成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 そしてあれよあれよと言う間にダンスフロアから抜け出たリアーヌは、狐につままれたような表情で先程で居たフロアといま自分が立っている場所を交互に眺める。

「ーーお手をどうぞ、お嬢様?」

 ポカンとした表情のリアーヌに上機嫌なゼクスは、芝居がかった仕草でお辞儀をし手を差し出した。
 そんなゼクスの態度にまんざらでもないリアーヌはニマニマっと頬を緩めると無言でその手に自分の手を重ねる。
 手を取り合った二人はクスクスと忍び笑いを漏らしながらパーティ会場を抜け出し、会場前のホールを抜けてすぐの廊下に来ていた。

(暗い学校も初めてなら、会場から見える庭もライトアップされてて……ーー全然知らないところみたいだ……)

 そんなことを考えながら、目の前の幻想的な光で飾り立てられた庭を眺めていたリアーヌの肩にファサリ……と、ゼクスのタキシードがかけられる。

「え……?」
「涼みに来たわけだけど、さすがに今の季節半袖はね?」

 会場付近であれば空調管理がされているのだが、外ともなればそうはいかない。

「でも……ゼクス様だって……」

(タキシード脱いじゃったらシャツ一枚じゃん……?)

「ーーこんな時、男は痩せ我慢するもんなの」

 リアーヌの指摘に、ゼクスは困ったように肩をすくめながら答える。
 その様子と答えが可笑しくて、リアーヌはクスリと笑いながら言った。

「痩せ我慢、ですか?」
「まぁね?」

 そして見つめあった二人はどちらからともなく吹き出し、ケラケラと笑い合う。

 ひとしきり笑い合った二人は少しだけ廊下を進み、庭が眺められるベンチに移動していた。
 そしてその庭を眺めながらポツポツと話し合う。

「ーーライトアップされてるとこんなに印象が変わるんだね?」
「ですねー。 すごく綺麗……」

(ギフトで飾られてる庭、こんな近くて見られないと思ってたから、ちょっと得した気分!)

 この世界には光を自由自在に生み出すギフトも存在している。
 この庭を彩る光を作り出しているのも、そんなギフト持ちたちだ。
 ギフトで作る光はその色や形も自由自在に変えられる。
 今日庭を彩っているのは、大小様々な球体ばかりだが、王城で開かれるような大きなパーティになると、複雑でカラフルーーさらには動き回るような光がパーティの脇を彩る。
 ゲームのスチルにも描かれたそのライトアップを間近で見られる! と喜んでいたリアーヌだったのだが、ヴァルムたちから、例え学園主催であっても、そのように暗い場所に立ち入ってはいけない、と禁止令を出され、ガッカリしていたのだ。

(その点、ここは庭じゃないし、廊下の明かりは明るいし! でもこんなに近くで見られてラッキー!)
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