成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「いやいや! 男爵、そして子爵家とも縁を結ぼうとされるお方が! こんな値段まで値切ったと分かったら他の方々に馬鹿にされてしまいますよぉ?」

(……その発言はギリギリすぎない? 冗談でしたー、じゃ済まないと思うけど……ーーなんならあそこの商人に脅されて……ってごと言いえるレベル……ーーえ、これ挑発だって認識で合ってるよね? 「商人にとってはこんなの挨拶代わりだよー」とか言ったりしないよね……?)

「ここには商人の端くれとして来ていますのでねぇ? 逆に評価してもらえるんじゃないかなぁ? ーーどう思います? 未来の女将さん⁇」
「……うふふふふー」

 ゼクスからのパスを笑顔で受け止め、リアーヌはニヨニヨと歪む口元を手で覆い隠した。

「ふふっ僕と同じ考えだって言ってる?」
「ふふふ……」
「あ、当たりだー」

 相手のペースに巻き込まれないようにするためか、リアーヌをからかっている余裕があるのか、ゼクスはこの商談中、ちょくちょくこんな風にリアーヌを構っていた。

「おやおや……男爵ともあろうお方が、私のような小物を牽制などせずとも……ーーあまり度が過ぎるとお嬢様が困ってしまいますよ? ーーそうだ! お嬢様はどのようにお考えですか? におられる男爵とはいえ、お嬢様の婚約者は貴族階級に身を置くお方……ーーやはりの取引内容というものがあるとは思いませんか……?」

(いやぁー……流石に喧嘩売りすぎでは……? いくら貴族とやりとりしてるって言っても、この人自身は貴族でもなんでもない人でしょ……? ーーつーか男爵の取引相手の耳に今の発言が入ったらこの人詰んじゃうけど……?)

「リアーヌはーー」

 約束通りその話をゼクスが引き取ろうと口を開いたところで、店主は大きく笑いながら、強引に二人の会話に割り込んできた。
 身分差を考えてもあり得ない行為だが、その差が無かったとしても非常に失礼な行為だったのだがーー店主としても一向に進まない商談にジレていたのかもしれない。

「男爵様、リアーヌ様とて立派なレディ、そのように可愛らしいお口も付いていることですし、自分の意見くらい言えますとも……そうでございましょう?」

 店主の言葉に曖昧に首を傾げながら助けを求めるようにゼクスを見つめた。

(……このおっさんが失礼なのは置いておいて、これ逃げ道塞がれてますよね……? ここまで言われて私が対応しないのダメじゃない? ーーまぁコイツが超失礼なヤツってのは揺らがないんだけど!)
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