王様のいいなり!

まぁ

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「えっと……今日は何にしようかなぁ?」
 仕事を終え、帰宅前に商店街で買い物をしていた加奈は、手に取ったキャベツ二つを前に睨めっこしていた。今日の夕食はロールキャベツにしよう!そう決めた時、加奈の肩を誰かが叩いた。
「霧島さん」
「あっ、川田君!どうしたの?」
「俺も食材買に来たんですよ!今日はこの店で肉の特売やってるから」
「うっそ!なら早く行かないと!って、川田君、料理するの?」
「えぇ?前に言いませんでしたか?」
 果たして聞いただろうか?おそらく飲みの席で言っていたのかもしれないが、正直覚えていなかった。
「俺の親戚に店開いてる人いて、近所だったのもあってよく店に行って手伝いとかしてたんです」
「へぇ、なんか意外……いつも仕事の時、ものすごい速さでキーボード打ち込んでるイメージしかなかったから」
「ひどいですねぇ。俺だって、霧島さんが酔って泥酔した挙句……」
 その先を言おうとしていた川田の口を「あー!」と叫びながら塞いだ。思い出したくもない黒歴史をこの子はこんな場所で言うなんて……
 加奈はかなりの酒豪で、日ごろは滅多に飲まないが、飲み会などに行くとかなりの量を飲む。だが部署の飲みなどの時にはガバガバと飲んだりはしないが、気心しれた川田と二人ならかなり飲み散らかし、挙句果てに二日酔いという事もよくある。
「もういい歳だし、そんな馬鹿みたいに飲まないです!」
「でも飲んで酔った霧島さんって面白いですよ!いつもは先輩風吹かせてるのに、急に……」
「これ以上変な事言わないでねぇ」
 念を押す加奈にコクコクと頷いた川田。それから買い物を済ませマンションに戻ろうとしたが、方向が逆の事に気が付いた川田がすかさずツッコんできた。
「あれ?霧島さん家こっちじゃ?」
「あーっと、今日友達の家に行くんだ」
「そうなんですね!それじゃお気をつけて!」
 買い物袋を下げたサラリーマンは、ぺこりと軽く会釈をしてその場を後にした。川田が見えなくなるまで手を振った加奈は、それから電車に乗ってマンションに戻った。

 マンションに戻ると、ここに来た日以来聞く事がなかった流暢な英語、ではなく今日は別の国の言葉が聞こえた。一体この人は何者かと思ってしまったが、ちょうどリビングに入ると電話が終わったらしく、明人はたばこの火を消し加奈を見た。
「やっと戻ったか」
「やっとって……それより今日もまたお電話なんですね」
「あぁ、今日のは仕事関係」
「へぇ、てか聞きたかったんですが、南条さんって何か国語話せるんです?今の英語じゃないですよね?」
「今のはドイツ語。そうだな。英語、ドイツ語、フランス語はざっと話せるぞ」
 なんだこのバイリンガル!
 しかもざっとと言う事は、他の国の言葉も話せるという事だ。流石は外資系という以前に、この人物は相当の大物ではないかと思った。そう言えば詩織も金持ちだとか、仕事が出来るだとか、エリートだとか……まぁ、この家を見る限り金があるのはわかる。
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