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足りなさその43、 オレはここにきて、漸く気づいてしまったのである。

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「……なんて、お前の今までの天然ぶりや少し抜けている部分を『あと少しってところが足りない』って言ってた俺だけども……でも、頼人から見たらもしかしたら俺のほうこそ『あと少しってところが足りない』そんな男なのかもな」




最後にそう言い残し、
やまっちは眠るオレの身体の色んなモノで汚れた部分をハンドタオルで綺麗にしたのちに、


――ガチャ、ガチャン、バタンっ………キュキュっ、シャーっ……


そっとお風呂場へ向かい、シャワーの音を小さく響かせだした。



対してオレはと言えば、



「――ほぉんと、やまっちは『あと少しのところが足りない』男なんだよねっ…まったくさ」



ムクリと、やまっちからタオルで隅々……とまではいかないながらも、綺麗にしてもらった身体を起き上がらせ。


そんな文句を、今ここにいない『オレの大好きな人』に向けて、小さな声で呟いたのだった。




「……と、今回はココかぁ…相変わらず、やまっちは最後までちゃんと拭けてないよねぇ……ま、コレのおかげでやまっちの気持ちやら何やらを知ることが出来たから、イイっちゃイイんだけどさ」


ギシリ…音を立て、「これで全部かな」なんて一仕事終えたみたいな声を出しつつ毎回必ずどこかしらに『精液の拭き残し』をしてしまうやまっちのことを思い出しながら、オレは今回の拭き残されちゃった場所をしっかりと見つけ、小さく精液がこびりついていた右腕の肘裏近く部分に目線を送る。



「まったくやまっちってば、毎度毎度おドジさんにも程があるよ……ふふ、もちろんそんなやまっちもオレはだ~い好きだからイイっちゃイイっ……」



――わけがないっ!!!!



いやっ精液を残しちゃうのは結果的に良い方向――って言い方も変かもだけど…――にいったからオッケーだったもののっ!!

何でっ、何でオレのアナルに向かって思いっきり初ぶっかけまでしたってのに、そこでそのままやまっちのおちんぽ挿入れようとしてくれないのさ!!?

いいよっ!? オレやまっちのアパートで宅飲みする前にいつも期待も込めてぐちゅぐちゅアナニーしてきてるから、解したりとかしなくてもすぐにやまっちのおっきなおちんぽ挿入れられるよ!!?



「っ、そしたらオレ…目ぇ覚ませるのにぃ、もぉぉ……」



ぼふんっ、やまっちの匂いの籠った枕へと顔を押し付けつつ、オレは今現在熱いシャワーを浴びているであろう自分の大好きな人へと恨みも含んだ悲痛の声をあげる。


ちゅうだってさ、オレは口にしてくれても全然かまわなかったのに……ほっぺって。
そりゃほっぺだってめちゃくちゃ嬉しくてドキドキしたし、このまま顔洗いたくないなぁ…とか思っちゃったりもしたけども。


それに、こんなに色々えっちなコトされてるっていうのに、



「オレまだ、やまっちのホンモノのおちんぽ見れてないしさ……うぅ、」



こんなに毎回、身体の色んなところにたっぷり大好きな人のガチガチの勃起おちんぽ擦りつけられてる――しかも最後は精液もかけられて…――のにさ、結局未だにしっかりとやまっちのホンモノのおちんぽ見れてないとか、ほんとどういうことなわけっ…!?


身体の至る場所にちゅうされて、おっぱいと乳首を揉まれて舐めてしゃぶられて、手コキも素股も尻コキも、おちんぽ同士だってあんなに擦り合わせまくってて……ここまでしといて。



「ひとつに繋がれてないなんて……嘘でしょもうっ…」



もうコレっ、ほぼほぼセックスしてるようなもんじゃん……やまっちも、きっとオレの恥ずかしい場所ほぼほぼ全部確実に見ちゃってる状態じゃんっ…!!!



「今日で10回目なのに……なのに、っ……やまっちって…ほんと、」



――『あと少しのところが足りない』男。



そう、いつものフレーズが頭の中に再びパッと浮かび上がる



けれども。


『……これじゃ、こんなんじゃ友達同士とか関係なく、頼人に正面切って告白をする資格なんて俺にはもうっ……ごめんな頼人……っ、でも…もしこのコトが万が一にでも頼人にバレたら、俺はすぐにでも頼人の前から消えてなくなるからっ……』


「!! ……でも、このままだとやまっちほんとに……っ」


ほんの少し前に、やまっちが寝てるオレに向かって呟いた台詞を思い出す。


そうだ、もともとは真面目なやまっちのこと。
あれはたぶん冗談とかじゃなく、彼の本気の言葉。
つまり、



『我慢できずにとうとうオレのお尻にっ…おまんこにバッキバキになった勃起おちんぽ挿入れようとしたその瞬間に、オレが偶然装って目を覚まして「…や、やまっち…オレに一体何してるの…っ!?」って問い詰めて逃げられくして、「強制的にやまっちの口から『頼人が好きだっ!!』って、そう告白させてやるんだからっ!!!」』



「上等だよとか言ったけど……オレもしかしなくても、頑張る方向性……間違っちゃった…のかな?」



なんだかもはや意地になった感じに今日ここまで続けてきたオレのこの作戦だったけども。

思えば手コキの時にわざわざ自分のおちんぽにタオルを巻いたり、身体の色んな場所にキスをしても唇にだけは絶対にしなかったり……な、変なところで真面目が出ちゃってたやまっちが、果たして口では本物のセックスがしたいのだと言葉にしつつも、眠るオレのアナルに自分のおちんぽを勝手に挿入して、本当の意味での『セックス』をしちゃうのだろうかと考えると――…




「っ、いや無理でしょ……やまっち絶対この先も、オレのおまんこにおちんぽなんて挿入れてこないコト確実じゃんかぁっ……」




そう、
多分じゃなくて絶対、例えギリギリまでいったとしても、やまっちは寝てるオレと本当の意味でひとつに繋がる行為
――『セックス』をしないだろう重大すぎる真実に、



オレはここにきて、漸く気づいてしまったのである。



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