成り上がり令嬢暴走日記！

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　確かに学院の生徒たちの中には、まだ情報を得ていない者たちが多いのか騒ぎにはなっていないが、学院が季節外にコピーの内容すらも発表をしたことに違和感を感じ、詳しい情報を得ようとする者たちは決して少なくはなく、国中に周知されるのも時間の問題だった。



「ーー納得がいかないわ……」

　ビアンカは廊下を歩きながら、面白くなさそうに呟いた。

「……私がマナーの授業で褒められたのが、そんなに不満かね？」
「ーー不満は無いわ？　ただ納得がいかないの……ーーだって貴女、ニコニコ笑って相槌を打ってるだけじゃない」
「ーー人は失敗から学習し、成長する生き物だよ……ーー最近は危険そうな話には曖昧な相槌も打たないように気をつけてます！」
「一体どこをどう学習したら、あんなホスト役が出来上がるのよ？」
「……これまでの失敗を全てひっくるめて考えた時気がついたのだよ、ビアンカくん！」
「……普通はその失敗の一つ一つを克服していくものでしてよ……」
「……ーー気がついたのだよビアンカくん！」
「ーー分かったわよ、どうぞ続けて？」

　ビアンカは呆れたように肩をすくめながらも手で話の続きを促した。

「前回までの私は、ホスト役を命じられたとしても、みんなが満足するほど上手に話を振ることが出来なかった！　これは明らかな失敗！」
「……失態の間違いではなくて？」
「……イエス失敗、ノー失態。　ここは学校なんだから、大いに失敗して学ぶべきなのです！」
「……貴女がそれを失敗と呼ぶのならばそうなのではなくて？」
「では失敗で！　そして気がついたのです！　オタオタしていた私に差し伸べられた周りの優しさに！」
「……まぁ、同じ班の方々だって評価される側ですからね？　ーー優しさ……だといいわよね？」
「であるならば！　私の決断など一つしかない！」
「ーーきっと碌でもないことだわ……」
「否いな！　むしろ英断！　だって周りが助けてくれるのであれば、私は最初から手を出さないほうが全てうまく回るのだから！」
「ーー今後の授業を見据えた時に、とっととお止めなさいと言うことをためらうぐらいには、絶妙な意見だわ……」
「だから私は今回、最初から最後までずっと笑顔を心がけ、ただひたすらに相槌を打っていたのさ！　あ、もちろんヤバそうな話は「うふふふふー」でごまかしたよ！」
「……そしてお茶会はつつが無く過ぎていき、貴女は先生にお褒めのお言葉を賜ったと……」
「今までで一番上手に回せていましたわね、って言われた！　……ちょっと納得いかないけど、それを飲み込んでこその成長！」
「それは間違いなく妥協よ」