文字の大きさ
大
中
小
190 / 231
5章 イズナバール迷宮編
254話 槍聖
──坊主、槍とはなんじゃと思う?
「槍? 突くための武器だろ」
──なんじゃ、判っておるじゃないか青二才。その通りじゃ、剣は斬る、鎚は殴る、弓は射る、そして槍は突く。突き詰めればそれに尽きる。
あの耄碌ジジイ、そろそろくたばっただろうか……。
──じゃがのう、何故か槍を使いたがる奴が少のうてのう。
「威力では剣に劣り、射程では弓に遥かに及ばないからな」
──阿呆、槍はリーチの面で剣に勝り、威力において弓を凌駕しとるわ! モノの本質が見えとらん証拠じゃ。
「だから槍が最強だと?」
──応とも! 2つの武器に勝る利点を持つ槍こそが最強の武器なんじゃ!!
「裏を返せば2つの武器に劣ってるじゃねえか」
──アーアー聞こえな~い。
槍一筋、それこそ1本筋の通ったアホジジイだったわ……あれが槍聖とかなんの冗談だよ。
──ソーセージじゃのうて槍聖技じゃ! 何、語呂が悪い? そんなら坊主が何か別の言い方を考えてみい。
「……じゃあ、剣聖や槍聖ってのは言ってみれば天に選ばれた才能の持ち主だから”天技”ってのは?」
──天技……天技か、それええのう! 剣や弓なんぞより格上の感じがヒシヒシと感じられるわい。よし、これから槍聖の秘技は「天技」と呼ぶ事にするぞい!
俺は槍聖にも剣聖にもなれねえって言ってんのに何度もやり方を教えられたな……まさか実際に使う事になるとは思わなかった。ヴリトラを倒せたらまあ、挨拶か墓参り、どっちになってるか分からんが、詣でるくらいはしてやるか。
──坊主よ……なんで竜殺しの称号を手に入れた途端に弱くなっておるんじゃ? そんな事じゃあワシのひ孫を嫁にはやれんぞ。
「ジジイの血縁なんぞいらん……ってかひ孫かよ」
──孫娘にお前と似合いな年頃のヤツは残っとらんからのう、ひ孫の中でも7つより下なら何人か残っておるでな。なんなら今のうちからツバでも付けとくか?
「7つ以下のガキにツバとか頭湧いてんのかジジイ!!」
……なんだかんだで、総評的にはクソジジイだったわ。
「槍は突き、そして通すもの。惑わず迷わずただ前へ──」
シンの身体から溢れてくる、まるでホタルのような光の玉はフヨフヨとその場で踊り、やがて頭上に掲げる投げ槍へと吸い込まれてゆく。
投げ槍というにはシンプルな、乳白色のツルンとした巨大な錐のような物体は、聖竜王の肋骨を叩いて伸ばした敵を穿つ針の如し。
その白き槍に光のタマが吸い込まれる度、槍の纏う光は弾み、輝きが増してくる。
「矢を射る弓はともかく、剣と違って使い捨てなのが天技の一番の問題だと思うんだがな……」
シンは不満そうにそう述べる。聖竜王の肋骨を使い捨てにするという、経済感覚を彼方に放り出さねば発狂してしまいそうな技、それを使わねば勝てない自分と、そうでもしなければ倒せない相手双方を思い、その眉間にシワが寄る。
むろん技の行使に使う武器は槍でさえあれば問題は無いのだが、有象無象のものは言わずもがな、たとえ魔槍であろうとも、ヴリトラを滅するための力を込めるには槍自体の「格」が足りなかった。
そうこうする間もシンの身体から光──シンの魔力と体力が槍の中に流れ込み頭上の光は輝きと共に唸りの音があがり出す。
「アレを倒すにゃあまだ足りないか……こっちの準備が整うまで頼むぜ、リオン」
血の気の失せた顔でシンは視線の先、ヴリトラと激しくぶつかり合うリオンに向かって呟く。
──────────────
──────────────
一方──
『くっ!! 消耗しているはずなのに』
『フン、”天雷”の直撃を喰らってなお動ける頑強さは褒めてやるがな、力はともかく動きがなっておらぬわ!』
互いに消耗の激しい2体の魔竜はすでに飛ぶ事すら避け、地上に降り立ち足と尻尾で踏ん張りながら拳、爪、そしてブレスを相手に見舞う。
傍から見れば双方ノーガード戦法にも見えるが、ヴリトラは”先見”の異能を使ってリオンの攻撃を予見、先回りして攻撃の威力を削ぐ事で、消耗激しい身でありながらリオンを少しづつ圧している。
『借り物の力で!』
『使いこなせればそれは既に我の力よ』
「リオン殿!!」
双竜の会話を遮るようにルフトの声が両者に響く。
声のする方に視線を向けた両者は、槍を構えてヴリトラの足元に向かうルフトの姿が見える、その意図は明白だ。
そしてそのタイミングに合わせるようにリオンは腕を振り上げ、ヴリトラをその爪で袈裟懸けに抉ろうと腕を下ろす。
当然ヴリトラは両者の攻撃が予見出来てはいるが、自分の異能を理解した上での合図と時間差攻撃、かわした後の追撃をこそ恐れたヴリトラはあえて誘いに乗る。
「”渦旋撃”!!」
グリュウウウ──!!
『ぐううう!! しかし!』
ルフトの槍が脛を大きく抉る事に耐えながらヴリトラは、一拍遅れて来るであろうリオンの爪に先んじて手刀のように自らの腕を繰り出し、
スブッ──!!
ヴリトラの繰り出した攻撃は、爪どころか指の付け根までリオンの脇腹に深々と突き刺さった。
『あああああ!!』
『我を舐めるな! ──ぬっ?』
ギッ!!
リオンはしかし不適に口の端をニィと上げ、脇の筋肉に力を込めて指を抜けなくする。そして──
ガバッ!!
『ぐぬ、キサマ!?』
『ヴリトラ、アナタを倒すのは私ではありません。シンの準備が整うまで大人しくしていなさい』
リオンはヴリトラに覆い被さるようにして体重をかけ、その場から逃げられないように捕まえた。
ハッとしたヴリトラは、リオンの身体越しにその先に視線を向け、シンの姿を捉える。
『あやつ……何を企んでおるかと思えば、「槍聖」でも無い身でアレが撃てるものか!!』
『出来ますよシンなら、なにせ歩く非常識ですからね』
『ハッ、よしんば撃てたとしてメタリオン、キサマを道連れにするなど、今のあの男に出来るものか!!』
ヴリトラはそう言い放つと、それでもリオンの拘束から逃れようと身をよじり、刺さったままの指と爪をリオンの体内で暴れさせる。
『ぐうぅぅ……焦りが……声と行動に表れています、よ……なに、私も魔竜、死んでも生まれ直すだけですから、問題ありません……ああああ!!』
『……でも無さそうだな、キサマに見せてやりたいわ、今のヤツの苦しげな顔をな』
『みえすいた嘘を……』
(シン、シン!? 早く撃って下さい、もう持ちません)
(悪い、コイツは射線上に障害物があると撃てねえんだわ……石ころや人間程度ならともかく、リオンは……)
(そんな!?)
(頼む、なんとかその場を逃げてくれ)
リオンの体からかかる圧力が弱まった事を感じたヴリトラは、
『そういえばあの技は命中した者のみを滅殺する技、このままでは死ぬのはキサマだけよな』
巨体を揺らしながら楽しそうに嗤う。
グゥン──
『おっと、させぬよ』
今度はリオンがヴリトラから離れようと動き出すが、刺さった爪を体内でグリグリと動かしてリオンの抵抗を苦痛で押さえ込む。
『くぅぅぅぅぅ!!』
『あの技も準備が終わったようだが、ただ放つだけならば今の我なら避けるは容易い。それに、あの状態も長くは保たぬしな、ハァーハハハハ!! 我の勝ちだ、シンドゥラ!!』
ヴリトラの哄笑が響く中、リオンとルフトの顔に絶望の色が覗きだす。
リオンの体は既に限界に近く、振りほどこうと思えば今のヴリトラならば可能なれど、あえてその巨体を盾にしてシンの「奥の手」を封じている。
またルフトも、先ほどの攻撃によりヴリトラの足に深手を負わせる事が出来たものの流石に魔竜の、しかもヴリトラの鱗は硬く、槍の穂先が砕けて使い物にならなかった。
──そんな中、
「たとえ攻撃手段は無くても、私だって!」
その声はまったく別の方向から聞こえてきた。
そこには、超人剤の副作用で動けないゲンマの側で、大上段に構えた星球武器を振り下ろすシュナの姿が。
そして、
──ガツン!!
「大崩壊!!」
パリン──
ガララララララ!!
絶叫のように発動の言葉が発せられると、地面が大規模崩落を引き起こす。
そしてそれはヴリトラとリオンが立っている所にも影響し、
ズズズッ──!!
『なに!?』
足元の大地が消失したリオンは地下に引き摺り下ろされ、リオンに覆い被さられていたヴリトラは、その動きに引っ張られながらも思わず逆らうように踏ん張ると、
ズキィ!
『ぐぬっ!!』
抉られた片足の痛みに一瞬硬直してしまう。
そして、
「其れは一条の光の如し──喰らえ! 天技”覇王の征軍”!!」
『しまっ──!!』
ヴリトラの心臓に光が吸い込まれた次の瞬間、
カッ────!!
周囲が光で埋め尽くされた──。
「槍? 突くための武器だろ」
──なんじゃ、判っておるじゃないか青二才。その通りじゃ、剣は斬る、鎚は殴る、弓は射る、そして槍は突く。突き詰めればそれに尽きる。
あの耄碌ジジイ、そろそろくたばっただろうか……。
──じゃがのう、何故か槍を使いたがる奴が少のうてのう。
「威力では剣に劣り、射程では弓に遥かに及ばないからな」
──阿呆、槍はリーチの面で剣に勝り、威力において弓を凌駕しとるわ! モノの本質が見えとらん証拠じゃ。
「だから槍が最強だと?」
──応とも! 2つの武器に勝る利点を持つ槍こそが最強の武器なんじゃ!!
「裏を返せば2つの武器に劣ってるじゃねえか」
──アーアー聞こえな~い。
槍一筋、それこそ1本筋の通ったアホジジイだったわ……あれが槍聖とかなんの冗談だよ。
──ソーセージじゃのうて槍聖技じゃ! 何、語呂が悪い? そんなら坊主が何か別の言い方を考えてみい。
「……じゃあ、剣聖や槍聖ってのは言ってみれば天に選ばれた才能の持ち主だから”天技”ってのは?」
──天技……天技か、それええのう! 剣や弓なんぞより格上の感じがヒシヒシと感じられるわい。よし、これから槍聖の秘技は「天技」と呼ぶ事にするぞい!
俺は槍聖にも剣聖にもなれねえって言ってんのに何度もやり方を教えられたな……まさか実際に使う事になるとは思わなかった。ヴリトラを倒せたらまあ、挨拶か墓参り、どっちになってるか分からんが、詣でるくらいはしてやるか。
──坊主よ……なんで竜殺しの称号を手に入れた途端に弱くなっておるんじゃ? そんな事じゃあワシのひ孫を嫁にはやれんぞ。
「ジジイの血縁なんぞいらん……ってかひ孫かよ」
──孫娘にお前と似合いな年頃のヤツは残っとらんからのう、ひ孫の中でも7つより下なら何人か残っておるでな。なんなら今のうちからツバでも付けとくか?
「7つ以下のガキにツバとか頭湧いてんのかジジイ!!」
……なんだかんだで、総評的にはクソジジイだったわ。
「槍は突き、そして通すもの。惑わず迷わずただ前へ──」
シンの身体から溢れてくる、まるでホタルのような光の玉はフヨフヨとその場で踊り、やがて頭上に掲げる投げ槍へと吸い込まれてゆく。
投げ槍というにはシンプルな、乳白色のツルンとした巨大な錐のような物体は、聖竜王の肋骨を叩いて伸ばした敵を穿つ針の如し。
その白き槍に光のタマが吸い込まれる度、槍の纏う光は弾み、輝きが増してくる。
「矢を射る弓はともかく、剣と違って使い捨てなのが天技の一番の問題だと思うんだがな……」
シンは不満そうにそう述べる。聖竜王の肋骨を使い捨てにするという、経済感覚を彼方に放り出さねば発狂してしまいそうな技、それを使わねば勝てない自分と、そうでもしなければ倒せない相手双方を思い、その眉間にシワが寄る。
むろん技の行使に使う武器は槍でさえあれば問題は無いのだが、有象無象のものは言わずもがな、たとえ魔槍であろうとも、ヴリトラを滅するための力を込めるには槍自体の「格」が足りなかった。
そうこうする間もシンの身体から光──シンの魔力と体力が槍の中に流れ込み頭上の光は輝きと共に唸りの音があがり出す。
「アレを倒すにゃあまだ足りないか……こっちの準備が整うまで頼むぜ、リオン」
血の気の失せた顔でシンは視線の先、ヴリトラと激しくぶつかり合うリオンに向かって呟く。
──────────────
──────────────
一方──
『くっ!! 消耗しているはずなのに』
『フン、”天雷”の直撃を喰らってなお動ける頑強さは褒めてやるがな、力はともかく動きがなっておらぬわ!』
互いに消耗の激しい2体の魔竜はすでに飛ぶ事すら避け、地上に降り立ち足と尻尾で踏ん張りながら拳、爪、そしてブレスを相手に見舞う。
傍から見れば双方ノーガード戦法にも見えるが、ヴリトラは”先見”の異能を使ってリオンの攻撃を予見、先回りして攻撃の威力を削ぐ事で、消耗激しい身でありながらリオンを少しづつ圧している。
『借り物の力で!』
『使いこなせればそれは既に我の力よ』
「リオン殿!!」
双竜の会話を遮るようにルフトの声が両者に響く。
声のする方に視線を向けた両者は、槍を構えてヴリトラの足元に向かうルフトの姿が見える、その意図は明白だ。
そしてそのタイミングに合わせるようにリオンは腕を振り上げ、ヴリトラをその爪で袈裟懸けに抉ろうと腕を下ろす。
当然ヴリトラは両者の攻撃が予見出来てはいるが、自分の異能を理解した上での合図と時間差攻撃、かわした後の追撃をこそ恐れたヴリトラはあえて誘いに乗る。
「”渦旋撃”!!」
グリュウウウ──!!
『ぐううう!! しかし!』
ルフトの槍が脛を大きく抉る事に耐えながらヴリトラは、一拍遅れて来るであろうリオンの爪に先んじて手刀のように自らの腕を繰り出し、
スブッ──!!
ヴリトラの繰り出した攻撃は、爪どころか指の付け根までリオンの脇腹に深々と突き刺さった。
『あああああ!!』
『我を舐めるな! ──ぬっ?』
ギッ!!
リオンはしかし不適に口の端をニィと上げ、脇の筋肉に力を込めて指を抜けなくする。そして──
ガバッ!!
『ぐぬ、キサマ!?』
『ヴリトラ、アナタを倒すのは私ではありません。シンの準備が整うまで大人しくしていなさい』
リオンはヴリトラに覆い被さるようにして体重をかけ、その場から逃げられないように捕まえた。
ハッとしたヴリトラは、リオンの身体越しにその先に視線を向け、シンの姿を捉える。
『あやつ……何を企んでおるかと思えば、「槍聖」でも無い身でアレが撃てるものか!!』
『出来ますよシンなら、なにせ歩く非常識ですからね』
『ハッ、よしんば撃てたとしてメタリオン、キサマを道連れにするなど、今のあの男に出来るものか!!』
ヴリトラはそう言い放つと、それでもリオンの拘束から逃れようと身をよじり、刺さったままの指と爪をリオンの体内で暴れさせる。
『ぐうぅぅ……焦りが……声と行動に表れています、よ……なに、私も魔竜、死んでも生まれ直すだけですから、問題ありません……ああああ!!』
『……でも無さそうだな、キサマに見せてやりたいわ、今のヤツの苦しげな顔をな』
『みえすいた嘘を……』
(シン、シン!? 早く撃って下さい、もう持ちません)
(悪い、コイツは射線上に障害物があると撃てねえんだわ……石ころや人間程度ならともかく、リオンは……)
(そんな!?)
(頼む、なんとかその場を逃げてくれ)
リオンの体からかかる圧力が弱まった事を感じたヴリトラは、
『そういえばあの技は命中した者のみを滅殺する技、このままでは死ぬのはキサマだけよな』
巨体を揺らしながら楽しそうに嗤う。
グゥン──
『おっと、させぬよ』
今度はリオンがヴリトラから離れようと動き出すが、刺さった爪を体内でグリグリと動かしてリオンの抵抗を苦痛で押さえ込む。
『くぅぅぅぅぅ!!』
『あの技も準備が終わったようだが、ただ放つだけならば今の我なら避けるは容易い。それに、あの状態も長くは保たぬしな、ハァーハハハハ!! 我の勝ちだ、シンドゥラ!!』
ヴリトラの哄笑が響く中、リオンとルフトの顔に絶望の色が覗きだす。
リオンの体は既に限界に近く、振りほどこうと思えば今のヴリトラならば可能なれど、あえてその巨体を盾にしてシンの「奥の手」を封じている。
またルフトも、先ほどの攻撃によりヴリトラの足に深手を負わせる事が出来たものの流石に魔竜の、しかもヴリトラの鱗は硬く、槍の穂先が砕けて使い物にならなかった。
──そんな中、
「たとえ攻撃手段は無くても、私だって!」
その声はまったく別の方向から聞こえてきた。
そこには、超人剤の副作用で動けないゲンマの側で、大上段に構えた星球武器を振り下ろすシュナの姿が。
そして、
──ガツン!!
「大崩壊!!」
パリン──
ガララララララ!!
絶叫のように発動の言葉が発せられると、地面が大規模崩落を引き起こす。
そしてそれはヴリトラとリオンが立っている所にも影響し、
ズズズッ──!!
『なに!?』
足元の大地が消失したリオンは地下に引き摺り下ろされ、リオンに覆い被さられていたヴリトラは、その動きに引っ張られながらも思わず逆らうように踏ん張ると、
ズキィ!
『ぐぬっ!!』
抉られた片足の痛みに一瞬硬直してしまう。
そして、
「其れは一条の光の如し──喰らえ! 天技”覇王の征軍”!!」
『しまっ──!!』
ヴリトラの心臓に光が吸い込まれた次の瞬間、
カッ────!!
周囲が光で埋め尽くされた──。
感想 497
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
「子を産めない妻はいらない」と離縁されたので、七人の孤児がいる辺境伯家に嫁ぎます~なぜか全員に懐かれました
ゆぷしろん「子を産めない妻はいらない」
七年尽くした夫にそう告げられ、伯爵夫人アメリアは若い愛人にすべてを奪われた。
手元に残ったのは、わずかな生活費と母の形見だけ。居場所を失った彼女のもとへ届いたのは、北の辺境伯グレンからの求婚状だった。
そこに記されていたのは、前夫が一度も見ようとしなかったアメリアの功績。求められたのは跡継ぎを産む妻ではなく、戦争で荒れた領地と屋敷を共に守る伴侶だった。
だが、嫁ぎ先で待っていたのは、親を失い心に傷を抱えた七人の孤児たち。
反発する少年、言葉を閉ざした幼子、飢えを恐れる少女。アメリアは叱るのではなく、一人ずつ寄り添っていく。
やがて子どもたちは彼女を「かあさま」と呼び始める。
そんな幸せを取り戻しかけたある日、彼女を捨てた前夫が再び現れて――。
「お姉様の刺繍は素人ね」と笑った義妹の婚礼衣装——裏地を見た女官十二人が、一斉に針を置いた
歩人(あゆと)「お姉様の刺繍は、素人の手習いに見えますわね」――王太子妃となる異母妹アデリーナは、王宮女官たちの前で姉ローゼを笑った。翌週の婚礼の朝。式典装の最終確認のため、十二人の女官が衣装の裏地を検めた瞬間――一人、また一人と、針を置いた。裏地に縫い込まれていたのは、女官たちが十二年間ずっと探していた一筆の銀糸。即位式の絹外套、二人の王女の婚礼ドレス、亡き王太后の弔意の喪服。王家儀礼衣装のすべての裏地に、同じ手で、同じ糸で、同じ銀の花が縫い込まれていた。「アデリーナ様、これは――あなた様の手では、ございません」縫い手は、ずっと一人だった。それを十二年間、誰の名でも呼べなかっただけのこと。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。