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庭園茶会
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やわらかな陽ざしの中、とりとめのない会話で盛り上がりながら素敵なお庭を眺めていたところ、紹介したい人がいると主催者である伯爵夫人に呼ばれてしまいました。
実家から離れたこの地域ではまだわたくしの噂話が届いていないようで、久しぶりに同年代の令嬢たちと普通の会話をすることができました。
これを機に仲の良い友人を作るよう努力しようと頑張った成果ともいえるでしょう。
主催者のいる場所まで案内してくれたこの家の使用人に軽く礼を言って別れると、すでに伯母様が夫人と話をしていました。
近くに立っている男性を紹介してくださるのでしょうが、顔をしっかりと見るのは紹介されてから、と習ったのであまりそちらを見ないように気を付けて進みます。
少し見ただけでも背が高く、体を鍛えている方なのだとわかりました。髪はわたくしと同じ金髪。
「呼び立ててしまってごめんなさいね。リリアンジェさんに是非紹介したい方がいるのよ」
伯爵夫人にそう言われたので随分前から視界に入っていた男性に視線を向けると、青い瞳と目が合い、自然と笑みが浮かびました。お相手の方はとても優しそうな顔立ちをしていらっしゃいます。
「ローゼン様、わたくしの妹の娘でリリアンジェですわ。現在15歳で恋人も想い人もおりません」
伯母様がわたくしを紹介すると、ローゼン様は伯爵夫人へ視線を移します。
「リリアンジェさん、わたくしの弟の息子で名前はローゼン。今年16歳のリリアンジェさんには少し年上に感じるかもしれないけれど、このくらいの年の差が丁度良いのよ」
ローゼン様は21歳。騎士団に勤めていて所属は赤。もちろん独身で現在は恋人も想い人もいないそうだ。
「少し彼女と話をしてきてもいいですか?」
「ええ、もちろんよ」
整えられた庭を歩いて、周囲に人がまばらになったところでローゼン様が話を切り出しました。
「君には恋人かそれに近い存在がいると聞いたのだが? もしそうなら、遠慮せず言ってくれ」
「そのような方はいません。でもその噂には心当たりがあります」
迷惑な伯爵子息を思い出し、顔に出ないように注意しながら噂とは違う事実を伝えます。
「そうなのか。同席していた友人が君の事を知っていたようで、先ほど聞いたばかりだったんだ。気を悪くさせてしまってすまない」
失敗した、と顔に書いてありそうなほど申し訳なさそうにしているローゼン様を責めるつもりはありません。
悪いのは悪質な噂を故意に流した人たちと、噂を放置していたわたくし。そして元凶の伯爵子息。
「でも、驚きました。まさかこの辺りまでその噂が届いているなんて」
「我々は各地を移動しているから、たまに仲間に会うと情報交換をするようにしているんだ」
所属先が違うとはいえ騎士が絡む噂なので話題に上るのは仕方ないことなのでしょう。
ローゼン様はしばらくこちらに滞在するようなので、わたくしの休日に一度会う約束をして伯母様たちがいる場所まで戻りました。
ー社交界なんて滅んでしまえー
本当に噂がこんな離れたところまで広がるなんて
忠告してくれた伯母様には感謝しかないわ。ありがとう伯母様
なぜこんな苦労をしなければならないのかしら
わたくし何もしてないのだけど
お茶会で話題になるたび必死に否定していたら何か変わっていたかしら?
お友達作り頑張ろう
実家から離れたこの地域ではまだわたくしの噂話が届いていないようで、久しぶりに同年代の令嬢たちと普通の会話をすることができました。
これを機に仲の良い友人を作るよう努力しようと頑張った成果ともいえるでしょう。
主催者のいる場所まで案内してくれたこの家の使用人に軽く礼を言って別れると、すでに伯母様が夫人と話をしていました。
近くに立っている男性を紹介してくださるのでしょうが、顔をしっかりと見るのは紹介されてから、と習ったのであまりそちらを見ないように気を付けて進みます。
少し見ただけでも背が高く、体を鍛えている方なのだとわかりました。髪はわたくしと同じ金髪。
「呼び立ててしまってごめんなさいね。リリアンジェさんに是非紹介したい方がいるのよ」
伯爵夫人にそう言われたので随分前から視界に入っていた男性に視線を向けると、青い瞳と目が合い、自然と笑みが浮かびました。お相手の方はとても優しそうな顔立ちをしていらっしゃいます。
「ローゼン様、わたくしの妹の娘でリリアンジェですわ。現在15歳で恋人も想い人もおりません」
伯母様がわたくしを紹介すると、ローゼン様は伯爵夫人へ視線を移します。
「リリアンジェさん、わたくしの弟の息子で名前はローゼン。今年16歳のリリアンジェさんには少し年上に感じるかもしれないけれど、このくらいの年の差が丁度良いのよ」
ローゼン様は21歳。騎士団に勤めていて所属は赤。もちろん独身で現在は恋人も想い人もいないそうだ。
「少し彼女と話をしてきてもいいですか?」
「ええ、もちろんよ」
整えられた庭を歩いて、周囲に人がまばらになったところでローゼン様が話を切り出しました。
「君には恋人かそれに近い存在がいると聞いたのだが? もしそうなら、遠慮せず言ってくれ」
「そのような方はいません。でもその噂には心当たりがあります」
迷惑な伯爵子息を思い出し、顔に出ないように注意しながら噂とは違う事実を伝えます。
「そうなのか。同席していた友人が君の事を知っていたようで、先ほど聞いたばかりだったんだ。気を悪くさせてしまってすまない」
失敗した、と顔に書いてありそうなほど申し訳なさそうにしているローゼン様を責めるつもりはありません。
悪いのは悪質な噂を故意に流した人たちと、噂を放置していたわたくし。そして元凶の伯爵子息。
「でも、驚きました。まさかこの辺りまでその噂が届いているなんて」
「我々は各地を移動しているから、たまに仲間に会うと情報交換をするようにしているんだ」
所属先が違うとはいえ騎士が絡む噂なので話題に上るのは仕方ないことなのでしょう。
ローゼン様はしばらくこちらに滞在するようなので、わたくしの休日に一度会う約束をして伯母様たちがいる場所まで戻りました。
ー社交界なんて滅んでしまえー
本当に噂がこんな離れたところまで広がるなんて
忠告してくれた伯母様には感謝しかないわ。ありがとう伯母様
なぜこんな苦労をしなければならないのかしら
わたくし何もしてないのだけど
お茶会で話題になるたび必死に否定していたら何か変わっていたかしら?
お友達作り頑張ろう
応援ありがとうございます!
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