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「それは分かるけど、バロックじゃなぁ……」
「なんだよ、天下の大商会の跡取り息子が、んな弱気でどうするよ? ここは一つ「俺がバロック真珠の流行を作ってやるよ!」ぐらい言えないもんかねぇ?」
「ーー言えないかなぁ……?」
「……王都じゃ色々手広くやってんだろー? こっちでもやってくれよー⁇」
全く自分の話に乗ってこないゼクスに店主は少し声をひそめ、困ったように少し弱々しい声で言った。
そんな店主にゼクスも弱ったように少し顔を顰めながら口を開く。
「そう言われても色々やってるのはラッフィナート商会なんだよ。 俺は今、別扱いだから……」
「んな言い訳が俺に通用すると思うなよ? ーー坊、今年は本気でやべぇ。 俺んトコだけじゃねぇ、このビセンテ地方の真珠がおかしいんだ」
「ーー詳しく」
店主が言った言葉にゼクスの顔つきが変わる。
そして店主と詳しい話をするために場所を変えようとしたところで、ハタと気がつき、申し訳なさそう視線をリアーヌに向けた。
「あー……私宿に戻ってますね?」
「いや……その、嫌じゃなければ一緒に話聞いてくれない?」
「……私が聞いてもいいんです?」
(チラッと聞こえた感じ、深刻そうな話だったけど……?)
「ーー彼女も同席していいか? 最近手広くやってる特別アドバイザーの関係者でね」
ゼクスの申し出にイヤそうに顔を顰めた店主にだったが“特別アドバイザー”という言葉が出た瞬間、目を見開いてニコニコと人好きのする気持ちのいい笑顔を浮かべて見せる。
そして揉み手でも始めるのかという勢いで「もちろんよろしいに決まってるじゃないですかぁ」とリアーヌに愛想を振りまいた。
「おやっさんーー店主もこう言ってるし……ーーなにかいいアイデア思いついたら教えて欲しいな?」
「……私、宝石のこととか詳しくありませんけど……?」
「ーーとりあえず移動しよっか?」
不安げに眉を寄せたリアーヌだったが、移動を提案した笑顔のゼクスに背中を押され、その場を後にするのだった。
◇
案内された先は、店から少し歩いた倉庫街で、その中の一つに一行は入っていく。
木箱が並ぶ狭い通路を抜け、階段を登った二階、そこには少々雑然としてはいるものの、おそらく商談に使うのであろう立派な応接室があった。
リアーヌに同行していたメイドのアンナや護衛のオリバーは、倉庫の細く薄暗く見通しの悪い空間や応接室の床に絨毯も敷かれていないことに、店主には気が付かれないように眉間に皺を寄せていた。
しかしリアーヌは普段ならば決して入れないような場所に、心の中で(なんか冒険してるみたい! この階段を上がったら異世界に通じる扉とかがあるんでしょ、分かります‼︎)と、大興奮していたのだったが。
「なんだよ、天下の大商会の跡取り息子が、んな弱気でどうするよ? ここは一つ「俺がバロック真珠の流行を作ってやるよ!」ぐらい言えないもんかねぇ?」
「ーー言えないかなぁ……?」
「……王都じゃ色々手広くやってんだろー? こっちでもやってくれよー⁇」
全く自分の話に乗ってこないゼクスに店主は少し声をひそめ、困ったように少し弱々しい声で言った。
そんな店主にゼクスも弱ったように少し顔を顰めながら口を開く。
「そう言われても色々やってるのはラッフィナート商会なんだよ。 俺は今、別扱いだから……」
「んな言い訳が俺に通用すると思うなよ? ーー坊、今年は本気でやべぇ。 俺んトコだけじゃねぇ、このビセンテ地方の真珠がおかしいんだ」
「ーー詳しく」
店主が言った言葉にゼクスの顔つきが変わる。
そして店主と詳しい話をするために場所を変えようとしたところで、ハタと気がつき、申し訳なさそう視線をリアーヌに向けた。
「あー……私宿に戻ってますね?」
「いや……その、嫌じゃなければ一緒に話聞いてくれない?」
「……私が聞いてもいいんです?」
(チラッと聞こえた感じ、深刻そうな話だったけど……?)
「ーー彼女も同席していいか? 最近手広くやってる特別アドバイザーの関係者でね」
ゼクスの申し出にイヤそうに顔を顰めた店主にだったが“特別アドバイザー”という言葉が出た瞬間、目を見開いてニコニコと人好きのする気持ちのいい笑顔を浮かべて見せる。
そして揉み手でも始めるのかという勢いで「もちろんよろしいに決まってるじゃないですかぁ」とリアーヌに愛想を振りまいた。
「おやっさんーー店主もこう言ってるし……ーーなにかいいアイデア思いついたら教えて欲しいな?」
「……私、宝石のこととか詳しくありませんけど……?」
「ーーとりあえず移動しよっか?」
不安げに眉を寄せたリアーヌだったが、移動を提案した笑顔のゼクスに背中を押され、その場を後にするのだった。
◇
案内された先は、店から少し歩いた倉庫街で、その中の一つに一行は入っていく。
木箱が並ぶ狭い通路を抜け、階段を登った二階、そこには少々雑然としてはいるものの、おそらく商談に使うのであろう立派な応接室があった。
リアーヌに同行していたメイドのアンナや護衛のオリバーは、倉庫の細く薄暗く見通しの悪い空間や応接室の床に絨毯も敷かれていないことに、店主には気が付かれないように眉間に皺を寄せていた。
しかしリアーヌは普段ならば決して入れないような場所に、心の中で(なんか冒険してるみたい! この階段を上がったら異世界に通じる扉とかがあるんでしょ、分かります‼︎)と、大興奮していたのだったが。
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