鬼に飼われて生きる少女 ~異世界転移し、鬼と一緒にヒトを食べて生きています~

しんいち

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鬼の仲間として

45 屠殺完了

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 翌日…。朝から気分が重い。
 昨日のキヅミさんに言われたことを、まだ引きずっています。

「ニンゲンだったら、なんで同じニンゲンを殺すんだ」・・・

 その通りです。同胞に対する裏切り行為です。
 しかし、私は鬼の仲間になってしまったのです。
 そして、屠殺は、鬼にとっては必要な仕事。

 そう、これは仕事。今日も張り切って!
いや、張り切る仕事じゃないよ……。
 なんか、もう精神的に完全におかしくなりそうです。

「美玖さん、昨日の、気にしてるみたいですね」

 話しかけてくれたのはメイドのキヅハちゃん。

「昨日の?」

「ごめんなさい。私、聞いてました。キヅミさんのです。
あのね。多分、キヅミさん、嫉妬してるんだと思うんですよね。それで心にもないコト言っちゃって…」

「嫉妬?」

「キヅミさん、イマさんのことが大好きなんです。でも、直接の上司だって言っても一緒に仕事することなんてあまり無いでしょ。なのに、美玖さんはイマさんの仕事を手伝って。それから…」

「それから?」

「イマさんが体の一部を差し出して、美玖さんのしもべになっただなんて聞いたからね」

 あ……。あのソーセージか……。

「それで、嫉妬してるんですよ。イマさんを盗られたって思ってるんじゃないですか?
ツンツンしてちょっと性格こじらせてますけど、ホントは甘えんぼさんの優しい鬼なんです」

 へ~え、そうなんだ…。
 甘えんぼさんの、嫉妬か…。

 いや、だけどですね。そんなこと言われましてもね。どうしたもんでしょうかね……。



 今日は、串刺し出荷準備です。
 これがまた大変です。一旦串刺しにして絶命させ、その後に串を抜いて腸を取り出し、更にもう一度串刺しにするという、完全な二度手間。
 腸をそのままにしておくと腐敗しやすいですし、丸焼きでは腸は美味しくないからなんですが、串刺しにして苦しむ様子は動画に撮らなければならない。だから、こんなクソ面倒くさい事をするのです。
 …ゴメンナサイ。言葉に品がありませんでしたね。でも、そうも言いたくなりますよ……。

 どうやってするのかなって思ったら、これはですね、騙して動かないうちに何てことは不可能なんです。串をお尻に突っ込まれようとすれば、いくら何でも気付きますもんね。
 だから、もう力技。押さえつけて、串を突っ込む!って、
 ひ、ひえええええええ~っ、です~!!

 私に押さえ込む役は無理。年下とはいえ男の子。反対にこっちが押さえ込まれてしまいます。
 ですのでイマさんカリさん二人掛かりで押さえ込み、暴れる男の子のお尻へ私が鉄串をってことになりました…。

 嫌がり泣き叫ぶ男の子のお尻に串先をスッと入れたら、後は真っ直ぐ一気です。
 グスッと腸を貫く、嫌な感触…。
 男の子は悲鳴を上げ、体を仰け反らせ、痙攣します。
 しっかり握っている串には、トックトックと、男の子の心臓の鼓動が伝わってくる…。
構わずズブズブズブズブ刺し込んで、首を通し、口を開けさせて、血に塗れた先端を口から・・・。
 痙攣が無くなるまでそのまま放置し、一旦串を抜き、昨日と同じ方法で腸を抜き出します。
 但し、串で裂けて傷付いているため、途中で切れてしまってうまく出ません。だから、何度も手を突っ込んで掴み出す…。
 うううう、悲惨です。残酷です。もう、死んじゃってるけどね…。
 再度串を同じように刺し込み、完了です。

 同じように、もう一人。

 更に翌日にも、二人の串刺し屠殺。

 これで今年の屠殺は終了だそうです。
 な、何とかやり終えましたよ。かなり慣れて来たかも。
 でも、これは、やっぱりね……。

「美玖。たいへん助かった。ありがとう」
「お疲れ、美玖。お前は凄いヤツだ。感心する」

「お、お疲れ様でした」

「次からの屠殺も、よろしく頼むぞ」

 イマさん、ニヤッと笑います。

「い、イヤ…。通常期の男の子なら…。でも、こういう残酷なのは、ちょっとね……」

「そうなのか? これからは、全部美玖がやってくれるんだろうなと思っていたぞ」

 またまた、そういう鬼ジョークを言う…。本気じゃないのはバレバレですよ。顔が笑ってますし、イマさんってば、とっても優しい鬼さんですからね。
 まあ、だからこそ、可能な限りは、手伝わせてもらいます…。
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