【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 アンナに注意され、神妙な顔つきを貼り付けて見せたリアーヌは、座席に座り直しながらこっそりとアンナを盗み見ながらクスリと微笑みを漏らした。

 このアンナは、ヴァルムの娘であり、つい先日までは先代の子爵夫人ーー大奥様付きのメイドだった。
 ボスハウト家の中で一番年若く、リアーヌとも年が近いということで、ゆくゆくはリアーヌ付きの侍女となる人物であり、そのためこうしてラッフィナート男爵家の領地視察に同行しているのだった。

 そして、ボスハウト家側からこの旅に同行している人物がもう一人。
 今は馬車の外で馬に乗り、馬車を警護しているオリバー・ハイツマンという人物だ。
 この者はヴァルムの紹介で雇われた、今回限りのリアーヌの護衛だ。
 ヴァルムの紹介というのが信じられないほどに、どこかおちゃらけている人物で、言葉づかいも乱れがちなこの男性に、リアーヌは勝手な親近感を抱き(ーー分かるよ! 貴族の言葉づかいって回りくどくってめんどくさいよねっ‼︎)と、仲間意識を芽生えさせていた。

「予定よりも早くついたから、宿に着いたら港町を見て回ろうか?」

 海に興味津々なリアーヌのために、ゼクスは少しでも海が見られるようにと、言葉をかけた。

「ぜひ!」

(港町! 港って言ったら美味しいものの宝庫だよねぇっ! お刺身とかあるのかな? あーでも、塩焼きとかも美味しいよねぇー⁇)

 ーー当の本人の興味は、すでに他のものへと移っているようだったが……



「おおー……でっかぁ……」

 リアーヌは目の前に並んだ大きく、不揃いなバロック真珠を見つめ、感心したように呟く。

 セハの港を散歩しながら海を眺め終わった帰り道、もうすぐ夕暮れという時間でも人が集まっていた通りに、リアーヌたち一行は足を伸ばしていた。
 そこは、ここセハの港近くで養殖が盛んな、真珠を売買する店が集まる通りだったようで、出店のような店々には、さまざまな真珠がズラリと並んでいた。

 その中の一つの店の前で、ゼクスが足を止めた。
 どうやら知り合いの店らしく、店先に立っていた店主となにやら話をしている。
 手持ち無沙汰になったリアーヌはその店先を眺めていて、そこに並んだバロック真珠に気がついたのだった。

「気に入ったか、嬢ちゃん? どうだ坊、漢気見してみろや?」

 リアーヌが真珠を見ていることに気がついた店主が、ゼクスに向かい揶揄うように言った。

「こんな規格外に見せる漢気は持ってないかなぁ……?」
「そう言うなって! これだって立派な真珠だぜ?」

 軽く躱したゼクスに、店主は冗談めかしつつも尚も食い下がる。
 どうやらこの真珠たちは買い手がなかなか付かないもののようだ。
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