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鬼の世界へ
20 赤首輪の意味
しおりを挟む「あ、あの! この赤首輪、どういう意味なんですか!!」
「あら、あなた、知らなかったの? とっくに教えられてると思ってた」
「知りませんよ。誰も教えてくれないんです!」
こ、これは良い機会。是非教えてもらわなければ!
白首輪と黒首輪については教えてもらえましたが、私につけられた赤首輪の意味については教えてもらっていないのです。
「言っちゃって良いのかな? まあ、あなたの場合は、もう色んな秘密を知ってるんだし、良いでしょね。
他のニンゲンには秘密だからね。あのね。赤首輪は、生殖母体なのよ」
「生殖母体……って??」
「だから、子供を産ませる役目。種付けして、ひたすら子供を産ませるの」
た、種付け? ひたすら子供を産ませる?
愛玩用じゃ、なかったんだ……。
「ここはニンゲンの牧場よ。子を産ませて育ててるの。その、子供を産ませる大事な役目が赤首輪。そして、私がその担当責任者なの。
赤首輪は、特に容姿が良くて健康体な女の子が選ばれるのよ。あなた、最高の体してるわ。リューサ様が選んだのも納得ね」
子を産ませる役目…。私は子供を産まされる……。
「なにショック受けたような顔してるの? 良かったじゃない。殺されないのよ。
おまけに、女本来の仕事を存分にさせて貰えるんだからね」
女本来の仕事…。それが子を産むこと…?
で、でも!!
「私は良くても、私の産んだ子は食べられちゃうんじゃないですか!」
そうですよ、私が産んだ私の可愛い赤ちゃんが、育てられ大きくされ、そして食べられる…。そんなの嫌! 耐えられないよ!!
「まあ、それはそうだけどね……。あ、う~ん、でも、あなたの場合は、どうなるのかな~。あなた、貴重な天然モノだからね」
へっ? 天然モノ? それが何か関係あるの?
「牧場内だけで繁殖させてると、近親相姦状態になって弱い個体が出てくるようになるのよね。その為に、偶に外からの新しい遺伝子を入れる必要があるのよ。
通常は男の精子を採取してきて、人工授精するんだけどね。あなたの場合は新しい遺伝子を持った貴重な母体。だから、あなたが産んだ子は特別扱いされて次の母体に優先的に選ばれるでしょうね。男の子であっても同様ね。
もっとも、全部が全部とはいかないよ。優秀な子だけね」
みんな食べられてしまうのではない…。私の子は、一部は残してもらえる……?
でも、優秀な子以外は食べられてしまうなんて、やっぱり、それ嫌!
「ありゃりゃ、泣きそうな顔しちゃって…。わたし、余計なこと言っちゃったな。
今のは、私の予想も多分に入っているからね。本来赤首輪はみんな私の管轄だけど、あなたに関してはリューサ様直轄だからね。オマケに僕として、あの私のことが大嫌いな双子がついたんでしょ。リューサ様の真意はよく分からないし、私の予想外の、もっと良い扱いになるかもよ。
いずれにしても、あなたは間違いなく優遇されているんだから、リューサ様にキチンと従って、可愛がられるようにすることね」
そ、そうか…。すべてはリューサさん次第なのね……。
で…。その後、私は恥ずかしい格好させられて、性器の詳しい診察と言うヤツでした。
あと、唾液と血液と尿と、更にはお尻から便まで採取されてしまいました。
酷いんですよ!変な器具をズブズブッと突っ込まれて、体内から直接便を抜き取られたんですから!
でもちょっと気持ち良かったかも……。
悪い病気が無いかを、詳しく検査するそうです。
それにしても性器の診察ですけれど、間際まで顔を近づけられてジッと秘部を見られるってのは、なんとも恥ずかしくって嫌なものでした。
ナユさんが見ていたのは外側でなくって内部の子宮とか卵巣を透視していたんでしょうけどね。どっちにしても、嫌ですよ。
で、異状なしという結果だったのですが、ついでに、中途半端に残っていた処女膜も、この後の性交に邪魔だからと指を入れられて除去されてしまったんです。
痛いんですよ、これは。血も出ますし~!
それに、この後の性交に邪魔だからなんて……。
そう。なんてったって、私は赤首輪なんですね。この首輪をつけているのであれば、子を産まされるというのは、間違いのないことなんです。
あとは、産んだ子供たちの未来がどうなるか…。それはリューサさんの考え次第。
ということはつまり、私の努力次第でもありますね。
一旦部屋に戻って考えこんでしまいます。あ、私の部屋は、秘書控室の隣の部屋になりました。
ナユさんにも言われましたが、リューサさんに可愛がられるためにはどうすれば良いか…。私にあるのは人間界の知識だけ。味噌汁は喜んでもらえましたよね。あんな感じで、少しでも役に立つ様にしていかなきゃね。
それに、まず言葉。この家の鬼の皆さんは人語が話せるけど、多分、それは人間を飼っているこの家の特殊事情によるもの。この世界の言葉も勉強しなきゃね。私、語学は得意な方だし!
その他には…。う~ん、どうしたらよいんでしょう??
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