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「男爵様のお力でも、どうにもなりませんか……?」
ディーターの探るようなすがるような視線にゼクスは肩をすくめながら口を開く。
「んー……ーー俺のいう通りに三年間生活できるなら、守れると思いますし、牽制だってもちろんやりますけど……俺の知らないところで、本人が約束や契約を交わしちゃったら、俺でも口出し出来ないんですよね……」
「……ご実家の後ろ盾があってもなお、でしょうか?」
「あー……そうなったら場合で考えるなら、ラッフィナートにちょっかいかけられるほど大きなトコだと思うんで、やり合うのは厳しいかと……ーーあくまでうちは男爵家で実家は商家だからねぇ……」
「そうですか……」
心底残念そうにディーターは肩を落とした。
個人的にその青年に期待を寄せ、これからのこの村の守りの要となって欲しいと願っていたからなのかもしれない。
そんな残念そうなディーターよ様子や、貴重なギフト持ちーーしかも火魔法の使い手をくすぶらせるのをもったいなく感じたゼクスは、少し考えを巡らせると、ある提案をディーターに持ちかけた。
「ーーその人の願いは、あくまでもこの村を守ること、なんですよね?」
「……本人はそう言っています」
「極論を言ってしまえば、資格がなくともこの村の警備や警護が出来れば不満は無いーーと捉えても?」
「……だとしたら道が残されているんでしょうか?」
正直なところ、ディーターはそこまで細かいことは把握しきれていなかったが、話だけでも聞きたいと、詳しい説明を促した。
「俺が雇ってーーこの村に出向させる、って手段は残されてる。 この場合は男爵家の使用人ってことになるかな。 たとえ俺でも貴族に雇われるのか嫌ならラッフィナート商会に雇われて俺の下に付くって手もある……こっちだと、こいつらの後輩って感じ」
ゼクスはそう言いながら後ろに控える護衛たちにチラリと視線を送った。
(おすすめは親父たちに横やり入れられにくい、男爵家の使用人のほうなんだけど……ーー家族が許さないかもなぁ……)
「……一度ラッフィナートに雇われなくてはいけない理由はなんなのでしょう?」
「うちの従業員なら、同じギフト持ってるやつが力の使い方を付きっきりで教えてやれるし、護衛たちにそういう仕事のやり方も仕込んでもらえるーーまぁ、本人のやる気次第かな? この方法なら力の扱い方だけで言うなら、学院に通うのと同等かそれ以上の実力をつけられると思う」
ゼクスの言葉を聞きディーターは喜びに顔を輝かせるが、そんなディーターの反応にゼクスは困ったように肩をすくめた。
ディーターの探るようなすがるような視線にゼクスは肩をすくめながら口を開く。
「んー……ーー俺のいう通りに三年間生活できるなら、守れると思いますし、牽制だってもちろんやりますけど……俺の知らないところで、本人が約束や契約を交わしちゃったら、俺でも口出し出来ないんですよね……」
「……ご実家の後ろ盾があってもなお、でしょうか?」
「あー……そうなったら場合で考えるなら、ラッフィナートにちょっかいかけられるほど大きなトコだと思うんで、やり合うのは厳しいかと……ーーあくまでうちは男爵家で実家は商家だからねぇ……」
「そうですか……」
心底残念そうにディーターは肩を落とした。
個人的にその青年に期待を寄せ、これからのこの村の守りの要となって欲しいと願っていたからなのかもしれない。
そんな残念そうなディーターよ様子や、貴重なギフト持ちーーしかも火魔法の使い手をくすぶらせるのをもったいなく感じたゼクスは、少し考えを巡らせると、ある提案をディーターに持ちかけた。
「ーーその人の願いは、あくまでもこの村を守ること、なんですよね?」
「……本人はそう言っています」
「極論を言ってしまえば、資格がなくともこの村の警備や警護が出来れば不満は無いーーと捉えても?」
「……だとしたら道が残されているんでしょうか?」
正直なところ、ディーターはそこまで細かいことは把握しきれていなかったが、話だけでも聞きたいと、詳しい説明を促した。
「俺が雇ってーーこの村に出向させる、って手段は残されてる。 この場合は男爵家の使用人ってことになるかな。 たとえ俺でも貴族に雇われるのか嫌ならラッフィナート商会に雇われて俺の下に付くって手もある……こっちだと、こいつらの後輩って感じ」
ゼクスはそう言いながら後ろに控える護衛たちにチラリと視線を送った。
(おすすめは親父たちに横やり入れられにくい、男爵家の使用人のほうなんだけど……ーー家族が許さないかもなぁ……)
「……一度ラッフィナートに雇われなくてはいけない理由はなんなのでしょう?」
「うちの従業員なら、同じギフト持ってるやつが力の使い方を付きっきりで教えてやれるし、護衛たちにそういう仕事のやり方も仕込んでもらえるーーまぁ、本人のやる気次第かな? この方法なら力の扱い方だけで言うなら、学院に通うのと同等かそれ以上の実力をつけられると思う」
ゼクスの言葉を聞きディーターは喜びに顔を輝かせるが、そんなディーターの反応にゼクスは困ったように肩をすくめた。
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