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しおりを挟む男は一介の傭兵にすぎなかった。
城下町に住んで、日雇いで魔物退治を手伝うことはあっても、勇者や魔王など遠い世界の出来事だった。
「はっ……ぁっ……くぅっ、ん…♡」
何度も焦らされて嬲られて気持ちいいことを教え込まれた後孔の疼きに耐えながら、その元凶のもとへ足を進める。どうしてこんなことになったのか、不条理を責める思考すら快楽に押し出されていくのを感じながら。
所在不明の魔王の元に迷い込んでしまったのはただの不運なのか、運命なのか、男には分かりようも無かった。ただいつもの魔物退治のために奥深くに踏み入れた森の中で、あるはずのない暗い歪みに吸い込まれて落下した。
その歪みの先を認識したとき、最初によぎったのは死の予感だった。あろう事かそこは勇者が、いや国が、世界が探し続けている魔王の根城に繋がっていた。
突如落ちてきた人間に魔物側もパニックに陥ったかに見えたが、相手はしがない傭兵だ。抵抗する間もなく囚われて根城の主に差し出された。当の主はといえば興味の無さげな顔をしていた。煌めく剣も麗しい美貌もない普通の人間が迷い込んだところでどうしてくれようといったところだったのか。
それならば解放してくれれば良かったのに、暗い玉座に座したまま魔王は手近な魔物に何かを告げた。次の瞬間、何かが急に男の体に襲いかかってきた。
それは肉の色をして粘液をまとった触手で、何本も体に巻きついて自由を奪う。
タコとカニが混ざったような怪物から伸びるそれは、四肢を拘束しながら魔王の眼前に獲物を捧げた。
玉座に向かって尻を突き出し四つん這いになる体勢で硬直するしかなかった。
散々だったのはそこからだ。
触手はズボンを破き始め、ヌルヌルとした表面で陰茎を撫でてきた。敵地で唐突に与えられた快感にまずは驚きの声が抑えられなかった。前を責められ続ける感覚に啼いていると、今度は尻に吸いついて布を割いてくる。触手は尻たぶを這っては纏わりついて揉み込んで、尻穴に液体をかけてくる。
それを繰り返されると訳の分からない感覚が背筋を走り「あっ…はぁ……っ♡」と息が漏れ始めた。
未知の感覚に困惑しながら腰を震わせていると、つぅ、とふいに尻を指先で撫でられる感触がした。
その瞬間は何者か分からなかったが、背後で座している魔王の指先と悟った時、恐怖か快楽か判別できない感覚が背筋を走った。指先は尾骨をなぞって肛門のすぐ上をトン、と突く。
その時、自分の肛門がうねってきゅぅ♡と締まる感触がした。そこからゾワゾワと快感が広がって、中を吐き出された液体が伝っていくのを鋭敏に感じ取れた。
「あっ♡あっ♡うぁぁ……♡」
自分の穴がぎゅっ♡ぎゅっ♡と締まるのがよく分かる。肉襞同士が擦り合わさって粘液を食むとじん♡じん♡と肉が痺れて切なくなる。その堪らなさが、余計に肛門を締めさせて尻がはしたなく揺れた。
「んんーーーっ♡♡あっ♡♡あぅ、ぅ♡♡」
トン、トン、とまた突かれると肛門は健気に開き、何かを求めるようにはくはくと震える。
すると触手が物欲しそうな穴に吸いついて、粘液を流し入れながら縁を押してくる。表面を撫で押される快感に声を上げてまたガクガクと尻を揺する。
「あぅぅっ♡♡♡たしゅけてっ♡♡♡ゆるしでぇっ♡♡♡」
魔王の指先が尾骨を登っていくと、感じる事の無い筈だった感覚が肉穴の中を走り、奥の方がキュンと疼く。
触れられもせず媚びる事を教えつけられたアナルが切なく強請る様を、魔王は変わらぬ表情で見ていた。やがて流し込まれた粘液を漏らしながらアナルがくぽ、と開いたところでようやくその指先を蕩けた肉穴に押しつけた。
「っ♡♡♡っ♡♡♡♡ぁっ♡♡♡♡」
やっと与えられた刺激に泣きながら感じいると、指は躊躇いなく奥に挿入された。太く骨張った指で肉を擦られる快感に腰が震えて尻が上向く。
「っ♡♡♡それっ♡♡♡んぃぃぃっ♡♡♡♡」
先走りを前から溢しながらぎゅう♡ぎゅう♡と穴で指を締めつけて尻だけで軽い絶頂感を味わう。
そのタイミングで指を深く挿れられ膨らんだしこりを撫でられると、堪らない絶頂感に射精しながらアナルが激しく指を貪ってビクついた。
肉襞を撫でられるだけで甘イキして蕩されながら、最奥に届かない刺激に切なさが増していく。
もう快感に逆らえず、指を味わうように腰を振ってしまうと褒めるように尻たぶを揉まれて、また絶頂感に襲われた。
「ぁっ♡♡♡っ♡♡♡んっ♡♡♡んんっ♡♡♡んぐ、ぅ♡♡♡」
「気持ち良いか?」
「はっ♡♡♡あぁっ♡♡♡んっ♡♡、やらっ♡♡♡」
久方ぶりに口を開いた魔王の問いに、正常に働かない頭を振って何らかの抵抗をしようとする。
「何が嫌なんだ?」
「っ♡♡♡♡ぁっ♡♡♡しょれっ♡♡♡♡っ♡♡♡♡」
気の無いトーンで返す片手間に、肉穴の中で膨らんだシコリを擦られてイかされてしまう。
「嫌なのか?嫌だと言ったら解放してやろう。ここから指を抜いてお前を元の場所に帰してやる」
「んんっ♡♡♡くぅ♡♡♡♡っ♡♡♡」
2本目の指を挿入されて中を覗くように穴を開かれる。
「ただ、お前が自ら望めば」
「っ♡♡♡♡♡」
最奥で切なく疼いているところを狙って、尾てい骨を登った辺りを指でトン、トンと刺激される。
「んぎゅ♡♡♡♡♡っ♡♡♡♡っ♡♡♡♡」
「ここまで埋めて中を突いてやる」
奥に伝わる振動とその言葉に肉穴をぎゅう♡ぎゅう♡と収縮させて、アナルだけで絶頂させられてしまう。その間も指で広げられたりぬぷぬぷと出し挿れされて声にならない声を上げながら腰をかくん、かくん、と揺することしかできない。
「どうする?」
「はっ♡♡♡あぁ、ん♡♡♡♡」
三本目の指を挿れられて熟れた肉穴を晒させられた時、魔王の眼前で最奥をひくつかせながら頭を振って啼いた。
「おくぅ♡♡♡いれてっ♡♡♡おくっ♡♡♡♡くらしゃ、ぃ♡♡♡♡」
くぱぁ♡と開いたままの肉穴をびくびく震わせて、開孔を強いている指に刺激を強請る。
魔王はアナルの媚に容赦なく指を抜いた。「っ♡♡♡♡」声にならない声をあげて、切なさに泣きそうになりながら振り返れば、太く勃ち上がった肉棒を蕩け切ったアナルに押し当てられるところだった。
「っ♡♡♡ぁ♡♡♡」
ずぷ、とスムーズに押し入れられるそれは今まで刺激を受けた肉襞をみっちりと押し広げながらどんどん奥へと進んでいく。ここに来る前は考えられないほどアナルはぐっぽりと口を広げて肉棒に犯される。
切なく欲しがっていた肉襞に与えられる快感に体は伏せきって、肉棒を受け入れるために尻だけを高く捧げていた。
「んぐぅっ~~~♡♡♡♡ぎゅっ♡♡♡♡♡んぐっ♡♡♡♡やぁぁっ♡♡♡♡いぐぅっ♡♡♡♡♡またいぐぅっ♡♡♡♡♡いっ♡♡♡♡ぐ♡♡♡♡♡」
一度奥まで埋められたかと思うと、そこからは何度も最奥まで早いストロークで突かれた。断続的に来る波に耐えられず絶頂しても止めてもらえない。
「あっ♡♡♡あっ♡♡♡♡あぁ♡♡♡♡♡」
ぎゅぅぅ♡と肉棒を締めながら最奥でイったところに熱い液体を出されるのを感じた。じん♡と痺れる中を擦りながらぬぽ、と抜かれる刺激に甘イキして生理的な涙が零れる。
「んっ……♡♡♡んぅ……♡♡」
「ふぅ……」
魔王の額から汗が滴っていることにようやく気がついた。
うだるような快楽の渦がじわじわと収束していくのを感じて、この先の不安がよぎり始める。それを見通しているかのように魔王は男の尾てい骨に沁みついた文様を指で辿った。
「ひっ♡♡♡んっ♡♡♡な、なに」
「沁みついたようだな。契約が」
体をひねると辛うじて自分の体に何かの文様が刻まれたのが分かった。更にそこからあの快楽の熱が湧いてくることも察せられた。
「分かりやすく言えば、お前は私の意のままという訳だ」
「そんな……」
「消してほしいか?」
感情の読めない相手に恐る恐る頷けば、表情が柔らかくなったように見えた。魔王が指先を虚空に向けると、男が落ちてきた歪みがそこにはあった。
「6日間、あの門は閉じる。そして1週間後にまた開く。その時に私を倒しに来い。そうすれば紋は消してやる」
「1週間後に……」
「ただし1人でな。他の人間を連れてきたら、お前と同じ目に合わせるか、お前の目の前で魔物の餌にしてやる」
「っ……」
残酷な言葉に相手が何者であるかを認識させられる。いずれにせよ自分に与えられた選択とは思えず顔を俯かせた。
「倒すなんて……そんな……」
「……そうだな。倒せなければまた同じ」
「……」
「同じことを、されるだろうな?私に」
「っ……♡♡」
意図を含んだ言い方に察せずにはいられない。期待させるために言っているのか、真意が分からずに自分がどうなるかだけは決まった気がした。
「それとお前が来なかった場合は、仕置きだ」
「あ……♡♡っ……♡♡♡♡」
冷たい言葉と共にとん、と指先で文様を弾かれて、尻を上げながら甘イキしてしまう。
それに魔王は初めてうっすらと満足そうな表情を浮かべた。
門は閉じられ、そして1週間後また開かれた。
この1週間であの日を思い返さなかったことは無い。
「はっ……♡♡♡あ……♡♡♡」
魔王を倒さなければならないから向かっているんだ、といつまで言っていられるだろう?
きゅぅ♡と疼く後孔に身悶えて歩みが縺れる。
誘うように佇んだ暗い歪みに足を踏み入れて、抵抗する体を装いながらあの熱に囚われることをもう思い浮かべていた。
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