成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「やっぱりお城でのパーティーは規模が違いますねぇ……?」

 会場に入り、ビアンカたちと共にまだ人もまばらな会場内をぐるりと見回しながら呟くリアーヌ。
 
「そりゃこの国で一番偉い家が主催するわけだし? メンツの問題も出てきちゃうからねぇ」

 そんな言葉を返していたゼクスがチラリと入り口に視線を走らせたあと、パトリックたちに向かって合図しながらまた会場内を歩き始めた。

「……誰かにご挨拶ですか?」
「――フォルステル伯爵がご入室されたんだ」
「えっ⁉︎」

(全然聞こえなかった……そういえば中に入ってからほとんど入室合図の声聞こえてなかったけど……――こんなに気にならないのにみんなこっちを見てきてたってこと……⁉︎ 貴族の耳が良すぎる……)

「……お二人はフォルステル伯爵にご挨拶を?」

 伯爵から離れるように歩き出したゼクスたちだったが、その会話の流れからか、一緒に歩き出したパトリックが探るような視線でたずねる。

「えっ? 私は接近禁止ですけど……」
「誤解させてしまいましたか? 近付くのも禁じられているので移動させていただいたのですが……」

 リアーヌが驚いたように答え、パトリックの勘違いを理解したゼクスが申し訳なさそうに説明する。

「……そうでしたか、これはとんだ早とちりを……」
「誤解が解けてなによりです」

 少し気恥ずかしそうに鼻をいじるパトリックににこやかな笑顔を浮かべながら歩き続けるゼクス。
 ーーその姿が見えなくなるぐらいのギリギリの場所まで離れるようだった。

「……貴女に非は無いでしょう?」

 ビアンカが眉を寄せながらリアーヌに話しかける。
 この対応が伯爵から逃げているように思えていた。

「ーー非とか関係ないよ? 今日のパーティーで、あの一家に近付いたら、これから夏休暇中ずっとデザート無しにされるんだからね? 私、帰ったらヴァルムさんからの質問に答えなきゃいけないんだからっ⁉︎」

 ーーここは王城。
 王家のメンツにかけ、滅多なことなど起こらないの場所だったが、王妃に近しい者たちが多く入り込めてしまう懸念も大いにある場所だった。
 さらには王家が安全を保障するパーティーに、護衛を同伴させるような無礼ができるわけもなく――少しのトラブルに巻き込まれ無いよう、些細な言質も取られないようにと、さまざまな事情からリアーヌとフォルステル家の人間たちとの接触が禁じられたのだった。

「……お菓子の一つや二つ、買えないわけじゃないでしょう?」
「そりゃそうだけど……ーーでもその辺のお店で買って帰ったのより、うちのデザートのほうが豪華でキラキラしてて美味しそうだし……――お店のはたまに見た目だけの微妙なの混じってるし……」
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