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「っぷ、はぁ!」
「あ、ようやく起きたな」
口を開閉し、呼吸が出来るようになったが、自分を覗き込むようにして明人が加奈の鼻を摘まんでいる。原因はこの男だ!
「な、何するんですか!」
「お前が全然起きないからだろ!ほら、アラームずっと鳴ってる」
どうやら今日はアラームを消さないでいてくれたらしい……朝五時半。予定時間にきっちりと起きたのはいいが、何故ここに明人がいるのかわからなかった。
「あの、なんでここにいるんですか?」
「あぁ。昨日はひと肌寂しく眠れなくてな」
「なっ!」
何を言っている?この男は……と、身体が熱くなる感覚がした。そんな加奈を見て明人は盛大に笑った。
「ホント面白い反応するな!処女の女によくある反応!」
「朝から喧嘩売ってるんですか?」
やはり加奈の処女事件は明人には面白おかしいネタにされてしまっているようだ。だがここで明人と押し問答をやっていてはまた遅刻という事態になりかねない。ここで反論しては明人の思う壺だと思った加奈は、ソファから起き上がるとそのまま顔を洗いに行った。
顔を洗い、化粧水で肌を整えている時、ふと鏡に写った自分の首筋が赤くなっている事に気が付いた。
「ん?これ……」
かぁっとなった加奈は、勢いよく洗面所の扉を開け、リビングにいる明人に詰め寄った。
「ちょっと!あんた何してるんですか?」
「あ、ようやく気が付いた?」
「これって……これって!」
「うん。キスマークだな。よかったな!これで彼氏いるって証明出来るじゃん」
出来るじゃん!じゃなぁい!
キーッとなった加奈がそう叫ぶと、明人は悪びれる事なく「朝から血の気が多いな」と言って退けた。
「もしかしてリビングいたのって……」
「そ、それつけるため。しかもタイミングよくアラーム鳴るしさ」
「ふ、ふざけないで下さい!しかもよりにもよって首って……隠しようないじゃないですか!」
「あぁ、首じゃなかったらいいの?なら他の場所に付けてやろうか?」
そう言うと明人は立っている加奈の身体を抱き寄せ、着ていた寝間着の首元を下にずらそうとしたので、両手いっぱいに力を込め明人の顔を放した。
「やーめーて下さいっ!」
なんとか逃げ切った加奈は、ぷんぷんと怒りながら支度をする。
全然気が付かなかった。明人の声が聞こえたのは覚えているが、それ以外はまったく記憶にない。せっかく明人の寝室から逃げ切れたと思ったのに、まさかこんなところに落とし穴があるとは…油断していた自分がとても情けなくなった。
「あ、ようやく起きたな」
口を開閉し、呼吸が出来るようになったが、自分を覗き込むようにして明人が加奈の鼻を摘まんでいる。原因はこの男だ!
「な、何するんですか!」
「お前が全然起きないからだろ!ほら、アラームずっと鳴ってる」
どうやら今日はアラームを消さないでいてくれたらしい……朝五時半。予定時間にきっちりと起きたのはいいが、何故ここに明人がいるのかわからなかった。
「あの、なんでここにいるんですか?」
「あぁ。昨日はひと肌寂しく眠れなくてな」
「なっ!」
何を言っている?この男は……と、身体が熱くなる感覚がした。そんな加奈を見て明人は盛大に笑った。
「ホント面白い反応するな!処女の女によくある反応!」
「朝から喧嘩売ってるんですか?」
やはり加奈の処女事件は明人には面白おかしいネタにされてしまっているようだ。だがここで明人と押し問答をやっていてはまた遅刻という事態になりかねない。ここで反論しては明人の思う壺だと思った加奈は、ソファから起き上がるとそのまま顔を洗いに行った。
顔を洗い、化粧水で肌を整えている時、ふと鏡に写った自分の首筋が赤くなっている事に気が付いた。
「ん?これ……」
かぁっとなった加奈は、勢いよく洗面所の扉を開け、リビングにいる明人に詰め寄った。
「ちょっと!あんた何してるんですか?」
「あ、ようやく気が付いた?」
「これって……これって!」
「うん。キスマークだな。よかったな!これで彼氏いるって証明出来るじゃん」
出来るじゃん!じゃなぁい!
キーッとなった加奈がそう叫ぶと、明人は悪びれる事なく「朝から血の気が多いな」と言って退けた。
「もしかしてリビングいたのって……」
「そ、それつけるため。しかもタイミングよくアラーム鳴るしさ」
「ふ、ふざけないで下さい!しかもよりにもよって首って……隠しようないじゃないですか!」
「あぁ、首じゃなかったらいいの?なら他の場所に付けてやろうか?」
そう言うと明人は立っている加奈の身体を抱き寄せ、着ていた寝間着の首元を下にずらそうとしたので、両手いっぱいに力を込め明人の顔を放した。
「やーめーて下さいっ!」
なんとか逃げ切った加奈は、ぷんぷんと怒りながら支度をする。
全然気が付かなかった。明人の声が聞こえたのは覚えているが、それ以外はまったく記憶にない。せっかく明人の寝室から逃げ切れたと思ったのに、まさかこんなところに落とし穴があるとは…油断していた自分がとても情けなくなった。
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