べてご機嫌です。
 ガイルちゃんは遊び疲れたのか、カミラさんの腕の中ですやすやと眠っています。
 商務卿と違って、ひ孫とたっぷり遊べた様です。

「よし、そろそろ帰るぞ。商務卿も重要課題が待っているのだから、王城に戻ったら気持ちを切り替える様に」
「うぅぅ、はい……」

 お肌ツヤツヤの陛下がぐずぐずしている商務卿に声をかけているけど、果たして商務卿は復活するのか。
 ちょっと心配になりつつ、王城にゲートを繋いで皆を送りました。
 ついでという事で、ティナおばあさまも王城に帰りました。

「リズは午後はどうする?」
「皆と遊ぶ!」

 辺境伯様一家は夕方に帰るので、僕達も夕方まではマロード男爵領に滞在します。
 という事で、午後は皆でミカエル達子ども軍団と遊ぶ事にしました。

「にーに、追いかけっこしよー」
「「「しよー!」」」

 昼食後、僕達は早速庭に出てきました。
 ミカエルを先頭にして、子ども軍団は追いかけっこをする気満々です。
 と、ここでイザベラ様がインターセプトしてきました。

「あなた、ミカエルちゃん達と追いかけっこをしましょうね」
「うぇ? 何でだ?」
「ふふふ、理由を聞きたいですか?」

 むに。

「ふふふ」
「いや、いい……」

 イザベラ様は、ニッコリしながら辺境伯様のお腹のお肉を摘んでいた。
 辺境伯様は汗ダラダラになり、ガックリとしてからミカエルの元に向かいました。

「じーじ、行くよ!」
「よし、こい」
「「「きゃー」」」

 とはいえ、そこは父であり祖父でもある辺境伯様です。
 子どもの扱いは抜群に上手です。
 ミカエル達も、いつも接している辺境伯様なので遠慮なく走っていきました。
 そして、ミカエル達がお昼寝の時間になるまで辺境伯様は走り続けていました。
 勿論、僕達も追いかけっこに参加しましたよ。

「うわあ、わざわざありがとうね」
「とっても嬉しいよ」
「えへへ」

 ミカエル達のお昼寝に合わせて、僕達は辺境伯領に戻ってきました。
 そして夕食は侍従のお姉さんと一緒に、リズが狩ったイノシシを使ったボタン鍋にします。
 お姉さんの為にとリズが頑張ったのを聞いたので、侍従のお姉さんもとっても喜んでいます。

「ねーねー、赤ちゃんもーすぐ?」
「そうね、新年になったら産まれるわよ」
「楽しみにしていてね」
「うん!」

 お鍋を食べながら、ミカエルが侍従のお姉さんに質問しています。
 侍従のお姉さんのお腹も、とっても大きくなっています。
 僕の屋敷がより一層賑やかになるのも、もうすぐだね。
しおりを挟む
感想 287

あなたにおすすめの小説

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※短編です。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4800文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。