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鬼の世界へ
32 イマの仕事3
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転がった頭が拾われて、容器に入れられます。
焦点の合ってない目。死んじゃってる…。あたりまえか。頭だけになってるから。
苦しまずに逝けたから、まあ、幸せかな?
「あの頭も出荷するの?」
「そうだ。脳と目玉は最高の珍味だからな」
そうですよ。リューサさん言ってました。目玉は美味しいって。摘出した私の目玉を口に頬張りながらね!
ついでに私は、脳ミソをカリさんたちに舐められましたしね!
あ、脳までは届いてなかったのかな…。
でも視神経の根元があったはずだし、まあ、同じ様なモノ…。
「なんだ美玖。そんな目で私を見るな。あれは純粋に治療だったんだ」
「いやいや、私の血をタップリと啜り飲んだでしょ。
私は、大切な脳ミソをズルズル啜り食べられているんだと感じていました!」
「許してくれよ。美玖の貴重な血を溢すのは勿体無いってリューサ様がおっしゃったんだ」
「ううう~っ。もうイイです!」
イマさんは黙々と作業に専念。男の子の首断面に受けていた洗面器を外します。
「あの血も出荷?」
「いや、血はすぐ固まってしまう。だから、使える分はここで使うが、残れば廃棄。飲みたい者には飲ませてもらえる。結構美味いぞ。美玖も飲むか?」
「いえ、ご遠慮させてもらいます」
そんなもの、絶対飲みたくありません!
胴体が仰向けにされます。
「う、ウソ…、何か出てますけど、あれって…」
「ああ、射精している。精液だ。精通が済んでいる男は、ああなる。若すぎるから薄いけどな。
命の尽きる際に自分の子種を有るだけ外へ放出するのだ」
子孫を残したいという体の反応なんですね…。なんか、憐れ…。
「さっきの処理をしていないと、ここで大便や尿も漏らす。それ汚い。
イマは綺麗に処理している」
イマさん、刃物を出しました。お腹を縦にサクサク切り開きます。
「内臓を抜き出す。内臓は腐敗しやすいから、抜いて別にして売る」
血に塗れて赤くなった小腸・大腸が、手早くグニュグニュ抜き出されていきます。胃、肝臓、それから…何かよく分かんないモノまで、次々出され、容器に入れられます。
「胸の臓器は、腹の方から出す」
胸の臓器…。肺と心臓ですね。お腹の中に刃物が入れられ、探られて…心臓。そして左右の肺。
「もっとバラスことも有るが、通常はこれで終わり。内臓を抜いた胴体は洗って出荷。出荷までは、隣の冷蔵室で保管」
台に乗せられ、『男の子だったモノ』は運ばれて行ってしまいました。
十五分くらいして、イマさんが一人で戻ってきました。監視室の方へ来ます。
「美玖、最後まで見たのか? 気持ち悪くなかったか?」
「え、ええと、全然平気と言えばウソになるけど、何とか…。
自分がグチャグチャに解体される強烈な想像を、既に散々にさせられてますしね。あんなモノなのかなって感じでした。
それに、苦しませずに送ってあげたんでしょ。幸せそうな顔してましたよ」
「あ、ああ、そうだな」
「次は、すぐやるの?」
「おい、まだ見る気か? やめておけ。絶対お勧めしない。吐くぞ!」
「そうだ、美玖。もう止めた方が良い。女の方はエゲツナイ」
「それ、どういうコト? 私、女なんですけど。
違いがあるのなら、女の方のを見ないとダメでしょうに」
「い、いや、だからな。何と言ったらよいか、兎に角もう止めるべきだ」
「そうだ。お願いだから、もう止そう。一度見たから、もう良いじゃないか」
「何よ。意味わかんない。見ます!絶対見る!」
女の方がエゲツナイだなんて、どういうことですか。
私がもし食肉解体されるとしたら、そっちなんですよ。さっきと違うなら、そっちを知らなきゃ、全然意味ないでしょ!
「ほ、本気か? 知らないぞ」
「美玖、お願いだ。もう止そうよ」
「イヤだ!見るっ!!」
二人は仕方ないなという風で顔を見合わせました。
でもですね。そんなに隠そうとされると、これは何が何でも見るしかないんですよ。
二人が見せたがらない女の場合は、一体何が違うのか……。
焦点の合ってない目。死んじゃってる…。あたりまえか。頭だけになってるから。
苦しまずに逝けたから、まあ、幸せかな?
「あの頭も出荷するの?」
「そうだ。脳と目玉は最高の珍味だからな」
そうですよ。リューサさん言ってました。目玉は美味しいって。摘出した私の目玉を口に頬張りながらね!
ついでに私は、脳ミソをカリさんたちに舐められましたしね!
あ、脳までは届いてなかったのかな…。
でも視神経の根元があったはずだし、まあ、同じ様なモノ…。
「なんだ美玖。そんな目で私を見るな。あれは純粋に治療だったんだ」
「いやいや、私の血をタップリと啜り飲んだでしょ。
私は、大切な脳ミソをズルズル啜り食べられているんだと感じていました!」
「許してくれよ。美玖の貴重な血を溢すのは勿体無いってリューサ様がおっしゃったんだ」
「ううう~っ。もうイイです!」
イマさんは黙々と作業に専念。男の子の首断面に受けていた洗面器を外します。
「あの血も出荷?」
「いや、血はすぐ固まってしまう。だから、使える分はここで使うが、残れば廃棄。飲みたい者には飲ませてもらえる。結構美味いぞ。美玖も飲むか?」
「いえ、ご遠慮させてもらいます」
そんなもの、絶対飲みたくありません!
胴体が仰向けにされます。
「う、ウソ…、何か出てますけど、あれって…」
「ああ、射精している。精液だ。精通が済んでいる男は、ああなる。若すぎるから薄いけどな。
命の尽きる際に自分の子種を有るだけ外へ放出するのだ」
子孫を残したいという体の反応なんですね…。なんか、憐れ…。
「さっきの処理をしていないと、ここで大便や尿も漏らす。それ汚い。
イマは綺麗に処理している」
イマさん、刃物を出しました。お腹を縦にサクサク切り開きます。
「内臓を抜き出す。内臓は腐敗しやすいから、抜いて別にして売る」
血に塗れて赤くなった小腸・大腸が、手早くグニュグニュ抜き出されていきます。胃、肝臓、それから…何かよく分かんないモノまで、次々出され、容器に入れられます。
「胸の臓器は、腹の方から出す」
胸の臓器…。肺と心臓ですね。お腹の中に刃物が入れられ、探られて…心臓。そして左右の肺。
「もっとバラスことも有るが、通常はこれで終わり。内臓を抜いた胴体は洗って出荷。出荷までは、隣の冷蔵室で保管」
台に乗せられ、『男の子だったモノ』は運ばれて行ってしまいました。
十五分くらいして、イマさんが一人で戻ってきました。監視室の方へ来ます。
「美玖、最後まで見たのか? 気持ち悪くなかったか?」
「え、ええと、全然平気と言えばウソになるけど、何とか…。
自分がグチャグチャに解体される強烈な想像を、既に散々にさせられてますしね。あんなモノなのかなって感じでした。
それに、苦しませずに送ってあげたんでしょ。幸せそうな顔してましたよ」
「あ、ああ、そうだな」
「次は、すぐやるの?」
「おい、まだ見る気か? やめておけ。絶対お勧めしない。吐くぞ!」
「そうだ、美玖。もう止めた方が良い。女の方はエゲツナイ」
「それ、どういうコト? 私、女なんですけど。
違いがあるのなら、女の方のを見ないとダメでしょうに」
「い、いや、だからな。何と言ったらよいか、兎に角もう止めるべきだ」
「そうだ。お願いだから、もう止そう。一度見たから、もう良いじゃないか」
「何よ。意味わかんない。見ます!絶対見る!」
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私がもし食肉解体されるとしたら、そっちなんですよ。さっきと違うなら、そっちを知らなきゃ、全然意味ないでしょ!
「ほ、本気か? 知らないぞ」
「美玖、お願いだ。もう止そうよ」
「イヤだ!見るっ!!」
二人は仕方ないなという風で顔を見合わせました。
でもですね。そんなに隠そうとされると、これは何が何でも見るしかないんですよ。
二人が見せたがらない女の場合は、一体何が違うのか……。
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