【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

文字の大きさ
165 / 1,038

165

しおりを挟む
 ヴァルムが、ゼクスが持ち込んだラッフィナート家への招待状リストとビアンカのパーティー出席リストを眺めながら、リアーヌの夏休暇の予定を次々と決めていく。
 羊皮紙に続々と書き込まれるその様子を眉をひそめて見つめる人物が一人ーー

(……え、待って? なぁにあの量……⁇ 私ってばそんなに出席しなきゃいけないんです……? ーー夏休暇って夏休みのことですよ? お休みなんですよー⁇)

 そんなリアーヌに、ようやく本日の授業を終えたザームが近付いて行く。
 ゼクスに軽く会釈をしつつニマニマと揶揄うような顔つきで歩いて行くその姿が、あらかたの事情を聞かされてここにやってきたことを物語っていた。

「……うわ。 あれ全部出んの?」

 ザームはヴァルムが書き込んでいる羊皮紙に目を丸くすると、ニヤニヤ笑いを引っ込め、気の毒そうに姉を見つめた。

「ーーそう、みたい……?」
「……がんば?」
「……何個か代わる?」
「無理だろ……?」
「ーーだよねー……」

 同行する相手がゼクスで、婚約者の同伴としての出席なのだ。
 行けなくなったので弟を代わりに出席させますーーなんてことは許されないだろう……ということくらいはリアーヌたちにも理解できた。

「……なんか俺も狩りに行くこと決まった」

 想像以上に予定を組み込まれ、予想以上にゲンナリしている姉を気づかうようにザームは言った。
 それは『俺も頑張るから姉ちゃんも頑張れよ』という、ザームなりの励ましだった。

「狩り?」
「ん。 同い年の奴らと狩り行って友達作るんだと」

 ザームの言葉にリアーヌはハッと大きく目を見開いた。
 そしてゴクリと唾を飲み込むと、ゆっくりと口を開いた。

「ーー超頑張れ?」
「おう。 ーーイノシシ捕まえてきてやる。 そしたら肉パーティーだからな?」

 そう言ってニッといたずらっぽく笑うザーム。
 彼の中での姉はーー自分が未だにそうであるようにーー山盛りの肉が食卓に並べは、その瞳を輝かせて幸せそうに笑っている少女のままだった。
 ゲンナリしている姉が少しでも元気になれば……と、思いやりの心からそう伝えていた。

 ーーその優しさ溢れる発言にボスハウト家の使用人たちは、ギョッと目を剥くことになったのだが……
 
「絶対大物捕まえてきてやるから、姉ちゃんも美味い菓子持って帰ってこいよ?」
「……え? あれって持ち帰りOKなの……⁇」

(なんとなく「お育ちがお悪いことっ!」とかイヤミ言われそうな気が……?)

「バレなきゃ問題ねーだろ。 ハンカチにくるんでコッソリ持って帰ってこいよ」

(そうか。 バレなければ問題は起きないな……?)

「ーー私に出来るかな?」
「サッと持ってサッと隠すだけだろ。 ーーどこの菓子が一番美味かったか決めようぜ」
「ーーそれはちょっとやってみたい……!」

 ニヤリと笑って提案してくる弟に、同じように人の悪い笑顔を浮かべて同調する姉。
 その笑い方は瓜二つで、二人の間に濃い血のつながりを感じさせた。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。

三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*  公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。  どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。 ※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。 ※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。

木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。 本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。 しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。 特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。 せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。 そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。 幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。 こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。 ※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ
恋愛
 侯爵令嬢のアンネマリーは流行り病で生死を彷徨った際に、前世の記憶を思い出す。前世では地球の日本という国で、婚活に勤しむアラサー女子の杏奈であった自分を。  病から回復し、今まで家や家族の為に我慢し、貴族令嬢らしく過ごしてきたことがバカらしくなる。  また、自分を蔑ろにする婚約者の存在を疑問に感じる。 「あんな奴と結婚なんて無理だわー。」  無事に婚約を解消し、自分らしく生きていこうとしたところであったが、不慮の事故で亡くなってしまう。  そして、死んだはずのアンネマリーは、また違う人物にまた生まれ変わる。アンネマリーの記憶は殆ど無く、杏奈の記憶が強く残った状態で。  生まれ変わったのは、アンネマリーが亡くなってすぐ、アンネマリーの従姉妹のマリーベルとしてだった。  マリーベルはアンネマリーの記憶がほぼ無いので気付かないが、見た目だけでなく言動や所作がアンネマリーにとても似ていることで、かつての家族や親族、友人が興味を持つようになる。 「従姉妹だし、多少は似ていたっておかしくないじゃない。」  三度目の人生はどうなる⁈  まずはアンネマリー編から。 誤字脱字、お許しください。 素人のご都合主義の小説です。申し訳ありません。

処理中です...