780 / 1,038
780
しおりを挟む
「どちらへ⁉︎」
「リアーヌ⁉︎」
いきなり走り出したリアーヌに声をかけるアンナとゼクスだったが、リアーヌその声に走りながら嬉しそうに答えた。
「アンナさんおにぎりですよおにぎり! 食べに行きましょう!」
まさか声をかけてもなおリアーヌが止まらないとは思わなかったらしく、二人とも一瞬その背中を見送ってしまう。
そんな二人が再び正気に戻ったのは「お待ちください!」というオリバーの声と、追いかけるその背中をみてから、だった。
「ーー天ぷらそばもあるー!」
「……え、お嬢?」
「ーー元気、だな?」
「……一人⁇」
歓声を上げながらタラップを降りていくリアーヌに、困惑しながらもそれを見送る船員たち。
平気なんだろうか? と疑問に思い、ゼクスたちに視線を走らせた瞬間、ものすごい形相でこちらに走ってくるオリバーと目が合うと、身の危険を感じたのか仰反るように道を開けた。
「お嬢様落ち着いてーーっ止まれっ!」
「オリバーさんおそばですよ、おそばー!」
まさか他国で見失うわけにはいかないと、オリバーは声をわざと荒げてリアーヌの足を止めようとするが、リアーヌの耳にはその声が届いていないのか、満面の笑顔でタラップを駆け下りている。
(どんだけ食べ物に目がないんだよ⁉︎)
オリバーはこんな足場の悪い場所で捕まえるよりもーーと、判断するとタラップの手すりに足をかけ、なんの躊躇もなく飛び降りる。
そしてタラップを支える柱に手をかけながら普通の建物の三階分はありそうな高さを飛び降りて見せたのだった。
そして見事、タラップの入り口でリアーヌの捕獲に成功したーー
「……どうしよう。 俺にはリアーヌを止められないかもしれない……」
タラップの上からリアーヌがオリバーに捕獲された所を確認しながらゼクスは情けない声を上げた。
そんなゼクスを押し除けるようにタラップを降りていくアンナ。
それを見送りながら船員たちは呆れたように肩をすくめ合う。
「アウレラのもん好きだとは言ってたが、あそこまでとは……」
「大興奮だったな?」
「ーーあの護衛、どうやって降りたんだ……?」
そんな船員たちの会話を聞きながら、オットマーに降りると声をかけ、自分の護衛に二人船員を付けてもらい、気合いを入れるように短く息を吐き出してからタラップを降り始めた。
「ゼクス様ー! たい焼きもありますよ、たい焼きー!」
「はーい。 買うからねー。 だからちょっと落ち着こうねー?」
タラップの下でオリバーに担ぎ上げられ、動きを封じられているリアーヌは、それでも興奮しきりにゼクスに話しかけていて、ゼクスは再び心の中で(あれを止めるとか俺には無理だ……)と呟くのだったーー
「リアーヌ⁉︎」
いきなり走り出したリアーヌに声をかけるアンナとゼクスだったが、リアーヌその声に走りながら嬉しそうに答えた。
「アンナさんおにぎりですよおにぎり! 食べに行きましょう!」
まさか声をかけてもなおリアーヌが止まらないとは思わなかったらしく、二人とも一瞬その背中を見送ってしまう。
そんな二人が再び正気に戻ったのは「お待ちください!」というオリバーの声と、追いかけるその背中をみてから、だった。
「ーー天ぷらそばもあるー!」
「……え、お嬢?」
「ーー元気、だな?」
「……一人⁇」
歓声を上げながらタラップを降りていくリアーヌに、困惑しながらもそれを見送る船員たち。
平気なんだろうか? と疑問に思い、ゼクスたちに視線を走らせた瞬間、ものすごい形相でこちらに走ってくるオリバーと目が合うと、身の危険を感じたのか仰反るように道を開けた。
「お嬢様落ち着いてーーっ止まれっ!」
「オリバーさんおそばですよ、おそばー!」
まさか他国で見失うわけにはいかないと、オリバーは声をわざと荒げてリアーヌの足を止めようとするが、リアーヌの耳にはその声が届いていないのか、満面の笑顔でタラップを駆け下りている。
(どんだけ食べ物に目がないんだよ⁉︎)
オリバーはこんな足場の悪い場所で捕まえるよりもーーと、判断するとタラップの手すりに足をかけ、なんの躊躇もなく飛び降りる。
そしてタラップを支える柱に手をかけながら普通の建物の三階分はありそうな高さを飛び降りて見せたのだった。
そして見事、タラップの入り口でリアーヌの捕獲に成功したーー
「……どうしよう。 俺にはリアーヌを止められないかもしれない……」
タラップの上からリアーヌがオリバーに捕獲された所を確認しながらゼクスは情けない声を上げた。
そんなゼクスを押し除けるようにタラップを降りていくアンナ。
それを見送りながら船員たちは呆れたように肩をすくめ合う。
「アウレラのもん好きだとは言ってたが、あそこまでとは……」
「大興奮だったな?」
「ーーあの護衛、どうやって降りたんだ……?」
そんな船員たちの会話を聞きながら、オットマーに降りると声をかけ、自分の護衛に二人船員を付けてもらい、気合いを入れるように短く息を吐き出してからタラップを降り始めた。
「ゼクス様ー! たい焼きもありますよ、たい焼きー!」
「はーい。 買うからねー。 だからちょっと落ち着こうねー?」
タラップの下でオリバーに担ぎ上げられ、動きを封じられているリアーヌは、それでも興奮しきりにゼクスに話しかけていて、ゼクスは再び心の中で(あれを止めるとか俺には無理だ……)と呟くのだったーー
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
315
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる