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27、強制力*
兄のもとへ帰ると、まだ熱心に机に向かっていた。
「遅かったな」
「ええ。ちょっと……あ、お兄様。パンを買ってきたの。少し休憩したら?」
兄の様子を見る限り、今日はこのまま学校に泊まるかもしれない。
「ありがとう。そうする」
「わたし、お茶を淹れるわ。お兄様は座って待って、きゃっ――」
フェリクスに後ろから抱きつかれて、さらに顔を振り向かされたかと思うと口を塞がれたので、イザベルはとても驚いた。
「んっ、に、さま……ん、ん」
濃厚な口づけにイザベルはあっという間に身体の力が抜けて、気づけば兄の腕の中に抱きしめられていた。息を切らせながら、イザベルは弱々しい声で文句を言う。
「お兄様、なんで、いきなり……」
「休憩しろと言われたからな。お前で補給した」
「っ……こんなの休憩にならな、やっ……」
背中から臀部までいやらしい手つきで撫でられて、兄の方に身体を寄せてしがみついてしまう。首筋にフェリクスの吐息がかかり、ちゅっと吸いつかれると、さらに身体を震わせた。その様を、喉奥で笑われる。
「イザベル……殿下に、会ったか?」
「ど、どうして?」
「殿下の匂いがする」
驚愕するイザベルの顔を見て、フェリクスは冗談だと笑った。
「ただ、戻ってきた時のお前の様子がおかしかった。それに、殿下は生徒会の仕事で学校に泊まることがあるらしいからな。偶然会っても、おかしくない」
「殿下と会ったから……お兄様は怒っているの?」
フェリクスは質問に答えず、イザベルと共に椅子に座って甘えるように胸に顔を寄せた。
「私は狭量な人間にはなりたくない。お前の幸せを願い、穏やかな日常が送れるよう努めたい。それでも……お前と殿下を見ていると、胸がざわつくことがある」
「わたし、殿下のこと何とも思っていないわ」
レーモンも同じだ。フェリクスはイザベルを宥めるように背中を撫でて、顔を上げた。
「……わかっている。だが時々、違和感を覚えるんだ。私とお前がこんなことをしているのは間違っていて、運命の導きのようにお前たちが結び付くのが自然だと――」
イザベルは兄の言葉をそれ以上聞きたくなくて、自ら口づけした。
「お兄様のばか。どうしてそんなこと言うの。ひどいわ」
「イザベル……うっ」
イザベルは兄の下半身に手を伸ばし、素早く前を寛げると、やや強めに兄の分身を握った。それでも嬉しそうに先走りを零すのでくすりと笑う。
「ひどいから、お兄様に意地悪するわ」
兄の脚を開かせてその間にイザベルは身体を落とした。
「イザベル。やめなさい」
「いや」
兄を辱しめる気持ちでイザベルは熱杭を扱き、舌を這わせて下から上まで焦らすように舐めた。兄は面白いほど反応し、ぴくぴくと剛直を震わせる。思い切って口に含めば、びくりと兄は身体を震わせた。
「イ、イザベル、こんなこと、許されない」
「んっ、そんなこと、いって、ふぅ……お兄様の、んっ、おおきく、なってる」
ちゅぱちゅぱ先端を吸引するように咥えて離すことを繰り返しているうちに、兄の呼吸が速くなってくる。イザベルの肩を押して引き離そうとするが、彼女は抗って、手と口を巧みに使って兄を追いつめる。そして。
「くっ、あ、だめだっ、出るっ」
どくんと膨れ上がった肉棒はイザベルの口の中に熱い子種を吐き出した。彼女は嘔吐きそうになったが飲み干す。
フェリクスは射精した余韻でしばしぼんやりしていたが、やがて我に返った様子でイザベルに口を拭うようハンカチを渡したり、水を用意したりした。
「なんで飲んだりしたんだ」
「んー……何となく?」
「な、何となくであんな汚いもの飲むんじゃない!」
慌てる兄がおかしくて、イザベルは笑った。フェリクスがムッとした顔をする。
「何がおかしいんだ」
「だって、その理屈なら、お兄様もわたしのものを……同じことをしているわ」
イザベルだって恥ずかしくて、そんなところ舐めないでほしいと言ったのに、兄は聞いてくれず、夢中で舐めてはイザベルを何度も高みに昇らせた。それで溢れた蜜も、一滴残らず飲み干していたのだ。
「だからわたしも同じことをお兄様にしてみたいとずっと思っていたの。……でも、よくあんなことできるのね」
「私のとお前のは違う。お前のは甘くて、いくらでも飲んでいられる」
どこまでも真剣に述べるので、イザベルの方が照れてしまう。
「甘いって……わたし、何かの病気なんじゃないかと思ってしまうわ」
「私の舌ではそう感じる」
いったい自分たちは何を話しているのだとばかばかしくなって、イザベルは衣服の乱れを直して立ち上がった。
「この話はもう終わり。お兄様の休憩も終わったことだし、わたしは買ってきたパンを食べます。お兄様はお茶を淹れてくださる?」
「……イザベル」
兄は物欲しげな目をしていた。先ほどの行為だけでは、まだ満足していないのだ。
「イザベル。お前も――」
自分を捕まえようとした腕からイザベルはするりと逃げて、意地悪く微笑んだ。
「だめ。ここはそういうことをする場所じゃないわ」
「今さらだろう。それに先に誘惑してきたのはお前の方だ」
イザベルはコホンと咳払いして誤魔化す。
「とにかく。お兄様はまだお仕事が残っているのだから、先にそちらを片付けてください」
それまではお預けだ。
イザベルの命令に兄はかなり不満そうであったが、渋々折れて、茶の準備に取り掛かった。
その後夕食代わりにパンを食べ終えて、イザベルは本を読んだりして過ごしていたが、いつの間にか疲れて眠ってしまっていた。途中兄に抱えられて長椅子の上に寝かされた気がする。
『イザベル。イザベル』
「ん……」
自分の名前を必死に呼ぶ声が聞こえる。振り払うように寝返りを打ったのは、聞きたくないと思ったからだ。
『イザベル。きみが好きなのは本当は僕のはずだろう』
違う。それはまやかしだ。
『いいや。それこそ違う。きみは僕を好きにならなければならない。僕を愛さなければならない。――きみの兄ではなく』
どくんと心臓が大きく鳴り、イザベルは覚醒した。
「イザベル……?」
フェリクスはまだ起きていたが、イザベルの意識は気づかず、ただぼんやりと歩き始める。
(会いに、行かなくちゃ)
「イザベル? どうした?」
操り人形のように勝手に脚が動き始める。違う。これは自分の意思だ。
(イザベル・クレージュはレーモンが好き。狂うほどに愛している)
そうでなければならない。物語通りに。
「イザベル!」
呼びかけても返事をせず夢遊病のような様子を見せる妹を、フェリクスが強引に振り向かせる。
「しっかりしろ!」
瞳に光の宿っていない虚ろな妹の表情にフェリクスは愕然とする。
「イザベル。どうしたんだ」
「はなし、て」
兄の制止を振り切ろうとイザベルは手足をばたつかせる。
「どこにいくつもりだ!」
「愛しい人……レーモン様の、ところへ」
フェリクスは目を見開き、次いで怒りの感情をはっきりと浮かべた。まるでゲームで愚かな行いをしたイザベルを嫌悪した時と同じ表情で。
「そんなことさせない」
いやいやと身を捩るイザベルの顎を自分の方へ向けさせると、フェリクスは噛みつくように口づけして、咥内をめちゃくちゃに犯した。
イザベルの身体は少し抵抗をやめるが、それでも「レーモン」と呟くので、フェリクスはイザベルを長椅子に押し倒す。
体重をかけて唇を何度も重ねて、徐々にイザベルの抵抗が弱まると自身の身体を下へずらし、スカートを捲って下着を脱がせた。顔を埋めて――
「あぁっ……」
無理矢理な口づけであったが、今まで何度もフェリクスを受け入れてきたイザベルの身体はすでにしとどに蜜を零していた。
兄の舌戯にたまらないとばかりに愛液を溢れさせて押しのけようとしていた頭を逆に押しつけている。
「んっ――……ぁ、いや、もう……っぁ、あぁっ」
腰を浮かせて痙攣するイザベルを逃がさぬように大きく左右に開かせた脚を押さえつけて、フェリクスは夢中で舌を動かし蜜を飲み干していく。
「もう、やめてぇ……おかしく、なる……っ」
本気で泣きながら許しを乞うイザベルに兄はゆっくりと蜜壺から舌を引き抜き、のっそりと身を起こした。
触れられてもいないのにイザベルはぴくぴく身体を震わせる。全身汗だくで制服は着ている方が逆に卑猥に感じるほど肌の露出が大きくなっていた。
「こんなに乱れて……」
「んっ、いや、触らないで……」
この身に触れてほしいのはレーモンだけだ。フェリクスではない。
蕩けきった表情でなお拒絶しようとするイザベルにフェリクスはスッと感情を消して真顔になる。本気で怒っている。
そう理解したイザベルは上へ逃げようとするが、呆気なく引き戻されて、ぐちゅりと猛りきった屹立を押し付けられる。
「ぁ、いれちゃ、だめ……はぁ、んっ……」
言葉ではそう言いながらも、身体はフェリクスを欲しがるように蜜を溢れさせて花びらをひくつかせる。
「だめ、と言いながら吸いついてくる」
「あぁん……」
硬い肉棒は花芯を擦り、中には入ってこない。自分で望んでいることなのに辛くてたまらず、イザベルは髪を振って身悶えた。
「やぁ、あっ、ぁっ」
「どうした、イザベル。お前の意思を尊重して、はぁ、挿入しないでいるんだ」
フェリクスは身を屈めて、額にうっすらと汗を滲ませながらも挑発するように笑みを浮かべてイザベルを見下ろす。彼にいじめられている気がして、イザベルは目に涙を溜めた。
「やだ、やだ、くるし、おく、つらいのっ」
「これは罰だ。お前が私ではなく、他の男を望んだから」
「だって、だって、そうしないと、間違い、だから、わたしが好きなのは殿下、っ――……」
他の男の名前を口にした瞬間、肉棒の先端が膨れ上がった花芽をぐりっと押しつぶした。イザベルは甘い声を上げて絶頂した。だが余韻に浸る暇は与えられず、兄はさらに肉棒を上下に擦りつけてくる。
とうとうイザベルは喉を震わせ、消え入るような声で言った。
「……て」
「はっきり言いなさい」
「挿れて、お兄様」
兄は息を吐くと、一気に肉槍を秘裂に沈めて奥まで貫いた。
「ん、ぅ――……っ」
イザベルは挿入だけでまた達してしまった。
「は、きつ、い……イザベルっ」
怒ったような声を上げて、兄が奥を揺さぶる。
「あっ、まって、いって、あっ、あぁっ」
「イザベルっ、今、誰に抱かれて、いるんだっ」
「あっ、に、にいさまっ」
「そうだ、俺だっ、レーモンじゃなくて、俺に、お前は今、抱かれているんだっ」
「やぁっ」
イザベルは兄に揺さぶられるまま甘ったるい声でよがり続けた。
「はぁ、イザベル、イザベル……っ」
兄の射精に合わせて、イザベルもまた果てる。
「ん、っ……ぁ、また、硬くなって」
「そうだ。何度でも、お前の奥に注いでやる。お前が嫌がっても、他の男には渡さない。お前は俺のものだ」
兄の束縛の言葉にイザベルは嫌悪感を持たねばならなかった。彼女が愛しているのはレーモンだから。兄のことなど、ただ自分の生活を良くしてくれる召使いのような存在でしかなかったから。
(違う)
そんなこと思っていない。兄は大切な家族だ。一人ぼっちになりそうになったイザベルを今までずっとそばで支えてくれた。大事な人。
奥に注ぎ込まれる温もりに、まるで靄がかかっていたような頭の中がはっきりしてくる。
「イザベル、好きだ、愛しているっ」
「……わたし、も」
掠れるような小さな声だったが、兄の耳には届いていたようで、律動をやめてイザベルを凝視してくる。
「イザベル。なんて、言ったんだ」
「わたしも……お兄様が、好き」
フェリクスは目を見開き、くしゃりと顔を歪めた。綺麗な瞳から涙を零して、イザベルの頬を濡らす。
「もう一度、言ってくれ」
「お兄様のことが、好き、大好き、あっ、ん」
もう一度、と貪欲に求めながら兄はまた腰を動かし始める。抱きつかれて、激しく身体を揺さぶられながらもイザベルは必死で……溢れる想いを口にする。
「あっ、兄さまのこと、ずっと、好き、んっ、愛しているのっ」
「あぁ、イザベル……っ」
箍が外れたように兄はイザベルの最奥を突き、無茶苦茶に咥内を犯してくる。イザベルはもう彼のことすら考えられなくなったが、自分にこんなにも執着して愛そうとする男が愛おしくて腰に脚を絡ませてすべてを受け止めようとした。
「くっ、ぅ、出るっ」
「あぁ、あっ、ん――……っ」
熱い飛沫が最奥に注ぎ込まれて、イザベルも恍惚とした気持ちで高みに昇った。
「イザベル、一滴残らず、飲み干すんだ」
「んっ、はい、お兄さま……」
とろんとした目で兄を見つめて微笑めば、噛みつくように口づけされてゆっくりと腰を動かされる。また、子種を注ぐつもりなのだ。
そう思ったイザベルは身体が熱くなり、兄を離すまいとするように蜜襞で包み込み締めつけた。
「遅かったな」
「ええ。ちょっと……あ、お兄様。パンを買ってきたの。少し休憩したら?」
兄の様子を見る限り、今日はこのまま学校に泊まるかもしれない。
「ありがとう。そうする」
「わたし、お茶を淹れるわ。お兄様は座って待って、きゃっ――」
フェリクスに後ろから抱きつかれて、さらに顔を振り向かされたかと思うと口を塞がれたので、イザベルはとても驚いた。
「んっ、に、さま……ん、ん」
濃厚な口づけにイザベルはあっという間に身体の力が抜けて、気づけば兄の腕の中に抱きしめられていた。息を切らせながら、イザベルは弱々しい声で文句を言う。
「お兄様、なんで、いきなり……」
「休憩しろと言われたからな。お前で補給した」
「っ……こんなの休憩にならな、やっ……」
背中から臀部までいやらしい手つきで撫でられて、兄の方に身体を寄せてしがみついてしまう。首筋にフェリクスの吐息がかかり、ちゅっと吸いつかれると、さらに身体を震わせた。その様を、喉奥で笑われる。
「イザベル……殿下に、会ったか?」
「ど、どうして?」
「殿下の匂いがする」
驚愕するイザベルの顔を見て、フェリクスは冗談だと笑った。
「ただ、戻ってきた時のお前の様子がおかしかった。それに、殿下は生徒会の仕事で学校に泊まることがあるらしいからな。偶然会っても、おかしくない」
「殿下と会ったから……お兄様は怒っているの?」
フェリクスは質問に答えず、イザベルと共に椅子に座って甘えるように胸に顔を寄せた。
「私は狭量な人間にはなりたくない。お前の幸せを願い、穏やかな日常が送れるよう努めたい。それでも……お前と殿下を見ていると、胸がざわつくことがある」
「わたし、殿下のこと何とも思っていないわ」
レーモンも同じだ。フェリクスはイザベルを宥めるように背中を撫でて、顔を上げた。
「……わかっている。だが時々、違和感を覚えるんだ。私とお前がこんなことをしているのは間違っていて、運命の導きのようにお前たちが結び付くのが自然だと――」
イザベルは兄の言葉をそれ以上聞きたくなくて、自ら口づけした。
「お兄様のばか。どうしてそんなこと言うの。ひどいわ」
「イザベル……うっ」
イザベルは兄の下半身に手を伸ばし、素早く前を寛げると、やや強めに兄の分身を握った。それでも嬉しそうに先走りを零すのでくすりと笑う。
「ひどいから、お兄様に意地悪するわ」
兄の脚を開かせてその間にイザベルは身体を落とした。
「イザベル。やめなさい」
「いや」
兄を辱しめる気持ちでイザベルは熱杭を扱き、舌を這わせて下から上まで焦らすように舐めた。兄は面白いほど反応し、ぴくぴくと剛直を震わせる。思い切って口に含めば、びくりと兄は身体を震わせた。
「イ、イザベル、こんなこと、許されない」
「んっ、そんなこと、いって、ふぅ……お兄様の、んっ、おおきく、なってる」
ちゅぱちゅぱ先端を吸引するように咥えて離すことを繰り返しているうちに、兄の呼吸が速くなってくる。イザベルの肩を押して引き離そうとするが、彼女は抗って、手と口を巧みに使って兄を追いつめる。そして。
「くっ、あ、だめだっ、出るっ」
どくんと膨れ上がった肉棒はイザベルの口の中に熱い子種を吐き出した。彼女は嘔吐きそうになったが飲み干す。
フェリクスは射精した余韻でしばしぼんやりしていたが、やがて我に返った様子でイザベルに口を拭うようハンカチを渡したり、水を用意したりした。
「なんで飲んだりしたんだ」
「んー……何となく?」
「な、何となくであんな汚いもの飲むんじゃない!」
慌てる兄がおかしくて、イザベルは笑った。フェリクスがムッとした顔をする。
「何がおかしいんだ」
「だって、その理屈なら、お兄様もわたしのものを……同じことをしているわ」
イザベルだって恥ずかしくて、そんなところ舐めないでほしいと言ったのに、兄は聞いてくれず、夢中で舐めてはイザベルを何度も高みに昇らせた。それで溢れた蜜も、一滴残らず飲み干していたのだ。
「だからわたしも同じことをお兄様にしてみたいとずっと思っていたの。……でも、よくあんなことできるのね」
「私のとお前のは違う。お前のは甘くて、いくらでも飲んでいられる」
どこまでも真剣に述べるので、イザベルの方が照れてしまう。
「甘いって……わたし、何かの病気なんじゃないかと思ってしまうわ」
「私の舌ではそう感じる」
いったい自分たちは何を話しているのだとばかばかしくなって、イザベルは衣服の乱れを直して立ち上がった。
「この話はもう終わり。お兄様の休憩も終わったことだし、わたしは買ってきたパンを食べます。お兄様はお茶を淹れてくださる?」
「……イザベル」
兄は物欲しげな目をしていた。先ほどの行為だけでは、まだ満足していないのだ。
「イザベル。お前も――」
自分を捕まえようとした腕からイザベルはするりと逃げて、意地悪く微笑んだ。
「だめ。ここはそういうことをする場所じゃないわ」
「今さらだろう。それに先に誘惑してきたのはお前の方だ」
イザベルはコホンと咳払いして誤魔化す。
「とにかく。お兄様はまだお仕事が残っているのだから、先にそちらを片付けてください」
それまではお預けだ。
イザベルの命令に兄はかなり不満そうであったが、渋々折れて、茶の準備に取り掛かった。
その後夕食代わりにパンを食べ終えて、イザベルは本を読んだりして過ごしていたが、いつの間にか疲れて眠ってしまっていた。途中兄に抱えられて長椅子の上に寝かされた気がする。
『イザベル。イザベル』
「ん……」
自分の名前を必死に呼ぶ声が聞こえる。振り払うように寝返りを打ったのは、聞きたくないと思ったからだ。
『イザベル。きみが好きなのは本当は僕のはずだろう』
違う。それはまやかしだ。
『いいや。それこそ違う。きみは僕を好きにならなければならない。僕を愛さなければならない。――きみの兄ではなく』
どくんと心臓が大きく鳴り、イザベルは覚醒した。
「イザベル……?」
フェリクスはまだ起きていたが、イザベルの意識は気づかず、ただぼんやりと歩き始める。
(会いに、行かなくちゃ)
「イザベル? どうした?」
操り人形のように勝手に脚が動き始める。違う。これは自分の意思だ。
(イザベル・クレージュはレーモンが好き。狂うほどに愛している)
そうでなければならない。物語通りに。
「イザベル!」
呼びかけても返事をせず夢遊病のような様子を見せる妹を、フェリクスが強引に振り向かせる。
「しっかりしろ!」
瞳に光の宿っていない虚ろな妹の表情にフェリクスは愕然とする。
「イザベル。どうしたんだ」
「はなし、て」
兄の制止を振り切ろうとイザベルは手足をばたつかせる。
「どこにいくつもりだ!」
「愛しい人……レーモン様の、ところへ」
フェリクスは目を見開き、次いで怒りの感情をはっきりと浮かべた。まるでゲームで愚かな行いをしたイザベルを嫌悪した時と同じ表情で。
「そんなことさせない」
いやいやと身を捩るイザベルの顎を自分の方へ向けさせると、フェリクスは噛みつくように口づけして、咥内をめちゃくちゃに犯した。
イザベルの身体は少し抵抗をやめるが、それでも「レーモン」と呟くので、フェリクスはイザベルを長椅子に押し倒す。
体重をかけて唇を何度も重ねて、徐々にイザベルの抵抗が弱まると自身の身体を下へずらし、スカートを捲って下着を脱がせた。顔を埋めて――
「あぁっ……」
無理矢理な口づけであったが、今まで何度もフェリクスを受け入れてきたイザベルの身体はすでにしとどに蜜を零していた。
兄の舌戯にたまらないとばかりに愛液を溢れさせて押しのけようとしていた頭を逆に押しつけている。
「んっ――……ぁ、いや、もう……っぁ、あぁっ」
腰を浮かせて痙攣するイザベルを逃がさぬように大きく左右に開かせた脚を押さえつけて、フェリクスは夢中で舌を動かし蜜を飲み干していく。
「もう、やめてぇ……おかしく、なる……っ」
本気で泣きながら許しを乞うイザベルに兄はゆっくりと蜜壺から舌を引き抜き、のっそりと身を起こした。
触れられてもいないのにイザベルはぴくぴく身体を震わせる。全身汗だくで制服は着ている方が逆に卑猥に感じるほど肌の露出が大きくなっていた。
「こんなに乱れて……」
「んっ、いや、触らないで……」
この身に触れてほしいのはレーモンだけだ。フェリクスではない。
蕩けきった表情でなお拒絶しようとするイザベルにフェリクスはスッと感情を消して真顔になる。本気で怒っている。
そう理解したイザベルは上へ逃げようとするが、呆気なく引き戻されて、ぐちゅりと猛りきった屹立を押し付けられる。
「ぁ、いれちゃ、だめ……はぁ、んっ……」
言葉ではそう言いながらも、身体はフェリクスを欲しがるように蜜を溢れさせて花びらをひくつかせる。
「だめ、と言いながら吸いついてくる」
「あぁん……」
硬い肉棒は花芯を擦り、中には入ってこない。自分で望んでいることなのに辛くてたまらず、イザベルは髪を振って身悶えた。
「やぁ、あっ、ぁっ」
「どうした、イザベル。お前の意思を尊重して、はぁ、挿入しないでいるんだ」
フェリクスは身を屈めて、額にうっすらと汗を滲ませながらも挑発するように笑みを浮かべてイザベルを見下ろす。彼にいじめられている気がして、イザベルは目に涙を溜めた。
「やだ、やだ、くるし、おく、つらいのっ」
「これは罰だ。お前が私ではなく、他の男を望んだから」
「だって、だって、そうしないと、間違い、だから、わたしが好きなのは殿下、っ――……」
他の男の名前を口にした瞬間、肉棒の先端が膨れ上がった花芽をぐりっと押しつぶした。イザベルは甘い声を上げて絶頂した。だが余韻に浸る暇は与えられず、兄はさらに肉棒を上下に擦りつけてくる。
とうとうイザベルは喉を震わせ、消え入るような声で言った。
「……て」
「はっきり言いなさい」
「挿れて、お兄様」
兄は息を吐くと、一気に肉槍を秘裂に沈めて奥まで貫いた。
「ん、ぅ――……っ」
イザベルは挿入だけでまた達してしまった。
「は、きつ、い……イザベルっ」
怒ったような声を上げて、兄が奥を揺さぶる。
「あっ、まって、いって、あっ、あぁっ」
「イザベルっ、今、誰に抱かれて、いるんだっ」
「あっ、に、にいさまっ」
「そうだ、俺だっ、レーモンじゃなくて、俺に、お前は今、抱かれているんだっ」
「やぁっ」
イザベルは兄に揺さぶられるまま甘ったるい声でよがり続けた。
「はぁ、イザベル、イザベル……っ」
兄の射精に合わせて、イザベルもまた果てる。
「ん、っ……ぁ、また、硬くなって」
「そうだ。何度でも、お前の奥に注いでやる。お前が嫌がっても、他の男には渡さない。お前は俺のものだ」
兄の束縛の言葉にイザベルは嫌悪感を持たねばならなかった。彼女が愛しているのはレーモンだから。兄のことなど、ただ自分の生活を良くしてくれる召使いのような存在でしかなかったから。
(違う)
そんなこと思っていない。兄は大切な家族だ。一人ぼっちになりそうになったイザベルを今までずっとそばで支えてくれた。大事な人。
奥に注ぎ込まれる温もりに、まるで靄がかかっていたような頭の中がはっきりしてくる。
「イザベル、好きだ、愛しているっ」
「……わたし、も」
掠れるような小さな声だったが、兄の耳には届いていたようで、律動をやめてイザベルを凝視してくる。
「イザベル。なんて、言ったんだ」
「わたしも……お兄様が、好き」
フェリクスは目を見開き、くしゃりと顔を歪めた。綺麗な瞳から涙を零して、イザベルの頬を濡らす。
「もう一度、言ってくれ」
「お兄様のことが、好き、大好き、あっ、ん」
もう一度、と貪欲に求めながら兄はまた腰を動かし始める。抱きつかれて、激しく身体を揺さぶられながらもイザベルは必死で……溢れる想いを口にする。
「あっ、兄さまのこと、ずっと、好き、んっ、愛しているのっ」
「あぁ、イザベル……っ」
箍が外れたように兄はイザベルの最奥を突き、無茶苦茶に咥内を犯してくる。イザベルはもう彼のことすら考えられなくなったが、自分にこんなにも執着して愛そうとする男が愛おしくて腰に脚を絡ませてすべてを受け止めようとした。
「くっ、ぅ、出るっ」
「あぁ、あっ、ん――……っ」
熱い飛沫が最奥に注ぎ込まれて、イザベルも恍惚とした気持ちで高みに昇った。
「イザベル、一滴残らず、飲み干すんだ」
「んっ、はい、お兄さま……」
とろんとした目で兄を見つめて微笑めば、噛みつくように口づけされてゆっくりと腰を動かされる。また、子種を注ぐつもりなのだ。
そう思ったイザベルは身体が熱くなり、兄を離すまいとするように蜜襞で包み込み締めつけた。
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「そうだ‼ リードが帰ってきたら、私がリードのお願い、一つだけなんでも叶えてあげる‼」
そんなとっさにステラから飛び出た約束を胸に、リードは村を旅立つ。
それから半年、毎日リードの無事を祈り続けるステラのもとに、リードの史上最速での魔王城攻略の知らせが届く。
勇者一行はこれからたくさんの祝勝パーティに参加した後、故郷に凱旋するというが、それと同時に、パーティメンバーである聖女と女剣士、そして女魔術師の話も耳にすることになる。
戦いの昂りを鎮める役割も担うという三人は、戦いの後全員が重婚の認められた勇者の嫁になるということを知ったステラは思いを諦めようとするが、突然現れたリードは彼女に『ステラの身体《約束のお願い》』を迫って来て──?
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