成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「ーーフォルステル家がお嬢様ののことを知っていたと仮定するならば、可能性としては……ーー相性としては最悪でしょうから」

 イルメラやエドガーが同席しているからか、オリバーは話を少し事情をぼかしながらゼクスに伝えた。
 そしてその瞬間、顔を引き締めサンドラに視線を走らせたエドガーの姿に少しだけ満足そうに目を細める。
 秘匿された情報があることを理解し、サンドラがまたうっかり口を滑らせないようにと注意を向けたーー
 オリバーとしては満足な対応だった。

「……露骨にやらざるを得なかった」

 ゼクスの言葉にリアーヌは理解が追いつかずに首を傾げ、オリバーに視線を向ける。
 しかし、オリバーが口を開くよりも先に言葉を発した人物がいた。

「……あー、なるほど?」

 リアーヌはそんな弟の言葉に驚愕し目を見開いたのだが、慌てて表情を取り繕いカクカクと曖昧に頷いて見せた。

「……だ、だよねー……?」

 しかしそんな演技などオリバーやゼクスの目をごまかせるものではなくーーザームや事情を理解していないはずのエドガーたちにまで呆れた眼差しで見つめられた。

「お嬢……」
「……あとでちゃんと説明するからね……?」
「お願いしまふ……」

 そんな会話ののち、いつものように回復をかけいつもと同じように学院を後にする。
 いつもと違うのは、護衛のエドガーがサンドラ嬢を家へと送っていくという任務を与えられ、ゼクスが家へと招待されたことぐらいだろうか。

 ーー場所改めて詳しい説明を聞く。
 その内容は、フォルステル家がリアーヌのギフト『コピー』の内容を、的確に理解しているのでは? という話から始まり、であるならば『守護』のギフトをコピーされてしまうかもしれないことへの懸念などから、フォルステル家がリアーヌに対して警告じみた攻撃を仕掛けてきたのだろう……というものだった。

(……私ってば主人公のギフトすらコピーしてしまえるんです……? ーーあれ? ここにきてまさかの私がチートキャラ……⁉︎)

「しかし、それを理由にフォルステル家がちょっかいをかけてきたのだとすれば、残念ながらコピーは無理でしょうね……」
「ーーえっ⁉︎」

 ため息混じりのゼクスの言葉に驚きの声をあげるリアーヌ。

「……リアーヌ、ギフトコピーの条件覚えてる……?」

(ギフトコピーの条件……ーーそういえばそんなものがあったような……ーーあ! 本人の同意がなかったら無理じゃん⁉︎)

「コピーさせてもいいって同意をもらわないと出来ない……」
「あ、良かった。 ちゃんと覚えてるよね……? 流石にね……?」

(……ーー私のチートキャラ説は幻だった……)
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