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しおりを挟む「ーーアウセレ行ったら美味しいものたくさん食べようね⁉︎」
「お刺身……?」
「……お魚はたくさん食べよう? 貝でもエビでも好きなだけ!」
「……おにぎりとお味噌汁食べいです」
「いくらでも買ってあげる!」
「ミソも買ってくれますか⁉︎」
「もちろん!」
「やったぁ!」
その会話の直後、ミソというものがセハの港でアンナたちが匂いを理由に購入を却下していた食べ物だということを思い出したゼクスは、思い切り頭を抱えることになるのだった――
◇
夏休暇が始まり、すぐに開かれた王城でのダンスパーティー。
ゼクスにエスコートされ登城したリアーヌたちは、入り口につながる広い廊下でビアンカたちと合流していた。
「ごきげんよう。 今日のドレスも素敵ね?」
「ありがと! ビアンカのも可愛いねー? すごく似合ってる!」
リアーヌのドレスは白地のシフォンのような薄手の布に赤い薔薇の刺繍が無数に散りばめられたデザインで、その軽やかな見た目に反し、ずいぶんな重量のあるドレスとなっていた。
そしてビアンカの纏うドレスは鮮やかで艶やかな青地のマーメイドラインのドレスで、色白でスタイルのいいビアンカの魅力をよく引き立てていた。
しかしそんなビアンカは、現在眉を下げながらリアーヌの言葉に困ったように首を傾げていた。
「嬉しい言葉に違いは無いけれど、もう少し取り繕いなさいな」
リアーヌの言葉が心からの賛辞であると理解しているビアンカは、によによと歪みそうになる口元をセンスで隠しながら、リアーヌにたしなめの言葉を送った。
「ーービアンカ様のドレスもとても素敵でいらっしゃいますわ?」
「ーーありがとう存じます」
そう軽く頭を下げながら言外に「やればできるじゃない?」と視線や態度で示すビアンカ。
それは正しくリアーヌに伝わったようで、その器用な技にリアーヌは吹き出すのを堪えるように唇を引き結んだ。
「ーーせっかくですのでご一緒致しませんか?」
リアーヌたちの会話がひと段落したところでゼクスがパトリックに声をかけた。
それに了承の返事をしたことをきっかけに、四人揃って会場となるダンスホールまで進んで行った。
(この入場、うっかり父さんたちと入ると「ボスハウト子爵、子爵夫人、ご令嬢、ご入室!」ってめちゃくちゃデカい声で宣言されちゃうんだよね……――立ち振る舞いなんてギリギリの及第点しか取れないんだから、こっち見ないでほしい……一応ゼクスが現役男爵だったりするけど、男爵は数が多すぎたり、平民上がりで立ち振る舞いに不安が残る人が多いから省略だし……――ゼクスが男爵で良かった!)
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