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5章 イズナバール迷宮編
188話 最初の関門
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…………パチ……パチン!
「おーい若さん、リオンも、メシが出来ましたぜ」
イズナバール迷宮9層──周囲も暗くなった頃、ジンたち3人は密林の中にぽっかりと空いた広場で夜営をしている。
地面には何度も掘り返され、踏み固められた跡が見られる事からおそらく探索者達は、10層へ突入する前にここで英気を養っていたのではないかと思われる。
ジンはそこの中心で火をおこし食事の準備、リオンとルディは少し距離のある水源まで水汲み作業だ。
そこへヒーコラ喘いでいるルディを伴いリオンが水袋一杯に水を汲んで戻ってくる。
「おやジン、今夜はしし鍋ですか?」
「ああ、さっき仕留めたブラッドボアだな。どうせまるまる一頭分持ち歩く訳にもいかないんで食っちまおう」
「…………ボクはどこから突っ込めばいいの?」
声の主はルディ、その背中にはリオンが担いでいるのと同じ革製の水袋が背負わされている。そして両手足首にはリスト・アンクルバンドがはめられている。
ウィークエンド──手足にはめるトレーニング用品
手足に装着する事で強制的に魔力展開による身体抑制と同じ効果が発動する。
「若さん、言葉は相手に伝わらなければただの単語の羅列ですぜ?」
「だから! なんでボクがこんなモノ着けて身体を鍛えなきゃいけないのさ!?」
「今さら何を? ジャイアントスパイダーに何度も捕まるわ鎧ヤモリに尻尾で叩かれて骨折するわ、あげくコレの体当たりを食らって死に掛けるからでしょうが?」
ジンが呆れた口調で鍋の中を指差す。
「大丈夫、ガキンチョを鍛えるのは慣れてますんでね。安心の実績ですよ」
「ああ、あの子達を鍛えた方法ですね」
「アイツらの時は魔力もまとめて鍛えたから地獄だったけどな。まあ若さんはどうやら魔力に関しては強化の必要は無いみたいなんで、鍛えるのは身体だけにしとくさ。ウチの荷物持ちでもあるんだ、たくさん持てる様になって貰わないとね」
「ブーブー!」
「どのみち終盤にでもならんと、俺やリオンと一緒じゃあ暫くは単調な戦闘か面倒なトラップくらいしかありませんぜ?」
41層以降の最深部ならばBランクモンスターの集団やAランクも出てくるだろうが、そこへ到達するまではそれこそ迷宮内を物見遊山するしかないのが彼等の悩みである。他の探索者からすれば許しがたい放言ではあるが。
しかし、さすがに基本レベルが10そこそこでは、いくら護衛が周囲に気を配っていても早晩命を落とすのは免れそうに無い。
という訳でルディにはせめて肉体的頑強さをつけてもらう為、強制的に身体を鍛えてもらっている。
「……仕方ないね、上から眺めるよりも現場の臨場感を感じたいからこの身体でいるんだし、これも貴重な体験ということにしておくよ」
「ウチの若さんはものの道理を解ってくれててありがたいよ」
「それでは若様も、明日の為に食べて力をつけるとしましょうか」
「そうだねぇ、にしてもジン、こういう時は相手にカツ! とかの料理にしないの?」
しし鍋をつつきながらルディが話すが、
「ああ、”勝つ丼”ね……多分、勝った後に食べれるんじゃないですかねえ」
「ああ……」
「難度的にはその辺りが無難ですか」
──────────────
──────────────
──予想は大正解だった。
階段を下りた先に広がる岩盤をくりぬいた様な閉鎖空間。
そこには斧、棍棒をそれぞれ手にしたオークが2体、来訪者を待ち構えて空洞内をうろついている。
10層攻略に必要な戦力がEランク冒険者のパーティが複数必要であるならば、Dランク相当の強さを供えたオークが2体、妥当なところといえる。
「うわー、予想を欠片も裏切らな~い」
「まあ、難易度的には妥当な線だしな」
「で、どうします? ジンでも私でも2体倒すのにたいした時間もかかりませんが?」
3人は欠片も緊張せず、視界に映るオークの姿を眺め、興味無さそうに呟く。
「……ちょっと試したいことがある、俺がやるわ」
シンはそう言うと一人で歩き出す。
階段から広間で続く洞穴を歩くジンに気付いたオークは、ジンを睨むと武器を構えて待ち構える。
「ボス部屋から出る気配、いや、そういう思考は働かないって事か。この辺が養殖モンの弱点になるかな」
ジンは肩当の内側の異空間バッグから薬瓶を何本か取り出し通路から広間に向かって投げつける。
────ガシャン!
地面に落ちた薬瓶が割れ、中の微粉が周囲に撒き散らされる。
「土精よ、わが意のままに土塊よ動け、”粘土遊び”」
その後入り口を土で塞いだジンは踵を返して2人の元に歩き出す。
「ほい、それじゃ上に戻ろうか」
「……ジン、一体何を?」
「なに、単なる実験だ」
──そして20分後、
「……気持ち良さそうに寝てるね」
「眠り粉を撒いたからな」
布で口元を押さえた3人が10層に戻ってくるとそこには、気持ち良さそうに眠りについているオークが転がっている。
実験によってジン知りたかった事、それは一旦上のフロアに離脱した後もボスとの交戦状況が維持されるのかどうかだ。
単なる負傷なら時間経過で戻る可能性もあるが、眠り粉による状態変化、そして魔法によって変えられた地形がリセットされるのか検証した結果、どうやら状態は維持されるようだ。
「──まあ、これを戦闘中の一時離脱と判断されるかは怪しいが、少なくとも本格戦闘の前にこっちが一方的なアドバンテージを貰える事は確認できたな」
「ジン、アナタの頭の中が一体どうなってるのか不思議でしょうがないのですが…・・・」
「不思議も何も、無意味な戦闘にいらん労力を使いたくないだけですが?」
「……昨夜英気を養ったのは?」
「コレの解体と持ち帰りは体力が要りますぜ、若さん」
「「…………………………」」
「不満そうな顔をするなって……分かったよ、30層以降は真面目に戦闘する、それでいいだろ?」
「「……約束だ(です)よ?」」
「……ホレ、指きりげんまん」
その後ジンはオーク2体の首を蛮刀で切り落とすと、3人で仲良く解体作業をしながら昼飯の献立を相談する。満場一致でカツ丼だった。
「それにしても、迷宮産の魔物にこんな特典が付いてるとは知らなかったな」
「冒険者登録すらしない誰かさんは、この手の知識は無かったようですね」
「ハイハイ、どうせ裏街道まっしぐらのモグリですよ……にしても「魔晶石」ねえ」
魔晶石──迷宮産の魔物の体内から採れる魔石。
魔石が歪で不定形なのに対し、魔晶石は球体をしている。
魔晶石は迷宮生物が取り込んだ純粋な魔素から作り出された魔石の為不純物が少なく、薬の錬金・調合や魔道具の加工時に、天然の魔石のものよりも若干効果が高い。
また、Bランク以上の魔物から手に入る魔晶石の中でも完全な球体をしたものは”宝珠”と呼ばれ、魔法の効果を増幅させるとして高位の魔道士からの需要が絶えない。
「冒険者がこぞって迷宮に突入しそうなもんだけど?」
「これ以外の、迷宮を管理している国から流れてくる話ですが、あまりに冒険者が迷宮に入り過ぎると中の魔物やアイテムの質が落ちるんだそうです」
「迷宮生物が吐き出す魔素にも限界があるからね、乱獲を続ければ数も質も低下するよ」
妙な所でシビアな話である。
解体を終えた3人は背嚢に素材を詰め込み周囲を探索、やがて隠し通路と、壁の窪みに青白く光る鍵を見つける。
「鍵ね……比喩かと思ったら本当に鍵の形をしてたのか」
「これで、この通路の進んだ先にある11層に降りる階段と、1層と直接繋がる近道を通れますよ」
1層に入って直ぐの場所あった4つの扉、それはそれぞれ下の階層への短縮ルートへの扉であり、階層踏破者の証であるこの鍵を使う事によって使用できる。
もちろんこの迷宮専用の鍵であり他所の迷宮では使えない。
「なるほどねえ……ところで若さん、リオン」
「「ハイ?」」
「おウチに帰るまでが迷宮探索です、いいですか?」
「──!! イェア!」
「よろしい、それでは1層まで昇りましょう。あ、リオン、その背嚢も俺が持つよ」
そう言ってルディは1つ、ジンは2つの背嚢を背負って通路の先にある1層へと続く通路に向かう。背嚢を背負っているというのに2人の足取りは軽い。
「楽しそうですねえ……ホラ、待って下さい2人とも。私が先導しますから」
リオンはモーニングスターを肩に担ぎながら走り出した──。
そして………………。
──────────
──────────
「ギャアアア────!!」
「クソ! このやろ──アアアアアアアア!!」
魔物のいない安全な通路に、なぜか探索者達の悲鳴が木霊した──。
「おーい若さん、リオンも、メシが出来ましたぜ」
イズナバール迷宮9層──周囲も暗くなった頃、ジンたち3人は密林の中にぽっかりと空いた広場で夜営をしている。
地面には何度も掘り返され、踏み固められた跡が見られる事からおそらく探索者達は、10層へ突入する前にここで英気を養っていたのではないかと思われる。
ジンはそこの中心で火をおこし食事の準備、リオンとルディは少し距離のある水源まで水汲み作業だ。
そこへヒーコラ喘いでいるルディを伴いリオンが水袋一杯に水を汲んで戻ってくる。
「おやジン、今夜はしし鍋ですか?」
「ああ、さっき仕留めたブラッドボアだな。どうせまるまる一頭分持ち歩く訳にもいかないんで食っちまおう」
「…………ボクはどこから突っ込めばいいの?」
声の主はルディ、その背中にはリオンが担いでいるのと同じ革製の水袋が背負わされている。そして両手足首にはリスト・アンクルバンドがはめられている。
ウィークエンド──手足にはめるトレーニング用品
手足に装着する事で強制的に魔力展開による身体抑制と同じ効果が発動する。
「若さん、言葉は相手に伝わらなければただの単語の羅列ですぜ?」
「だから! なんでボクがこんなモノ着けて身体を鍛えなきゃいけないのさ!?」
「今さら何を? ジャイアントスパイダーに何度も捕まるわ鎧ヤモリに尻尾で叩かれて骨折するわ、あげくコレの体当たりを食らって死に掛けるからでしょうが?」
ジンが呆れた口調で鍋の中を指差す。
「大丈夫、ガキンチョを鍛えるのは慣れてますんでね。安心の実績ですよ」
「ああ、あの子達を鍛えた方法ですね」
「アイツらの時は魔力もまとめて鍛えたから地獄だったけどな。まあ若さんはどうやら魔力に関しては強化の必要は無いみたいなんで、鍛えるのは身体だけにしとくさ。ウチの荷物持ちでもあるんだ、たくさん持てる様になって貰わないとね」
「ブーブー!」
「どのみち終盤にでもならんと、俺やリオンと一緒じゃあ暫くは単調な戦闘か面倒なトラップくらいしかありませんぜ?」
41層以降の最深部ならばBランクモンスターの集団やAランクも出てくるだろうが、そこへ到達するまではそれこそ迷宮内を物見遊山するしかないのが彼等の悩みである。他の探索者からすれば許しがたい放言ではあるが。
しかし、さすがに基本レベルが10そこそこでは、いくら護衛が周囲に気を配っていても早晩命を落とすのは免れそうに無い。
という訳でルディにはせめて肉体的頑強さをつけてもらう為、強制的に身体を鍛えてもらっている。
「……仕方ないね、上から眺めるよりも現場の臨場感を感じたいからこの身体でいるんだし、これも貴重な体験ということにしておくよ」
「ウチの若さんはものの道理を解ってくれててありがたいよ」
「それでは若様も、明日の為に食べて力をつけるとしましょうか」
「そうだねぇ、にしてもジン、こういう時は相手にカツ! とかの料理にしないの?」
しし鍋をつつきながらルディが話すが、
「ああ、”勝つ丼”ね……多分、勝った後に食べれるんじゃないですかねえ」
「ああ……」
「難度的にはその辺りが無難ですか」
──────────────
──────────────
──予想は大正解だった。
階段を下りた先に広がる岩盤をくりぬいた様な閉鎖空間。
そこには斧、棍棒をそれぞれ手にしたオークが2体、来訪者を待ち構えて空洞内をうろついている。
10層攻略に必要な戦力がEランク冒険者のパーティが複数必要であるならば、Dランク相当の強さを供えたオークが2体、妥当なところといえる。
「うわー、予想を欠片も裏切らな~い」
「まあ、難易度的には妥当な線だしな」
「で、どうします? ジンでも私でも2体倒すのにたいした時間もかかりませんが?」
3人は欠片も緊張せず、視界に映るオークの姿を眺め、興味無さそうに呟く。
「……ちょっと試したいことがある、俺がやるわ」
シンはそう言うと一人で歩き出す。
階段から広間で続く洞穴を歩くジンに気付いたオークは、ジンを睨むと武器を構えて待ち構える。
「ボス部屋から出る気配、いや、そういう思考は働かないって事か。この辺が養殖モンの弱点になるかな」
ジンは肩当の内側の異空間バッグから薬瓶を何本か取り出し通路から広間に向かって投げつける。
────ガシャン!
地面に落ちた薬瓶が割れ、中の微粉が周囲に撒き散らされる。
「土精よ、わが意のままに土塊よ動け、”粘土遊び”」
その後入り口を土で塞いだジンは踵を返して2人の元に歩き出す。
「ほい、それじゃ上に戻ろうか」
「……ジン、一体何を?」
「なに、単なる実験だ」
──そして20分後、
「……気持ち良さそうに寝てるね」
「眠り粉を撒いたからな」
布で口元を押さえた3人が10層に戻ってくるとそこには、気持ち良さそうに眠りについているオークが転がっている。
実験によってジン知りたかった事、それは一旦上のフロアに離脱した後もボスとの交戦状況が維持されるのかどうかだ。
単なる負傷なら時間経過で戻る可能性もあるが、眠り粉による状態変化、そして魔法によって変えられた地形がリセットされるのか検証した結果、どうやら状態は維持されるようだ。
「──まあ、これを戦闘中の一時離脱と判断されるかは怪しいが、少なくとも本格戦闘の前にこっちが一方的なアドバンテージを貰える事は確認できたな」
「ジン、アナタの頭の中が一体どうなってるのか不思議でしょうがないのですが…・・・」
「不思議も何も、無意味な戦闘にいらん労力を使いたくないだけですが?」
「……昨夜英気を養ったのは?」
「コレの解体と持ち帰りは体力が要りますぜ、若さん」
「「…………………………」」
「不満そうな顔をするなって……分かったよ、30層以降は真面目に戦闘する、それでいいだろ?」
「「……約束だ(です)よ?」」
「……ホレ、指きりげんまん」
その後ジンはオーク2体の首を蛮刀で切り落とすと、3人で仲良く解体作業をしながら昼飯の献立を相談する。満場一致でカツ丼だった。
「それにしても、迷宮産の魔物にこんな特典が付いてるとは知らなかったな」
「冒険者登録すらしない誰かさんは、この手の知識は無かったようですね」
「ハイハイ、どうせ裏街道まっしぐらのモグリですよ……にしても「魔晶石」ねえ」
魔晶石──迷宮産の魔物の体内から採れる魔石。
魔石が歪で不定形なのに対し、魔晶石は球体をしている。
魔晶石は迷宮生物が取り込んだ純粋な魔素から作り出された魔石の為不純物が少なく、薬の錬金・調合や魔道具の加工時に、天然の魔石のものよりも若干効果が高い。
また、Bランク以上の魔物から手に入る魔晶石の中でも完全な球体をしたものは”宝珠”と呼ばれ、魔法の効果を増幅させるとして高位の魔道士からの需要が絶えない。
「冒険者がこぞって迷宮に突入しそうなもんだけど?」
「これ以外の、迷宮を管理している国から流れてくる話ですが、あまりに冒険者が迷宮に入り過ぎると中の魔物やアイテムの質が落ちるんだそうです」
「迷宮生物が吐き出す魔素にも限界があるからね、乱獲を続ければ数も質も低下するよ」
妙な所でシビアな話である。
解体を終えた3人は背嚢に素材を詰め込み周囲を探索、やがて隠し通路と、壁の窪みに青白く光る鍵を見つける。
「鍵ね……比喩かと思ったら本当に鍵の形をしてたのか」
「これで、この通路の進んだ先にある11層に降りる階段と、1層と直接繋がる近道を通れますよ」
1層に入って直ぐの場所あった4つの扉、それはそれぞれ下の階層への短縮ルートへの扉であり、階層踏破者の証であるこの鍵を使う事によって使用できる。
もちろんこの迷宮専用の鍵であり他所の迷宮では使えない。
「なるほどねえ……ところで若さん、リオン」
「「ハイ?」」
「おウチに帰るまでが迷宮探索です、いいですか?」
「──!! イェア!」
「よろしい、それでは1層まで昇りましょう。あ、リオン、その背嚢も俺が持つよ」
そう言ってルディは1つ、ジンは2つの背嚢を背負って通路の先にある1層へと続く通路に向かう。背嚢を背負っているというのに2人の足取りは軽い。
「楽しそうですねえ……ホラ、待って下さい2人とも。私が先導しますから」
リオンはモーニングスターを肩に担ぎながら走り出した──。
そして………………。
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「ギャアアア────!!」
「クソ! このやろ──アアアアアアアア!!」
魔物のいない安全な通路に、なぜか探索者達の悲鳴が木霊した──。
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