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鬼の仲間として

56 屠殺の新しい試み

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 さてさて、屠殺なんですが…。
 大地震で牧場も被害を受け、稼がないといけません。この前のキモイ男鬼社長に言われました。もっと残酷な動画を付けないと……。

 でもね、私、内臓を抜かれて串刺しにされるなんてのを、自ら経験したんですよね。あんなのを他の子にもするのって、やっぱり嫌なんですよ。
 しかし、屠殺に関しては私がやるって大見栄切ってますからね。今更誰かに頼むわけにもゆきません。

 残酷に……。でも、出来る限り苦しませずって、完全な矛盾です。
 ですが…、何でも経験はするモノですよ。私も実際にやられて分かりました。
一番嫌なのは、やっぱり痛みなんですね。痛くて苦しいのは嫌なんですよ。

 だからと言って、薬を使って麻痺させるというのはダメなんですって。だって、食用ですからね。出荷一週間前から薬物の使用は禁止です。
 つまり、どうしても切る時の痛みは避けて通れません。

 それだったら、痛みを感じさせる前に怯えさせ泣きわめかせれば残酷な動画になりませんか? で、切った後は出来るだけ短縮して早く絶命させる。
 リューサ様も、言葉で虐めるの、結構好きですよね。私、散々やられましたからね。
他の鬼さんも、同じじゃないでしょうか…。
 ヤラレル人間にしてみれば、それも嫌だと言えば嫌ですけどね。痛くて苦しいのが長いよりも、ずっと良いと思いますよ。

 ってなことでして、出荷担当のカリさんとも相談しまして、企画書って言うのかな?書面にまとめましてリューサ様へ。

「うん?あら、これは美玖自身の企画なの? へーっ。もう、こんなの出してくるとは、流石さすがね。内容も面白い。思った通りにやってみて良いわよ」

「ありがとうございます」

 オッケーです~!!



 具体的にどんなふうに屠殺するか。
 企画書を作成するに当たって、以前の動画をカリさんに見せてもらいました。実際の屠殺場面は見ましたけど、編集済み動画は見たことありませんでしたからね。

 まあ、見るに堪えない内容でしたね。とにかくキモチワルイ。泣き叫ぶ女の子の内臓をズリズリ少しずつ引き出してグチャグチャ体に擦り付けるなんてことをします。
もう、グロテスクなこと、この上ないですよ。結局のところ、内臓を引き出してイタブル場面が主になっているのでした。

 こういうのは止めて、切る前に存分に怖がらせ泣き叫ばせることにします。

 それから、これまではカメラは全て固定。四台で撮影し、その内で最も映りの良い角度のモノを繋げるという編集です。
 人手がないからなんでしょうが、これもどうなんでしょう。一台だけでも手持ちにして、アップで泣き叫ぶ顔とか撮ると全然違ってくると思いますよ。ということで、これも採用することにしました。

 さらに、今までは完全に一人ずつの屠殺でした。しかし、今回は二人同時にします。
 つまり、後の子は、最初の一人が屠殺されるのを見ることになります。その絶望の表情も撮影します。
 これでカナリ残酷な動画が撮れますよね。

 これが今回リューサ様にオッケーを貰った内容です。
 いや~、私も結構な鬼畜です。ヒトデナシですからね。
 だけど、あの内臓を引き出されるオゾマシイ感触は、最低最悪のモノです。激烈に痛いですし…。それだけは、少しでも短くしてあげたいのです。
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