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第三十二章 新入生
千二百二話 実技試験開始
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実技講習が始まる前に、荷物講習で出したものを隅に片付けて更に様々な武器を取り出します。
準備ができたところで、僕は新人冒険者に話しかけました。
「これから実技講習を行いますが、経験がない方や自信がない方向けに合う武器の選定や戦い方を教えます。どんな人にも合わせて対応しますのでご安心ください」
僕の説明を聞いた新人冒険者は、明らかにホッとしていました。
何が何でも手合わせしないといけないって訳じゃないもんね。
エレノアとサンディが武器を出しているところにいるけど、ルリアンさんとナンシーさんも一緒にいるから大丈夫ですね。
「では、十分間準備運動の時間とします。怪我のないように、体をほぐして下さい」
「「「はい」」」
僕の声を合図にして、各自準備運動を始めました。
さっそく武器が置いてあるところに向かった人もいるけど、やはり女性と子どもが多かった。
そして、訓練場の一角で準備運動をしている面々を、新人冒険者は度肝を抜かれながら見ていた。
ガキン、ガキン。
「えい、やあ!」
「そうそう、いい感じよ」
ミカエルが木剣を手にして、同じく木剣を手にしているレイナさんに向かって元気よく打ち込んでいた。
二人とも身体能力強化魔法を使っているので、かなりの速さと威力で手合わせしていた。
二人の激しい手合わせに、ジンさんたちに喧嘩を売った体の大きな冒険者は冷や汗をかいていた。
そして準備運動が終わった段階で、さっそく手合わせを行うことになった。
「じゃあ、さっそくやりましょうか」
「はっ、はい……」
木剣を手にしたレイナさんは、ニコリとしながら例の体の大きな冒険者を指名した。
もはや蛇に睨まれた蛙状態の体の大きな冒険者だけど、逃げ出すわけにはいかなかった。
背中に背負った大剣をキラリと抜くと、意を決してレイナさんに向けた。
しかし、レイナさんは大剣を見てあることに気が付きました。
「はい、皆さん注目してください。せっかく良い大剣なのに、傷が多くついています。武器は自分を守る相棒みたいなものですので、定期的なメンテナンスが必要です。冒険者ギルドにあるお店でも、町にある武器屋でもいいですので、メンテナンスをしっかりとしましょう」
「「「はい」」」
僕から見ても良い大剣なのに、傷が多くて非常にもったいないです。
新人冒険者も気をつけようと返事をしてくれたのですが、当の体の大きな冒険者はプルプルとしながら顔を真っ赤にしていました。
そして、レイナさんは別の木剣をその冒険者に渡しました。
「その大剣はしまいなさい。後で、冒険者ギルドのお店にメンテナンスを依頼すること。今日は、その木剣を使いなさい」
「はい……」
体の大きな冒険者は項垂れながら大剣をしまい、改めて木剣を手にした。
そしてレイナさん目掛けて剣を打ち込んでいったけど、筋は良いように見えるなあ。
他の人たちも新人冒険者の相手をしていたけど、僕はフリーに動いて後方支援をします。
「はあはあはあ……」
「うーん、筋は良いけど無駄な動きが多いわね。もう少し、剣の基礎を固めないと駄目ね」
「はい、精進します……」
レイナさんも僕と同じ意見だったらしく、新人冒険者に的確に指摘していました。
多分、体の大きな冒険者は少し剣が上手くて調子に乗っていたのかもしれません。
結構ショックを受けていたみたいだけど、上手になれると言われているから後は本人次第ですね。
「えーっと、最初はこっちの剣で訓練して慣れたらこっちの剣を使った方がいいと思うよ」
「あの、とても大きな剣ですけど……」
一方、武器が置いてあるところではリズたちが集まった人に色々な武器を勧めていた。
今は聖女みたいな優しげな女性にロングソードと大剣を勧めていたけど、女性が試し振りをすると意外と馴染んでいた。
他にもメイスを勧めたりショートソードを勧めたりしていたけど、リズとエレノアの直感はピタリとその人に合っている武器を選んでいた。
僕にはない才能ですね。
準備ができたところで、僕は新人冒険者に話しかけました。
「これから実技講習を行いますが、経験がない方や自信がない方向けに合う武器の選定や戦い方を教えます。どんな人にも合わせて対応しますのでご安心ください」
僕の説明を聞いた新人冒険者は、明らかにホッとしていました。
何が何でも手合わせしないといけないって訳じゃないもんね。
エレノアとサンディが武器を出しているところにいるけど、ルリアンさんとナンシーさんも一緒にいるから大丈夫ですね。
「では、十分間準備運動の時間とします。怪我のないように、体をほぐして下さい」
「「「はい」」」
僕の声を合図にして、各自準備運動を始めました。
さっそく武器が置いてあるところに向かった人もいるけど、やはり女性と子どもが多かった。
そして、訓練場の一角で準備運動をしている面々を、新人冒険者は度肝を抜かれながら見ていた。
ガキン、ガキン。
「えい、やあ!」
「そうそう、いい感じよ」
ミカエルが木剣を手にして、同じく木剣を手にしているレイナさんに向かって元気よく打ち込んでいた。
二人とも身体能力強化魔法を使っているので、かなりの速さと威力で手合わせしていた。
二人の激しい手合わせに、ジンさんたちに喧嘩を売った体の大きな冒険者は冷や汗をかいていた。
そして準備運動が終わった段階で、さっそく手合わせを行うことになった。
「じゃあ、さっそくやりましょうか」
「はっ、はい……」
木剣を手にしたレイナさんは、ニコリとしながら例の体の大きな冒険者を指名した。
もはや蛇に睨まれた蛙状態の体の大きな冒険者だけど、逃げ出すわけにはいかなかった。
背中に背負った大剣をキラリと抜くと、意を決してレイナさんに向けた。
しかし、レイナさんは大剣を見てあることに気が付きました。
「はい、皆さん注目してください。せっかく良い大剣なのに、傷が多くついています。武器は自分を守る相棒みたいなものですので、定期的なメンテナンスが必要です。冒険者ギルドにあるお店でも、町にある武器屋でもいいですので、メンテナンスをしっかりとしましょう」
「「「はい」」」
僕から見ても良い大剣なのに、傷が多くて非常にもったいないです。
新人冒険者も気をつけようと返事をしてくれたのですが、当の体の大きな冒険者はプルプルとしながら顔を真っ赤にしていました。
そして、レイナさんは別の木剣をその冒険者に渡しました。
「その大剣はしまいなさい。後で、冒険者ギルドのお店にメンテナンスを依頼すること。今日は、その木剣を使いなさい」
「はい……」
体の大きな冒険者は項垂れながら大剣をしまい、改めて木剣を手にした。
そしてレイナさん目掛けて剣を打ち込んでいったけど、筋は良いように見えるなあ。
他の人たちも新人冒険者の相手をしていたけど、僕はフリーに動いて後方支援をします。
「はあはあはあ……」
「うーん、筋は良いけど無駄な動きが多いわね。もう少し、剣の基礎を固めないと駄目ね」
「はい、精進します……」
レイナさんも僕と同じ意見だったらしく、新人冒険者に的確に指摘していました。
多分、体の大きな冒険者は少し剣が上手くて調子に乗っていたのかもしれません。
結構ショックを受けていたみたいだけど、上手になれると言われているから後は本人次第ですね。
「えーっと、最初はこっちの剣で訓練して慣れたらこっちの剣を使った方がいいと思うよ」
「あの、とても大きな剣ですけど……」
一方、武器が置いてあるところではリズたちが集まった人に色々な武器を勧めていた。
今は聖女みたいな優しげな女性にロングソードと大剣を勧めていたけど、女性が試し振りをすると意外と馴染んでいた。
他にもメイスを勧めたりショートソードを勧めたりしていたけど、リズとエレノアの直感はピタリとその人に合っている武器を選んでいた。
僕にはない才能ですね。
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