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第三話 準備

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 今日からリアーナ学院へと通うこととなったエリザベートとルシアは朝食を済ませ支度をする。学院のドレスコードは女性は赤のドレス、男性は黒い制服と指定されているためエリザ様にドレスを着させる。

「ルシア、私のドレス似合っている?」

 エリザ様はドレスを広げ私に感想を求める。赤いドレスはフリフリこそ控えめだがデザインとしては可愛い路線で、学院の雰囲気と会うように感じる。エリザ様の澄ましたような仕草や表情も相まって、人形のように美しい。私はエリザ様に素直な感想を述べる。

「とてもお美しいです」
「嬉しい、ルシアも執事服とほとんど同じように見えるけど似合っているわ」
「ありがとうございます。エリザ様からそのお言葉を聞けるなんて光栄です」
「それに学院は行ったことがないからルシアの存在がとてもありがたいの」
「勿体無いお言葉。それは私の方こそです。エリザ様にお仕えすることができて幸せです」
「と、とりあえず準備もできたし、少し早いけど向かうわよ」
 エリザ様も私も見つめ合いながら感謝を言葉にするもんだから恥ずかしさを覚えてしまった。エリザ様は少し照れた様子でドレスをもう一度確認し、入学式までは少し早い時間はあるが足早と自室を後にした。

 グリザリア帝国の最北端に存在するリアーナ学院は主に男爵までの貴族らが入学する学院である。ただ毎年、一名ほど優秀な平民を入学する制度があり、無事卒業できた暁には爵位が贈呈されると聞いたことがある。
 私とエリザ様は馬車に揺られながら街を通過していく、向かい合わせの椅子に座っているエリザ様は楽しそうな雰囲気で鼻歌を歌っている。

「エリザ様、楽しそうですね。これからいく学院がそんなに楽しみなんですか?」
「勿論よ。だって今まで稽古に執務、勉強や会食で忙しかったでしょう?少しはゆっくりできるのではないかと思っているの。それに限られた堅苦しい人としか話してこなかったから同年代の人たちに興味があるわ」

 エリザ様は目を光らせて嬉しそうに話す。乙女ゲーではエリザ様はこんなに人に興味を持つことなんてなかった。ましてや学院を楽しみにしている姿なんて想像も出来なかった。入学式に遅れる、服装が乱れるなんて乙女ゲーの世界では日常茶飯事であったが、少しでもエリザ様の為になると思い、予定を組んでいたらここまで変わってくださるとは。
 
「そうですね。エリザ様が楽しそうだと私も嬉しく思います」

 ただ、一つ懸念があれば学院でのエリザ様へのいじめだ。私の方もできる限りのことはするつもりであるが、エリザ様にも付き合う人たちを見極める力をつけていただきたい。もしかしたらエリザ様が良い方向に変わってることからルートも変化をしてることを願いたい。
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