王様のいいなり!

まぁ

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 会社復帰した明人と同伴出勤する羽目になった加奈は、毎日明人の傍若無人っぷりと、エレベータ前、またある時はビルの前で待ち構える川田との間でげっそりとしていた。
 その度にこのビルに所属する各階の女性社員からは厳しい眼差しを浴びせられ、正直心が痛い。おかげでいつもは弁当持参はよほどの事がないとしないのだが、そうしなくてはお気に入りのカフェにまでこの二人が登場し、ゆっくり出来ない始末だ。しかも二人共顔を合わせると牽制し合っている。ほとほと困り果てた加奈は、弁当持参の後に詩織達のいるメンバーの中に逃げ込むようにしていた。
 幸い詩織達のメンバーは、例の合コンで彼氏をゲットした者ばかりで、今は彼氏とラブラブで他の男には目もくれない人達ばかりだった。
「毎日毎日大変ですよねぇ」
 弁当を食べながら詩織は加奈に言ってきた。
「いや、たぶん詩織ちゃんの思う大変とは次元が違うと思う……」
「あぁ、たしかに。まさか南条さんがこっちのフロアに来た時はびっくりしましたよ!顔赤くしながらも受付嬢達止めてたし……」
 その後の方が加奈にとってはおそろしい……
 受付にいる女子達は、加奈を電話で呼び出した後、明人と去っていく加奈を凄まじい目つきで睨んでいた。振り向くのが本当に恐ろしい程に。
「川田君も頑張ってますよねぇ。あの手この手で南条さん阻止して」
 そう答えたのは一之瀬春菜で、詩織と同い年で二年後に入って来た社員の子だ。春菜は「でもぉ……」と複雑そうな表情を見せる。
「もう少しで社員旅行ですよね?南条さんの事、大丈夫なんですか?」
「そうだったぁ……」
 それまで社員旅行の事など頭になかった。いや、頭に入れる余裕などなかったのが本音なのだが……
 加奈の会社では二年に一度程社員旅行がある。もちろんそれは会社の売上げに比例するのもあり、利益が少なかったここ数年は開催されていない。景気のよかったバブル期などは毎年行われ、ハワイやらグアムと言ったお決まりの旅行をしていたようだが、二千年以降はよくて二年に一度もいつの間にか消滅した。そんな不景気ど真ん中に入社して一度もなかった社員旅行だが、昨年の売上は約五、六年ぶりによかったので開催される事になった。
「黒字二年連続達成。尚且つ羽振りよく南の島へ二泊三日……しばらく南条さんと離ればなれになる霧島さんの感想は?」
 詩織に感想を求められた加奈は「嬉しい半分、後が怖い半分」とだけ答えた。社員全員必須の旅行だ。明人になんと言われようと行かなくてはいけないが、同じ会社に川田がいる以上、後で何をされるか想像しただけでも恐ろしい……
「絶対に恐怖の大魔王の怒り買うよなぁ……」
「そんなに南条さんって怖い人なんですか?」
「怖い怖い!詩織ちゃんは関わらないから知らないだけで!」
 毎度お仕置きと題してセクハラ紛いのイタズラを仕掛けられる事、最早無限大……さすがに内容までは話せないと加奈は口に出さなかったが、詩織と春菜はお互い顔を見合った。
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