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レベル5.女騎士と女奴隷と告白
9.女騎士と女奴隷と花火(後編)
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「うひゃあ! なんだこれは! こんなちっちゃな紙筒が火を吹いたぞ!」
「ちょっと怖いけど、でもすごく綺麗ですぅ~!」
リファもクローラも初めての手持ち花火に大はしゃぎ。
打ち上げ花火とはまた違った楽しさがあっていいよな、こういうの。
俺は怪我のせいで立てなかったため、ベンチの上に胡坐という体勢でやっていた。
あんまり激しいと火花が膝の上に飛び散るので、おとなしい線香花火で我慢する。
「しかし、これはどんな技術を使ってるのだ? キカイを使うでもなく火につけただけでこんなに激しい炎が出せるなんて! 爆薬でも仕込んでるみたいだぞ!」
「みたいも何も、爆薬に決まってんでしょリファっち。この中にたーっぷり詰まってんのよ。知らないの?」
「ダニィ!? そ、そんな危険なものを使うなど狂気の沙汰ではないか! 普通なら兵器に使うようなものだぞ!」
「そこがすごいんじゃないか。人を殺すような兵器にしかならないものが、こんな風にきれいで楽しいおもちゃとしても使えるんだ。実にすばらしいじゃないか」
軽くパニックを起こす女騎士を、箱根さんは噴出花火のセッティングをしながらなだめた。
反対にクローラは地面を這うねずみ花火を目で追いながら冷静に分析する。
「確かに……さっきの『しゃてき』とやらも、元来人を殺すはずの銃を遊び道具にしてましたし」
「そうだね。第一この世界の爆薬だってもともと工事とか人の役に立つために開発されたものだったんだし」
「あ、なんかそれ聞いたことあります。のーべる、とか。だいなまいと? でしたっけ」
「ご名答。詳しいね。さすがは留学生」
箱根さんは彼女の方に背を向けたまま褒め称えた。
一瞬何で知ってんだよとも思ったけど、しょっちゅう自分のPCでいろんな知識を得ているなら不思議ではないか。まぁ留学生云々はあまり関係ないかもだけど。
「あの人も不憫だよ。せっかく世のため人のためにと苦心して作ったものが、人殺しの道具として使われるなんて」
「……っ」
クローラが押し黙るのと同時に、しゅんとねずみ花火の火が消えた。
もちろん店長は悪気があって言ったわけじゃないだろうけど、その言葉は今の彼女には突き刺さるよな。
俺が複雑な気持ちで見守っていると、彼はちらりとうずくまっている女奴隷の背中を一瞥した。
「ま、結局技術は使う人と用途次第ということさ。こうして僕らは人殺しのためじゃなく、楽しく遊ぶための手段として使えている。それだけこの世界が平和だってことなんだよ」
「へい……わ」
「ああ。誰も傷つけ合わなくて済む世界。君達のいたような世界とは違う……もっとも幸せな場所さ。実にすばらしいと思わないかい?」
「……」
クローラはそこで背後の店長を振り返る。黙々と作業を進める彼に何か言葉をかけようと口を開きかけたその時。
「ほらーっ! そこの二人! 何この盛大なパーティん時にしけた面して小難しい話してんのぉ!」
ぶしゃああああああ! と火花を迸らせる火薬筒を持ったギャルが、嬉々とした表情で猛ダッシュで襲いかかってきていた。
その姿はまるで通り魔、いや放火魔。彼らの前でぶんぶんと花火を振り回すと、光り輝く模様が空中に描かれる。
遠目で見る分にはいいが、近くの人間には危なっかしくてたまったもんじゃない。
「うりゃりゃりゃー! くらえ店長! らいとにんぐすぷらーっしゅ!」
「ぉわちゃちゃ!! こらやめてよナギちゃん! 服が焦げるだろ! これ結構気に入ってるのに!」
「えー? なになにー? 花火の音がうるさくて聞こえなーい! りぴーとあふたーみー!」
「それを言うならPerdonだろ! あーもう、見たまえクローラちゃん! こーゆう奴がいろんな技術を戦争みたいなよからぬことに転用していくんだよー!」
「戦争ー? おーいいじゃないっすか、じょーとーっすよ! さっきの恨みとことんここで晴らさせてもらうっすー!」
「まったくいい度胸だねぇ、仮にも上司に向かって! 仕方ない、勝負は今来たァ!」
なーにをやってんだか、子供かよあの二人は……見てらんねぇ。
頭を抱える俺の横で、クローラとリファも困惑した目つきで彼らを見ていた。
ほーらもう、こいつらにまで呆れられてるし。こりゃいい反面教師だな。ああいう人間にだけはならないように気をつけなね君たち。
「「楽しそう」」
「おいこら」
○
「ふぅー! 楽しかった!」
プチ戦争は箱根さんの早々の降参により終結し、満足したような笑みを浮かべながら渚が俺の隣に腰かけてきた。
パタパタと手で自分を仰ぎながら彼女は生足をわざとらしく露出させて足を組む。
俺はなるべくそっちの方を見ないようにして、問いかける。
「花火見られなかった鬱憤は晴れたかよ?」
「ぼちぼちっすねー。でもこれはこれで結構面白かったから良しとしましょう。ぁふ」
そう言ってギャルは大きな欠伸を一つ。
異世界コンビと箱根さんは向こうで噴出花火に夢中。太めの筒から火山噴火のごとく吹き出るカラフルな炎に大はしゃぎであった。
「つーかセンパイはさっきからずっと線香花火じゃないっすか。いいんですか他にもまだ花火いっぱいあるのに」
「何度も言ってるだろ。怪我してるからこれで我慢するしかないの」
「みじめっすねー。花火が見らんなかっただけでなく、おもちゃの方でもこんなひんそーなのでしか楽しめないなんて」
うるせぇほっとけ。
ていうか俺はふつーに打ち上げの方も見たから。豪華で綺麗だったしでボクは満足だから。チョコなのにヘルシーで草彅も満足だから。
そういってしばらくぱちぱちと静かにはぜる線香花火を見つめていると、渚がおもむろに口を開いた。
「もう夏も終わりますね」
「何? いきなり」
「や、いろんなものがこれから変わってくんだなーって思って」
「あ?」
変わるって? まぁそりゃ季節が変わりゃそうなるだろうよ。
木々の色、服装、食べ物……。もう何度も経験してるからあんまり意識はしてないけど。
「そう。世界はそうやって変化を遂げていくもの。いついかなる時も、常にめまぐるしく」
「どうしたんだよ突然……」
そう訊いても、渚は明確には答えず、背もたれに背中を預けて遠い目で夜空を仰いだ。
「ねぇセンパイ。前にも一度訊いたことありますよね」
「何を?」
「変化を求めるか、それとも今の現実を続けるか」
「……」
「あたしにはよくわからないんですよね。どっちも大事なように思えるし、どっちかに固執してもダメなような気がする」
口だけを動かしてギャルは普段らしからぬ口調で続けた。
「世界は常に変化するけど……じゃあ自分はどうすればいいんですかね。その流れに素直に乗るってことは、新たなものを得られはするけど、それと同時に色んなものを失っていくことになる」
「……」
「だけど流れに逆らって無理に今のままでいても……これから先に待つ可能性を全部捨てることになる。そう考えると、どうするのが正しいのかなって」
「……」
何を言い出すかと思えば。
ああ、そうだ。確かに同じ質問をこいつから受けたな。クローラとリファのおつかいについて行ったときだっけ。
なんでまたそんなことを尋ねてきたのかは知らないけど、俺の答えはそのときと変わらない。
「知るか」
端的にそう言うと、渚が眼だけを動かしてこちらを見た。
そんな彼女に向かって、俺はだんだん膨らんでいく線香花火を見つめながら続ける。
「どっちが正しいもクソもないだろ。大体そんなの人に聞いて決めることじゃない」
「……」
「いずれにしろ、最終的に決めるのはそいつ自身だ。違うか?」
そしてその上で最も重要なのは、確たる自分の意志を持つこと。
異世界の掟だけど、本当にこの世界でも大切なことだと思う。
だってそれがないと、決めることすらできないんだから。
ただ周りに流され続けるだけなら、それによって自分を偽ってしまうなら、それは変化でも現実を続けることでもない。
「でも、意志だけをしっかり持ってれば色々見えてくる。世界が変化する中で自分が何を守り抜いて、そして何を変えていくべきなのか」
それが、人間ってやつだろ?
「……面倒くさいなぁ」
渚は自虐気味にそんないつものセリフをこぼす。
ま、確かに今回は同感だな。
意志をずっと変えずに維持することはそんな容易な話じゃない。
人生の中で幾度となく弊害に阻まれ、幾度となく逆境にぶつかって、途中で諦めざるを得なくなった奴は山ほどいるだろう。
でも……どれだけ大変でも、どれだけ面倒くさくても……それを最後まで曲げないことで気づけるモノは、きっと何よりも価値があると思う。
「ふーん、そっか」
渚はなんの感情もこもってなさそうな声で言うと、身体を起こして今度は前屈の体勢になる。
その表情は、横髪に隠れて殆ど見えなかった。
「じゃあもう一つ訊いていいっすか」
「ん? なんだよ」
「センパイは……見つけましたか? 守るべきものってやつ」
「……ああ」
俺は静かに頷いて、線香花火を見つめる顔を上げた。
その視線の先には、きゃっきゃと楽しそうに花火で遊んでいる無垢な少女が二人。
「あいつらと一緒にいられる暮らし。それが俺の守るべき、大切なものだよ」
「……」
「どれだけ世界が変わっていっても、これだけは絶対に譲れない。この現実だけは、守り通すつもり」
それと同時に、彼女達と一緒に変わっていかなくちゃいけないものも気づけた。
この世界についての文化や技術、価値観。古いものから脱却し、新しいものを習得し、成長していかないといけない部分はまだ山程あるんだ。未来に待つ新たな可能性のためにも、いつまでも立ち止まるわけにはいかない。
三人一緒に、この変わりゆく世界を生きていく。
それが……彼女達と出会ってきづけた、俺の心からの意志だから。
そう胸を張る俺の傍らで、渚の口から小さな笑いがこぼれた。
「……なんだか、センパイって変わりましたよね」
「……そうか?」
「ええ。とっても。あたしですら読めない人になってきた」
ふっ、と今度は俺が鼻で笑う番だった。
「今までは完全に俺のこと丸わかりだったみてぇな言い草だな」
「実際そうでしたからね。なんたってセンパイとあたしは一心同体みたいなもんですから」
……ったく、口の減らない奴だ。
おっと、そろそろ線香花火の火玉が落ちそうだ。慎重にバランスを取らないと。
「センパイ」
と、その時である。渚が突然こちらにもたれかかり、俺の肩に自分の頭を乗せてきた。
口から心臓が飛び出るかと思った。な、なに……なんのつもりだこいつ!?
だが焦りに焦る俺とは対照的に、落ち着き払った口調で渚は耳に口を寄せて話す。
「これから本当に多くのものが変わっていきます。センパイが知らないうちに、周りの何かが別なものに置き換わってるかもしれない。たしかに自分の記憶はこうであったはずなのにと思っていても、いずれ曖昧になり、やがてそれが本物だと思い込むかもしれない……」
「お、おい……渚」
「黙って聞いて」
静かだったが、有無を言わせない声で彼女は俺の言葉を遮断した。
「でもこれだけは忘れないで。あなたの言う、大切なものとそれを守るという自分の意志を」
「……」
「そうすれば、きっと大丈夫なはず」
そこで渚は俺の手を握り、力を込めた。
「たとえ、最終的に全てを失うことになったとしても、希望は残ります」
ぽたり、とそこで線香花火の火玉が落ちた。
地面に墜落したそれは、まるで寿命が尽きるように橙の明るい色が失せ、周囲と同じ闇色に染まっていった。
「何もかもが偽物になったとしても、センパイのその意志だけは本物だって信じてますから」
そう締めくくり、渚はようやく俺を解放した。
なんだか意味深なことを言われたが……どういうことなんだろう。
知らないうちに置き換わる? 記憶が曖昧に? そして、全てを失う?
よくわからない。何を意図して、何が言いたくてそんな話を俺にするのか。
だからそれを聞いて何をすべきなのか、そもそも何かをすべきなのかもわからない。
だけど、一つだけ言えることはある。
「俺は俺だ」
俺は小さく、だけど力強くそう返事をした。
「どんな弊害があっても、どんな壁にぶつかっても、俺は今も昔も、そしてこの先もこの俺のままだよ。本物も偽物もない……怠け者で、お調子者で、ちょい自己中で、それでも最後までやり遂げると決めたらとことんやる男。だろ?」
「センパイ……」
「俺が俺である限り、俺の意志も変わらない。だから心配すんな」
「……」
きょとんとして俺の横顔を見つめる渚。
だったが。
「ぶふーっ! 何すかセンパイそのキザったらしいセリフ! マジウケんだけど! ちょwww もっかいやってもっかいwwww」
気がつくと彼女は、いつもの木村渚だった。手を叩いて腹を抱えて大爆笑。
てめぇ……おちょくってんのか真剣なのかどっちだよ!
「いやいやうそうそジョーダンジョーダン! 今のめーっちゃカッコよかったっすよ? 濡れたわマジ。見ます?」
「見ねぇええよ!!」
まともに相手した俺が馬鹿だったよ! くっそこういう奴だってのは前々からわかってたはずだろーに……。
「なぁーぎぃーさぁどーのー?」
と、そんな騒ぎを聞きつけて黙っちゃいないのは誰かって?
それはね、ワイヤードの女騎士。怒り出すとこめかみにビューティフルな青筋がメニーメニー。
点火済みの花火を両手に携えて、のしのしと静かな怒りのオーラを纏って行進してくる。
「マスターにちょっかいを出すのはやめろと言ったはずだが?」
「知ってるよ~ん! だからねっとりいたわってあげてたんじゃーん」
だが悪びれず渚は挑発するように、あろうことか俺に腕を絡ませてくる。
それを見てますますリファの怒り度メーターが上がってさぁ大変。
「そのいたわる内容が毎度毎度いかがわしいと言っとるのだがなぁ? いい加減にしないと渚殿とて容赦しないぞ?」
「うっわー、何キレちゃってんの? さっきも言ったでしょ、これからは正式に恋敵だからセンパイ盗られないよう気をつけなよってさ。だから隙を見せたそっちのせい~」
「くぬぬ~っ! だったら力づくで取り返すまでだ! 決闘だ決闘!」
「ほほーん! こりゃいい機会だ。いつぞやの料理対決も結局勝負は曖昧に終わったからねぇ。ここで白黒はっきりつけようかぁ!?」
嬉しそうに渚は言って線香花火を二本持ち、リファにそのうちの一本を渡す。
「ルールは簡単、線香花火が早く落ちた方の負けだよ!」
「望むところだぁ!」
二人の勢いから見れば思ったより温和なルール。
だがそこには女同士の譲れない熱い戦いがあった。花火だけに。
「ご主人様」
真剣勝負の真っ最中なお二方を冷めた目で見物していると、クローラがベンチの傍に歩いてきた。
彼女はさっきみたいにお姫様らしく浴衣の裾を両手でつまんで、軽くお辞儀をした。
「ご一緒してもよろしいですか?」
○
「ぐぉぉぉ! また負けた! 何故だ、何故なのだぁ!?」
「駄目だよリファっちぃ、ただ動かなきゃいいってもんじゃないんだよ~。風向きとか持つ位置とかそういうところも考慮しないとー!」
「くそー、もう一度だ! 次こそは勝つ!」
「へいへい」
もう何戦目かになるその線香花火試合を尻目に、俺とクローラも二人で静かに線香花火を楽しんでいた。
「派手なのもいいですけど、やっぱり私的にはこういう静かな方が性に合う気がします」
クローラはスライドショーのように変わる火花の模様をうっとりと見つめながら言った。
そんな様子を横目で眺めていると、なんだか自然と口もろがほころんでいくのを感じた。
「なんだか、変わったよな、クローラ」
「……そう見えますか?」
「ああ、なんだかすごく自然に笑えるようになったなって気がする」
花火会場で見た、無理に作り上げたようなものとは違う。
心から本当に楽しいと感じていると、はっきりわかる。
いつもの彼女に戻ったというより、これまで以上に明るくなったみたいだ。
これが……成長したってことなのかな。
「ご主人様のおかげですよ。私が偽りの自分を抜け出して、本当の自分を打ち明けるきっかけを作ってくださったからこそです」
はにかみながら彼女はこちらに少し身を寄せた。
「今までの私は、あの過去を心のうちに押し込めていたが故に、心からの感情を表に出すことがあまりできませんでした。意志を捨てて奴隷らしくふるまわなければ、って信念にとらわれて」
その言葉に俺は下唇を軽く噛んだ。
今日初めて明らかになったクローラの過去。
ワイヤードの王族から奴隷にまで叩き落され、自分を誰にも理解してもらえないまま死んだという、あまりにも理不尽で残酷な人生。
「ごめん……もう少し早くに気づいてやれたら、こんな辛い思いさせることもなかったのに」
「何を仰います。クローラは今回の一件で、あなた様に感謝してもしきれないくらいの御恩ができました」
「……」
釈然としなかった。
自分が彼女の過去と、本心に気付けなかったことだけじゃない。
なぜ俺は……最初からそのことを知ろうとしなかったんだろう。
クローラがこの家に来たときから、出会ってすぐに訊けてもおかしくないはずだった。
どうして君は死んだの? と。
もちろん彼女が素直に答えるかどうかという問題もあるし、むしろリファの手前じゃはぐらかす可能性の方が高かっただろう。でもそういう問題じゃない。
俺は、質問しようとしなかったどころか、疑問にすら思わなかった。
完全に彼女の過去についての興味や関心を持っていなかったんだ。
まるで……今日に至るまで、それを知ろうとする意志を誰かに奪われていたみたいに。
「でも、もう大丈夫ですよ。ご主人様」
深刻な面持ちでいたためか、優しい声でクローラが話しかけてくる。
「もうワイヤードにいた頃のような苦しみも、リファさんとの確執の辛さも味わうことはないのです」
「クローラ……」
「私はこの世界に来て前者から解放され。そして今日、本当の自分を知ってもらえたことで後者からも解放された。これで痛みは癒されたといってもいいです」
胸に手を置き、彼女は感慨深そうに眼を閉じた。
「これからは、もう奴隷としてではなく、クローラ・クエリという一人の人間としてご主人様に気兼ねなく接していけるのですよ。これほど私にとって幸せと呼べることはありません」
「……」
対等な人間として、お祭りの会場で見せたようなあの気さくで無邪気な彼女のままでいいと。
彼女が見た夢が、今現実になったのだと。
それは何物にも代えられない喜びがあるのだろう。
「だから、もう何も気にすることはありませんよ」
「そっか……そうだよな」
こうしてクローラはここにいる。ならそれでいいじゃないか。
彼女が全てを克服して先へ進もうとしているのに、俺がいつまでも過去のことに囚われてちゃだめだよな。
「わかったよクローラ。俺達は……ずっと一緒だもんな」
「はい!」
嬉しくてたまらないという気持ちを体現するように、彼女は元気よくそう言った。
「それでは、これからも宜しくお願いしますね、ご主人様」
「……ん」
「? どうかしました?」
気の乗らない返事を返す俺に、怪訝そうな表情でクローラは顔を覗き込んできた。
俺はしばらく渋っていたが、それでもやっぱり言うなら今しかないなと、思い切って提案することにした。
「あのさクローラ」
「はい、なんでしょう」
「その……ご主人様っての……やめてみない?」
「!!?」
ガーン! というSEとともに、クローラは顔面蒼白。身体も硬直。線香花火は速攻で落ちた。
「そ、そんな……」
わなわなと肩を震わせながら目に涙を浮かべる女奴隷さん。
見る見るうちに目には涙がたまり、あふれた大粒のそれは頬を伝って膝に滴り落ちていく。
「も、もう……クローラは必要ないと仰るのですか……?」
「なっ!? 違、違うよ! そういう意味じゃなくて!」
「せっかく、せっかく恋人同士になれたのに……一時間も経たないうちに絶縁宣言なんて……あんまりですぅ!」
「だーから違うってば!」
んもうここにきて人の話を聞かない悪い癖が出るとはまいったなもう!
「絶縁じゃなくて、呼び方の話!」
「よびかた?」
「そうだよ」
俺は落ちた線香花火の残骸をバケツに放り投げて一息つく。
「だって、せっかく対等に接せるようになったわけじゃん? だったらこう、話し方とか呼び方をずっと主従関係っぽくするのはどうかなーって」
「あぁ、そういうことでしたか。申し訳ございません、とんだ早とちりを」
ぺこりとクローラは頭を深々と下げるが、未だに俺の指示には納得しきれてないみたい。
「しかし、ご主人様呼びがダメとなると……どうお呼びすればいいのか」
「そこはまぁクローラの自由にすればいいと思うけど……」
「うーん、急に言われるとすごく悩みますね……」
腕を組んで真剣に暗中模索するクローラさん。そんなに深く考えることないと思うけど。
「もしかしてさっきみたく『あなた』呼びしてくれちゃったり?」
「なっ!? ななななななないですないですそれはないです!」
顔真っ赤にして猛否定された。
なんだよ、あの時はノリノリだったくせに。
「あ、あれは一時の気の迷いというか……些か私としては早計が過ぎたというか……」
「え? なんだって?」
「と、とにかくあれはまだダメですっ! もっと段階を踏んでからでないとダメなんですっ!」
ブンブンと手を降って、是が非でも拒否してくる。ここまでムキになるのも珍しいもんだ。
「と、とにかく……これは宿題にさせてください」
「しゅくだい?」
「すぐには思いつきませんから……。だから時間をください」
「いや、別にそんな大した問題じゃないんだから――」
「大した問題です! だって……」
ぎゅ、と膝の上に置いた手を握りしめて彼女は俺を真っ直ぐ見据える。
「だって……世界で初めて好きになった人の呼び名なんですから」
「お、おう……」
改まって言われると、なんか照れるな。ま、期限があるわけじゃなし。じっくり考えさせてやればいいか。
「わかったよ、じゃあ楽しみにしてる」
「あ、ありがとうございます」
ヒートアップしすぎたのを自覚したのか、慌ててまたペコペコと頭の上下運動を再開。憂いやっちゃのぉほんま。
「おーい! みんなー!」
すると向こうで何かやっていた箱根さんが大声で俺達を呼んできた。一体なんだろう。
彼は白い歯を見せて笑うと、自らの後ろに設置したものを親指で指さした。
「打ち上げ花火、準備できたよ」
○
「随分でかいですね。しかも、ひいふうみい……二十発も!」
大きな石で固定され、ずらりと並んだ大筒を見ながら言う俺に、箱根さんは額に浮いた汗を袖で拭きながら自慢げに話す。
「やるなら盛大にやんないとね。一発やってハイ終わりなんて味気ないでしょ」
「セックスと同じっすね」
黙っとれ。
「でも大丈夫ですかね? 近所の人とかに騒音とかで通報されたりとかしたら……」
「あー、大丈夫大丈夫。その時は君だけサツに突き出して僕らは逃げるから」
わかったすいませんすいません。謝りますから機嫌直してくださいごめんなさい。
「よーし、みんな準備はいいかい?」
というわけで、俺達はベンチの周りに集まって待機。あとは箱根さんが火をつけるだけだ。
導火線はバラバラの長さに調整してあるから、タイミング的にも退屈させないのは間違いないだろう。
皆がドキドキしながらその瞬間を待つ。
リファは念の為か剣の柄に手をかけて。
クローラは俺の後ろに隠れるようにして。
渚はインスタにでも上げるのかスマホカメラの準備をしっかり整えて。
「じゃいっくよー!」
チャッカマンのスイッチを押し、並んだ花火に次々に火をつけていく。
全ての導火線に着火し終えた店長は急いで俺らのもとに戻ってくる。
そして一瞬の静寂の後。
ひゅ~どーん!!
どどーん! どぉーん!!!
ぱぁーん!
煙を上げて、轟音とともに大迫力の花火が空に広がった。
間近で見てるせいか、その光景は本物の打ち上げ花火に勝るとも劣らないものであった。
夏だけどまさに春爛漫。これにはそこにいた誰もがも大口を開けて魅入ってしまう。
「すごーい!」
「……絶景だ」
「うっひょー! たーまやーい! ポーチやーい!」
感激する者。うっとりとする者。大興奮する者。
様々な反応が入り乱れる中、どんどん花火は空に打ち上がっていく。
グランドフィナーレ。まるで物語の最後の舞台を華やかに彩るような演出だ。
悲しくも嬉しくもないのに、やべぇ……なんか泣きそうだ。
「すごく綺麗だな、マスター!」
「見てますかご主人様! すごいですよ!」
その花火みたいな明るい声で言ってくる俺の恋人達。
彼女らのその笑顔を見て、俺の視界はますます涙で潤んできた。
「ああ……ああ!」
無限に続くかと思われるほど、花火は打ち上がり続けていた。
俺達の歓声に応えるように。いつまでも、いつまでも。
けれど、どんなものにも終わりはくる。
少し寂しいし、悲しいけど……だからこそ、今しっかり見ておくんだ。
この日、この時に抱いた感動は……絶対に忘れない。
その想いを胸に、俺達はこれからも先へ進むんだ。
クローラ・クエリと、リファレンス・ルマナ・ビューア。
この世界で出会った、異世界人であり、同居人であり、恋人である二人と。
ずっと、ずーっと一緒に。
もうすぐ……夏が終わる。
○
「じゃばいばーいセンパーイ、リファっちー! クロちゃーん!」
「バイトくーん明日シフト入ってるの忘れないでよー! サボったら減給だよ減給!」
花火が終わり、片付けを済ませた後、渚&店長はそう言って帰っていった。
なんとか苦情は来なかったみたいだな。ま、無事に終わってよかった。
「じゃあ私達も帰ろうか。マスター、立てるか?」
「ええ、もう遅いですし」
「……」
荷物をまとめていた異世界コンビだったが、俺は少し気がかりなことがあってそのベンチから立ち上がれずにいた。
それに気づいて、二人は心配そうに駆け寄ってくる。
「どうしたマスター? まだ傷が痛むか?」
「よろしければ肩をお貸ししましょうか?」
「え? あ、いや……傷は落ち着いたよ。立つのも……なんとか大丈夫」
この通り、と俺はすっくとその場から直立してみせた。まだ気を抜くとちょっと足元がふらつくけど、帰宅するのに支障はなさそうだ。
ただ……問題はそこじゃない。
あの剣……エンジンブレードのことだ。
シ霊にとどめを刺して意識を失って、そのあとどうなったんだろう?
「マスターを空中で拾ったときには、どこにもなかったな」
「きっとどこかに落ちてしまったのでは?」
「そりゃまずいな」
すっかり忘れて花火に興じてしまったが、あんなもんが誰かに見つかったら大変だ。あと元素封入器
エレメント
も。異世界の産物が世に知れたとなっちゃ絶対ややこしいことになる。大事になる前に探さないと……。
「でも、ここら一帯を闇雲に探すというのも」
「けいさつに探してもらうのはどうだ? ワイヤード兵は紛失物対応も仕事のうちでな」
「だから俺ら以外の人に見られたらダメなんだって……くそーどうしよう、もう暗いから明日にするしかないか……」
……いや待てよ?
空中に打ち上がってそこから落下する際に、俺はあれを手放した。
そして、シ霊に最後の一撃を叩き込む時になって、もう一度その手に呼び戻した。
「来い」……そう叫んで。
もしかして……俺の意志に反応していつでも召喚できるシステムだったりするのかな。
……。
なーんて、ないない。あるわけないって。
意志は意志でも、強い意志ってオチだろ? あん時は無我夢中で、ああしないと敵を倒せなかったからこそできた芸当であって。
そんななんでもない時にパッと出せるわけがない――。
ずしん。
と、そう思った矢先になんか右手に重たい感覚が。
……ん?
何かなー、と三人全員俺の手元を見る。
したら。
あった。
鍔にエンジン、峰に歯車、めちゃくちゃ重厚な機関剣が。
「ほぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
変な声が出た。いや出るだろ、これ誰だって出るとこだろふつー!
なんで? なんでこんな平然と現出しちゃってんの? 敵いないよ? 周囲イズベリーピースだよ? ちったぁタイミング読もうやエンジンブレードくん!
「ちょ、ちょ? これ何? どうなってんのよ?」
「いや私に聞かれても……」
「ご主人様が出したんじゃないんですか?」
右往左往しながら二人に尋ねてみても、冷めた反応が返ってくるのみ。もう何なんだよ~!
とにかくこんな物騒なもの町中で振り回してるのを目撃されたらそれこそやべぇ!
どっかに隠さないと、いやもういっそのことこの場で消しちまえば……ってどうやって消すねん! アホか!
「「消えた」」
「ホワァイ!?」
望み通り、あっさり俺の手元からエンジンブレードは消え去っていた。今俺が握っているのは空気のみ。
どこかに飛んでいったわけでも、透明になって見えなくなったわけでもない。完全に跡形もなく消滅しちゃった。
何なの、今の……夢? 夢? 夢なの? 幻覚? 怪我で頭がおかしくなっちゃった?
……。
…………。
………………。
もっかいやってみるか。
「出ろ」
出た。
「消えろ」
消えた。
「も一度出ろ」
も一度出た。
……。
「わけわかんねぇぇぇぇぇぇぇぇぇー」
俺はへなへなとその場に崩れ落ちる。
どーなってんだよこれ……。俺超能力にでも目覚めちゃった系? 誰か説明してくれよ。一番知ってそうな異世界人も首傾げてるだけだしさぁ~。
……よくわからんけど、もういいや。自分の意志で出したり消したりできるなら。失くすよりかはずっとマシだ。
ずっしりと重たいその剣を支えに、俺は立ち上がった。
そしてその柄を持って、女騎士の方に差し出す。
「ほれ」
「は? 何だ?」
「返すよ。お前の剣なんだろ」
「……」
持ち主のものは持ち主に返すのが基本。どうせ俺が持ってたって意味ねぇし。
リファはしばらくぽかんとしてそれを見ていたが、やがてそっと手を伸ばし……。
すぽん!
と、装着されていた元素封入器だけを抜き取った。
「これだけでいい。剣の方はマスターが持っててくれ」
「はい?」
予想外のリアクションに俺が目を丸くする中、彼女は腰に挿した100均ソードの鞘をぽんと叩いた。
「もう私にはこの剣がある。こっちのほうがもう慣れたし」
「えぇ……でも愛着あるって言ってたじゃん」
「それはそうだが、マスターが自由に出したり消したりできるなら、なおさらそなたが持つべきだと思うが」
ど正論100%。一分一厘返す余地もない。
「これからもあのような化物がいつ襲ってくるかわからん。そのためにも護身用という意味で持っておいて損はないのではないか?」
護身の域軽くオーバーしてるような気がするんですがそれは大丈夫なんですかね……。
「心配するな、品質と威力は私が保証する。言ったとおり超強力だったろう?」
「まぁな……」
しょうがない。これは俺が責任を持って管理するとしよう。
確かにあの化物……シ霊がまたいつ現れるかわからないからな。本当に、一体なんであんなのがこっちの世界にまで来たんだか……油断はできないな。
「そういえば、クローラはなんでこの剣の使い方知ってたんだ?」
「ああ、それは私が作ったからです」
「「ええええ!?」」
しれっと衝撃の事実を暴露するクローラさん。俺もリファも唖然愕然大仰天。
「お、お前が? これを?」
「はい。スキュール・トランケートを完成させる傍らに開発を進めた、キカイと武器の融合体。その試作品です」
「そうだったんだ……」
「量産の計画はありましたが、私が奴隷に落とされてそれも頓挫しました。だからそれが現存する唯一のものなのですよ」
世界に一つだけしかない、最初にして最後の、キカイ剣。
なるほど、キカイ大戦の栄誉の品として相応いな。
「私も結構試し斬りとかしたんですが、結構いい出来に仕上がったと思いますよ」
「マジか……お前も剣術とかやってたんだね」
「王族だったので、子供の頃から騎士団の方などに色々稽古付けてもらってたんです」
「なるほど、どーりで戦い慣れてたわけだ」
そう言って、俺は改めてそのエンジンブレードをじっくりと眺めた。
初めはけったいなものとしか思わなかったけど、ちゃんと観察してみると見事な作り込みだし、何よりかっこいい。実用性も十分だし、戦いの戦利品ってことになるのかな、一応?
「ま、こうなった以上ありがたく使わせてもらうよ。クローラ、リファ」
「ああ、そのためにも日々の鍛錬を怠るなよ?」
「ふふ、ちゃんとお手入れしてあげてくださいね」
微笑みながら二人は新たな力を手にした俺にアドバイスしてくれる。
この先使う機会があるかはわからないけど……もしまた戦うことになったら、ちゃんと二人を守れるようにならないとな。
二人は俺の、かけがえのない恋人なんだから。
「ところで、この剣ってなんか名前あるんだったよな、クローラ」
「ええ。リファさんから聞いてたりしないんですか?」
「それがこいつ忘れちゃったみたいでさ、思い出せないんだとよ。すごく大事にしてたとか言っといて」
「……面目ない」
「そうでしたか」
こほん、とワイヤードのキカイ創始者であるクローラ・クエリは咳払いすると剣の機関にそっと指を這わせた。
「初代王。ワイヤードの創始者にして、帝国の礎を築きあげた人物」
「……」
「そして、『自分の意志を貫け』という私の標となる言葉を掟とした人物……私の、最も尊敬する人です」
彼女は目を閉じ、静かに語りを続ける。
「だから敬意を評して、彼の名を……ワイヤードと名乗る前の、真の名を……この剣に付けました」
ワイヤード初代王の、真名。
一族の人間が「~・ワイヤード」を名乗ってはいるが、初代王は別の名前があったということか。
帝国を立ち上げる前にあった、生まれた時に親から付けられた名前が。
それは一体……。
王族の末裔であるクローラ・クエリ・ワイヤードは、閉じていた目を開けると……静かにその答えを口にした。
「この剣の名は――」
「ちょっと怖いけど、でもすごく綺麗ですぅ~!」
リファもクローラも初めての手持ち花火に大はしゃぎ。
打ち上げ花火とはまた違った楽しさがあっていいよな、こういうの。
俺は怪我のせいで立てなかったため、ベンチの上に胡坐という体勢でやっていた。
あんまり激しいと火花が膝の上に飛び散るので、おとなしい線香花火で我慢する。
「しかし、これはどんな技術を使ってるのだ? キカイを使うでもなく火につけただけでこんなに激しい炎が出せるなんて! 爆薬でも仕込んでるみたいだぞ!」
「みたいも何も、爆薬に決まってんでしょリファっち。この中にたーっぷり詰まってんのよ。知らないの?」
「ダニィ!? そ、そんな危険なものを使うなど狂気の沙汰ではないか! 普通なら兵器に使うようなものだぞ!」
「そこがすごいんじゃないか。人を殺すような兵器にしかならないものが、こんな風にきれいで楽しいおもちゃとしても使えるんだ。実にすばらしいじゃないか」
軽くパニックを起こす女騎士を、箱根さんは噴出花火のセッティングをしながらなだめた。
反対にクローラは地面を這うねずみ花火を目で追いながら冷静に分析する。
「確かに……さっきの『しゃてき』とやらも、元来人を殺すはずの銃を遊び道具にしてましたし」
「そうだね。第一この世界の爆薬だってもともと工事とか人の役に立つために開発されたものだったんだし」
「あ、なんかそれ聞いたことあります。のーべる、とか。だいなまいと? でしたっけ」
「ご名答。詳しいね。さすがは留学生」
箱根さんは彼女の方に背を向けたまま褒め称えた。
一瞬何で知ってんだよとも思ったけど、しょっちゅう自分のPCでいろんな知識を得ているなら不思議ではないか。まぁ留学生云々はあまり関係ないかもだけど。
「あの人も不憫だよ。せっかく世のため人のためにと苦心して作ったものが、人殺しの道具として使われるなんて」
「……っ」
クローラが押し黙るのと同時に、しゅんとねずみ花火の火が消えた。
もちろん店長は悪気があって言ったわけじゃないだろうけど、その言葉は今の彼女には突き刺さるよな。
俺が複雑な気持ちで見守っていると、彼はちらりとうずくまっている女奴隷の背中を一瞥した。
「ま、結局技術は使う人と用途次第ということさ。こうして僕らは人殺しのためじゃなく、楽しく遊ぶための手段として使えている。それだけこの世界が平和だってことなんだよ」
「へい……わ」
「ああ。誰も傷つけ合わなくて済む世界。君達のいたような世界とは違う……もっとも幸せな場所さ。実にすばらしいと思わないかい?」
「……」
クローラはそこで背後の店長を振り返る。黙々と作業を進める彼に何か言葉をかけようと口を開きかけたその時。
「ほらーっ! そこの二人! 何この盛大なパーティん時にしけた面して小難しい話してんのぉ!」
ぶしゃああああああ! と火花を迸らせる火薬筒を持ったギャルが、嬉々とした表情で猛ダッシュで襲いかかってきていた。
その姿はまるで通り魔、いや放火魔。彼らの前でぶんぶんと花火を振り回すと、光り輝く模様が空中に描かれる。
遠目で見る分にはいいが、近くの人間には危なっかしくてたまったもんじゃない。
「うりゃりゃりゃー! くらえ店長! らいとにんぐすぷらーっしゅ!」
「ぉわちゃちゃ!! こらやめてよナギちゃん! 服が焦げるだろ! これ結構気に入ってるのに!」
「えー? なになにー? 花火の音がうるさくて聞こえなーい! りぴーとあふたーみー!」
「それを言うならPerdonだろ! あーもう、見たまえクローラちゃん! こーゆう奴がいろんな技術を戦争みたいなよからぬことに転用していくんだよー!」
「戦争ー? おーいいじゃないっすか、じょーとーっすよ! さっきの恨みとことんここで晴らさせてもらうっすー!」
「まったくいい度胸だねぇ、仮にも上司に向かって! 仕方ない、勝負は今来たァ!」
なーにをやってんだか、子供かよあの二人は……見てらんねぇ。
頭を抱える俺の横で、クローラとリファも困惑した目つきで彼らを見ていた。
ほーらもう、こいつらにまで呆れられてるし。こりゃいい反面教師だな。ああいう人間にだけはならないように気をつけなね君たち。
「「楽しそう」」
「おいこら」
○
「ふぅー! 楽しかった!」
プチ戦争は箱根さんの早々の降参により終結し、満足したような笑みを浮かべながら渚が俺の隣に腰かけてきた。
パタパタと手で自分を仰ぎながら彼女は生足をわざとらしく露出させて足を組む。
俺はなるべくそっちの方を見ないようにして、問いかける。
「花火見られなかった鬱憤は晴れたかよ?」
「ぼちぼちっすねー。でもこれはこれで結構面白かったから良しとしましょう。ぁふ」
そう言ってギャルは大きな欠伸を一つ。
異世界コンビと箱根さんは向こうで噴出花火に夢中。太めの筒から火山噴火のごとく吹き出るカラフルな炎に大はしゃぎであった。
「つーかセンパイはさっきからずっと線香花火じゃないっすか。いいんですか他にもまだ花火いっぱいあるのに」
「何度も言ってるだろ。怪我してるからこれで我慢するしかないの」
「みじめっすねー。花火が見らんなかっただけでなく、おもちゃの方でもこんなひんそーなのでしか楽しめないなんて」
うるせぇほっとけ。
ていうか俺はふつーに打ち上げの方も見たから。豪華で綺麗だったしでボクは満足だから。チョコなのにヘルシーで草彅も満足だから。
そういってしばらくぱちぱちと静かにはぜる線香花火を見つめていると、渚がおもむろに口を開いた。
「もう夏も終わりますね」
「何? いきなり」
「や、いろんなものがこれから変わってくんだなーって思って」
「あ?」
変わるって? まぁそりゃ季節が変わりゃそうなるだろうよ。
木々の色、服装、食べ物……。もう何度も経験してるからあんまり意識はしてないけど。
「そう。世界はそうやって変化を遂げていくもの。いついかなる時も、常にめまぐるしく」
「どうしたんだよ突然……」
そう訊いても、渚は明確には答えず、背もたれに背中を預けて遠い目で夜空を仰いだ。
「ねぇセンパイ。前にも一度訊いたことありますよね」
「何を?」
「変化を求めるか、それとも今の現実を続けるか」
「……」
「あたしにはよくわからないんですよね。どっちも大事なように思えるし、どっちかに固執してもダメなような気がする」
口だけを動かしてギャルは普段らしからぬ口調で続けた。
「世界は常に変化するけど……じゃあ自分はどうすればいいんですかね。その流れに素直に乗るってことは、新たなものを得られはするけど、それと同時に色んなものを失っていくことになる」
「……」
「だけど流れに逆らって無理に今のままでいても……これから先に待つ可能性を全部捨てることになる。そう考えると、どうするのが正しいのかなって」
「……」
何を言い出すかと思えば。
ああ、そうだ。確かに同じ質問をこいつから受けたな。クローラとリファのおつかいについて行ったときだっけ。
なんでまたそんなことを尋ねてきたのかは知らないけど、俺の答えはそのときと変わらない。
「知るか」
端的にそう言うと、渚が眼だけを動かしてこちらを見た。
そんな彼女に向かって、俺はだんだん膨らんでいく線香花火を見つめながら続ける。
「どっちが正しいもクソもないだろ。大体そんなの人に聞いて決めることじゃない」
「……」
「いずれにしろ、最終的に決めるのはそいつ自身だ。違うか?」
そしてその上で最も重要なのは、確たる自分の意志を持つこと。
異世界の掟だけど、本当にこの世界でも大切なことだと思う。
だってそれがないと、決めることすらできないんだから。
ただ周りに流され続けるだけなら、それによって自分を偽ってしまうなら、それは変化でも現実を続けることでもない。
「でも、意志だけをしっかり持ってれば色々見えてくる。世界が変化する中で自分が何を守り抜いて、そして何を変えていくべきなのか」
それが、人間ってやつだろ?
「……面倒くさいなぁ」
渚は自虐気味にそんないつものセリフをこぼす。
ま、確かに今回は同感だな。
意志をずっと変えずに維持することはそんな容易な話じゃない。
人生の中で幾度となく弊害に阻まれ、幾度となく逆境にぶつかって、途中で諦めざるを得なくなった奴は山ほどいるだろう。
でも……どれだけ大変でも、どれだけ面倒くさくても……それを最後まで曲げないことで気づけるモノは、きっと何よりも価値があると思う。
「ふーん、そっか」
渚はなんの感情もこもってなさそうな声で言うと、身体を起こして今度は前屈の体勢になる。
その表情は、横髪に隠れて殆ど見えなかった。
「じゃあもう一つ訊いていいっすか」
「ん? なんだよ」
「センパイは……見つけましたか? 守るべきものってやつ」
「……ああ」
俺は静かに頷いて、線香花火を見つめる顔を上げた。
その視線の先には、きゃっきゃと楽しそうに花火で遊んでいる無垢な少女が二人。
「あいつらと一緒にいられる暮らし。それが俺の守るべき、大切なものだよ」
「……」
「どれだけ世界が変わっていっても、これだけは絶対に譲れない。この現実だけは、守り通すつもり」
それと同時に、彼女達と一緒に変わっていかなくちゃいけないものも気づけた。
この世界についての文化や技術、価値観。古いものから脱却し、新しいものを習得し、成長していかないといけない部分はまだ山程あるんだ。未来に待つ新たな可能性のためにも、いつまでも立ち止まるわけにはいかない。
三人一緒に、この変わりゆく世界を生きていく。
それが……彼女達と出会ってきづけた、俺の心からの意志だから。
そう胸を張る俺の傍らで、渚の口から小さな笑いがこぼれた。
「……なんだか、センパイって変わりましたよね」
「……そうか?」
「ええ。とっても。あたしですら読めない人になってきた」
ふっ、と今度は俺が鼻で笑う番だった。
「今までは完全に俺のこと丸わかりだったみてぇな言い草だな」
「実際そうでしたからね。なんたってセンパイとあたしは一心同体みたいなもんですから」
……ったく、口の減らない奴だ。
おっと、そろそろ線香花火の火玉が落ちそうだ。慎重にバランスを取らないと。
「センパイ」
と、その時である。渚が突然こちらにもたれかかり、俺の肩に自分の頭を乗せてきた。
口から心臓が飛び出るかと思った。な、なに……なんのつもりだこいつ!?
だが焦りに焦る俺とは対照的に、落ち着き払った口調で渚は耳に口を寄せて話す。
「これから本当に多くのものが変わっていきます。センパイが知らないうちに、周りの何かが別なものに置き換わってるかもしれない。たしかに自分の記憶はこうであったはずなのにと思っていても、いずれ曖昧になり、やがてそれが本物だと思い込むかもしれない……」
「お、おい……渚」
「黙って聞いて」
静かだったが、有無を言わせない声で彼女は俺の言葉を遮断した。
「でもこれだけは忘れないで。あなたの言う、大切なものとそれを守るという自分の意志を」
「……」
「そうすれば、きっと大丈夫なはず」
そこで渚は俺の手を握り、力を込めた。
「たとえ、最終的に全てを失うことになったとしても、希望は残ります」
ぽたり、とそこで線香花火の火玉が落ちた。
地面に墜落したそれは、まるで寿命が尽きるように橙の明るい色が失せ、周囲と同じ闇色に染まっていった。
「何もかもが偽物になったとしても、センパイのその意志だけは本物だって信じてますから」
そう締めくくり、渚はようやく俺を解放した。
なんだか意味深なことを言われたが……どういうことなんだろう。
知らないうちに置き換わる? 記憶が曖昧に? そして、全てを失う?
よくわからない。何を意図して、何が言いたくてそんな話を俺にするのか。
だからそれを聞いて何をすべきなのか、そもそも何かをすべきなのかもわからない。
だけど、一つだけ言えることはある。
「俺は俺だ」
俺は小さく、だけど力強くそう返事をした。
「どんな弊害があっても、どんな壁にぶつかっても、俺は今も昔も、そしてこの先もこの俺のままだよ。本物も偽物もない……怠け者で、お調子者で、ちょい自己中で、それでも最後までやり遂げると決めたらとことんやる男。だろ?」
「センパイ……」
「俺が俺である限り、俺の意志も変わらない。だから心配すんな」
「……」
きょとんとして俺の横顔を見つめる渚。
だったが。
「ぶふーっ! 何すかセンパイそのキザったらしいセリフ! マジウケんだけど! ちょwww もっかいやってもっかいwwww」
気がつくと彼女は、いつもの木村渚だった。手を叩いて腹を抱えて大爆笑。
てめぇ……おちょくってんのか真剣なのかどっちだよ!
「いやいやうそうそジョーダンジョーダン! 今のめーっちゃカッコよかったっすよ? 濡れたわマジ。見ます?」
「見ねぇええよ!!」
まともに相手した俺が馬鹿だったよ! くっそこういう奴だってのは前々からわかってたはずだろーに……。
「なぁーぎぃーさぁどーのー?」
と、そんな騒ぎを聞きつけて黙っちゃいないのは誰かって?
それはね、ワイヤードの女騎士。怒り出すとこめかみにビューティフルな青筋がメニーメニー。
点火済みの花火を両手に携えて、のしのしと静かな怒りのオーラを纏って行進してくる。
「マスターにちょっかいを出すのはやめろと言ったはずだが?」
「知ってるよ~ん! だからねっとりいたわってあげてたんじゃーん」
だが悪びれず渚は挑発するように、あろうことか俺に腕を絡ませてくる。
それを見てますますリファの怒り度メーターが上がってさぁ大変。
「そのいたわる内容が毎度毎度いかがわしいと言っとるのだがなぁ? いい加減にしないと渚殿とて容赦しないぞ?」
「うっわー、何キレちゃってんの? さっきも言ったでしょ、これからは正式に恋敵だからセンパイ盗られないよう気をつけなよってさ。だから隙を見せたそっちのせい~」
「くぬぬ~っ! だったら力づくで取り返すまでだ! 決闘だ決闘!」
「ほほーん! こりゃいい機会だ。いつぞやの料理対決も結局勝負は曖昧に終わったからねぇ。ここで白黒はっきりつけようかぁ!?」
嬉しそうに渚は言って線香花火を二本持ち、リファにそのうちの一本を渡す。
「ルールは簡単、線香花火が早く落ちた方の負けだよ!」
「望むところだぁ!」
二人の勢いから見れば思ったより温和なルール。
だがそこには女同士の譲れない熱い戦いがあった。花火だけに。
「ご主人様」
真剣勝負の真っ最中なお二方を冷めた目で見物していると、クローラがベンチの傍に歩いてきた。
彼女はさっきみたいにお姫様らしく浴衣の裾を両手でつまんで、軽くお辞儀をした。
「ご一緒してもよろしいですか?」
○
「ぐぉぉぉ! また負けた! 何故だ、何故なのだぁ!?」
「駄目だよリファっちぃ、ただ動かなきゃいいってもんじゃないんだよ~。風向きとか持つ位置とかそういうところも考慮しないとー!」
「くそー、もう一度だ! 次こそは勝つ!」
「へいへい」
もう何戦目かになるその線香花火試合を尻目に、俺とクローラも二人で静かに線香花火を楽しんでいた。
「派手なのもいいですけど、やっぱり私的にはこういう静かな方が性に合う気がします」
クローラはスライドショーのように変わる火花の模様をうっとりと見つめながら言った。
そんな様子を横目で眺めていると、なんだか自然と口もろがほころんでいくのを感じた。
「なんだか、変わったよな、クローラ」
「……そう見えますか?」
「ああ、なんだかすごく自然に笑えるようになったなって気がする」
花火会場で見た、無理に作り上げたようなものとは違う。
心から本当に楽しいと感じていると、はっきりわかる。
いつもの彼女に戻ったというより、これまで以上に明るくなったみたいだ。
これが……成長したってことなのかな。
「ご主人様のおかげですよ。私が偽りの自分を抜け出して、本当の自分を打ち明けるきっかけを作ってくださったからこそです」
はにかみながら彼女はこちらに少し身を寄せた。
「今までの私は、あの過去を心のうちに押し込めていたが故に、心からの感情を表に出すことがあまりできませんでした。意志を捨てて奴隷らしくふるまわなければ、って信念にとらわれて」
その言葉に俺は下唇を軽く噛んだ。
今日初めて明らかになったクローラの過去。
ワイヤードの王族から奴隷にまで叩き落され、自分を誰にも理解してもらえないまま死んだという、あまりにも理不尽で残酷な人生。
「ごめん……もう少し早くに気づいてやれたら、こんな辛い思いさせることもなかったのに」
「何を仰います。クローラは今回の一件で、あなた様に感謝してもしきれないくらいの御恩ができました」
「……」
釈然としなかった。
自分が彼女の過去と、本心に気付けなかったことだけじゃない。
なぜ俺は……最初からそのことを知ろうとしなかったんだろう。
クローラがこの家に来たときから、出会ってすぐに訊けてもおかしくないはずだった。
どうして君は死んだの? と。
もちろん彼女が素直に答えるかどうかという問題もあるし、むしろリファの手前じゃはぐらかす可能性の方が高かっただろう。でもそういう問題じゃない。
俺は、質問しようとしなかったどころか、疑問にすら思わなかった。
完全に彼女の過去についての興味や関心を持っていなかったんだ。
まるで……今日に至るまで、それを知ろうとする意志を誰かに奪われていたみたいに。
「でも、もう大丈夫ですよ。ご主人様」
深刻な面持ちでいたためか、優しい声でクローラが話しかけてくる。
「もうワイヤードにいた頃のような苦しみも、リファさんとの確執の辛さも味わうことはないのです」
「クローラ……」
「私はこの世界に来て前者から解放され。そして今日、本当の自分を知ってもらえたことで後者からも解放された。これで痛みは癒されたといってもいいです」
胸に手を置き、彼女は感慨深そうに眼を閉じた。
「これからは、もう奴隷としてではなく、クローラ・クエリという一人の人間としてご主人様に気兼ねなく接していけるのですよ。これほど私にとって幸せと呼べることはありません」
「……」
対等な人間として、お祭りの会場で見せたようなあの気さくで無邪気な彼女のままでいいと。
彼女が見た夢が、今現実になったのだと。
それは何物にも代えられない喜びがあるのだろう。
「だから、もう何も気にすることはありませんよ」
「そっか……そうだよな」
こうしてクローラはここにいる。ならそれでいいじゃないか。
彼女が全てを克服して先へ進もうとしているのに、俺がいつまでも過去のことに囚われてちゃだめだよな。
「わかったよクローラ。俺達は……ずっと一緒だもんな」
「はい!」
嬉しくてたまらないという気持ちを体現するように、彼女は元気よくそう言った。
「それでは、これからも宜しくお願いしますね、ご主人様」
「……ん」
「? どうかしました?」
気の乗らない返事を返す俺に、怪訝そうな表情でクローラは顔を覗き込んできた。
俺はしばらく渋っていたが、それでもやっぱり言うなら今しかないなと、思い切って提案することにした。
「あのさクローラ」
「はい、なんでしょう」
「その……ご主人様っての……やめてみない?」
「!!?」
ガーン! というSEとともに、クローラは顔面蒼白。身体も硬直。線香花火は速攻で落ちた。
「そ、そんな……」
わなわなと肩を震わせながら目に涙を浮かべる女奴隷さん。
見る見るうちに目には涙がたまり、あふれた大粒のそれは頬を伝って膝に滴り落ちていく。
「も、もう……クローラは必要ないと仰るのですか……?」
「なっ!? 違、違うよ! そういう意味じゃなくて!」
「せっかく、せっかく恋人同士になれたのに……一時間も経たないうちに絶縁宣言なんて……あんまりですぅ!」
「だーから違うってば!」
んもうここにきて人の話を聞かない悪い癖が出るとはまいったなもう!
「絶縁じゃなくて、呼び方の話!」
「よびかた?」
「そうだよ」
俺は落ちた線香花火の残骸をバケツに放り投げて一息つく。
「だって、せっかく対等に接せるようになったわけじゃん? だったらこう、話し方とか呼び方をずっと主従関係っぽくするのはどうかなーって」
「あぁ、そういうことでしたか。申し訳ございません、とんだ早とちりを」
ぺこりとクローラは頭を深々と下げるが、未だに俺の指示には納得しきれてないみたい。
「しかし、ご主人様呼びがダメとなると……どうお呼びすればいいのか」
「そこはまぁクローラの自由にすればいいと思うけど……」
「うーん、急に言われるとすごく悩みますね……」
腕を組んで真剣に暗中模索するクローラさん。そんなに深く考えることないと思うけど。
「もしかしてさっきみたく『あなた』呼びしてくれちゃったり?」
「なっ!? ななななななないですないですそれはないです!」
顔真っ赤にして猛否定された。
なんだよ、あの時はノリノリだったくせに。
「あ、あれは一時の気の迷いというか……些か私としては早計が過ぎたというか……」
「え? なんだって?」
「と、とにかくあれはまだダメですっ! もっと段階を踏んでからでないとダメなんですっ!」
ブンブンと手を降って、是が非でも拒否してくる。ここまでムキになるのも珍しいもんだ。
「と、とにかく……これは宿題にさせてください」
「しゅくだい?」
「すぐには思いつきませんから……。だから時間をください」
「いや、別にそんな大した問題じゃないんだから――」
「大した問題です! だって……」
ぎゅ、と膝の上に置いた手を握りしめて彼女は俺を真っ直ぐ見据える。
「だって……世界で初めて好きになった人の呼び名なんですから」
「お、おう……」
改まって言われると、なんか照れるな。ま、期限があるわけじゃなし。じっくり考えさせてやればいいか。
「わかったよ、じゃあ楽しみにしてる」
「あ、ありがとうございます」
ヒートアップしすぎたのを自覚したのか、慌ててまたペコペコと頭の上下運動を再開。憂いやっちゃのぉほんま。
「おーい! みんなー!」
すると向こうで何かやっていた箱根さんが大声で俺達を呼んできた。一体なんだろう。
彼は白い歯を見せて笑うと、自らの後ろに設置したものを親指で指さした。
「打ち上げ花火、準備できたよ」
○
「随分でかいですね。しかも、ひいふうみい……二十発も!」
大きな石で固定され、ずらりと並んだ大筒を見ながら言う俺に、箱根さんは額に浮いた汗を袖で拭きながら自慢げに話す。
「やるなら盛大にやんないとね。一発やってハイ終わりなんて味気ないでしょ」
「セックスと同じっすね」
黙っとれ。
「でも大丈夫ですかね? 近所の人とかに騒音とかで通報されたりとかしたら……」
「あー、大丈夫大丈夫。その時は君だけサツに突き出して僕らは逃げるから」
わかったすいませんすいません。謝りますから機嫌直してくださいごめんなさい。
「よーし、みんな準備はいいかい?」
というわけで、俺達はベンチの周りに集まって待機。あとは箱根さんが火をつけるだけだ。
導火線はバラバラの長さに調整してあるから、タイミング的にも退屈させないのは間違いないだろう。
皆がドキドキしながらその瞬間を待つ。
リファは念の為か剣の柄に手をかけて。
クローラは俺の後ろに隠れるようにして。
渚はインスタにでも上げるのかスマホカメラの準備をしっかり整えて。
「じゃいっくよー!」
チャッカマンのスイッチを押し、並んだ花火に次々に火をつけていく。
全ての導火線に着火し終えた店長は急いで俺らのもとに戻ってくる。
そして一瞬の静寂の後。
ひゅ~どーん!!
どどーん! どぉーん!!!
ぱぁーん!
煙を上げて、轟音とともに大迫力の花火が空に広がった。
間近で見てるせいか、その光景は本物の打ち上げ花火に勝るとも劣らないものであった。
夏だけどまさに春爛漫。これにはそこにいた誰もがも大口を開けて魅入ってしまう。
「すごーい!」
「……絶景だ」
「うっひょー! たーまやーい! ポーチやーい!」
感激する者。うっとりとする者。大興奮する者。
様々な反応が入り乱れる中、どんどん花火は空に打ち上がっていく。
グランドフィナーレ。まるで物語の最後の舞台を華やかに彩るような演出だ。
悲しくも嬉しくもないのに、やべぇ……なんか泣きそうだ。
「すごく綺麗だな、マスター!」
「見てますかご主人様! すごいですよ!」
その花火みたいな明るい声で言ってくる俺の恋人達。
彼女らのその笑顔を見て、俺の視界はますます涙で潤んできた。
「ああ……ああ!」
無限に続くかと思われるほど、花火は打ち上がり続けていた。
俺達の歓声に応えるように。いつまでも、いつまでも。
けれど、どんなものにも終わりはくる。
少し寂しいし、悲しいけど……だからこそ、今しっかり見ておくんだ。
この日、この時に抱いた感動は……絶対に忘れない。
その想いを胸に、俺達はこれからも先へ進むんだ。
クローラ・クエリと、リファレンス・ルマナ・ビューア。
この世界で出会った、異世界人であり、同居人であり、恋人である二人と。
ずっと、ずーっと一緒に。
もうすぐ……夏が終わる。
○
「じゃばいばーいセンパーイ、リファっちー! クロちゃーん!」
「バイトくーん明日シフト入ってるの忘れないでよー! サボったら減給だよ減給!」
花火が終わり、片付けを済ませた後、渚&店長はそう言って帰っていった。
なんとか苦情は来なかったみたいだな。ま、無事に終わってよかった。
「じゃあ私達も帰ろうか。マスター、立てるか?」
「ええ、もう遅いですし」
「……」
荷物をまとめていた異世界コンビだったが、俺は少し気がかりなことがあってそのベンチから立ち上がれずにいた。
それに気づいて、二人は心配そうに駆け寄ってくる。
「どうしたマスター? まだ傷が痛むか?」
「よろしければ肩をお貸ししましょうか?」
「え? あ、いや……傷は落ち着いたよ。立つのも……なんとか大丈夫」
この通り、と俺はすっくとその場から直立してみせた。まだ気を抜くとちょっと足元がふらつくけど、帰宅するのに支障はなさそうだ。
ただ……問題はそこじゃない。
あの剣……エンジンブレードのことだ。
シ霊にとどめを刺して意識を失って、そのあとどうなったんだろう?
「マスターを空中で拾ったときには、どこにもなかったな」
「きっとどこかに落ちてしまったのでは?」
「そりゃまずいな」
すっかり忘れて花火に興じてしまったが、あんなもんが誰かに見つかったら大変だ。あと元素封入器
エレメント
も。異世界の産物が世に知れたとなっちゃ絶対ややこしいことになる。大事になる前に探さないと……。
「でも、ここら一帯を闇雲に探すというのも」
「けいさつに探してもらうのはどうだ? ワイヤード兵は紛失物対応も仕事のうちでな」
「だから俺ら以外の人に見られたらダメなんだって……くそーどうしよう、もう暗いから明日にするしかないか……」
……いや待てよ?
空中に打ち上がってそこから落下する際に、俺はあれを手放した。
そして、シ霊に最後の一撃を叩き込む時になって、もう一度その手に呼び戻した。
「来い」……そう叫んで。
もしかして……俺の意志に反応していつでも召喚できるシステムだったりするのかな。
……。
なーんて、ないない。あるわけないって。
意志は意志でも、強い意志ってオチだろ? あん時は無我夢中で、ああしないと敵を倒せなかったからこそできた芸当であって。
そんななんでもない時にパッと出せるわけがない――。
ずしん。
と、そう思った矢先になんか右手に重たい感覚が。
……ん?
何かなー、と三人全員俺の手元を見る。
したら。
あった。
鍔にエンジン、峰に歯車、めちゃくちゃ重厚な機関剣が。
「ほぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
変な声が出た。いや出るだろ、これ誰だって出るとこだろふつー!
なんで? なんでこんな平然と現出しちゃってんの? 敵いないよ? 周囲イズベリーピースだよ? ちったぁタイミング読もうやエンジンブレードくん!
「ちょ、ちょ? これ何? どうなってんのよ?」
「いや私に聞かれても……」
「ご主人様が出したんじゃないんですか?」
右往左往しながら二人に尋ねてみても、冷めた反応が返ってくるのみ。もう何なんだよ~!
とにかくこんな物騒なもの町中で振り回してるのを目撃されたらそれこそやべぇ!
どっかに隠さないと、いやもういっそのことこの場で消しちまえば……ってどうやって消すねん! アホか!
「「消えた」」
「ホワァイ!?」
望み通り、あっさり俺の手元からエンジンブレードは消え去っていた。今俺が握っているのは空気のみ。
どこかに飛んでいったわけでも、透明になって見えなくなったわけでもない。完全に跡形もなく消滅しちゃった。
何なの、今の……夢? 夢? 夢なの? 幻覚? 怪我で頭がおかしくなっちゃった?
……。
…………。
………………。
もっかいやってみるか。
「出ろ」
出た。
「消えろ」
消えた。
「も一度出ろ」
も一度出た。
……。
「わけわかんねぇぇぇぇぇぇぇぇぇー」
俺はへなへなとその場に崩れ落ちる。
どーなってんだよこれ……。俺超能力にでも目覚めちゃった系? 誰か説明してくれよ。一番知ってそうな異世界人も首傾げてるだけだしさぁ~。
……よくわからんけど、もういいや。自分の意志で出したり消したりできるなら。失くすよりかはずっとマシだ。
ずっしりと重たいその剣を支えに、俺は立ち上がった。
そしてその柄を持って、女騎士の方に差し出す。
「ほれ」
「は? 何だ?」
「返すよ。お前の剣なんだろ」
「……」
持ち主のものは持ち主に返すのが基本。どうせ俺が持ってたって意味ねぇし。
リファはしばらくぽかんとしてそれを見ていたが、やがてそっと手を伸ばし……。
すぽん!
と、装着されていた元素封入器だけを抜き取った。
「これだけでいい。剣の方はマスターが持っててくれ」
「はい?」
予想外のリアクションに俺が目を丸くする中、彼女は腰に挿した100均ソードの鞘をぽんと叩いた。
「もう私にはこの剣がある。こっちのほうがもう慣れたし」
「えぇ……でも愛着あるって言ってたじゃん」
「それはそうだが、マスターが自由に出したり消したりできるなら、なおさらそなたが持つべきだと思うが」
ど正論100%。一分一厘返す余地もない。
「これからもあのような化物がいつ襲ってくるかわからん。そのためにも護身用という意味で持っておいて損はないのではないか?」
護身の域軽くオーバーしてるような気がするんですがそれは大丈夫なんですかね……。
「心配するな、品質と威力は私が保証する。言ったとおり超強力だったろう?」
「まぁな……」
しょうがない。これは俺が責任を持って管理するとしよう。
確かにあの化物……シ霊がまたいつ現れるかわからないからな。本当に、一体なんであんなのがこっちの世界にまで来たんだか……油断はできないな。
「そういえば、クローラはなんでこの剣の使い方知ってたんだ?」
「ああ、それは私が作ったからです」
「「ええええ!?」」
しれっと衝撃の事実を暴露するクローラさん。俺もリファも唖然愕然大仰天。
「お、お前が? これを?」
「はい。スキュール・トランケートを完成させる傍らに開発を進めた、キカイと武器の融合体。その試作品です」
「そうだったんだ……」
「量産の計画はありましたが、私が奴隷に落とされてそれも頓挫しました。だからそれが現存する唯一のものなのですよ」
世界に一つだけしかない、最初にして最後の、キカイ剣。
なるほど、キカイ大戦の栄誉の品として相応いな。
「私も結構試し斬りとかしたんですが、結構いい出来に仕上がったと思いますよ」
「マジか……お前も剣術とかやってたんだね」
「王族だったので、子供の頃から騎士団の方などに色々稽古付けてもらってたんです」
「なるほど、どーりで戦い慣れてたわけだ」
そう言って、俺は改めてそのエンジンブレードをじっくりと眺めた。
初めはけったいなものとしか思わなかったけど、ちゃんと観察してみると見事な作り込みだし、何よりかっこいい。実用性も十分だし、戦いの戦利品ってことになるのかな、一応?
「ま、こうなった以上ありがたく使わせてもらうよ。クローラ、リファ」
「ああ、そのためにも日々の鍛錬を怠るなよ?」
「ふふ、ちゃんとお手入れしてあげてくださいね」
微笑みながら二人は新たな力を手にした俺にアドバイスしてくれる。
この先使う機会があるかはわからないけど……もしまた戦うことになったら、ちゃんと二人を守れるようにならないとな。
二人は俺の、かけがえのない恋人なんだから。
「ところで、この剣ってなんか名前あるんだったよな、クローラ」
「ええ。リファさんから聞いてたりしないんですか?」
「それがこいつ忘れちゃったみたいでさ、思い出せないんだとよ。すごく大事にしてたとか言っといて」
「……面目ない」
「そうでしたか」
こほん、とワイヤードのキカイ創始者であるクローラ・クエリは咳払いすると剣の機関にそっと指を這わせた。
「初代王。ワイヤードの創始者にして、帝国の礎を築きあげた人物」
「……」
「そして、『自分の意志を貫け』という私の標となる言葉を掟とした人物……私の、最も尊敬する人です」
彼女は目を閉じ、静かに語りを続ける。
「だから敬意を評して、彼の名を……ワイヤードと名乗る前の、真の名を……この剣に付けました」
ワイヤード初代王の、真名。
一族の人間が「~・ワイヤード」を名乗ってはいるが、初代王は別の名前があったということか。
帝国を立ち上げる前にあった、生まれた時に親から付けられた名前が。
それは一体……。
王族の末裔であるクローラ・クエリ・ワイヤードは、閉じていた目を開けると……静かにその答えを口にした。
「この剣の名は――」
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