王様のいいなり!

まぁ

文字の大きさ
11 / 69

11

しおりを挟む
 マンションに戻ると、首を長くして待っていたのか、明人は玄関で仁王立ちしている。一体何なんだ?本気で叫びたかった。
「遅い……今何時だ?」
「七時でございますが?」
「俺が電話したの六時過ぎだろ?しかも電話はツーコール目で取れ!」
 何故こうも偉そうにしているのだろうか……加奈は文句の一つ二つ言いたくて仕方なかった。
「お前は俺専属の召使だろ?さっさと帰って来い!」
「帰って来いって……こっちだって仕事してたんです!」
「お前の会社は就業時間が五時だったな。何かあるだろうから一時間は大目に見た。それに残業をしないように就業時間内に裁くのは当たり前だろう!」
 悪かったですね!不出来なOLで!
 声に出して言いたい!めちゃくちゃ言いたい!だが加奈はグッと堪える。言うだけ不毛だと思った。と言うよりも、何故目の前の男はこんなにも不機嫌なのだろうか?
「あの、何をそんな怒ってるんです?」
「俺は怒ってない!しいて言うなら朝から何も食べてないから腹が減った」
 単なる八つ当たりかコノヤロー!
 だが直後「ん?」と首を傾げた。今、朝から何も食べていないと言わなかっただろうか……
「えっと……朝から何も食べてないって。出前とかは?」
「取ってない!せっかく加奈がいるのに何でわざわざ外で食べなくてはいけない?」
「いやあの、今日は寝坊したから何も用意できなくて。出前取って下さいって言ったじゃないですか」
「知らん!とにかく腹が減った!」
 そう言えば心なしか、先ほどからグーグーと低い地鳴りのような音が聞こえる。根負けした加奈は大きなため息を漏らし靴を脱いで、スリッパを履き台所に向かった。
「それで?今日の飯は何だ?」
「今日は魚が安かったので魚焼こうと思います」
「ほぉ、自ら俺の手でどうにもならないものを選ぶとはな……」
 その発言は今日も食べさせろと言う事だろう。カウンターから不敵な笑みを浮かべるこの豪邸の主はじっと加奈を見続けていた。
(その手には乗らん!)
 買って来た魚を綺麗に裁いた加奈は、身をほぐし食べやすい食材へと変えた。そして食卓にそれらが並ぶと不満げな表情を浮かべていた。
「おい、これはどういう事だ?」
「食べやすいようにしたんです。それだったら反対の手でスプーン持って食べられますよね?」
「チッ、学習しやがって……」
 悪態をつきながらも反対の手でスプーンを持っておたおたしながら食べ始めた明人を見て、「勝った!」と心の中で一人勝利宣言をした。
 だが加奈の勝利宣言など、意図も簡単に打ち砕かれてしまう。
「おい、左じゃ食べづらい」
「我慢して下さい。そうやって少しづつでも慣れないと……」
 だがスプーンに乗ったものは綺麗にテーブルに落下。無視しようにも見ていられなくなった加奈は、「あぁもう!」と言ってスプーンを取り上げ明人に食べさせた。
「ふん!俺を欺あざむこうなんて百年早い」
 その笑みを見て「やられた!」と思った。少々汚いがわざと落としていたのだと知った加奈はキーッとなる気持ちを抑えるのに必死だった。
 食事も終わり昨日同様に頭を洗えと言う明人。今日も昨日と同様の悶着を起こしながらも、なんとか洗髪は終わった。同じ手を食らい昨日から今日にかけて洗濯物が一気に増えた気もしたが……
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

エリート課長の脳内は想像の斜め上をいっていた

ピロ子
恋愛
飲み会に参加した後、酔い潰れていた私を押し倒していたのは社内の女子社員が憧れるエリート課長でした。 普段は冷静沈着な課長の脳内は、私には斜め上過ぎて理解不能です。 ※課長の脳内は変態です。 なとみさん主催、「#足フェチ祭り」参加作品です。完結しました。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

4番目の許婚候補

富樫 聖夜
恋愛
愛美は家出をした従姉妹の舞の代わりに結婚することになるかも、と突然告げられた。どうも昔からの約束で従姉妹の中から誰かが嫁に行かないといけないらしい。順番からいえば4番目の許婚候補なので、よもや自分に回ってくることはないと安堵した愛美だったが、偶然にも就職先は例の許婚がいる会社。所属部署も同じになってしまい、何だかいろいろバレないようにヒヤヒヤする日々を送るハメになる。おまけに関わらないように距離を置いて接していたのに例の許婚――佐伯彰人――がどういうわけか愛美に大接近。4番目の許婚候補だってバレた!? それとも――? ラブコメです。――――アルファポリス様より書籍化されました。本編削除済みです。

うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや

静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。 朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。 「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。 この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか? 甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!

ベンチャー社長の元彼のヤンデレが異常過ぎる件

鳴宮鶉子
恋愛
ベンチャー社長の元彼のヤンデレが異常過ぎる件

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

処理中です...