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「ーーそれは、とても楽しそうですわ?」
そう、観念したように言葉を漏らした。
その答えに沸き立つ少女たち。
そんな少女たちを見つめるクラリーチェは、どこかソワソワと落ち着かなそうに、しかしニヨニヨと口元が歪んでいてーー
その発言の通り、これからするであろうデートをとても楽しみにしている様子だった。
この勉強会から数日後、クラリーチェからレオンとお忍びデートをしたこと、そしてその時の詳しい報告をする場が設けられ、少女たちは面白おかしくその報告を聞いていたのだが……
話の流れでレジアンナやリアーヌがその店でデートしたことを漏らすと、なぜだか、リアーヌたちまでデートの様子を報告する流れになりーー
そこからしばらくの間、少々たちの間では、婚約者とデートしたことを報告し合う、という行為がブームになったのだったーー
(ノロケ話をするヤツらが増えた……だと⁉︎ あ、でも正直、言って良かったお店とか、そこまででもなかったお店の情報はありがたいです! ーーえ、路地裏にあるキャラメル専門店……? なにその隠れ家的なお店⁉︎ え、絶対行く!)
◇
「ーーは……?」
もはや恒例行事となったパラディール家主催のお茶会。
レオンとクラリーチェも参加しており、この二人は固定メンバーとしてこれからも参加するのだろうーー
そんなお茶会のホストであるフィリップは、およそ貴族階級の者としては不適切な声を発し、その原因となったゼクスをポカン……と見つめていた。
「だからぁ……」
対するゼクスの方も、普段社交界では決してしないであろう口調で話始めるーー
これらのことに対し、他の参加者たちもなにも言わないどころか、気の毒そうにゼクスに同情の眼差しを向けている。
それほどまでに、ゼクスが受けた行為は屈辱感なものだったようだ。
「代理人って名乗る子がやって来たと思ったら、挨拶もそこそこに「手違いで出席出来なくなっちゃったみたいで……すみませんでした!」って伝言を貰ったんですぅー」
よほど呆れているのか、言葉づかいも態度も社交には不適切としか言いようがないものだったがーー犬猿の仲であるフィリップですらそれを指摘しようとは思わないようだ。
「……本当なの?」
あまりのことに、小声でその場に同席していたであろうリアーヌにたずねるビアンカ。
この行為も褒められたものではないのだが、確認せずにはいられないほどには、無礼極まりない対応だった。
「……まぁ……?」
なにかを含みまくっているリアーヌの答えに、ビアンカの眉間にシワが寄る。
「……違いますの?」
「……違いはしないんだけど、ね……?」
そう、観念したように言葉を漏らした。
その答えに沸き立つ少女たち。
そんな少女たちを見つめるクラリーチェは、どこかソワソワと落ち着かなそうに、しかしニヨニヨと口元が歪んでいてーー
その発言の通り、これからするであろうデートをとても楽しみにしている様子だった。
この勉強会から数日後、クラリーチェからレオンとお忍びデートをしたこと、そしてその時の詳しい報告をする場が設けられ、少女たちは面白おかしくその報告を聞いていたのだが……
話の流れでレジアンナやリアーヌがその店でデートしたことを漏らすと、なぜだか、リアーヌたちまでデートの様子を報告する流れになりーー
そこからしばらくの間、少々たちの間では、婚約者とデートしたことを報告し合う、という行為がブームになったのだったーー
(ノロケ話をするヤツらが増えた……だと⁉︎ あ、でも正直、言って良かったお店とか、そこまででもなかったお店の情報はありがたいです! ーーえ、路地裏にあるキャラメル専門店……? なにその隠れ家的なお店⁉︎ え、絶対行く!)
◇
「ーーは……?」
もはや恒例行事となったパラディール家主催のお茶会。
レオンとクラリーチェも参加しており、この二人は固定メンバーとしてこれからも参加するのだろうーー
そんなお茶会のホストであるフィリップは、およそ貴族階級の者としては不適切な声を発し、その原因となったゼクスをポカン……と見つめていた。
「だからぁ……」
対するゼクスの方も、普段社交界では決してしないであろう口調で話始めるーー
これらのことに対し、他の参加者たちもなにも言わないどころか、気の毒そうにゼクスに同情の眼差しを向けている。
それほどまでに、ゼクスが受けた行為は屈辱感なものだったようだ。
「代理人って名乗る子がやって来たと思ったら、挨拶もそこそこに「手違いで出席出来なくなっちゃったみたいで……すみませんでした!」って伝言を貰ったんですぅー」
よほど呆れているのか、言葉づかいも態度も社交には不適切としか言いようがないものだったがーー犬猿の仲であるフィリップですらそれを指摘しようとは思わないようだ。
「……本当なの?」
あまりのことに、小声でその場に同席していたであろうリアーヌにたずねるビアンカ。
この行為も褒められたものではないのだが、確認せずにはいられないほどには、無礼極まりない対応だった。
「……まぁ……?」
なにかを含みまくっているリアーヌの答えに、ビアンカの眉間にシワが寄る。
「……違いますの?」
「……違いはしないんだけど、ね……?」
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