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4章 港湾都市アイラ編
139話 悪党の末路
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「チクショウ!! 一体何なんだい、アイツは!?」
女頭目は悪態をつきながら、山肌を一目散に駆け下りる。
彼女の側には四方を守護するように4人の護衛と、一緒に逃げ延びた数人の傭兵崩れの部下、10人の集団が密集したまま逃走を図っている。
それはいきなりだった──
ニールセンを商品の元で案内させて暫くした後、洞窟内は炎に包まれた。
洞窟の入り口から徐々に内部へ広がっていく炎は燃料も無いのに燃え盛り、また、いくら水をかけようとも消える気配が無い。
盗賊の大半が部屋の奥に追いやられ、やがて生きたまま焼かれるという地獄を味わい断末魔が洞窟内に響き渡る。
「頭ァ! ご無事ですかい!?」
「ああ、今の所はね……で、コイツはやっぱり?」
「へい、ニールセンとか言ったか、アノ野郎! 急に出口へ走り出したかと思えば、その場にいた見張りをぶっ殺した後、怪しげな呪文を唱えて──この有様でさぁ」
「チッ、まんまとアイツの芝居に騙されたって訳かい! アタシもヤキが回ったかねえ……」
ぼやく女頭目ではあるがその目に諦めの色は無い。財宝と調度品に囲まれた部屋には未だ火の手は届いていないものの、いずれはこの部屋も炎に包まれるはずなのに。
「お前たち、安心しな! アイツがどこかの雇われか個人か知らないが、ここのお宝までおしゃかにするとは思えない、魔法の炎ってんならこれ以上は入ってこないよ」
そしてその発言の正しさを証明するかのように、炎は部屋の中まで入ってこようとしない。
ただ、それは入ってこないというだけで、発せられた熱は部屋にこもり、そしていずれは空気中の酸素が尽きる可能性は高い、このままではジリ貧といえた。
とはいえ彼等もその辺に抜かりは無いようで、
バサッ──!!
女頭目が座っていた椅子の下、豪華な絨毯をめくるとそこには地面に向けてつけられた扉が存在し、それを開くと地下への坑道が現れた。
「これの世話になる日も早かったね」
出入り口が一つしかない洞窟ならば攻め込まれた時点で詰みになる、だからこそ脱出手段の確保は必須であり、彼女も当然ソレは用意していた。
「悔しいけど今は逃げるよ! 金目のモンなんざ放っときな」
「いいんですかいお頭? 少しくらいはお宝を持ち出しても……」
「金なんざまた奪えばいいのさ、自分の身が惜しけりゃ宝石よりも武器を持ちな!」
「ヘイ!!」
盗賊らしからぬ至極真っ当なやり取りの後、彼女らは坑道に突入する。
──そして無事、外への脱出を果たし、現在逃亡中とういうことである──
密集して逃走する盗賊団、逃亡であるならこの山の中、散開した方が逃げるには易いはずである。が、相手はいきなり生きた人間を焼き殺すような狂人であり、まだ他にどんな隠し玉があるのかわからない、各個につかまり成す統べなく倒されるよりも、いざという時の戦力確保の観点から言っても間違ってはいない。野盗などという人種には似つかわしくない理性的な判断ではあるが。
そして集団で行動するもう一つの目的、それが……
「──!! お頭、どうしてここに!?」
「アジトが襲撃された。追っ手が諦めるまでこっちでゆっくりさせてもらうよ」
一時避難所へ向かう軌道は、少ないほうがバレにくい。
避難所へと逃げ込んだ一行は安堵と疲労から全員その場にへたり込み、大きく息を吐く。
そして、安全が確保されれば次に来るのは不満である。
「くそっ! あの野郎、今度あったらぶっ殺してやる!!」
「そりゃいいが、誰かアイツの顔は見たのか?」
「見ちゃいねえが、確か名前は”ニールセン”とか言ってただろ、そこから情報屋に探らせればいい」
「偽名の可能性もあるからな、急に羽振りの良くなったやつの線でも調べさせてみるか」
中々に手前勝手な未来予想図を描いている彼等だが、女頭目はそれを咎める事も窘める事もしない。
今回の失態、下手をすれば怒りの矛先は自分へと向きかねない、いくら腕に覚えがあるとはいえこの集団で襲い掛かられたらひとたまりも無い。
手下の不満が敵に向かっているのであればそれに越した事は無い。
「なんにせよ今はガマンだよ。なに、これだけ残ってりゃ手駒を揃え直すのも金を集めるのも大して難しい事じゃないさ」
「ですな! どのみち一度は戦場で失うはずだった命、なんでも出来まさあ!」
部下のほとんどは近年、アトワルド王国と帝国の戦で戦傷を受け、廃業の憂き目に会った元冒険者である。
腕や足を失い誰からも見向きもされなくなった役立たずの彼らを「黒狼団」、この女頭目は手下として受け入れ、そして奪ったお宝の中にたまたま紛れ込んでいた「復元薬」、これを飲んだ彼らは本来の能力を取り戻し、そしてその薬を与えてくれた女頭目に忠誠を誓うようになった。
元々は力のある冒険者である、「黒狼団」は一気に勢力を拡大し、この土地で名も知れ始めていた、それなのにこの始末である。
彼等の怒りは、また手足を失うかもしれない恐怖と相まって天上知らずであった。
充分に食事を摂り、疲労を抜くためその場で泥のように眠りにつく、再起をかけて。
──むろん、そんな輝かしい未来など彼らに用意などされてはいなかった。
………………………………………………
………………………………………………
「……ん、んん…………」
「お目覚めかな?」
「…………──!! オマエ!?」
目が覚めるとアタシの目の前にあの男──ニールセンの憎たらしい薄ら笑いが飛び込んできた! このクソッタレ! よくもアタシの盗賊団を!!
ジャラン──!
掴みかかろうとアイツに向かって飛び掛るアタシはしかし、身体を起こした所で妙な金属音と共に、それ以上前に進むことが出来なかった。
「これは──?」
改めて自分の状態を確認してみれば、現在のアタシはいつのまにか裸にひん剥かれ、両腕両足に鉄の輪をはめられている。鉄輪には鎖が伸びており、その先にはアタシ同様、裸に剥かれた手下と繋がった状況だ。
「……イイ趣味してんじゃないのさ」
「はっはっは、そいつはありがとう、クズに褒められるって事はコイツはそれに相応しいクズな扱いって事なんだろうな」
……イヤな野郎だ、自分の有利な状況を充分に理解してやがる、コレじゃあ挑発は無意味か。
「どうしてこの場所が?」
「そりゃあ、見てたからな」
「いつから?」
「最初から」
なるほど、抜け穴の事は最初から気づいてたって事かい、本当にイヤな野郎だ。
手下達は起きてこない、死んではいない様だが起きる様子も無い、薬か何かで眠らされているのか? だったら、
「外の見張りは」
「聞いてどうする?」
「他に聞かれちゃマズイからねえ、なあアンタ、取引する気は無いかい?」
「…………」
「アタシにはチョイとしたコネがある、そいつとアジトにある分とは別の、他所に隠した財宝、オマケとしてアタシの身体も付けようじゃないか」
「…………望みは?」
どうやら食いついたようだね……それにしても「望み」か、そんなもん、はるか昔に奪われちまったよ。
今のアタシは、それを奪ったアイツ等に復讐するためだけに生きてんだからね!
「……復讐したい相手がいるのさ、その為だけにアタシは生きてる」
復讐、そう、アイツに復讐する、その為にアタシは生きてきた!
その為に強さを求め、自分達だけでは復讐を果たせないと、この「黒狼団」の前の頭目に近付いた。
アイツの情夫になりながらもそれに耐え、冒険者崩れを仲間に引き入れたと同時期に手に入れた薬、そいつのおかげでアタシの手駒はそろった。
前頭目を殺して自分が頭目の座に着き、この地でさらに勢力を拡大させ、全てはこれからなんだ! 奪われたものを取り返さないまでも、奪ったあいつ等に復讐しなけりゃならないんだ!
でもニールセン、いきなり現れたコイツに全てをぶち壊された! ……いや違う、今まで蓄えた力をもってしてもコイツには勝てなかった、だったらコイツを仲間に引き込めばアタシの力はもっと強くなる、復讐が果たせる!
「なあ頼むよ、アンタが望むなら何だってしてあげる。どんな恥ずかしい事でも屈辱的な事でも、あんたが悦ぶ事、全部してあげるからその力を貸して頂戴よ」
「……盗賊団の頭を張ってるくらいだからてっきり女王様だと思ってたんだが……まさかの雌豚の方だったか、薬が効いてるとはいえ予想外の展開だな、こりゃ」
「…………なんだって?」
「いやなに、俺の撒いた薬でグースカ寝ている間に飲ませた薬の中に、興奮すると同時に全身の感覚が鋭敏になる薬があってな、その効果もあって今のお前さんがあるわけだ」
「………………」
「言っておくが答えはノーだ、お前みたいな不良物件に用はねえよ。俺には極上の美女が側にいるんでな」
…………………………。
…………………………。
クソが! 誰が好き好んでこんな人生を歩んで来たものか!!
順風満帆、そう信じて疑わなかった私達から全てを奪った奴等!
あの優しいお父様とお母様を投獄し、いわれの無い罪で処刑した奴等!
彼等に相応の報いを受けさせる、その為だけに生きてきたんだ!
その為だったら何だってやってきた、かっぱらいに人殺し、頭目のケツの穴まで舐めた、当時の手下に褒美としても使われた。
全ては復讐の為に!!
「──そんなアタシを否定する権利がアンタにあるって言うのかい!?」
「知らんよ、そんなもん」
「──なっ!」
「その復讐と攫われた女性たちになんか関係があるのか? よしんばあったとして、彼女達の復讐を俺が暇つぶしがてら代わりにやってやってるだけだろ、あんまり怒るなよ」
──暇つぶし?
──怒るな?
……そんな事が出来るものか!!
「殺す!! お前を殺してやる!!」
「へーすごいねー、出来たらいーねー、コワーイ」
「呪われろ、ニールセン!! この悪魔!!」
「はっはっは、負け犬の遠吠えは大きければ大きいほど気持ちがいいな♪」
クソッタレ、アタシの叫びを笑いながら受け流すコイツに対して何も出来ない自分が憎い! 生きてやる、絶対にこの場を生き延びて復讐してやる!
「そろそろ他の面々も起きてきたかな……ハイ注目~、みなさんは現在、薬を飲まされ絶体絶命のピンチです。なぜならその薬は、半日も経てば身体が内側から腐って苦しみのたうちながら死ぬという恐ろしい毒だからです、こんな物を作ったヤツの顔が見てみたい! ハイ、ここ笑うとこですよ~?」
目を覚ました手下が困惑と共に狂人の言葉に耳を傾けている、中には自分の状態に気付いていない者もいるが、今それを気にするヤツはいない。
半日で死ぬと言われて暴れる手下達も、暴れようにも腕は鎖でつながれ、足の鎖など誰と繋がっているのか判らない位にごちゃ混ぜになっておりマトモに歩くのも困難だ。
「そんな哀れなアナタ達にお優しい俺は選択肢を用意しました! 赤と青の液体の入った瓶、赤の液体は解毒薬が入ってるので、死にたくない人は飲んでね。青い液体は毒です、一思いに死ねます。どっちを選ぶかは自由ですよ」
は? 解毒薬以外に選択肢があるのか? コイツは何を言っている?
「あ、信じてませんね? ならば論より証拠、そこのごついオッサン、この赤い液体を飲んでみな」
ニールセンが柄杓から掬った解毒薬を手下の男に飲ませる。すると、
「ギャアアアアアア!!!!」
「痛えええ!」 「うわ、痛っ!!」 「こら、暴れんな!」
大きな叫び声と共にのた打ち回る男にぶつかって他の男もまた悲鳴を上げている。
そういえばニールセンが言っていたっけ、「感覚が鋭敏になっている」と……まさか?
「言い忘れていましたが、アナタ達は毒薬の他に全身の感覚が鋭敏になる薬をたくさん飲ませています。今のアナタ達は苦痛も快楽も通常の数倍、下手をすれば10倍です、くれぐれも気をつけてね。あ、もう一つ、こっちの赤い液体には解毒薬の他にも「アギア・ガザルの実」を磨り潰した粉末が混じってるので辛いのが苦手な人は気をつけてね?」
アギア・ガザルの実!? あの触るだけでも手が痛くなるというアレを解毒薬に?
クソ! 本当にコイツは悪魔だ! 命は助かるかもしれないが、この口を拭うことも困難な状況でアレを飲めって言うのかい!?
「という訳で、いっそ一思いに! なんて思った人はコッチの青い液体をオススメします。そして、これは俺から皆さんに、ささやかながらの贈り物です」
そういってアイツは3つ目の瓶に入った液体をアタシら全員にぶちまける。
…………甘い?
「砂糖?」
「正解、水飴とまではいかないけどちょっとした粘り気のある砂糖水さ、それじゃ、アディオス!」
それだけ告げるとあの悪魔は出て行った。
「…………………………」
誰もが口を閉ざす、アタシ達に残された未来は3つ。
このまま死を待つか、あの解毒薬を飲むか、それとも一思いに自殺するか。
生き残るためには解毒薬しか道は無いが、それでもアノ光景を見ると躊躇してしまう、苦しみのたうち、下手をすればその苦しみで悶死するかもしれない。
そんな、誰もが二の足を踏んでいた時、
「ひゃあああ!?」
アタシの足に何かが当たり、くすぐったさの中に含まれる快楽から思わず嬌声のような声が上がってしまう!
「だ、誰だい! 今アタシの足に触ったヤツは!?」
「いえ、お頭! 俺らは何も──うあっ!?」
「痛ええええええええ!!」
いつの間にか、他のやつらも苦痛や笑いを堪える声が上がっている、一体ナニが?
──ゾゾ──ゾゾゾゾ──
──!! まさかコイツは
「蟻──!?」
薄暗い小屋の中、注意をはらってみれば周囲は蟻が群をなしてこちらに近付いてくる。
まさか砂糖水をかけたのはこのため?
「ギャハハハハハハハハ────!!!!」
「や、やめ……ヒイイイイ!!」
「痛ぇ、コイツら噛みやがる……ギャアアアア!!」
「ヒイイイイアアアアアア!!!」
阿鼻叫喚の地獄の中、アタシも身体を這う蟻によってもたらされる痒み・快楽・苦痛によって悲鳴を上げるのを余儀なくされる。
イヤだ、ヤメて、ヒドイことしないで!!
苦痛か、それとも速やかな死か? それを悩む暇さえ与えてくれないのか、あの悪魔は!
それにこのままでは新たに付け加えられた選択肢──発狂の末の死を強制的に選択させられてしまう。
そんなのはイヤだ! 助からないにしても、せめて自分の終わり方は自分で選んでやる!
「ハアハア、くそ! こうなったら!」
誰かが全身を襲う痒みに耐え切れなくなってアギア・ガザルの入った解毒薬を口に入れる。痒みと痛みで相殺出来ると思ったのか? バカなことを。
「────ギャアアアアアアア!!」
もちろん相殺など出来るはずも無く、ただ苦しみが2倍になるだけだった。
「も、もうイヤだ……もう楽になりたい」
心の折れた、別の手下が青色の毒薬を口に含む、そして──
「ギャアアアアア!!!!」
赤い液体と同様、苦しみにのた打ち回る。まさかアイツ、アッチにもアギア・ガザルの粉を!? なんて性格の悪い!!
ただし、毒という言葉に嘘は無かったようで、手下はのた打ち回った後、しばらくして静かになった。
──────いいだろう、アタシはアンタの挑発に乗ってやる!
「ニールセン、アタシは死なないよ、生きて絶対、アンタに復讐してやる!!」
アタシは赤い解毒薬を口に含む。
瞬間、口の中に熱した鉄を押し付けられたような衝撃が走り、脳が、目が、裏返る!
「ぎいいいいいいいいいい!!!」
負けない! 今までどんな屈辱にも耐えてきたんだ! こんな事でアタシは負けない!
待ってろニールセン! アタシは絶対アンタにもう一度会いに行ってやる!!
「アアアアアアアア────!!」
セイゼイ油断シテ待ッテイロ──
女頭目は悪態をつきながら、山肌を一目散に駆け下りる。
彼女の側には四方を守護するように4人の護衛と、一緒に逃げ延びた数人の傭兵崩れの部下、10人の集団が密集したまま逃走を図っている。
それはいきなりだった──
ニールセンを商品の元で案内させて暫くした後、洞窟内は炎に包まれた。
洞窟の入り口から徐々に内部へ広がっていく炎は燃料も無いのに燃え盛り、また、いくら水をかけようとも消える気配が無い。
盗賊の大半が部屋の奥に追いやられ、やがて生きたまま焼かれるという地獄を味わい断末魔が洞窟内に響き渡る。
「頭ァ! ご無事ですかい!?」
「ああ、今の所はね……で、コイツはやっぱり?」
「へい、ニールセンとか言ったか、アノ野郎! 急に出口へ走り出したかと思えば、その場にいた見張りをぶっ殺した後、怪しげな呪文を唱えて──この有様でさぁ」
「チッ、まんまとアイツの芝居に騙されたって訳かい! アタシもヤキが回ったかねえ……」
ぼやく女頭目ではあるがその目に諦めの色は無い。財宝と調度品に囲まれた部屋には未だ火の手は届いていないものの、いずれはこの部屋も炎に包まれるはずなのに。
「お前たち、安心しな! アイツがどこかの雇われか個人か知らないが、ここのお宝までおしゃかにするとは思えない、魔法の炎ってんならこれ以上は入ってこないよ」
そしてその発言の正しさを証明するかのように、炎は部屋の中まで入ってこようとしない。
ただ、それは入ってこないというだけで、発せられた熱は部屋にこもり、そしていずれは空気中の酸素が尽きる可能性は高い、このままではジリ貧といえた。
とはいえ彼等もその辺に抜かりは無いようで、
バサッ──!!
女頭目が座っていた椅子の下、豪華な絨毯をめくるとそこには地面に向けてつけられた扉が存在し、それを開くと地下への坑道が現れた。
「これの世話になる日も早かったね」
出入り口が一つしかない洞窟ならば攻め込まれた時点で詰みになる、だからこそ脱出手段の確保は必須であり、彼女も当然ソレは用意していた。
「悔しいけど今は逃げるよ! 金目のモンなんざ放っときな」
「いいんですかいお頭? 少しくらいはお宝を持ち出しても……」
「金なんざまた奪えばいいのさ、自分の身が惜しけりゃ宝石よりも武器を持ちな!」
「ヘイ!!」
盗賊らしからぬ至極真っ当なやり取りの後、彼女らは坑道に突入する。
──そして無事、外への脱出を果たし、現在逃亡中とういうことである──
密集して逃走する盗賊団、逃亡であるならこの山の中、散開した方が逃げるには易いはずである。が、相手はいきなり生きた人間を焼き殺すような狂人であり、まだ他にどんな隠し玉があるのかわからない、各個につかまり成す統べなく倒されるよりも、いざという時の戦力確保の観点から言っても間違ってはいない。野盗などという人種には似つかわしくない理性的な判断ではあるが。
そして集団で行動するもう一つの目的、それが……
「──!! お頭、どうしてここに!?」
「アジトが襲撃された。追っ手が諦めるまでこっちでゆっくりさせてもらうよ」
一時避難所へ向かう軌道は、少ないほうがバレにくい。
避難所へと逃げ込んだ一行は安堵と疲労から全員その場にへたり込み、大きく息を吐く。
そして、安全が確保されれば次に来るのは不満である。
「くそっ! あの野郎、今度あったらぶっ殺してやる!!」
「そりゃいいが、誰かアイツの顔は見たのか?」
「見ちゃいねえが、確か名前は”ニールセン”とか言ってただろ、そこから情報屋に探らせればいい」
「偽名の可能性もあるからな、急に羽振りの良くなったやつの線でも調べさせてみるか」
中々に手前勝手な未来予想図を描いている彼等だが、女頭目はそれを咎める事も窘める事もしない。
今回の失態、下手をすれば怒りの矛先は自分へと向きかねない、いくら腕に覚えがあるとはいえこの集団で襲い掛かられたらひとたまりも無い。
手下の不満が敵に向かっているのであればそれに越した事は無い。
「なんにせよ今はガマンだよ。なに、これだけ残ってりゃ手駒を揃え直すのも金を集めるのも大して難しい事じゃないさ」
「ですな! どのみち一度は戦場で失うはずだった命、なんでも出来まさあ!」
部下のほとんどは近年、アトワルド王国と帝国の戦で戦傷を受け、廃業の憂き目に会った元冒険者である。
腕や足を失い誰からも見向きもされなくなった役立たずの彼らを「黒狼団」、この女頭目は手下として受け入れ、そして奪ったお宝の中にたまたま紛れ込んでいた「復元薬」、これを飲んだ彼らは本来の能力を取り戻し、そしてその薬を与えてくれた女頭目に忠誠を誓うようになった。
元々は力のある冒険者である、「黒狼団」は一気に勢力を拡大し、この土地で名も知れ始めていた、それなのにこの始末である。
彼等の怒りは、また手足を失うかもしれない恐怖と相まって天上知らずであった。
充分に食事を摂り、疲労を抜くためその場で泥のように眠りにつく、再起をかけて。
──むろん、そんな輝かしい未来など彼らに用意などされてはいなかった。
………………………………………………
………………………………………………
「……ん、んん…………」
「お目覚めかな?」
「…………──!! オマエ!?」
目が覚めるとアタシの目の前にあの男──ニールセンの憎たらしい薄ら笑いが飛び込んできた! このクソッタレ! よくもアタシの盗賊団を!!
ジャラン──!
掴みかかろうとアイツに向かって飛び掛るアタシはしかし、身体を起こした所で妙な金属音と共に、それ以上前に進むことが出来なかった。
「これは──?」
改めて自分の状態を確認してみれば、現在のアタシはいつのまにか裸にひん剥かれ、両腕両足に鉄の輪をはめられている。鉄輪には鎖が伸びており、その先にはアタシ同様、裸に剥かれた手下と繋がった状況だ。
「……イイ趣味してんじゃないのさ」
「はっはっは、そいつはありがとう、クズに褒められるって事はコイツはそれに相応しいクズな扱いって事なんだろうな」
……イヤな野郎だ、自分の有利な状況を充分に理解してやがる、コレじゃあ挑発は無意味か。
「どうしてこの場所が?」
「そりゃあ、見てたからな」
「いつから?」
「最初から」
なるほど、抜け穴の事は最初から気づいてたって事かい、本当にイヤな野郎だ。
手下達は起きてこない、死んではいない様だが起きる様子も無い、薬か何かで眠らされているのか? だったら、
「外の見張りは」
「聞いてどうする?」
「他に聞かれちゃマズイからねえ、なあアンタ、取引する気は無いかい?」
「…………」
「アタシにはチョイとしたコネがある、そいつとアジトにある分とは別の、他所に隠した財宝、オマケとしてアタシの身体も付けようじゃないか」
「…………望みは?」
どうやら食いついたようだね……それにしても「望み」か、そんなもん、はるか昔に奪われちまったよ。
今のアタシは、それを奪ったアイツ等に復讐するためだけに生きてんだからね!
「……復讐したい相手がいるのさ、その為だけにアタシは生きてる」
復讐、そう、アイツに復讐する、その為にアタシは生きてきた!
その為に強さを求め、自分達だけでは復讐を果たせないと、この「黒狼団」の前の頭目に近付いた。
アイツの情夫になりながらもそれに耐え、冒険者崩れを仲間に引き入れたと同時期に手に入れた薬、そいつのおかげでアタシの手駒はそろった。
前頭目を殺して自分が頭目の座に着き、この地でさらに勢力を拡大させ、全てはこれからなんだ! 奪われたものを取り返さないまでも、奪ったあいつ等に復讐しなけりゃならないんだ!
でもニールセン、いきなり現れたコイツに全てをぶち壊された! ……いや違う、今まで蓄えた力をもってしてもコイツには勝てなかった、だったらコイツを仲間に引き込めばアタシの力はもっと強くなる、復讐が果たせる!
「なあ頼むよ、アンタが望むなら何だってしてあげる。どんな恥ずかしい事でも屈辱的な事でも、あんたが悦ぶ事、全部してあげるからその力を貸して頂戴よ」
「……盗賊団の頭を張ってるくらいだからてっきり女王様だと思ってたんだが……まさかの雌豚の方だったか、薬が効いてるとはいえ予想外の展開だな、こりゃ」
「…………なんだって?」
「いやなに、俺の撒いた薬でグースカ寝ている間に飲ませた薬の中に、興奮すると同時に全身の感覚が鋭敏になる薬があってな、その効果もあって今のお前さんがあるわけだ」
「………………」
「言っておくが答えはノーだ、お前みたいな不良物件に用はねえよ。俺には極上の美女が側にいるんでな」
…………………………。
…………………………。
クソが! 誰が好き好んでこんな人生を歩んで来たものか!!
順風満帆、そう信じて疑わなかった私達から全てを奪った奴等!
あの優しいお父様とお母様を投獄し、いわれの無い罪で処刑した奴等!
彼等に相応の報いを受けさせる、その為だけに生きてきたんだ!
その為だったら何だってやってきた、かっぱらいに人殺し、頭目のケツの穴まで舐めた、当時の手下に褒美としても使われた。
全ては復讐の為に!!
「──そんなアタシを否定する権利がアンタにあるって言うのかい!?」
「知らんよ、そんなもん」
「──なっ!」
「その復讐と攫われた女性たちになんか関係があるのか? よしんばあったとして、彼女達の復讐を俺が暇つぶしがてら代わりにやってやってるだけだろ、あんまり怒るなよ」
──暇つぶし?
──怒るな?
……そんな事が出来るものか!!
「殺す!! お前を殺してやる!!」
「へーすごいねー、出来たらいーねー、コワーイ」
「呪われろ、ニールセン!! この悪魔!!」
「はっはっは、負け犬の遠吠えは大きければ大きいほど気持ちがいいな♪」
クソッタレ、アタシの叫びを笑いながら受け流すコイツに対して何も出来ない自分が憎い! 生きてやる、絶対にこの場を生き延びて復讐してやる!
「そろそろ他の面々も起きてきたかな……ハイ注目~、みなさんは現在、薬を飲まされ絶体絶命のピンチです。なぜならその薬は、半日も経てば身体が内側から腐って苦しみのたうちながら死ぬという恐ろしい毒だからです、こんな物を作ったヤツの顔が見てみたい! ハイ、ここ笑うとこですよ~?」
目を覚ました手下が困惑と共に狂人の言葉に耳を傾けている、中には自分の状態に気付いていない者もいるが、今それを気にするヤツはいない。
半日で死ぬと言われて暴れる手下達も、暴れようにも腕は鎖でつながれ、足の鎖など誰と繋がっているのか判らない位にごちゃ混ぜになっておりマトモに歩くのも困難だ。
「そんな哀れなアナタ達にお優しい俺は選択肢を用意しました! 赤と青の液体の入った瓶、赤の液体は解毒薬が入ってるので、死にたくない人は飲んでね。青い液体は毒です、一思いに死ねます。どっちを選ぶかは自由ですよ」
は? 解毒薬以外に選択肢があるのか? コイツは何を言っている?
「あ、信じてませんね? ならば論より証拠、そこのごついオッサン、この赤い液体を飲んでみな」
ニールセンが柄杓から掬った解毒薬を手下の男に飲ませる。すると、
「ギャアアアアアア!!!!」
「痛えええ!」 「うわ、痛っ!!」 「こら、暴れんな!」
大きな叫び声と共にのた打ち回る男にぶつかって他の男もまた悲鳴を上げている。
そういえばニールセンが言っていたっけ、「感覚が鋭敏になっている」と……まさか?
「言い忘れていましたが、アナタ達は毒薬の他に全身の感覚が鋭敏になる薬をたくさん飲ませています。今のアナタ達は苦痛も快楽も通常の数倍、下手をすれば10倍です、くれぐれも気をつけてね。あ、もう一つ、こっちの赤い液体には解毒薬の他にも「アギア・ガザルの実」を磨り潰した粉末が混じってるので辛いのが苦手な人は気をつけてね?」
アギア・ガザルの実!? あの触るだけでも手が痛くなるというアレを解毒薬に?
クソ! 本当にコイツは悪魔だ! 命は助かるかもしれないが、この口を拭うことも困難な状況でアレを飲めって言うのかい!?
「という訳で、いっそ一思いに! なんて思った人はコッチの青い液体をオススメします。そして、これは俺から皆さんに、ささやかながらの贈り物です」
そういってアイツは3つ目の瓶に入った液体をアタシら全員にぶちまける。
…………甘い?
「砂糖?」
「正解、水飴とまではいかないけどちょっとした粘り気のある砂糖水さ、それじゃ、アディオス!」
それだけ告げるとあの悪魔は出て行った。
「…………………………」
誰もが口を閉ざす、アタシ達に残された未来は3つ。
このまま死を待つか、あの解毒薬を飲むか、それとも一思いに自殺するか。
生き残るためには解毒薬しか道は無いが、それでもアノ光景を見ると躊躇してしまう、苦しみのたうち、下手をすればその苦しみで悶死するかもしれない。
そんな、誰もが二の足を踏んでいた時、
「ひゃあああ!?」
アタシの足に何かが当たり、くすぐったさの中に含まれる快楽から思わず嬌声のような声が上がってしまう!
「だ、誰だい! 今アタシの足に触ったヤツは!?」
「いえ、お頭! 俺らは何も──うあっ!?」
「痛ええええええええ!!」
いつの間にか、他のやつらも苦痛や笑いを堪える声が上がっている、一体ナニが?
──ゾゾ──ゾゾゾゾ──
──!! まさかコイツは
「蟻──!?」
薄暗い小屋の中、注意をはらってみれば周囲は蟻が群をなしてこちらに近付いてくる。
まさか砂糖水をかけたのはこのため?
「ギャハハハハハハハハ────!!!!」
「や、やめ……ヒイイイイ!!」
「痛ぇ、コイツら噛みやがる……ギャアアアア!!」
「ヒイイイイアアアアアア!!!」
阿鼻叫喚の地獄の中、アタシも身体を這う蟻によってもたらされる痒み・快楽・苦痛によって悲鳴を上げるのを余儀なくされる。
イヤだ、ヤメて、ヒドイことしないで!!
苦痛か、それとも速やかな死か? それを悩む暇さえ与えてくれないのか、あの悪魔は!
それにこのままでは新たに付け加えられた選択肢──発狂の末の死を強制的に選択させられてしまう。
そんなのはイヤだ! 助からないにしても、せめて自分の終わり方は自分で選んでやる!
「ハアハア、くそ! こうなったら!」
誰かが全身を襲う痒みに耐え切れなくなってアギア・ガザルの入った解毒薬を口に入れる。痒みと痛みで相殺出来ると思ったのか? バカなことを。
「────ギャアアアアアアア!!」
もちろん相殺など出来るはずも無く、ただ苦しみが2倍になるだけだった。
「も、もうイヤだ……もう楽になりたい」
心の折れた、別の手下が青色の毒薬を口に含む、そして──
「ギャアアアアア!!!!」
赤い液体と同様、苦しみにのた打ち回る。まさかアイツ、アッチにもアギア・ガザルの粉を!? なんて性格の悪い!!
ただし、毒という言葉に嘘は無かったようで、手下はのた打ち回った後、しばらくして静かになった。
──────いいだろう、アタシはアンタの挑発に乗ってやる!
「ニールセン、アタシは死なないよ、生きて絶対、アンタに復讐してやる!!」
アタシは赤い解毒薬を口に含む。
瞬間、口の中に熱した鉄を押し付けられたような衝撃が走り、脳が、目が、裏返る!
「ぎいいいいいいいいいい!!!」
負けない! 今までどんな屈辱にも耐えてきたんだ! こんな事でアタシは負けない!
待ってろニールセン! アタシは絶対アンタにもう一度会いに行ってやる!!
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セイゼイ油断シテ待ッテイロ──
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