鬼に飼われて生きる少女 ~異世界転移し、鬼と一緒にヒトを食べて生きています~

しんいち

文字の大きさ
53 / 66
鬼の仲間として

53 イマの後任

しおりを挟む
 夕食後の時間、リューサさんの呼び出しを受けました。
 呼びに来てくれたのはカリさん。お部屋に一緒に入室しますと、珍しくナユさんも来ています。

「美玖。今日でイマの全てを食べ終わりましたね」

「はい。全て頂きました」

「そう。良かった。イマも喜んでいるでしょう。あなたと一体になれて」

「はい。私、これからイマさんの分まで頑張るつもりです」

「あらあら、私から言う前に美玖からそんなこと言うなんて。流石さすが、イマが見込んだ子ですよ」

 へ? え~と、どういうこと……?

「では、あなたは、これからイマの代わりとして生産部門の責任者になってもらいます。我が家での序列は、このカリとナユと同列。肩書はカリと同じで、秘書となります」

「は、はあああ?!」

 生産部門の責任者ですって? わ、私が??

「何、素っ頓狂な声出しているのよ。あなた、自分からイマの分まで頑張るって言ったでしょ」

「い、いやいやいや、それは言いましたけど、そういう心構えで生活するってことでしてね。私に責任者なんて務まるはず無いじゃないですか!
そもそも、何にも知らないんですし!」

「大丈夫、大丈夫。実際の仕事は有能な部下たちがしてくれるから、部下たちから上がってくる報告や企画を書面にして私に持ってきてくれれば良いのよ。書き方はこの二人に訊いてね。で、慣れてくれば自分で企画考えたりしても良いからね。
あと、秘書の仕事はカリもいるから問題ないしね。あ、服は、カリと同じのを着てね。
はい、以上です。私はこれから用事があるから、解散!」

 ええええええええ~っ……。

 そんな、まさか、まさかの事態ですよ…。
 イマさんと一体化したのだからだなんて言いましてもね、イマさんを食べただけで、彼女の能力や知識を受け継いでいるのじゃないですからね。
 それなのに、いきなり生産部門の責任者だなんて、無茶苦茶ですってば!
 そもそも、私は鬼じゃなくってニンゲンですよ!!

 しかし、有無を言わさず即座に皆、部屋から追い出されてしまいます。

「大丈夫よお。ぜーんぶ部下に任せてしまえば良いのよお」

 一緒に部屋を出たナユさん、私の肩に手を置きながら言いました。
 カリさんは…。

「ナユ。お前はイイカゲン過ぎだ。ラクッサがいつも、こぼしているぞ」

 ……ですよね~。

「いやいや、有能な部下を全面的に信頼してるだけだよ~。報告書や企画書も、部下に書かせちゃいなさい。あなたはそれを読んで、良いと思えば一番下にあなたの署名を付け足して、それでオッケー。私は、そうしてるよ」

 カリさんが顔をしかめていますが、ナユさんはカラカラ笑っています。

 ありゃりゃ~ですね。ここまで割り切れるのは凄いです。ある意味尊敬です。
 ただ、彼女は全部の仕事をこうしているのではないのです。医師としての仕事と繁殖の仕事は、ナユさんキッチリ自分でこなしているのですよ。
 自分の不得意分野に関しては、それが得意な部下に丸投げってことなんです。

 私の場合は……。仕事のことを何にも知らないのですから、得意分野もへったくれも有りません。取り敢えずは、全てナユさん推奨のこの方式をとるしか方法がなさそうです。

 だけどですね……。
 そうしますと、一つ大きな問題があるのですがね……。
 どうしましょうかね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

処理中です...