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リアーヌのその発言に、ヨッヘムたちは顔を寄せ合いながら、ヒソヒソと言葉を交わし合う。
ーーその声はザームのように身体強化を上手く扱えないリアーヌの耳にすら、はっきり届く程度の小ささだったのだが。
「ーー嫁としちゃ良い心がけだって言われそうだが……?」
「なんかこう……ーーダメな気がするよなぁ?」
「……だからこその明日の旅行なんじゃねぇか?」
「あー……とりあえずみて覚えさせようって……」
「ーーそうなると、俺の話が良い練習台になるんじゃねぇか……?」
「……いくら規模が違ぇって言っても、ラッフィナートがよその店の品物まで守ってくれるか……?」
「ーー大店には大店のメツンがあんだろー? 未来の若奥様がどこぞの問屋に食いもんにされんのは見過ごさねぇだろうし、うちだってボスハウト家のお抱えだぜー? その荷物を邪険に扱うと思うか? それに万が一なにかあったとしても、ヴァルム様が絶対になんとかしてくださるね!」
「……それは、確かに?」
店主が納得した同じタイミングで、リアーヌとザームも力強く頷きあう。
「ーーよぅし! お嬢どーんと金五十出す! 混ざりもん無しの良品見極めて、変えるだけ買ってきてくれ!」
「……ごっ⁉︎ え、本気……?」
目を丸くしながら確認するリアーヌに、ヨッヘムは腕組みしながら鼻息も荒く頷いた。
「おう!」
「いや……いやいや! ムリ、無理だよ! そんな大金預かれないっ!」
「おいおい将来のラッフィナート商会夫人が、こんぐらいでビビんじゃねーって!」
「普通にビビる額でしょ⁉︎」
「将来はそんなモン端金に感じちまうような取引しなきゃいけねーんだから……練習だと思え練習!」
「……一理あるのかもしれない」
(……確かにこの機会にそんな大金で買い付け出来たら良い経験になりそうだし、ゼクスとかラッフィナート商会に の人が助けてくれそう……ーーいや、将来、仕入れなんて重要な仕事が私に回ってくるのかどうかは怪しいところだけどー。 でも経験しておくに越したことは無いと思ってる。 ……まぁゼクスが許可を出してくれれば、ってのが大前提なんだけどねー)
「ーー分かった。 言うだけ言ってみる」
「おう! ダメならダメでいいんだ。 許可もらえたら儲けもん程度のていたんだから無理はしねーでくれよ?」
「うん!」
「じゃあ……明日の朝イチで顔出させてもらっていいか?」
「うん! あ、もし許可が出た時用に、メモみたいなの欲しい。 スパイスの名前とこのスパイスはこのぐらい欲しいみたいなやつ」
「ーー任しとけー!」
ヨッヘムが元気よく胸を叩いたところで、話に区切りが付いたと判断したザームが立ち上がる。
それをきっかけにヨッヘムと店主は酒場へ繰り出し、リアーヌたちは配達をこなしてから帰路に着いたのだった。
ーーその声はザームのように身体強化を上手く扱えないリアーヌの耳にすら、はっきり届く程度の小ささだったのだが。
「ーー嫁としちゃ良い心がけだって言われそうだが……?」
「なんかこう……ーーダメな気がするよなぁ?」
「……だからこその明日の旅行なんじゃねぇか?」
「あー……とりあえずみて覚えさせようって……」
「ーーそうなると、俺の話が良い練習台になるんじゃねぇか……?」
「……いくら規模が違ぇって言っても、ラッフィナートがよその店の品物まで守ってくれるか……?」
「ーー大店には大店のメツンがあんだろー? 未来の若奥様がどこぞの問屋に食いもんにされんのは見過ごさねぇだろうし、うちだってボスハウト家のお抱えだぜー? その荷物を邪険に扱うと思うか? それに万が一なにかあったとしても、ヴァルム様が絶対になんとかしてくださるね!」
「……それは、確かに?」
店主が納得した同じタイミングで、リアーヌとザームも力強く頷きあう。
「ーーよぅし! お嬢どーんと金五十出す! 混ざりもん無しの良品見極めて、変えるだけ買ってきてくれ!」
「……ごっ⁉︎ え、本気……?」
目を丸くしながら確認するリアーヌに、ヨッヘムは腕組みしながら鼻息も荒く頷いた。
「おう!」
「いや……いやいや! ムリ、無理だよ! そんな大金預かれないっ!」
「おいおい将来のラッフィナート商会夫人が、こんぐらいでビビんじゃねーって!」
「普通にビビる額でしょ⁉︎」
「将来はそんなモン端金に感じちまうような取引しなきゃいけねーんだから……練習だと思え練習!」
「……一理あるのかもしれない」
(……確かにこの機会にそんな大金で買い付け出来たら良い経験になりそうだし、ゼクスとかラッフィナート商会に の人が助けてくれそう……ーーいや、将来、仕入れなんて重要な仕事が私に回ってくるのかどうかは怪しいところだけどー。 でも経験しておくに越したことは無いと思ってる。 ……まぁゼクスが許可を出してくれれば、ってのが大前提なんだけどねー)
「ーー分かった。 言うだけ言ってみる」
「おう! ダメならダメでいいんだ。 許可もらえたら儲けもん程度のていたんだから無理はしねーでくれよ?」
「うん!」
「じゃあ……明日の朝イチで顔出させてもらっていいか?」
「うん! あ、もし許可が出た時用に、メモみたいなの欲しい。 スパイスの名前とこのスパイスはこのぐらい欲しいみたいなやつ」
「ーー任しとけー!」
ヨッヘムが元気よく胸を叩いたところで、話に区切りが付いたと判断したザームが立ち上がる。
それをきっかけにヨッヘムと店主は酒場へ繰り出し、リアーヌたちは配達をこなしてから帰路に着いたのだった。
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