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「そんな人には見えないですけどねぇ」
「そうそう!春菜ちゃんの言う通りですよ」
「どういう事?」
「ダーリンから聞いた南条さんって、仕事はもちろんの事、クールで理知的、よく困った人を助ける良い人だって聞きますよ」
クール?たしかに黙っていればそうだろう。理知的?たしかに語学も堪能だし見るからに仕事が出来るだろう。だが、困った人を助ける?いつも加奈は困った事をされてますが?と頭の中に疑問がいくつも浮かぶ。
「そーんな人を悪魔だとか大魔王だとか……霧島さんってばホント贅沢ですよ!」
「へぇ、本性知らないとそうくるよね。てか良い人ってとこは心の底から笑えるんだけど」
「まぁ、たしかに近寄りがたい感じはありますけど。でも、霧島さんの言ってる事と南条さんがどうにも結びつかないっていうか」
それは仕方ない!何せ明人は一端外に出れば善人面をする。だが自分の家に帰ればやりたい放題だ。
「でもでもこの社員旅行って、川田君にとってはチャンスですよねぇ。私の課じゃ、霧島さんはどっちに転ぶかで賭け始まってますし」
「春菜ちゃん……それホント?」
「えぇ。川田VS南条。どちらが霧島加奈の心を射止めるか……とか、いろんな賭けが水面下で始まってますよ。主に男性陣で、女性陣も穏便な人達は参加してましたね」
「あぁ!私の課でも聞いた事ある!」
詩織と春菜は部署が違うが、それでも二つの課でそんな賭け事があるのなら、他の課でも同じような事が行われているだろう。加奈はますますテンションが下がってしまった。
「それじゃあ、霧島さん的には今はどちらに軍配が上がってるんです?」
「どっちにも上がってないよ!てか川田君も初めは爽やか天使スマイル振りまいてる後輩かと思ったら、今じゃ小悪魔満載でキャラ変わってるんだけど」
「んもー!男は狼だって言うじゃないですか!いつだってチャンスは狩りの上等手段!」
「はぁ……」
二人が盛り上がっていると、ちょうど昼食時間が終わってしまったので、午後からの業務となった。
「霧島さん霧島さん」
午後一で声をかけてきたのは川田だった。仕事をしている時は真面目で、上司である加奈にいろいろと質問してきたりするので、これも何かの質問だろうと思った。案の定、質問は社員旅行についてだった。
「今度の社員旅行。うちからも何か出し物出さないといけないですけど、何にします?」
「あぁ、それもあった……」
加奈の課で一番の若手は川田だ。だが川田一人だと何かと大変だろうとの事で、加奈も一緒に社員旅行のメインでもある夜の親睦会で出し物を命じられた。
「霧島さんって得意な事ありますか?」
「んー……特にこれってないけど、川田君は何かある?」
「俺ですか?俺も特にないですよ」
飲み会席で盛り上げるのは下の役割。そしてその席には上司他社長や常務、執行役員連中がいるのだ。下手な事は出来ない。困り果てていると、加奈達の上司がやって来た。
「ここは定番のマジックかカラオケでいいんじゃないか?」
「あぁ、たしかに……でも俺、上の連中が喜ぶような歌知りませんよ」
「そういう事なら霧島に任せとけば大丈夫だ!」
ギクリとなった加奈は、忌々しげな眼で上司を見た。上司は笑い飛ばしながら話す。
「霧島はこう見えても若者曲よりも演歌とかの方が得意なんだぞ!何せ新入社員の歓迎会で……」
「あのぉ!それ恥ずかしいから止めて下さい!」
「へぇ、霧島さんにそんな得意分野が……」
「そうそう!春菜ちゃんの言う通りですよ」
「どういう事?」
「ダーリンから聞いた南条さんって、仕事はもちろんの事、クールで理知的、よく困った人を助ける良い人だって聞きますよ」
クール?たしかに黙っていればそうだろう。理知的?たしかに語学も堪能だし見るからに仕事が出来るだろう。だが、困った人を助ける?いつも加奈は困った事をされてますが?と頭の中に疑問がいくつも浮かぶ。
「そーんな人を悪魔だとか大魔王だとか……霧島さんってばホント贅沢ですよ!」
「へぇ、本性知らないとそうくるよね。てか良い人ってとこは心の底から笑えるんだけど」
「まぁ、たしかに近寄りがたい感じはありますけど。でも、霧島さんの言ってる事と南条さんがどうにも結びつかないっていうか」
それは仕方ない!何せ明人は一端外に出れば善人面をする。だが自分の家に帰ればやりたい放題だ。
「でもでもこの社員旅行って、川田君にとってはチャンスですよねぇ。私の課じゃ、霧島さんはどっちに転ぶかで賭け始まってますし」
「春菜ちゃん……それホント?」
「えぇ。川田VS南条。どちらが霧島加奈の心を射止めるか……とか、いろんな賭けが水面下で始まってますよ。主に男性陣で、女性陣も穏便な人達は参加してましたね」
「あぁ!私の課でも聞いた事ある!」
詩織と春菜は部署が違うが、それでも二つの課でそんな賭け事があるのなら、他の課でも同じような事が行われているだろう。加奈はますますテンションが下がってしまった。
「それじゃあ、霧島さん的には今はどちらに軍配が上がってるんです?」
「どっちにも上がってないよ!てか川田君も初めは爽やか天使スマイル振りまいてる後輩かと思ったら、今じゃ小悪魔満載でキャラ変わってるんだけど」
「んもー!男は狼だって言うじゃないですか!いつだってチャンスは狩りの上等手段!」
「はぁ……」
二人が盛り上がっていると、ちょうど昼食時間が終わってしまったので、午後からの業務となった。
「霧島さん霧島さん」
午後一で声をかけてきたのは川田だった。仕事をしている時は真面目で、上司である加奈にいろいろと質問してきたりするので、これも何かの質問だろうと思った。案の定、質問は社員旅行についてだった。
「今度の社員旅行。うちからも何か出し物出さないといけないですけど、何にします?」
「あぁ、それもあった……」
加奈の課で一番の若手は川田だ。だが川田一人だと何かと大変だろうとの事で、加奈も一緒に社員旅行のメインでもある夜の親睦会で出し物を命じられた。
「霧島さんって得意な事ありますか?」
「んー……特にこれってないけど、川田君は何かある?」
「俺ですか?俺も特にないですよ」
飲み会席で盛り上げるのは下の役割。そしてその席には上司他社長や常務、執行役員連中がいるのだ。下手な事は出来ない。困り果てていると、加奈達の上司がやって来た。
「ここは定番のマジックかカラオケでいいんじゃないか?」
「あぁ、たしかに……でも俺、上の連中が喜ぶような歌知りませんよ」
「そういう事なら霧島に任せとけば大丈夫だ!」
ギクリとなった加奈は、忌々しげな眼で上司を見た。上司は笑い飛ばしながら話す。
「霧島はこう見えても若者曲よりも演歌とかの方が得意なんだぞ!何せ新入社員の歓迎会で……」
「あのぉ!それ恥ずかしいから止めて下さい!」
「へぇ、霧島さんにそんな得意分野が……」
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