成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「拗ねちゃえばいいんですよ! ーーだって面白くないじゃないですか」
「ええ……?」

 リアーヌの言葉に付いていけず、戸惑いの声を上げるクラリーチェ。
 そんな二人の様子をレジアンナはニヤニヤと面白そうに眺め、ビアンカは呆れたように見つめていた。
 しかしリアーヌを止めるつもりも無いようだった。

「ーー自由に好き勝手生きている人のせいで婚約者とギクシャクしちゃうなんて、面白くありません!」

(主人公だからってマナーも立ち振る舞いも免除で、愛する人と結ばれて幸せになりましたーとか、いくらなんでもヒイキが過ぎると思います!)

「ーーそれよ! わたくしもそう思うわ⁉︎」

 リアーヌの言葉に、レジアンが我が意を得たり! とばかりに興奮気味に同意する。
 リアーヌはそれに笑顔を向けるだけで返し、再びクラリーチェを見据え口を開く。

「ならレオン様のせいではありませんが……ーーデートの一回や二回楽しんで、贈り物の一つや二つ、せしめてやりましょう!」
「せしめ……」
「旦那さんが若くて綺麗なお姉さんに色目使ったら、新しい服をねだるチャンスなんですよ?」
「ーー服には困っておりませんわ……?」

 昔、近所のおばちゃんたちに教えてもらった知識は、貴族ようでは無かったようだ。

「ーーじゃ、最近流行ってるベリー亭の限定スイーツセット」
「それはーー……」

 リアーヌの言葉に、クラリーチェは初めて視線を揺らしながら迷うそぶりをみせた。

「あそこのハートのマカロン可愛らしいですわよね?」
「色とりどりで!」

 最近の流行りということで、少女たちはヒソヒソと声をひそめながらベリー亭の話題を話し合う。

「ケーキも素敵ですわ? とっても繊細で」
「私はタルトを食べました! 宝石のようにキラキラ輝いておりましたわ⁉︎」
「ーークラリーチェ様、羨ましいですわ!」

 少女たちの間では、クラリーチェとレオンがベリー亭にデートに行くことは決定しているようだった。

「……楽しそうですね?」
「ふふっ なんだかたちまで楽しみだわ⁇」

 ビアンカとレジアンナとクスクスと笑いながらクラリーチェに話しかける。

「あの……」
「ーーきっと楽しいですよ」
「ですから……」

 まだ決めたわけでは……と続けようとしたクラリーチェの言葉を遮るようにリアーヌはさらに言う。

「だってクラリーチェ様とレオン様がベリー亭にデートしに行ったら、今度はそれを今日集まったみん様に、キチンと報告しなきゃいけませんもん?」
「まぁ! 楽しそう!」

 リアーヌの言葉にレジアンナが歓声を上げ、他の少女たちもそれに続く。
 そしてーー
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