鋼殻魔導兵の黎戦記

都丸譲二

文字の大きさ
82 / 86
第Ⅶ巻 沈風戦線 ― 声喰いの嵐(ボイス・イーター)

第15話 境界線の向こう側

しおりを挟む
 エインの拳が振り抜かれた直後、場は一瞬だけ静止した。

 爆発はない。閃光も、衝撃音も起きていない。だが、完成へ向かって収束していた圧力だけが、行き場を失ったように弛んだ。完成途中の神格を縛っていた均一な緊張が、同時に崩れていく。

 歪みの中心が、わずかに波打つ。

 距離を固定していたはずの空間が揺らぎ、近づいては離れ、また近づく。整形されていた遠近感が保てなくなり、場の輪郭が曖昧になり始めていた。

 エインは、その揺れの中で膝をついた。

 倒れなかったのは、殻の補助機構が最後まで姿勢を支えたからだ。だが足元の感触はほとんどなく、地面を踏んでいるという実感が薄い。力を入れれば入れるほど、体が浮き上がりそうになる。

 胸の奥が痛む。

 炎核の熱ではない。もっと深い部分で、判断を通した反動が残っていた。殴った衝撃そのものよりも、殴る対象を選び切ったことの負荷が、遅れて返ってきている。

 完成途中の翼が、軋みもせず歪んだ。

 左右の形が噛み合わず、風の模倣として成立しなくなっている。羽ばたくための構造ではなく、結果を配置するための枠だけが残り、それすらも維持できていない。

 エインは呼吸を整えながら、その様子を見上げた。

 壊れてはいない。だが、進めない。

 完成は、ここで止まっている。

 歪みの外縁で、気配が確かになる。

 ネイラが、そこに立っていた。

 距離は分からない。奥行きも意味を持たない。ただ、そこに「存在している」という結果だけが、場に刻まれている。姿は曖昧だが、視線だけははっきりとこちらを捉えていた。

 「……やったわね」

 声は静かだった。

 感情を乗せない、事実確認のための一言。

 エインは顔を上げ、歪みの向こうを見据えた。

 「完成を止めた」

 ネイラは、わずかに首を傾ける。

 「止めたのではないわ。完成できない状態にしただけ」

 その言葉通りだった。

 場は壊れていない。だが、命令を通すために必要だった一本道の判断が潰されている。選択肢が増えすぎ、最適化が成立しない。

 完成は、この場所ではもう不可能だった。

 エインは、ゆっくりと息を吐いた。

 殴った結果が、確かに出ている。

 そして同時に、次があることも、はっきりと分かっていた。


 歪みの中心で、完成途中の神格が不規則に揺れていた。

 形を保とうとしているが、均一だった圧が戻らない。縫い目はつながっているのに、判断が定まらず、次の工程へ進めない。場そのものが「決めきれない」状態に陥っていた。

 ネイラは、その様子を冷静に観測している。

 「……ここでは、もう完成しない」

 淡々とした声だった。

 エインは膝をついた姿勢のまま、視線を逸らさない。

 「それで十分だ」

 「いいえ」

 ネイラは即座に否定した。

 「それは、あなたにとって都合がいいだけ。完成しない場は、別の場所へ移せばいい」

 歪みの奥で、縫い目の一部が静かにほどけ始める。

 解体ではない。撤収だ。固定を解除し、場そのものを畳みにかかっている。

 カレナが、陣の外縁から一歩だけ前へ出た。

 「……逃がす気はないんだね」

 ネイラの視線が、初めてカレナへ向く。

 「逃げる必要はないわ。ここで終わらせる理由がなくなっただけ」

 その言葉と同時に、完成途中の翼がさらに薄くなる。風の形を模した構造が、結果として解体され、歪みの層へ溶け込んでいく。

 このままでは、ネイラは再び姿を消す。

 エインは歯を食いしばり、身体を起こそうとした。

 だが、力が入らない。

 殴った反動が、確実に残っている。殻の補助も限界に近く、無理に立てば、次は場に押し潰される。

 胸の奥で、あの静かな存在が動いた。

 抑制ではない。警告でもない。

 今の状態を正確に示すための、冷静な整理。

 この距離、この負荷、この時間。

 追撃は、成立しない。

 エインは一瞬だけ目を伏せ、そして顔を上げた。

 「……次に持ち越すつもりか」

 ネイラは否定も肯定もしなかった。

 「あなたは、完成を止める力を持っている。でも、完成を不要にする力は、まだ持っていない」

 その言葉は、事実として突きつけられる。

 場を壊せば止められる。だが、壊さずに「要らない」と判断させる段階には、まだ届いていない。

 エインは、拳を握り直した。

 今は、殴れない。

 だが、ここで終わらせる気もない。

 「……覚えておけ」

 エインは、歪みの向こうを睨みつけた。

 「次は、止めるだけじゃ済まさない」

 ネイラは、わずかに笑ったように見えた。

 それは嘲笑ではない。

 観測対象が、想定より先に進んだことへの、静かな評価だった。

 「期待しているわ」

 その言葉を最後に、歪みがゆっくりと畳まれていく。

 完成途中の神格は、完全に姿を失い、場は役割を持たないまま沈静化へ向かった。

 戦いは、ここで終わった。

 だが、決着ではない。

 エインは、その場に残されたまま、静かに呼吸を整えていた。

 次は、確実に――
 逃がさない。


 歪みが完全に消えるまで、誰も動かなかった。

 空間が畳まれ、精霊の層が元の厚みを取り戻していく。足元の感触が少しずつ重さを取り戻し、遅れていた音が、ようやく現実の速度に戻った。

 エインは、膝をついたまま大きく息を吐いた。

 殻の内部で、機構が一つずつ静止していくのが分かる。杭のように展開していた足部が戻り、関節に溜まっていた負荷が抜けていく。だが、完全に立ち上がれるほどではない。

 「……終わった、の?」

 ティナが、慎重に近づいてくる。

 灯はまだ胸元に抱いたままだ。光は弱くも強くもない。ただ、消えずに在る。

 「場は解けた」

 エインは短く答えた。

 「完成はしてない。だが……逃した」

 ティナは唇を噛んだ。

 「……また……来る……?」

 「ああ」

 エインは頷く。

 「次は、もっと条件を揃えてくる」

 後方で、カレナが陣の内側へ入ってきた。慎重に距離を測りながら、エインの様子を確認する。

 「無茶、したね」

 責める調子ではない。ただの事実確認だった。

 「止めるために、踏み込みすぎた。でも、踏み込まなきゃ完成してた」

 カレナはそう言ってから、周囲を見回す。

 窪地は、すでにただの地形に戻りつつある。白い筋の走っていた石も、役割を失ったように色を落とし、普通の岩に戻っていた。

 「……ここは、もう使えない」

 「ネイラにとって?」

 「うん」

 カレナは頷く。

 「一度、未完成のまま解体された場は、同じ条件では二度と組めない。だから次は……もっと深い場所か、もっと単純な場所」

 エインは、ゆっくりと立ち上がった。

 ふらつきはあるが、倒れるほどではない。胸の奥で、あの静かな補正が、負荷を分散させているのが分かる。

 「……あいつ、完成を諦めたわけじゃない」

 「うん」

 カレナは否定しない。

 「今回は、観測と切り分け。あなたが、どこまで踏み込めるか。どこから先は、無理をするか」

 エインは、歪みがあった場所を見つめた。

 最後に殴ったあの一撃。あれは、場を壊すためのものではなかった。完成の判断そのものに、揺らぎを入れるための拳だった。

 結果、完成は止まった。

 だが同時に、自分が「殴らずに済ませられる限界」も、はっきり見えた。

 (……次は、選ばされる)

 殴るか、殴らないかではない。

 どこまで壊す覚悟があるか、という選択だ。

 ティナが、そっと灯を見下ろす。

 「……灯……さっき……少しだけ……怖がってた……」

 エインは、視線を落とした。

 「無理をさせた」

 「ううん」

 ティナは首を振る。

 「……怖かったけど……消えたい、とは……思わなかった……」

 その言葉に、エインの胸の奥で、かすかな反応があった。

 炎核ではない。

 あの、静かな存在。

 命令だったものの名残が、ほんの一瞬だけ、肯定するように整流した。

 カレナが、それに気づいたように目を細める。

 「……あなたの中、ずいぶん、静かだね」

 「……ああ」

 エインは短く答えた。

 「暴れない。押し付けない。ただ……線を引いてる」

 どこまでが許容で、どこからが限界か。

 壊さずに済む範囲と、壊さなければ守れない範囲。

 その線が、はっきりし始めていた。

 カレナは、小さく息を吐いた。

 「それ、たぶんね、ネイラにとって一番厄介だよ」

 エインは、ゆっくりと拳を握り、また開いた。

 まだ、終わっていない。

 だが、確実に――
 次の段階に進んだ。


 窪地の中心に残っていた歪みは消え、精霊の層は自然な重なりを取り戻しつつある。だが、一度命令が入り込んだ場所だ。見た目が戻っても、同じ形で使えるとは誰も思っていない。

 風騎士たちは合図だけで動いた。陣を解き、足跡を散らし、精霊の流れを乱さない距離を保って後退する。中心を振り返る者はいなかった。そこにもう、守るべきものはない。

 エインは、最後に一度だけその場を見渡した。

 完成しかけた神格の痕跡は、目に見える形では残っていない。だが、何もなかったわけではない。判断を迫られ、未完成のまま止められたという事実だけが、場の奥に沈んでいる。

 カレナが隣に立つ。視線は同じ場所を向いているが、言葉は発さない。

 ここはもう使えない。ネイラにとっても、こちらにとっても。

 エインは短く頷いた。

 次は、もっと露骨になる。

 遅延を許さず、未完成を嫌い、殴る以外の選択肢を削る。そういう場所を、必ず選んでくる。

 それでも。

 エインは胸の奥に残る感覚を確かめた。

 補正は、まだある。

 だが以前のように支えるものではない。どこまでなら踏みとどまれ、どこから先は踏み越えるか。その境界だけを示す、静かな基準だ。

 ティナが、そっと近づいてくる。

 灯は変わらない。強くもなく、弱くもなく、ただ在る。

 その光を見て、エインは理解した。

 次は、殴ることになる。

 殴らずに済ませるために、殴らなければならない瞬間が来る。

 完成しかけたものを、完成する前に壊す。その役目を引き受ける覚悟が、自分にあるかどうか。

 ネイラは、必ず来る。

 しかも次は、退かない。

 エインは拳を握った。

 炎核は静かだ。応えはない。

 だが、そのさらに奥で、確かに何かが在る。壊すことを否定せず、無条件にも肯定しない。ただ、選択の瞬間を待つ沈黙。

 後戻りはできない。

 次に対峙するとき、未完成で止める余地は残されない。

 止めるなら、倒し切るしかない。

 エインは隊列の最後尾についた。

 風が背中を押すことはない。

 だが、進む方向だけは、はっきりと定まっていた。

 未完成を許さない者と、完成させないと決めた者。

 その衝突は、もう避けられない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。

アノマロカリス
ファンタジー
【赤魔道士】 それは…なりたい者が限られる不人気No. 1ジョブである。 剣を持って戦えるが、勇者に比べれば役に立たず… 盾を持ってタンクの役割も出来るが、騎士には敵わず… 攻撃魔法を使えるが、黒魔道士には敵わず… 回復魔法を使えるが、白魔道士には敵わず… 弱体魔法や強化魔法に特化していて、魔法発動が他の魔道士に比べて速いが認知されず… そして何より、他のジョブに比べて成長が遅いという… これは一般的な【赤魔道士】の特徴だが、冒険者テクトにはそれが当て嵌まらなかった。 剣で攻撃をすれば勇者より強く… 盾を持てばタンクより役に立ち… 攻撃魔法や回復魔法は確かに本職の者に比べれば若干威力は落ちるが… それを補えるだけの強化魔法や弱体魔法の効果は絶大で、テクトには無詠唱が使用出来ていた。 Aランクパーティーの勇者達は、テクトの恩恵を受けていた筈なのに… 魔物を楽に倒せるのは、自分達の実力だと勘違いをし… 補助魔法を使われて強化されているのにもかかわらず、無詠唱で発動されている為に… 怪我が少ないのも自分達が強いからと勘違いをしていた。 そしてそんな自信過剰な勇者達は、テクトを役立たずと言って追い出すのだが… テクトは他のパーティーでも、同じ様に追い出された経験があるので… 追放に対しては食い下がる様な真似はしなかった。 そしてテクトが抜けた勇者パーティーは、敗走を余儀無くされて落ち目を見る事になるのだが… 果たして、勇者パーティーはテクトが大きな存在だったという事に気付くのはいつなのだろうか? 9月21日 HOTランキング2位になりました。 皆様、応援有り難う御座います! 同日、夜21時49分… HOTランキングで1位になりました! 感無量です、皆様有り難う御座います♪

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

無自覚に世界最強だった俺、追放後にチートがバレて全員ざまぁされる件

fuwamofu
ファンタジー
冒険者団から「役立たず」と追放された青年リオ。 実は彼のスキル《創造》は、世界の理を作り替える最強の能力だった。 追放後、孤独な旅に出るリオは、自身の無自覚な力で人々を救い、国を救い、やがて世界の中心に立つ。 そんな彼の元には、かつて彼を見下していた美少女たちが次々と跪いていく──。 これは、無自覚に世界を変えてしまう青年の、ざまぁと覇道の物語。

異世界転生したので、文明レベルを21世紀まで引き上げてみた ~前世の膨大な知識を元手に、貧乏貴族から世界を変える“近代化の父”になります~

夏見ナイ
ファンタジー
過労死したプラントエンジニアの俺が転生したのは、剣と魔法の世界のド貧乏な貴族の三男、リオ。石鹸すらない不衛生な環境、飢える家族と領民……。こんな絶望的な状況、やってられるか! 前世の知識を総動員し、俺は快適な生活とスローライフを目指して領地改革を開始する! 農業革命で食料問題を解決し、衛生革命で疫病を撲滅。石鹸、ガラス、醤油もどきで次々と生活レベルを向上させると、寂れた領地はみるみる豊かになっていった。 逃げてきた伯爵令嬢や森のエルフ、ワケありの元騎士など、頼れる仲間も集まり、順風満帆かと思いきや……その成功が、強欲な隣領や王都の貴族たちの目に留まってしまう。 これは、ただ快適に暮らしたかっただけの男が、やがて“近代化の父”と呼ばれるようになるまでの物語。

処理中です...