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母乳が出るようになった少年
シャツに誘われて ※修正版
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『ガチャッ。キィィィ……』
僅かに扉を軋ませながら、ボクは部屋の中を覗き込む。中に誰も居ないことを何度も確認すると、そぉっと足を伸ばして、扉の隙間から中に体を入れる。
予想通りと言うべきか、やはり雑多な部屋そのものだった。脱ぎ散らかされた服、片付けた様子の無いクッション。そして開けっ放しの窓など、とにかくアイツの性格そのものを表したような様子だった。
『ラフィール王子の部屋? ああ、鍵なんてかかってないよ。あの人はそういう人だからね』
「……つまり、ただの馬鹿ってことなんじゃ……」
テーブルの上には、この世界の通貨らしい……金貨が無造作に散らばっていた。どのくらいの価値かはわからないけど、少なくとも一円玉とかじゃないのは間違いない。
やっぱりアイツは何も考えてないんだ。盗まれるとかいう心配も、全然してないんだ。馬鹿っていうかもう……アホ。ただの間抜け。こんなの泥棒に盗んでくれって言ってるようなものじゃんか。
「やっぱり気のせいか。アイツがボクのことを、気にしてくれたなんて……」
多分ラフィールは、気ままに生きているだけなんだろう。あの時声をかけてキスをしたのも、ボクが悲しんでたからとか……そういう理由じゃなくて。自分がそうしようと思ったからそうしただけなんだ。
「……ああもうっ……! なんでモヤモヤするんだよ、ボクっ……! なんで好きでもない奴のことで、こんな変な気持ちにならなきゃいけないんだ……!」
ボクは髪を掻きむしりながら、力任せにクッションを放り投げた。なぜ自分がこんなことをしているのか、わからなくて。なぜアイツのことを知りたがっているのかが、理解出来なくて。もうどうしようもないくらいにムシャクシャしていたから。
『ガタンッ!』
「っ、や、やばっ……。壊れた……?」
そうしてボクが投げたクッションは、部屋中を跳ね回って……棚の上に激突する。その際に何かが倒れたような音がして、ボクは恐る恐るクッションを持ち上げてみた。すると、そこには……。
「……えっ……」
ボクの写真が、飾られていた。いつの間に撮られたのか、見せた覚えのないボクの寝顔の写真が、そこにあった。
……やけに綺麗な棚だった。この棚の上だけは妙に片付いていて、ボクの写真以外は何も飾られてない。おかしい、アイツがこんなに綺麗に整頓するなんて……。
「……ば、馬鹿じゃないの。なんだよこれっ。へ、変態かよ……」
と、写真を暫く見つめる。だけど見れば見るほど何も考えられなくなって。ふとボクは諦めるように、隣にあったベッドに座り込んだ。
「……はあ。いやでも、絶対付き合うならマサトだよ。こんな部屋散らかす奴と付き合ったら、絶対面倒だって……」
とか言いながら、ボクはベッドのシーツに顔を埋める。気がつけばマサトとラフィールを比べていて、どっちと付き合った方が幸せか……なんて。柄にも無いことを考えてしまっていた。
そんな時だった。ふとボクの鼻を、知った香りがくすぐって。その香りに釣られて、ボクはベッドの隅っこに目を向ける。
「……シャツ? ったく、ちゃんと脱いだものは洗濯に出せよ。だらしないんだから……」
少しシワのよったそれが、ベッドから落ちるか落ちないかの所で耐えていた。
「ていうか、本当にアイツ体デカいんだな……。ボクよりひと回りっていうか、ふた周りくらいあるじゃん……」
服屋で服のサイズを確かめるように、ボクはアイツのシャツを自分の体に当てる。どう見てもボクからしたらダボダボで、もはや冗談かと思うほどにサイズ違いも甚だしかった。
だからだと思いたかった。なぜかボクは、自分でそれがおかしい行動だとも気づかずに。いつの間にかボクは、アイツのシャツに袖を通していた。アイツの服に包まれながら……、シャツの匂いを、確かめてしまっていた。
「っ……。……♡」
……あいつの匂いがする。初めて抱かれた時と同じ……。濃厚で、ボクの奥底にあるメスを引き出すような……オスの香り……。これがオークのフェロモン、ってやつなんだろうか。
ああ、そうだ。多分ボクはこの匂いが好きなんだ。こうしていると、なんだかあの時みたいに……アイツに抱かれているみたいで。包まれているみたいで。なんだかちょっぴり、胸の奥がドキドキした……。
「……誰も、見てないよね……?」
ふと、釣られるように腰をもぞもぞさせる。辺りを見渡しながら、そっと自分の太ももの隙間に指先を入れる。
シャツを持ち上げるように、乳首が浮き出ているのがわかる。……今日はマサトに搾乳して貰っていないからだろう。気がつけばボクは息を荒くしながら、ベッドのシーツに……胸を擦りつけていた。
「んっ……♡♡ んぁっ……♡♡ はっ……♡♡♡ あっ……♡♡♡」
シャツ越しの胸で感じる、アイツのベッドの感触。柔らかくて、少し弾力のあるそれが、ボクの乳首を……くにゅっ……こにゅっ……って刺激する。……なんだかちょっとだけ、背徳感のある気持ちよさ……。
ボクはもっと気持ちよくなるために、自分の太ももで手を挟みながら……お尻に指を当てた。感度を高めるように、お尻の周りの優しく撫で。濡らすようにくちゅくちゅと弄りまわし……。……ゆっくりと、中に指を……挿れていく。
「はぁっ……♡♡♡ ぁっ……♡♡♡ ぅ……ぁ……♡♡ ……はぇっ……♡♡♡」
……なにやってるんだろ、ボク。アイツのシャツで、アイツのベッドで……気持ちよくなってるなんて。
あんな嫌いな奴なのに。どうしてこんなことしてるんだろ……。
「……あっ……♡♡♡ ……ら、らふぃーるっ……♡♡♡♡」
――くちゅっ……♡♡ くち……ぬちゅっ……♡♡♡ ぬぢゅっ……♡♡♡♡ こりゅっ……ずりゅりゅっ……♡♡♡♡
「……入って、くるっ……♡♡♡ らふぃーるのっ……♡♡♡♡ ボクの、中にっ……♡♡♡」
こりゅっ……♡♡♡ くにゅっ……♡♡♡ こりっ……こりっ……♡♡♡
「あっ……♡♡ ら、らめっ……♡♡♡ そんなに、胸、弄ったらっ……♡♡♡ 腰が、浮いちゃ……♡♡♡」
自分の指を、アイツの……おちんちんに見立てていた。ベッドから伝わる胸への刺激を、アイツの……指先に見立てていた。
……多分、全然本物とは違うと思う。アイツのおちんちんはこんなに小さくないし、胸の弄り方も違うはず。
だからこそだった。もしもこれが、本当のアイツなら……。アイツが本気で、ボクを抱いたのなら。どれだけ気持ちいいんだろう……って。
ボクはその想像を、力いっぱい働かせて……必死に気持ちよくなろうとしていた。
「ふっ……♡♡♡ ふぅっ……♡♡♡ んぁっ……♡♡♡ ひくっ……♡♡♡♡ い、イクッ……イクッ……♡♡♡」
次第にお尻を弄る指先が、どんどん激しさを増していく。その快感に耐えようとするあまり、思わずボクはシャツを噛み締めて……。そしてそれに報復するかのように、ボクの鼻を……アイツの香りが包み込む……♡♡
……き、嫌いだ。あんな奴なんて。こんなにボクをからかってっ……。わけわかんない気持ちで、迷惑かけてっ……♡ ……こんなに、気持ちよくなっちゃって……♡♡♡
嫌いだっ……♡♡♡ 嫌いだっ……♡♡♡♡ だ、だっ……♡♡♡ だいきらい、だっ……♡♡♡
「……イクッ……♡♡ らふぃーるっ……♡♡ イクッ……♡♡♡ イクよっ……♡♡♡ ……ぼ、ボクの中にっ……♡♡♡♡ ……らふぃーるのっ……出してっっ……♡♡♡!!」
ぐちゅっ……♡♡♡!! ぐちゅっ……こりゅっっ……♡♡♡♡!! ぬち……ぴちゅっ……♡♡♡ ずりゅっ……♡♡♡ くちゅっ……くちゅっ……くちゅっ……♡♡♡♡ くちゅっ……くちゅっ……♡ くちゅっ……♡♡♡ ――――くちゅっ……♡♡♡♡
「――ぁぁぁっ♡♡!! あっ……ぁぁっ……♡♡♡♡ ……ぁっ……ぁ……♡♡♡ ……はっ……♡♡♡」
びぐっ……♡♡ びぐんっ……♡♡♡ ぴくっ……びぐっ……♡♡♡ びくん……びくんっ……♡♡♡ ……ぷしゅっ……♡♡ びゅるるるっっ……♡♡♡ ぴゅ~~っ……♡♡♡ ぴゅっ……♡♡♡
「……はっ……♡♡ はっ……♡♡♡ ……あえっ……♡♡ はっ……♡♡♡」
頭の先から、つま先までをも……心地よい絶頂感が、包み込んでいた。妙な充足感に包まれながら、ボクは倒れるように……ベッドに顔を埋めた。
……この時ボクは、自分の気持ちに何とか折り合いをつけようとしていた。納得しようとしても出来ないから、なんとか理由をつけようとしていて。そうしてボクは、一つの結論を出していた……。
――ガチャンッ……
「……えっ……」
「随分とお楽しみだな、人の部屋でよ。……驚いたぜ。まさあ昨日の今日で、お前が来てるとはな」
……ら、ラフィールっ…………! なんで急にっ……、い、いやっ……ここはアイツの部屋だから、そりゃ帰ってくるだろうけどっ。なんでこんなタイミングでっ……!
「やっ……ち、ちがっ……! これはっ……! 違う、これはっ。ただのっ……!」
「ただの、なんだよ。人のシャツをオカズにして、気持ちよくなってたみたいだがな……? ……まあいいさ。俺的には、どうあれどうでもいい」
ラフィールが近づいてくる……。ボクはシャツで体を隠して、必死にオナニー後の自分を隠そうとした。……だけどいざラフィールが、ボクの目の前に立つと。それも無駄な抵抗なことに思えた。
「……お前が自分から来たんだぜ? のこのこと、この俺の部屋にな。だったらヤることは一つだろ」
「っ……♡♡♡」
ボクの両腕を握り、ボクをベッドに押し倒す。ボクの上にまたがって、ズボンを下ろすために、下半身へと手を伸ばす。
……犯される。ボクはそう確信した。だけどボクは心の準備が、まだ出来ていなかった。だからその心の準備を、支度を整えるために、ボクは……ラフィールの胸に手を当てる。
「ま、待ってっ……! ……話が、あるからっ……。さ、先に言わなきゃいけないことがあるからっ……」
ボクはそう言い、ラフィールの動きを止めた。
「なんだよミノル。急に話があるって。俺と結婚する気にでもなったのか?」
「ち、違うわいっ。そうじゃなくて……。……き、決めたんだよ。お前との付き合い方……」
「はぁ……。そう。で、付き合い方って?」
ゴクリと、生唾を飲み込む。ほんの少しの勇気を出して、胸を張り、見下すように……言い放つ。
「――でぃっ……。……ディルドとして、使ってやるよっ……。お前の、ことっ……。……お、犯されるんじゃない。ボクが、ボクがお前を使うんだっ。……わかった、かよっ……」
これがボクの妥協点だった。好きでもない奴とセックスするには、こういう無理矢理な言い訳でもしなければ無理だった。
……いや、違う。もっと正確に言えば、その。――コイツのことをもっと知るための、言い訳だった。こんな風に変な理屈をこねて、自分を納得させなければ。コイツを知ろうとすることすら出来そうになかったんだ。
ましてやマサトが居る以上、納得出来ないままに『好き』だなんて言えるわけがない。セックスなんて出来るわけがない。……今はまだ、恋愛的な意味で言えば……マサトの方が好きなんだから。
「……へぇ……? 面白いこと言うじゃん、お前……」
ぞくんっ……と、全身が痺れる。ラフィールの舌なめずりを見た瞬間、品定めをされたメスのように……弱々しく体を小さくする。
だけどこれ以外に無い。コイツを好きになるには、まだ時間が必要だった。
だから、もしかしたら。もしかしたら……いつかは。コイツのことを好きになるのかもしれない。心の底から、コイツを愛する日が……。
……それまで、待ってみよう。体だけの関係を続けて……。コイツのことを知って、嫌いか、好きかを本当に判断できる日まで。
その日までは、ボクらはただの……気持ちよくなるための、間柄だ。
「――気が変わった。今日は止めにしよう」
「……えっ……?」
「悪かったな、いきなり襲いかかってよ。……続きはまた明日にしようぜ」
「えっ……。あ、明日っ……? なんでっ……?」
ラフィールはボクから離れると、自分の身だしなみを丁寧に整えた。そしてボクのシャツまで整えると、わざとらしくボクに背を向け、部屋を出ていこうとした。
「準備が必要だろ。お前にも。マサトとしかヤってなかったんだ、それなのにいきなり俺とシたら、気絶するに決まってら」
「……そ、それはっ。やってみないと、わかんない……」
「わかるさ。だって俺、――本気でお前を犯すつもりだから」
「っ……!」
「もう我慢なんてしねぇ。もう優しくなんてしねぇ。全力で、全身全霊でお前を犯す。……その覚悟が、今のお前にあるか?」
「……。……」
「無いだろ。だから明日までに覚悟決めてこい。――明日の夜、俺はお前を犯す。お前がどこに居ても、何をしてようと、俺はお前を犯す。……いいな」
……本気の声だった。ラフィールのその声は、紛れもなく嘘偽りのない本気の言葉だった。
そしてボクは理解した。ボクはまだ、覚悟が足りなかったんだって。……本気で犯される覚悟なんて、想定していなかった。遊び程度のことしか……。
「……わ、わかったよ。帰るよ。……それで、いいんだろ……」
……ちょっぴり。ちょっぴりだけ、残念な気持ちだった。だけど同時に、どこか喜んでいるような自分が居た。
明日。ボクは初めて、アイツに本気で抱かれる。今までのような遊びじゃなく、本気で。アイツの本能のままに、ボクは犯し尽くされる。
確かに覚悟が必要だった。前は気持ちよくなる間もなく、気絶してしまったから。だからボクは覚悟を決めるために、扉に手を添えて、部屋を出ていこうとしていた。
「――また明日な。ミノル」
「っ……!」
まるで遊びの約束をするように、アイツは言った。だけどその言葉の奥には、固い決意を秘めた……力強い何かを、ボクは感じ取っていた。
ボクはコクリと頷き、扉を閉める。そして扉の前でしゃがみこみ、言い表しようのない心を抱きしめる。……また明日、と。
「……。……へ、部屋……。……片付け、とかなきゃな……」
僅かに扉を軋ませながら、ボクは部屋の中を覗き込む。中に誰も居ないことを何度も確認すると、そぉっと足を伸ばして、扉の隙間から中に体を入れる。
予想通りと言うべきか、やはり雑多な部屋そのものだった。脱ぎ散らかされた服、片付けた様子の無いクッション。そして開けっ放しの窓など、とにかくアイツの性格そのものを表したような様子だった。
『ラフィール王子の部屋? ああ、鍵なんてかかってないよ。あの人はそういう人だからね』
「……つまり、ただの馬鹿ってことなんじゃ……」
テーブルの上には、この世界の通貨らしい……金貨が無造作に散らばっていた。どのくらいの価値かはわからないけど、少なくとも一円玉とかじゃないのは間違いない。
やっぱりアイツは何も考えてないんだ。盗まれるとかいう心配も、全然してないんだ。馬鹿っていうかもう……アホ。ただの間抜け。こんなの泥棒に盗んでくれって言ってるようなものじゃんか。
「やっぱり気のせいか。アイツがボクのことを、気にしてくれたなんて……」
多分ラフィールは、気ままに生きているだけなんだろう。あの時声をかけてキスをしたのも、ボクが悲しんでたからとか……そういう理由じゃなくて。自分がそうしようと思ったからそうしただけなんだ。
「……ああもうっ……! なんでモヤモヤするんだよ、ボクっ……! なんで好きでもない奴のことで、こんな変な気持ちにならなきゃいけないんだ……!」
ボクは髪を掻きむしりながら、力任せにクッションを放り投げた。なぜ自分がこんなことをしているのか、わからなくて。なぜアイツのことを知りたがっているのかが、理解出来なくて。もうどうしようもないくらいにムシャクシャしていたから。
『ガタンッ!』
「っ、や、やばっ……。壊れた……?」
そうしてボクが投げたクッションは、部屋中を跳ね回って……棚の上に激突する。その際に何かが倒れたような音がして、ボクは恐る恐るクッションを持ち上げてみた。すると、そこには……。
「……えっ……」
ボクの写真が、飾られていた。いつの間に撮られたのか、見せた覚えのないボクの寝顔の写真が、そこにあった。
……やけに綺麗な棚だった。この棚の上だけは妙に片付いていて、ボクの写真以外は何も飾られてない。おかしい、アイツがこんなに綺麗に整頓するなんて……。
「……ば、馬鹿じゃないの。なんだよこれっ。へ、変態かよ……」
と、写真を暫く見つめる。だけど見れば見るほど何も考えられなくなって。ふとボクは諦めるように、隣にあったベッドに座り込んだ。
「……はあ。いやでも、絶対付き合うならマサトだよ。こんな部屋散らかす奴と付き合ったら、絶対面倒だって……」
とか言いながら、ボクはベッドのシーツに顔を埋める。気がつけばマサトとラフィールを比べていて、どっちと付き合った方が幸せか……なんて。柄にも無いことを考えてしまっていた。
そんな時だった。ふとボクの鼻を、知った香りがくすぐって。その香りに釣られて、ボクはベッドの隅っこに目を向ける。
「……シャツ? ったく、ちゃんと脱いだものは洗濯に出せよ。だらしないんだから……」
少しシワのよったそれが、ベッドから落ちるか落ちないかの所で耐えていた。
「ていうか、本当にアイツ体デカいんだな……。ボクよりひと回りっていうか、ふた周りくらいあるじゃん……」
服屋で服のサイズを確かめるように、ボクはアイツのシャツを自分の体に当てる。どう見てもボクからしたらダボダボで、もはや冗談かと思うほどにサイズ違いも甚だしかった。
だからだと思いたかった。なぜかボクは、自分でそれがおかしい行動だとも気づかずに。いつの間にかボクは、アイツのシャツに袖を通していた。アイツの服に包まれながら……、シャツの匂いを、確かめてしまっていた。
「っ……。……♡」
……あいつの匂いがする。初めて抱かれた時と同じ……。濃厚で、ボクの奥底にあるメスを引き出すような……オスの香り……。これがオークのフェロモン、ってやつなんだろうか。
ああ、そうだ。多分ボクはこの匂いが好きなんだ。こうしていると、なんだかあの時みたいに……アイツに抱かれているみたいで。包まれているみたいで。なんだかちょっぴり、胸の奥がドキドキした……。
「……誰も、見てないよね……?」
ふと、釣られるように腰をもぞもぞさせる。辺りを見渡しながら、そっと自分の太ももの隙間に指先を入れる。
シャツを持ち上げるように、乳首が浮き出ているのがわかる。……今日はマサトに搾乳して貰っていないからだろう。気がつけばボクは息を荒くしながら、ベッドのシーツに……胸を擦りつけていた。
「んっ……♡♡ んぁっ……♡♡ はっ……♡♡♡ あっ……♡♡♡」
シャツ越しの胸で感じる、アイツのベッドの感触。柔らかくて、少し弾力のあるそれが、ボクの乳首を……くにゅっ……こにゅっ……って刺激する。……なんだかちょっとだけ、背徳感のある気持ちよさ……。
ボクはもっと気持ちよくなるために、自分の太ももで手を挟みながら……お尻に指を当てた。感度を高めるように、お尻の周りの優しく撫で。濡らすようにくちゅくちゅと弄りまわし……。……ゆっくりと、中に指を……挿れていく。
「はぁっ……♡♡♡ ぁっ……♡♡♡ ぅ……ぁ……♡♡ ……はぇっ……♡♡♡」
……なにやってるんだろ、ボク。アイツのシャツで、アイツのベッドで……気持ちよくなってるなんて。
あんな嫌いな奴なのに。どうしてこんなことしてるんだろ……。
「……あっ……♡♡♡ ……ら、らふぃーるっ……♡♡♡♡」
――くちゅっ……♡♡ くち……ぬちゅっ……♡♡♡ ぬぢゅっ……♡♡♡♡ こりゅっ……ずりゅりゅっ……♡♡♡♡
「……入って、くるっ……♡♡♡ らふぃーるのっ……♡♡♡♡ ボクの、中にっ……♡♡♡」
こりゅっ……♡♡♡ くにゅっ……♡♡♡ こりっ……こりっ……♡♡♡
「あっ……♡♡ ら、らめっ……♡♡♡ そんなに、胸、弄ったらっ……♡♡♡ 腰が、浮いちゃ……♡♡♡」
自分の指を、アイツの……おちんちんに見立てていた。ベッドから伝わる胸への刺激を、アイツの……指先に見立てていた。
……多分、全然本物とは違うと思う。アイツのおちんちんはこんなに小さくないし、胸の弄り方も違うはず。
だからこそだった。もしもこれが、本当のアイツなら……。アイツが本気で、ボクを抱いたのなら。どれだけ気持ちいいんだろう……って。
ボクはその想像を、力いっぱい働かせて……必死に気持ちよくなろうとしていた。
「ふっ……♡♡♡ ふぅっ……♡♡♡ んぁっ……♡♡♡ ひくっ……♡♡♡♡ い、イクッ……イクッ……♡♡♡」
次第にお尻を弄る指先が、どんどん激しさを増していく。その快感に耐えようとするあまり、思わずボクはシャツを噛み締めて……。そしてそれに報復するかのように、ボクの鼻を……アイツの香りが包み込む……♡♡
……き、嫌いだ。あんな奴なんて。こんなにボクをからかってっ……。わけわかんない気持ちで、迷惑かけてっ……♡ ……こんなに、気持ちよくなっちゃって……♡♡♡
嫌いだっ……♡♡♡ 嫌いだっ……♡♡♡♡ だ、だっ……♡♡♡ だいきらい、だっ……♡♡♡
「……イクッ……♡♡ らふぃーるっ……♡♡ イクッ……♡♡♡ イクよっ……♡♡♡ ……ぼ、ボクの中にっ……♡♡♡♡ ……らふぃーるのっ……出してっっ……♡♡♡!!」
ぐちゅっ……♡♡♡!! ぐちゅっ……こりゅっっ……♡♡♡♡!! ぬち……ぴちゅっ……♡♡♡ ずりゅっ……♡♡♡ くちゅっ……くちゅっ……くちゅっ……♡♡♡♡ くちゅっ……くちゅっ……♡ くちゅっ……♡♡♡ ――――くちゅっ……♡♡♡♡
「――ぁぁぁっ♡♡!! あっ……ぁぁっ……♡♡♡♡ ……ぁっ……ぁ……♡♡♡ ……はっ……♡♡♡」
びぐっ……♡♡ びぐんっ……♡♡♡ ぴくっ……びぐっ……♡♡♡ びくん……びくんっ……♡♡♡ ……ぷしゅっ……♡♡ びゅるるるっっ……♡♡♡ ぴゅ~~っ……♡♡♡ ぴゅっ……♡♡♡
「……はっ……♡♡ はっ……♡♡♡ ……あえっ……♡♡ はっ……♡♡♡」
頭の先から、つま先までをも……心地よい絶頂感が、包み込んでいた。妙な充足感に包まれながら、ボクは倒れるように……ベッドに顔を埋めた。
……この時ボクは、自分の気持ちに何とか折り合いをつけようとしていた。納得しようとしても出来ないから、なんとか理由をつけようとしていて。そうしてボクは、一つの結論を出していた……。
――ガチャンッ……
「……えっ……」
「随分とお楽しみだな、人の部屋でよ。……驚いたぜ。まさあ昨日の今日で、お前が来てるとはな」
……ら、ラフィールっ…………! なんで急にっ……、い、いやっ……ここはアイツの部屋だから、そりゃ帰ってくるだろうけどっ。なんでこんなタイミングでっ……!
「やっ……ち、ちがっ……! これはっ……! 違う、これはっ。ただのっ……!」
「ただの、なんだよ。人のシャツをオカズにして、気持ちよくなってたみたいだがな……? ……まあいいさ。俺的には、どうあれどうでもいい」
ラフィールが近づいてくる……。ボクはシャツで体を隠して、必死にオナニー後の自分を隠そうとした。……だけどいざラフィールが、ボクの目の前に立つと。それも無駄な抵抗なことに思えた。
「……お前が自分から来たんだぜ? のこのこと、この俺の部屋にな。だったらヤることは一つだろ」
「っ……♡♡♡」
ボクの両腕を握り、ボクをベッドに押し倒す。ボクの上にまたがって、ズボンを下ろすために、下半身へと手を伸ばす。
……犯される。ボクはそう確信した。だけどボクは心の準備が、まだ出来ていなかった。だからその心の準備を、支度を整えるために、ボクは……ラフィールの胸に手を当てる。
「ま、待ってっ……! ……話が、あるからっ……。さ、先に言わなきゃいけないことがあるからっ……」
ボクはそう言い、ラフィールの動きを止めた。
「なんだよミノル。急に話があるって。俺と結婚する気にでもなったのか?」
「ち、違うわいっ。そうじゃなくて……。……き、決めたんだよ。お前との付き合い方……」
「はぁ……。そう。で、付き合い方って?」
ゴクリと、生唾を飲み込む。ほんの少しの勇気を出して、胸を張り、見下すように……言い放つ。
「――でぃっ……。……ディルドとして、使ってやるよっ……。お前の、ことっ……。……お、犯されるんじゃない。ボクが、ボクがお前を使うんだっ。……わかった、かよっ……」
これがボクの妥協点だった。好きでもない奴とセックスするには、こういう無理矢理な言い訳でもしなければ無理だった。
……いや、違う。もっと正確に言えば、その。――コイツのことをもっと知るための、言い訳だった。こんな風に変な理屈をこねて、自分を納得させなければ。コイツを知ろうとすることすら出来そうになかったんだ。
ましてやマサトが居る以上、納得出来ないままに『好き』だなんて言えるわけがない。セックスなんて出来るわけがない。……今はまだ、恋愛的な意味で言えば……マサトの方が好きなんだから。
「……へぇ……? 面白いこと言うじゃん、お前……」
ぞくんっ……と、全身が痺れる。ラフィールの舌なめずりを見た瞬間、品定めをされたメスのように……弱々しく体を小さくする。
だけどこれ以外に無い。コイツを好きになるには、まだ時間が必要だった。
だから、もしかしたら。もしかしたら……いつかは。コイツのことを好きになるのかもしれない。心の底から、コイツを愛する日が……。
……それまで、待ってみよう。体だけの関係を続けて……。コイツのことを知って、嫌いか、好きかを本当に判断できる日まで。
その日までは、ボクらはただの……気持ちよくなるための、間柄だ。
「――気が変わった。今日は止めにしよう」
「……えっ……?」
「悪かったな、いきなり襲いかかってよ。……続きはまた明日にしようぜ」
「えっ……。あ、明日っ……? なんでっ……?」
ラフィールはボクから離れると、自分の身だしなみを丁寧に整えた。そしてボクのシャツまで整えると、わざとらしくボクに背を向け、部屋を出ていこうとした。
「準備が必要だろ。お前にも。マサトとしかヤってなかったんだ、それなのにいきなり俺とシたら、気絶するに決まってら」
「……そ、それはっ。やってみないと、わかんない……」
「わかるさ。だって俺、――本気でお前を犯すつもりだから」
「っ……!」
「もう我慢なんてしねぇ。もう優しくなんてしねぇ。全力で、全身全霊でお前を犯す。……その覚悟が、今のお前にあるか?」
「……。……」
「無いだろ。だから明日までに覚悟決めてこい。――明日の夜、俺はお前を犯す。お前がどこに居ても、何をしてようと、俺はお前を犯す。……いいな」
……本気の声だった。ラフィールのその声は、紛れもなく嘘偽りのない本気の言葉だった。
そしてボクは理解した。ボクはまだ、覚悟が足りなかったんだって。……本気で犯される覚悟なんて、想定していなかった。遊び程度のことしか……。
「……わ、わかったよ。帰るよ。……それで、いいんだろ……」
……ちょっぴり。ちょっぴりだけ、残念な気持ちだった。だけど同時に、どこか喜んでいるような自分が居た。
明日。ボクは初めて、アイツに本気で抱かれる。今までのような遊びじゃなく、本気で。アイツの本能のままに、ボクは犯し尽くされる。
確かに覚悟が必要だった。前は気持ちよくなる間もなく、気絶してしまったから。だからボクは覚悟を決めるために、扉に手を添えて、部屋を出ていこうとしていた。
「――また明日な。ミノル」
「っ……!」
まるで遊びの約束をするように、アイツは言った。だけどその言葉の奥には、固い決意を秘めた……力強い何かを、ボクは感じ取っていた。
ボクはコクリと頷き、扉を閉める。そして扉の前でしゃがみこみ、言い表しようのない心を抱きしめる。……また明日、と。
「……。……へ、部屋……。……片付け、とかなきゃな……」
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