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5章 イズナバール迷宮編
223話 危惧
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「リーゼさん、何か悩み事でも?」
屋台の前まで来ているのに注文もしないリーゼにジンが声をかけていると、
「……ルディ、あの女は誰だ?」
「ジンと親しそうに話してる女の人が気になる?」
「そういう事では無い!」
茶化すルディに声を荒げるデイジーだが、一見気弱そうに見える目の前の女性が、ともすれば自分と伍する強さの持ち主と察して警戒感を強める。
自分達の事を棚に上げる訳でも自慢する訳でもないが、この若さでデイジー達と同等という事は、彼女達と同等の訓練・教育を受けてきたか、それだけの修羅場を潜り抜けてきたか、それらを凌駕する才能に恵まれたかのどれかだ。
そんな人間がこの町にいるとは、幾ら滞在して日が浅いとはいえ、自分達の耳に入ってこないとは、そのことも踏まえてデイジーは自分が丸腰である事を悔やむ。
「ジンも名前を言ってたけど、あの人はリーゼさん、あのユアンの仲間の1人だよ」
「ユアンの!? キサマらがエル様を!!」
「きゃっ──!?」
ユアンの名を聞いて激昂するデイジーに驚くリーゼは、怒りに燃えるデイジーの瞳と「エル様」という単語に、彼女が何者であるかを察し、即座に頭を下げる。
「も、申し訳ありません。ユアンがエルちゃんにした事でしたら幾重にもお詫びを申し上げます、だから……申し訳ありません!!」
「デイジー、その事はもう終わったことだから!」
「デイジーお姉さん、どうどう……護衛が町中で騒動を起こしちゃダメでしょ」
ちびっこ2人に押さえ込まれたデイジーはそれでも鼻息を荒くしているが、自分が武装していない事とエルの意見・立場を考慮してようやく大人しくなる。
とはいえ、リーゼを睨み付けるデイジーの眼光が弱まる事はなかった。
「……ゴタゴタしてすみませんね。それで、本当にどうしたので?」
「いえ、原因を作ったのは私達ですから……あの、モーラとマーニーをどこかで見ませんでしたか?」
ピクリ──
その名前を聞いた瞬間、ジンは片眉を上げながら顔を顰める表情を作る。そのあからさまな表情の変化にリーゼは食い付く。
「ジンさん、何か知っているんですか!?」
「呼び捨てで構いませんよ、俺の方が年下ですからね。それと、知っている訳じゃありませんよ。先日あの2人には酷い目に遭わされましてね」
ジンは2週間以上前、例の2人にお詫びがしたいと騙されて食事に誘われた挙句、ある場所まで連れて行かれ人質にされそうになった事を語る。
男相手に~のくだりでギョッとする女性達と意味が判らなかったエルに対し、何故が良い笑顔を作るルディの頬をつねりながらジンは、からくもその場を逃げ出した事と、それ以降は迷宮に潜っていたので知らないと伝えると、
「それじゃあもう、20日近くも……」
「逃げ出す時に、リオンに言いつけてやるって捨て台詞を残して来たんで、それから俺の前には姿を見せてませんよ。一緒にいた「森羅万象」の連中もね」
「!! 森羅万象というコミュニティなんですね、一緒にいた人達と言うのは?」
「え、ええ、確かに一緒にいましたけど……何かあったんですか?」
訝しげな表情を浮かべるジンにリーゼは、2人の姿がジンが会ったという日以降行方がわからなくなっている事を話した。
2人は時々連れ立って出歩く事があるのでいつもの事、レベルも高いから心配するような事にはならないと思っていたが、ユアン達が迷宮から戻ってきても姿が見えない、宿にも戻った形跡が見られないと、今3人で探している最中なのだという。
「ジン君、もしもアナタの話した事が本当だったら……あ、ゴメンナサイ」
「謝らなくてもいいですよ。誰だって最悪の予想はしたくないですからね……ちょっと待ってて」
そう言ってジンは、出来上がった甘魚と甘玉をヒョイヒョイと籠に詰め、
「どうぞ、何事も無かったらお祝いの品という事で……もし最悪の事態だった場合、心を落ち着かせるのに甘い物や、平穏な日常を思い出させる物が必要かもしれないので」
「……ありがとうジン、あなたの話の通りなら、2人はジンに酷い事をしたはずなのに」
「実際の被害を被った訳じゃないんでね、いいから急いでお仲間と合流を」
「ええ、ありがとうジン!!」
そう言って屋台を後にするリーゼを見送るジンだったが、少しすると眉をひそめ、
「ったく、しょうがねえな……少しだけ出てくるんでデイジーさん、エル坊とルディの護衛、頼みますよ」
「あっ、おい!!」
そう言うが早いか、ジンはリーゼが立ち去った方向に向かって走り出す。
そして5分後──
「──ただいま戻りましたよ……どうしたんすか?」
ジンが見たものは、エルとルディを抱きしめたまま、出産したての野生の獣のように周囲を警戒しまくるデイジーの姿があった。
ジンはそんな彼女の様子に呆れながら、
「だから単身での護衛ってのは、威圧感を振りまくんじゃなく、周りの注意を引かない事に重点を置くべきだと言ってるじゃないですか……」
「……生憎そんな器用な真似は出来ないのでな、第一オンナの尻を追いかけて行ったヤツの言葉に耳を貸す気は無い」
「別に尻を追っかけた訳じゃないんですがね……それに、どうせなら撫でる尻はデイジーさんの方が好みですよ、胸はリーゼさんに軍配が上がりますけど」
「なっ、バ、バカモノ!! キサマは一体何を!?」
顔を真っ赤にして抗議するデイジーを無視して屋台を再開するジンに向かって、
「で、何しに行ったの?」
「なに、ちょっと話し合いにね」
「話し合いねえ……それにしても鬼畜だねえ、あんな作り手の顔が浮かびそうなお土産まで渡して」
「心外な、辛い目にあった時は甘い物が一番でしょうが」
ルディの言葉にジンは肩をすくめながら、甘魚の型に生地を流しこむと、デイジーを鎮めていたエルも作業に参加しだす。
ジンとエルが甘魚を作り、ルディがデイジーの特訓をするという平穏が戻る中、
(で、あの子だけでも何とかしたいって気持ちかな、シンとしては)
(どうしてもって訳じゃないけどな。連中の間に波風を立たせて、さあ向こうはどうする? ってな話だよ)
仮にモーラとマーニーの状況が予想通りだったとして、2人の前にあんな物を差し出せば彼女達がどういう態度に出るか、その場にいなくても予想は付く。
加えて2人がジンに語って聞かせたユアンのリーゼに対する執着、そこにジンの屋台からの差し入れなど持ち込んだら……。
(鬼畜だよね~♪)
(言葉のチョイスと乗せる感情に齟齬がありすぎないか? ともあれ、喧嘩を売ってきたのは向こうだ、せいぜい恥を晒してもらうさ)
(真っ向からねじ伏せるんじゃなくて相手を貶めるスタイル、嫌いじゃないよ♪)
(……褒められた気がしねえな。まあ、他の連中は朱に交わって赤くなっちまってるが、リーゼは染まるというよりアイツに寄りかかってるだけだ。そこから抜ける気持ちにさえなればやり直しは出来るんだろうが、な……)
(希望的観測ってのは、だいたいその方向には進まない物だよ?)
(……わかってるよ)
エルに向ける優しい表情の裏で、ジンの心は曇天模様だった……。
その日はそれ以降、穏やかな一日だったが──
「ジン、さっきのは私の胸が小さいという意味か!?」
「だから、お尻はデイジーさんの方を褒めたじゃないですか!」
「キサマ、いつのまに見たと言うのだぁ!?」
「だから、酔っ払って下着を脱ぎだ──ごふぅ!!」
「それ以上言うなああああ」
……平穏な一日だった。
そして──
「オイ! 良い度胸してんじゃねえかこのクソガキがよお!!」
「……なんの話ですか、いきなり?」
リーゼの来店から2日後、ジンの目の前に災厄が現れた。
屋台の前まで来ているのに注文もしないリーゼにジンが声をかけていると、
「……ルディ、あの女は誰だ?」
「ジンと親しそうに話してる女の人が気になる?」
「そういう事では無い!」
茶化すルディに声を荒げるデイジーだが、一見気弱そうに見える目の前の女性が、ともすれば自分と伍する強さの持ち主と察して警戒感を強める。
自分達の事を棚に上げる訳でも自慢する訳でもないが、この若さでデイジー達と同等という事は、彼女達と同等の訓練・教育を受けてきたか、それだけの修羅場を潜り抜けてきたか、それらを凌駕する才能に恵まれたかのどれかだ。
そんな人間がこの町にいるとは、幾ら滞在して日が浅いとはいえ、自分達の耳に入ってこないとは、そのことも踏まえてデイジーは自分が丸腰である事を悔やむ。
「ジンも名前を言ってたけど、あの人はリーゼさん、あのユアンの仲間の1人だよ」
「ユアンの!? キサマらがエル様を!!」
「きゃっ──!?」
ユアンの名を聞いて激昂するデイジーに驚くリーゼは、怒りに燃えるデイジーの瞳と「エル様」という単語に、彼女が何者であるかを察し、即座に頭を下げる。
「も、申し訳ありません。ユアンがエルちゃんにした事でしたら幾重にもお詫びを申し上げます、だから……申し訳ありません!!」
「デイジー、その事はもう終わったことだから!」
「デイジーお姉さん、どうどう……護衛が町中で騒動を起こしちゃダメでしょ」
ちびっこ2人に押さえ込まれたデイジーはそれでも鼻息を荒くしているが、自分が武装していない事とエルの意見・立場を考慮してようやく大人しくなる。
とはいえ、リーゼを睨み付けるデイジーの眼光が弱まる事はなかった。
「……ゴタゴタしてすみませんね。それで、本当にどうしたので?」
「いえ、原因を作ったのは私達ですから……あの、モーラとマーニーをどこかで見ませんでしたか?」
ピクリ──
その名前を聞いた瞬間、ジンは片眉を上げながら顔を顰める表情を作る。そのあからさまな表情の変化にリーゼは食い付く。
「ジンさん、何か知っているんですか!?」
「呼び捨てで構いませんよ、俺の方が年下ですからね。それと、知っている訳じゃありませんよ。先日あの2人には酷い目に遭わされましてね」
ジンは2週間以上前、例の2人にお詫びがしたいと騙されて食事に誘われた挙句、ある場所まで連れて行かれ人質にされそうになった事を語る。
男相手に~のくだりでギョッとする女性達と意味が判らなかったエルに対し、何故が良い笑顔を作るルディの頬をつねりながらジンは、からくもその場を逃げ出した事と、それ以降は迷宮に潜っていたので知らないと伝えると、
「それじゃあもう、20日近くも……」
「逃げ出す時に、リオンに言いつけてやるって捨て台詞を残して来たんで、それから俺の前には姿を見せてませんよ。一緒にいた「森羅万象」の連中もね」
「!! 森羅万象というコミュニティなんですね、一緒にいた人達と言うのは?」
「え、ええ、確かに一緒にいましたけど……何かあったんですか?」
訝しげな表情を浮かべるジンにリーゼは、2人の姿がジンが会ったという日以降行方がわからなくなっている事を話した。
2人は時々連れ立って出歩く事があるのでいつもの事、レベルも高いから心配するような事にはならないと思っていたが、ユアン達が迷宮から戻ってきても姿が見えない、宿にも戻った形跡が見られないと、今3人で探している最中なのだという。
「ジン君、もしもアナタの話した事が本当だったら……あ、ゴメンナサイ」
「謝らなくてもいいですよ。誰だって最悪の予想はしたくないですからね……ちょっと待ってて」
そう言ってジンは、出来上がった甘魚と甘玉をヒョイヒョイと籠に詰め、
「どうぞ、何事も無かったらお祝いの品という事で……もし最悪の事態だった場合、心を落ち着かせるのに甘い物や、平穏な日常を思い出させる物が必要かもしれないので」
「……ありがとうジン、あなたの話の通りなら、2人はジンに酷い事をしたはずなのに」
「実際の被害を被った訳じゃないんでね、いいから急いでお仲間と合流を」
「ええ、ありがとうジン!!」
そう言って屋台を後にするリーゼを見送るジンだったが、少しすると眉をひそめ、
「ったく、しょうがねえな……少しだけ出てくるんでデイジーさん、エル坊とルディの護衛、頼みますよ」
「あっ、おい!!」
そう言うが早いか、ジンはリーゼが立ち去った方向に向かって走り出す。
そして5分後──
「──ただいま戻りましたよ……どうしたんすか?」
ジンが見たものは、エルとルディを抱きしめたまま、出産したての野生の獣のように周囲を警戒しまくるデイジーの姿があった。
ジンはそんな彼女の様子に呆れながら、
「だから単身での護衛ってのは、威圧感を振りまくんじゃなく、周りの注意を引かない事に重点を置くべきだと言ってるじゃないですか……」
「……生憎そんな器用な真似は出来ないのでな、第一オンナの尻を追いかけて行ったヤツの言葉に耳を貸す気は無い」
「別に尻を追っかけた訳じゃないんですがね……それに、どうせなら撫でる尻はデイジーさんの方が好みですよ、胸はリーゼさんに軍配が上がりますけど」
「なっ、バ、バカモノ!! キサマは一体何を!?」
顔を真っ赤にして抗議するデイジーを無視して屋台を再開するジンに向かって、
「で、何しに行ったの?」
「なに、ちょっと話し合いにね」
「話し合いねえ……それにしても鬼畜だねえ、あんな作り手の顔が浮かびそうなお土産まで渡して」
「心外な、辛い目にあった時は甘い物が一番でしょうが」
ルディの言葉にジンは肩をすくめながら、甘魚の型に生地を流しこむと、デイジーを鎮めていたエルも作業に参加しだす。
ジンとエルが甘魚を作り、ルディがデイジーの特訓をするという平穏が戻る中、
(で、あの子だけでも何とかしたいって気持ちかな、シンとしては)
(どうしてもって訳じゃないけどな。連中の間に波風を立たせて、さあ向こうはどうする? ってな話だよ)
仮にモーラとマーニーの状況が予想通りだったとして、2人の前にあんな物を差し出せば彼女達がどういう態度に出るか、その場にいなくても予想は付く。
加えて2人がジンに語って聞かせたユアンのリーゼに対する執着、そこにジンの屋台からの差し入れなど持ち込んだら……。
(鬼畜だよね~♪)
(言葉のチョイスと乗せる感情に齟齬がありすぎないか? ともあれ、喧嘩を売ってきたのは向こうだ、せいぜい恥を晒してもらうさ)
(真っ向からねじ伏せるんじゃなくて相手を貶めるスタイル、嫌いじゃないよ♪)
(……褒められた気がしねえな。まあ、他の連中は朱に交わって赤くなっちまってるが、リーゼは染まるというよりアイツに寄りかかってるだけだ。そこから抜ける気持ちにさえなればやり直しは出来るんだろうが、な……)
(希望的観測ってのは、だいたいその方向には進まない物だよ?)
(……わかってるよ)
エルに向ける優しい表情の裏で、ジンの心は曇天模様だった……。
その日はそれ以降、穏やかな一日だったが──
「ジン、さっきのは私の胸が小さいという意味か!?」
「だから、お尻はデイジーさんの方を褒めたじゃないですか!」
「キサマ、いつのまに見たと言うのだぁ!?」
「だから、酔っ払って下着を脱ぎだ──ごふぅ!!」
「それ以上言うなああああ」
……平穏な一日だった。
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