これは私の物語

笹乃笹世

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一章 村からの脱出

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 ウィリムたちは棚の陰に隠れるように3人で固まっているのが見える。
 そこは私たちの荷物が置いてあった場所で――おそらく3人もコイツに荷物を奪われてしまうことを一番に恐れたんだろう。

「俺はなぁ! こんなチンケな村で我慢してやってんだよ! それをあいつはよぉ! クソが! 女のくせに!」

 八つ当たりするように何度も敷布を蹴飛ばしながら、酔っ払い――プリムがよく手伝いに行っているごくごく小さな牧場の婿養子であるセルジオが喚き散らす。

 ――この小屋には、定期的にこういう酔っ払いがやってきて、適当に暴れては憂さを晴らしていく。 大体の理由は、夫婦喧嘩。 仕事で失敗した、なんてのも少なくは無いが、大体が夫婦間のいざこざをここで発散させていくのだ。

 ……もうさぁ、みんないい大人なんだから自分の機嫌ぐらい自分でとって欲しい! ここまでアンガーコントロール不自由だと、もはやそちら様の障害だと思いますけど⁉︎ 
 ――それもこれも! ……私がそういう風な設定つけて、そういう風に書いたからなんですけどねっ……!
 本当ごめん……こんなことになるって知ってたらもっと、俺tueeeeeな話にしてたよ……
 そんなことを考えていたからだろうか、大きく息を吐き出してしまっていた。 それはため息ほどのものではなかったのだが――運悪く、セルジオが動きを止めて肩で息をしてきた時だったので、静かになってしまった部屋の中、やけに小屋の中に響いてしまった――

「――ああ……? お前今、ため息ついたのか?」
「い、いいえ! 違います! そんなことしてません!」

 とっさに否定するが、すでにセルジオの中では私がため息をついたことになっていて、聞く耳など持ってはくれない。

「うるせぇ! 適当なこと言いやがって! 女はすぐにウソをつく! バカにしやがってっ!」
 
 また突き飛ばされころんでしまうが、その拍子にセルジオも足をもつれさせ、ヨタヨタと床に倒れ込んだ。
 さらに怒り狂うのでは? と、ヒヤリとしたが、かなり酔っているようで「くそが……」「あ? なんで立ないんだ……?」と床の上で首を捻っていて少し胸を撫で下ろす。

 さて、これからどうするのが正解なのか……どうにかして小屋から出て行って欲しいけど……あんまり刺激するのも嫌だし……でもここにいられたらこの人を探しに奥さんか誰かが来たら、逃げ出す隙が確実に減る。

 セルジオの様子を伺いながら迷っていると、ふと顔を上げたセルジオと目が合う。 そして何かを思い出したように二、三回頷くと、徐にこちらに向かって手を伸ばした。
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