王様のいいなり!

まぁ

文字の大きさ
21 / 69

21

しおりを挟む
「何ですか?さっきの店で食べた料金半分寄越せですか?」
「馬鹿だろお前。男がこうして手を出してるんだ。さっさと手を出せ」
 なんだ……そういう事か。などと思うか!
 加奈は断固として差し出された手をとらない。ムッとした明人は無理やり加奈の手を握った。
「ちょっと!」
「お前がさっさとしないからだろ?」
「そうじゃなくてですね。一応私怒ってるんですからね?」
「お前が怒ってる事なんて昨日今日に始まった事じゃないだろ?」
 だからその怒りを誰が……と言っても無意味なので、加奈は抵抗を止め盛大にため息を漏らした。それが明人には気に入らないらしく、不機嫌な表情を浮かべた。
「何だよ!せっかく紳士らしくエスコートしてやってるんだ!少しは喜べ!お前をエスコートする男なんてこの先現れないんだからな!」
「勝手に人の人生決めないで下さいよ!」
 キーッと歯をむき出しにする加奈だが、ここはカップルのデートスポットだ。周囲のカップル達が加奈達を見てクスクスと笑っている。この場にこうしているのだから、加奈と明人は恋人に見えるのだろう。冗談ではない!
「そういえば、ふと気が付いたんですが、昨日よく私のいる場所気が付きましたね?」
「お前の所在を探すなど動作ない。何せお前がソファで寝ている間、追跡アプリを入れたからな」
「なっ!あんたは刑事か!それとも浮気調査する主婦か!」
「気が付かないお前が鈍感なだけだよバーカ!」
 まさか寝ている間にそんな事が……後で消さなくてはっ!
 だが、昨日というフレーズで川田の事が気になった。
「川田君、絶対誤解してるよなぁ……」
「川田って誰だ?」
「会社の後輩。あぁ、昨日いた童顔か」
 何てことを言うのだ!たしかに童顔だが、間違いなく明人よりも性格がいいし、あのあどけなく無邪気な笑顔は天使だ。無理やり手を繋いでいるこのセクハラ大魔王と違い……
「あの男はお前には合わないぞ」
「そういう問題じゃないわ!後輩の面倒を見るのは先輩の役目なの!」
「お前みたいな奴には年上の男が似合ってる」
 わけのわからない事をほざく明人に加奈は眉をしかめる。それよりも月曜に川田に何と説明すればいいのか。
「まっ、それはそうと……悪かったな」
「えっ?」
 今謝らなかっただろうか?たしかに加奈の耳に「悪かった」と言う言葉が聞こえた。間違いではないだろうかと思ってしまった。
「お前の初物奪ってすまなかった」
「はは、初物って言い方なんかやらしいです!」
 どうやら幻聴ではないらしい。加奈の目には明人の背しか見えないが、反省しているのだという姿勢が見てわかった。むしろこの傲慢な男が謝ったのだ。これは天変地異の前触れなのかと思う。
「その、もういいです。いやよくはないけど……とりあえず一つ星レストランで許します」
「そうか……」
 意地悪じみた言葉が聞こえた。まさかと思い加奈は明人を見る。すると明人はニヤリと不敵な笑みを見せた。
「許してくれるんだな!そうか!ならお前の機嫌は取れたという事だな」
「ちょっと待って下さい!まさか……」
「言質は取った。なら明日からはきりきりと働けよ召使」
 やられた……
 レストランに行って加奈をご機嫌にさせる為だったとは……明人は悪びれた様子はもうまったくなかった。ついさっきまで以上の俺様っぷりに拍車がかかる。
「それとお前、いい加減南条さんは止めろ。ご主人様、もしくは明人様と呼べ」
「はぁ?意味わかんない!」
「今後南条さんなどとよそよそしい言い方したらお仕置きだからな。わかったか下僕」
「なっ!下僕って……召使よりも格下げされてるじゃないですか!」
「お前など下僕で十分だ。それよりちゃんとご主人様か明人様と呼べよ」
「意味わかんない!あんたなんか明人で十分よ!」
 誰がご主人様などと呼ぶか!
 だが、加奈が明人の名を呼ぶと、明人は少し満足気な表情を見せた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

エリート課長の脳内は想像の斜め上をいっていた

ピロ子
恋愛
飲み会に参加した後、酔い潰れていた私を押し倒していたのは社内の女子社員が憧れるエリート課長でした。 普段は冷静沈着な課長の脳内は、私には斜め上過ぎて理解不能です。 ※課長の脳内は変態です。 なとみさん主催、「#足フェチ祭り」参加作品です。完結しました。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

4番目の許婚候補

富樫 聖夜
恋愛
愛美は家出をした従姉妹の舞の代わりに結婚することになるかも、と突然告げられた。どうも昔からの約束で従姉妹の中から誰かが嫁に行かないといけないらしい。順番からいえば4番目の許婚候補なので、よもや自分に回ってくることはないと安堵した愛美だったが、偶然にも就職先は例の許婚がいる会社。所属部署も同じになってしまい、何だかいろいろバレないようにヒヤヒヤする日々を送るハメになる。おまけに関わらないように距離を置いて接していたのに例の許婚――佐伯彰人――がどういうわけか愛美に大接近。4番目の許婚候補だってバレた!? それとも――? ラブコメです。――――アルファポリス様より書籍化されました。本編削除済みです。

うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや

静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。 朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。 「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。 この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか? 甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!

ベンチャー社長の元彼のヤンデレが異常過ぎる件

鳴宮鶉子
恋愛
ベンチャー社長の元彼のヤンデレが異常過ぎる件

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

処理中です...