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鬼の世界へ
5 鬼のリューサと牧場
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ところで、このお姉さん鬼、お名前をリューサって言います。
20代後半くらいに見えますが、なんとお歳は67歳。鬼さんは300歳くらいまで生きる長生きな種族なんですって。
鬼は基本的に15歳くらいから働きに出て、30歳までには自立するのだそうです。以降は、家族とは会うことも連絡とることもないとか。
親兄弟が今、どうしてるのかも全く知らないって、なんか、薄情な感じもしますが、これがこの世界の普通みたい。
まあ、私も捨て子という境遇です。似たようなもんですかね。
メイド小鬼さんたちは、見た目は幼く小学生っぽいけれど、私より少し年上ってくらい。
リューサさんの近くに控えている二人の鬼さんは、私と同年代に見えますけどやはり年上の26歳。見た目通りの双子さんで、リューサさんの秘書なんですって。
その後、その双子鬼さんに屋敷内や敷地内をザッと案内してもらいました。
あ、この双子の秘書さん、名前はイマとカリって言います。同じ顔してますので、どっちがどっちかよく分からないですけどね。
そして、お二人も、ちょっとだけ片言っぽいですが日本語を話せます。
リューサさんの主な仕事は牧場・農場経営。かなり広大な土地を管理しているようです。
あの、どこまでも、どこまでも続く長い塀。あの中全てがリューサさんの所有って、いったい、どれだけの広さがあるのでしょう…。
門を入ってすぐの区域がリューサさんの住居区域。その他は大きく二つに分けられ、半分が農場、半分が牧場なんだそうです。
それぞれの区域は、塀でキッチリ仕切られています。
農場エリアは畑と果樹園になっていて、いろんな野菜や果物が育てられていました。
鬼では無くて、人間の男性が働いているようです。
肉体労働してますからね。皆さんマッチョで日焼けして、ちょっと、かっこいいかも。
牧場エリアは……。一転して女の園ですね~。
皆さん若い。年長者はあまりというか、全く見かけません。私と同年代か、それ以下の年齢の人間女性が働いているみたいです。
牧場って、そんなにたくさん仕事があるのでしょうか、かなり大勢の従業員がいますよ。
だけれど……。おかしいな??
従業員ばかりが不必要に思えるほど多くて、飼われている動物が一頭も見当たらないのです。
「えっと…。牧場なんですよね。牛なんか飼って、ミルクやチーズなんか生産してるんじゃないんですか?」
との私の質問。
「違うぞ。そう言うのは、農場の奥でしている」
「そう、違う。ここは食肉専門だ」
「ああ、肉牛ですか? あ、それとも、豚とか、馬とか?」
「違う、違う」
「もっと高級品」
「高級品…、ですか…?」
「そう、高級品」
「高級肉だ」
え~と、牛より高級な肉って、何だろう?
疑問符を浮かべまくる私に向かい、イマさんカリさんが声を揃え…。
「「ニンゲンだ」」
「へっ、へええっ!!」
ニンゲン? 人間っ??
人間を……飼ってる!?
そうですよ。リューサさん、言ってましたよね。
この世界では、人間は食材だって……。
あの牧場内のたくさんの若い女性たち。彼女たちは、従業員ではないのです。
彼女たちこそが、飼われている食肉用の人間なのです!
イマさんカリさんによりますと、昔は異界、つまり私たちの世界に行って、人間を狩猟していたこともあるんですって。
でも現在は、それは禁じられています。この異界の厳しい掟です。
人間側だって、そんなことショッチュウされたら対抗手段講じますしね。そうなれば、妖にとっても不都合ですからね。だから禁じられたということです。
それで、今は飼育品。狩るんじゃなくって、育てて食べるってことなんですよ。
人間界から持ってくるのではなくて、全てこの世界で産ませ、大きく育てて食べるんですって。
私と同じ姿をしている人たちが食用として飼われ、解体されて食べられてゆく。とっても複雑というか、怖い。怖すぎる!
「いや、お前たちも牛や豚を飼育して肉を食っているだろう」っなんて言われちゃいました。
それはそうなんですけど……。
改めて牧場内を見てみます。
飼われている女性たちは、皆とっても美人さんで可愛らしい子ばかり。
着ているのは私と同じような丈の短い着物です。
ですが、首には白い色の首輪が付けられています。私のとは色違い…。
あ、でも偶に赤い色の人も混じっているんですね。
そう言えば、農場の方の男性は黒色を付けていました。明らかに何か区別しているようです。
「あの、白い色の首輪は、食肉用って意味ですか?」
「うん? ああ、そうだ」
「黒色は、労働用」
「じゃあ、私の赤色は何ですか?」
イマさんカリさん、二人で見合って笑い合います。
「「まだナイショ」」
「ええ~!何でですか? 気になるじゃないですか!」
でも笑うだけで、それ以上教えてくれません。
20代後半くらいに見えますが、なんとお歳は67歳。鬼さんは300歳くらいまで生きる長生きな種族なんですって。
鬼は基本的に15歳くらいから働きに出て、30歳までには自立するのだそうです。以降は、家族とは会うことも連絡とることもないとか。
親兄弟が今、どうしてるのかも全く知らないって、なんか、薄情な感じもしますが、これがこの世界の普通みたい。
まあ、私も捨て子という境遇です。似たようなもんですかね。
メイド小鬼さんたちは、見た目は幼く小学生っぽいけれど、私より少し年上ってくらい。
リューサさんの近くに控えている二人の鬼さんは、私と同年代に見えますけどやはり年上の26歳。見た目通りの双子さんで、リューサさんの秘書なんですって。
その後、その双子鬼さんに屋敷内や敷地内をザッと案内してもらいました。
あ、この双子の秘書さん、名前はイマとカリって言います。同じ顔してますので、どっちがどっちかよく分からないですけどね。
そして、お二人も、ちょっとだけ片言っぽいですが日本語を話せます。
リューサさんの主な仕事は牧場・農場経営。かなり広大な土地を管理しているようです。
あの、どこまでも、どこまでも続く長い塀。あの中全てがリューサさんの所有って、いったい、どれだけの広さがあるのでしょう…。
門を入ってすぐの区域がリューサさんの住居区域。その他は大きく二つに分けられ、半分が農場、半分が牧場なんだそうです。
それぞれの区域は、塀でキッチリ仕切られています。
農場エリアは畑と果樹園になっていて、いろんな野菜や果物が育てられていました。
鬼では無くて、人間の男性が働いているようです。
肉体労働してますからね。皆さんマッチョで日焼けして、ちょっと、かっこいいかも。
牧場エリアは……。一転して女の園ですね~。
皆さん若い。年長者はあまりというか、全く見かけません。私と同年代か、それ以下の年齢の人間女性が働いているみたいです。
牧場って、そんなにたくさん仕事があるのでしょうか、かなり大勢の従業員がいますよ。
だけれど……。おかしいな??
従業員ばかりが不必要に思えるほど多くて、飼われている動物が一頭も見当たらないのです。
「えっと…。牧場なんですよね。牛なんか飼って、ミルクやチーズなんか生産してるんじゃないんですか?」
との私の質問。
「違うぞ。そう言うのは、農場の奥でしている」
「そう、違う。ここは食肉専門だ」
「ああ、肉牛ですか? あ、それとも、豚とか、馬とか?」
「違う、違う」
「もっと高級品」
「高級品…、ですか…?」
「そう、高級品」
「高級肉だ」
え~と、牛より高級な肉って、何だろう?
疑問符を浮かべまくる私に向かい、イマさんカリさんが声を揃え…。
「「ニンゲンだ」」
「へっ、へええっ!!」
ニンゲン? 人間っ??
人間を……飼ってる!?
そうですよ。リューサさん、言ってましたよね。
この世界では、人間は食材だって……。
あの牧場内のたくさんの若い女性たち。彼女たちは、従業員ではないのです。
彼女たちこそが、飼われている食肉用の人間なのです!
イマさんカリさんによりますと、昔は異界、つまり私たちの世界に行って、人間を狩猟していたこともあるんですって。
でも現在は、それは禁じられています。この異界の厳しい掟です。
人間側だって、そんなことショッチュウされたら対抗手段講じますしね。そうなれば、妖にとっても不都合ですからね。だから禁じられたということです。
それで、今は飼育品。狩るんじゃなくって、育てて食べるってことなんですよ。
人間界から持ってくるのではなくて、全てこの世界で産ませ、大きく育てて食べるんですって。
私と同じ姿をしている人たちが食用として飼われ、解体されて食べられてゆく。とっても複雑というか、怖い。怖すぎる!
「いや、お前たちも牛や豚を飼育して肉を食っているだろう」っなんて言われちゃいました。
それはそうなんですけど……。
改めて牧場内を見てみます。
飼われている女性たちは、皆とっても美人さんで可愛らしい子ばかり。
着ているのは私と同じような丈の短い着物です。
ですが、首には白い色の首輪が付けられています。私のとは色違い…。
あ、でも偶に赤い色の人も混じっているんですね。
そう言えば、農場の方の男性は黒色を付けていました。明らかに何か区別しているようです。
「あの、白い色の首輪は、食肉用って意味ですか?」
「うん? ああ、そうだ」
「黒色は、労働用」
「じゃあ、私の赤色は何ですか?」
イマさんカリさん、二人で見合って笑い合います。
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でも笑うだけで、それ以上教えてくれません。
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